学校帰りにハンバーガーショップで
食事中の三人、未咲、アリス、香那美。
高一のとこのようです。
「未咲ってホント好きだよねえ。
そいいう脂っこいの」
「だっておなかすいてるんだもん」
ハンバーガーを大口開けてほおばる未咲。
「そのくせ太らないし」
「体は毎日動かしてるからね」
「ん?香那美何書いてるの?
ああ、進路希望調査」
店の端っこのほうにはアリスのボディガード、ウェイ。
「まいるよねえ。まだ1年だよ。進路なんて考えてないっつの」
「じゃあどうすんの?」
「将来なんていわれても全然分かんないしとりあえず進学?」
「ふうん」
「いいよね。もう進学も就職も決めちゃってる人はさ」
「え?」
「知ってる?こいつ東大から警察にはいるんだって」
「警察」
「香那美!」
「ほーんとマザコンなんだから」
「そんなんじゃないって」
「どうだか」
「そりゃたしかにお父さんがきっかけだったけど
理由はほかにちゃんとあるの」
「それってなに?」
「世の中には平気で人を傷つけ
自分の欲望を満たそうとする人々が大勢いる。
その陰で泣いている人たちも大勢いる。
私は許せないの。そういうのが。」
「か弱い人間の味方になりたい、か。
あいかわらず優等生だなあ、未咲は」
「ちょっと何ソレ?!
せっかくおしえたのに」
未咲、素早く香那美のチキンナゲットを
奪って食べてます。
「それあたしの。かえしてよ〜」
「もうたべちゃったも〜ん」
「たべすぎだって」
「もう一個ちょうだ〜い」
よく食べる女子高生・未咲。
そして現在。
銃に弾をこめるアリス。
「今日はなんて言い日なんでしょう。
ねえ未咲、あなたもそう思うでしょう。
だからね、こそこそ隠れてないでいっしょにお祝いしてちょうだい」
銃をひくアリス。
驚いた黒の口をおさえる未咲。
「あなた、なぜここにいるの」
「それが、オーナーに飲み物をもってくるように言われて
でもきてみたら・・」
転がるオーナーの死体。
「このままじゃぼくらも殺されちゃいます。
どうにかしてください」
「どうにかっていわれても」
ハチを手づかみでつかまえるアリス。
さらにハチの針を腕にさします。
「このハチをつかっても、世界から消えてなくならないものもあったの。
でも、それも今日でなくなる。
あたしを束縛してたもの全部。
おとうさまも、チンロンタンも、何もかも。うふふ」
そのころウェイは幹部を殺しまくり。
自分の血をとばし、指をならすとその箇所がふっとびます。
「ウェイ、きさま・・・」
最後の幹部もおいつめられます。
「ウェイはあたしに協力してくれた。
あの人はあたしのことを理解してくれてるの。
それにね、今日はとってもいい日なの。
そんな日にあなたと再会するなんて
もう運命としかいいようがないよねえ」
銃をかまえながらすすむアリス。
「うふふふ」
隠れている未咲と黒。
「私が合図したら走って」
「ええ?」
「だからね、未咲。死んでちょうだい。
そしてあたしを自由にして。
未咲ってばあ」
「いまだ!」
黒の手をひいて走る未咲。
「逃がさないよ、未咲」とアリス。
未咲と黒はエレベーターにのりこみます。
「あなた、何ものなんですか」
「警察」
「お嬢様の、お友達じゃないんですか?」
無言の未咲。
「これからどうします?」
「まずはこの建物からでたいところだけど」
廊下をうかがいながらすすむふたり。
しかし人々が外にいけないようにエレベーターが封鎖されていました。
「もうしわけございません。ただいま原因を確認中でございます。
しばらくおまちください」
「ここから下へはいかせないつもりか」
「非常階段ならありますけど」と黒。
「そんなもの、とっくに封鎖されている。」
「絶対に誰も通してはダメ、わかった?」
部下に携帯で指示をだすアリス。
ウェイのもとにも電話があります。
「はい。はい、わかりました」
ウェイは部屋の外へ。
「幹部会は終了です。後片付けをしておきなさい」
部屋の外に立っていた部下たちは、死体をみて驚きます。
トイレの個室にかくれた未咲と黒。
未咲は便座にこしかけています。
「あの、これからどうするんですか」
「それを今考えてるの」
「あ、はい」
「あなた、携帯もってない?」
「いえ、規則で仕事中はもってちゃいけないんです」
「ふん。」(使えないやつ、と心の声がきこえそう)
そのとき一瞬灯りがきえました。
「停電?あ、でも大丈夫ですよ。
このホテルには自家発電装置がありますから。ね?」
「送電線から切り離して観測れいをいれないつもりか?」
「観測れい?」
「なんでもない!
なんでこんなことに・・」
「さあ」
「どうしてアリスが、私を殺そうなんて、
友達なのに、どうして・・」
「裏切られたんですね、かわいそうに」
「あなたに何がわかるっていうの!」
「ごめんなさい」
「私こそごめん」
「ただ友達に裏切られるのはやっぱり、つらいことですから」
黒の悲しげな顔をみつめる未咲。
「なんでこんな話してるんだろう。こんなところで」
「そうですね。」
笑い合うふたり。
「うふふふふ。かわってるね、君」
「よく言われるんです、なぜでしょう。」
「だいたい君は、顔みられてないんだから
こんなところにかくれてなくていいのに。
気付いてなかったのか。
待てよ、だったら。
ホールにいって、齊藤をつれだしてきてくれない?
それがすんだら逃げるなり何なり好きにしていいから。お願い」
「わかりました」
手を差し出す黒。
「李舜生といいます。自己紹介、まだ、でしたよね」
「霧原未咲です。トイレで自己紹介なんかしたの初めて」
「ぼくもです」
また笑うふたり。
天文部の香那美。
「未咲がホテルの中に?どうしてですか。
送電線をきって観測れいをシャットアウトした建物ですよ。
能力の発動も観測されているんです!
VI-952がいるに決まってるじゃないですか!
なんでそんな場所にいるんですか!」
無線でしゃべっているのは未咲の部下。
「そんなことはわかってる!
携帯も通じないし、何かがおこってるのは確かだ!」
「しかし、現時点では被害届もでていませんし、
令状もなくふみこむわけには・・」
「だったらさっさと令状をとりつけろ!」
トイレにやってきた齊藤。
「うわ、何やってんです、課長!」
「いいからはやく閉めろ」
「は、はい」
ウェイに甘えるアリス。
「ウェイ、お願い。未咲をつかまえてきて。
そうじゃないとあたし自由になれないの」
「ええ。たかが女ひとり、すぐにでもつれてきてさしあげます」
「ううん、未咲ひとりじゃない。男もいっしょだった」
「男?」
アリスにキスするウェイ。そのまま押したおした?
ウェイターの仕事のふりをして、カートの中に未咲をいれて
移動する齊藤と黒。
「齊藤、もうちょっとましな方法はないのか」
「姿を隠して外にでたいんでしょう?
このまま地下のランドリーにいって
そこから脱出するのが一番なんです。
それはそうと、いったい何があったんです?
みんなやけにピリピリしてますけど」
「説明はあとだ」
「な、李くん、これってどういう?」
ふりむくと李(黒)はいない。
いきなりとまる齊藤。
「どうした?」
「いえ、別になんでも」
そのころ李は仮面をかぶって黒になり
石の花を手に取ります。
真ん中の花をひきぬくとまわりの花が全部枯れました。
結晶のようになってのこる石。
そこにウェイがあらわれました。
「やはりきましたね。
あの警察の女を囮にしたつもりですか。浅はかな。
どこの組織の人間か知りませんが、相手が悪かったですね。
それは返してもらいますよ」
包帯をはずすウェイ。
「これですか。自らの血を流すことが私の契約者としての対価なのですよ。
さあ始めましょうか」
ウェイが恐ろしい顔に豹変。
黒は腕に傷をおい、血が流れ出します。
「どうしました?本番はこれからですよ」
ワイヤーをつかって逃げる黒を追うウェイ。
黒の攻撃をギリギリのところでかわします。
「きいたことがあります。
電気の流れを自在に操る凄腕の契約者がいると。
そうか、あなたがBK-201。
わざと私においつめさせ、油断を誘ったというわけですか。
だが、詰めが甘かったようですね。
スピードは私のほうが上のようだ。」
黒の仮面に血がついています。
ウェイは指をならし、黒はビルの下に転落。。。
ウェイは残された石の結晶をつかみます。
廊下をすすむ齊藤。
「齊藤!こっちだ!」
「あ、でも」
「あわてるな。怪しまれないようにふるまえ」
「はい」
「この部屋をたのむ」
「はい」
「あれ?テーブルなんてないじゃないですか」
後ろのドアが閉まり閉じ込められ、いきなり発砲されました。
未咲も外にでます。
部屋が明るくなり、幹部たちの死体が目に入り
前には銃をつきつけたアリス。
「おしかったねえ。もうちょっとだったのに」
「アリス!いったいどういうつもり?!」
「言ったでしょ。
今日はあたしを束縛したものが何もかもなくなる日だって。
チンロンタンが何よりも重んじていたのは血縁だった。
だからワン・シャオタンの血を一番濃く受け継いでいるあたしには
望むと望まないともかかわらず、チンロンタンという組織を
脊負う人生しか用意されていなかった。
ゲートがあらわれ世界がこんなに混乱していても
それはかわることはなかった。」
ウェイがはいってきました。
「でも、ワンシャオタンが死に、チンロンタンも跡形もなく消え去った。
ウェイ・チーシュンのおかげでね」
「課長。やつは」
「VI-952だ」
「ああっ」
未咲の前にたってかばう齊藤。
「齊藤?!」
「お願いよ、ウェイ。
あたしを自由にして」
「これであなたは自由だ」
アリスの白いドレスのおなかの部分に血の手形。
ウェイが指をならすとアリスは倒れました。
「アリス!」
「あなたは自由になりたかったのでない。
束縛されることを求めて誰かに
依存したかっただけなのですよ、アリス」
「違う・・」
「それが時に、霧原未咲であり、時に私だった。
あなたは父親から解放されたかったのではなく
束縛してほしかったのでしょう?」
涙を流すアリス。
「アリス!アリス!」
とかけよる未咲。
「アリス!」
「あなたも罪な人だ」
「え?」
「アリスを父親の依存から解放してしまった張本人だと
まだ気付いていないのですか」
「なんだと?」
「父親の権力を真っ向から否定されるなんて
彼女にとってははじめての経験だったんですよ」
『父親なんて関係ないじゃん!』と言った未咲。
「そして彼女は、あなたにあらたな依存先を見出したのです。
なのにあなたは警察官になった。
ワンシャオタンの娘とは絶対に
相容れることのない世界の人間になったのです」
「そんな・・」
「ふ」
「課長!」
未咲を体ごとかばう齊藤の背にも血が。
「邪魔するな!」
指をかまえるウェイ。
そのとき爆発がおこり煙幕の中から黒があらわれ
ウェイにパンチをくらわせます。
ふっとぶウェイ。
そこまで続く血だまりをつかって黒は電撃をしかけました。
苦しむウェイ。
「うわぁぁっぁぁ」
「BK-201・・」とつぶやく未咲。
「なぜ、おまえが・・」
黒は腕をめくって傷をみせます。
「おまえの血だったのか・・・
あの一瞬で、そんな・・ことを」
ウェイ、死亡。石をとりもどす黒。
「スピードは俺が上だった」
そのまま窓からとびだそうとする黒に銃をつきつける未咲。
「待って!」
黒は一瞬振り向き、そのまま下へ。
ホテルの前にはパトカーや救急車。
アリスも運び出されます。
そして後日。
マオと黄と黒。
「ウェイ・チーシュンは、
チンロンタンの支配権を根こそぎうばいとるつもりだったのさ。
ワンと幹部を全員殺し、そのうえで娘までとは
まったく、ようやるぜ」
「で、その犯人としておまえをつかおうとしたわけか」
「それとな、妙なことだがウェイの死体が安置所から消えたらしい」
「やはりそうか。あの夜、星は流れていない。」
黒はたちあがります。
「任務完了だ」
そこには石が残されていました。
未咲と香那美。
「もし、私が警察になんてはいっていなければ
アリスを救えた思う?」
「どうだかねえ。
人の心や未来なんてわかるやつはいないよ。
けど、警官になっていないあんたなんて、想像できる?」
ほほ笑む未咲。
香那美はたばこをとりだして火をつけます。
「香那美!あんたいつからたばこ・・」
「あたしだって、
こう見えて何かに依存しなきゃ生きていけない
か弱い女なのさ」
ウィンクする香那美。
「あんたを頼りにしてる人はいっぱいいる。
でも、なんでもかんでもしょいこもうとするのは
あんたの悪い癖だよ。
あたしが助けをもとめたときに
すぐに来てくれないと困るしね」
「わかった。
でも、たばこ、隣で吸わないでくれる?
服に匂いがつくから」
警察。
「昇進を断る?」
「はい」
「理由をきかせてくれるか」
「先日の事件で、自信の力不足を痛感しました。
まだ上にいくわけにはいきません。
私にしか救うことのできない人間ひとり
救うことはできなかった」
「この話を断るということは
どうういう意味なのかわかっているのかね」
「覚悟のうえです」
「いいだろう、霧原警視、下がってよし」
「は!」
車で移動中の齊藤と未咲」
「課長、何かありました?」
「なぜだ?」
「いや、なんとなく」
「なんとなくものをいうな!」
「は!すみません」
「齊藤、これからもたよりにしているぞ。
「え?なんか言いましたか?」
「なんでもない」
未咲たちの車は歩道を歩いている黒とすれちがいました。
アリスは予定通りお亡くなりに。。。
ウェイは宇宙人の耳のようでしたが
やっぱり並の人間じゃないようで
てっきり死亡したと思ったのに生きていたとは。
未咲のちょっと切ないエピソードになってしまいましたが
このつらさを背負ったまま前にすすむしかないのでしょうね。
トイレで黒がスケコマシモード発動するかと思いましたが
それはなかったです。もっと後半でするのか?
接触はしたけど黒の正体にはまったく気付いていないようだし。
未咲さんがつねに美しい脚をさらしだして
大サービスの回でした。
キャスト
黒 (ヘイ)(CV:木内秀信)
銀 (イン) (CV:福圓美里)
黄 (ホァン)(CV:池田 勝)
猫(マオ)(CV:沢木郁也)
霧原未咲(CV:水樹奈々)
オープニングテーマ
「HOWLING」 abingdon boys school

HOWLING
abingdon boys school
エンディングテーマ
「ツキアカリ」 Rie fu

ツキアカリ
Rie fu

【完全生産限定版】DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 1
食事中の三人、未咲、アリス、香那美。
高一のとこのようです。
「未咲ってホント好きだよねえ。
そいいう脂っこいの」
「だっておなかすいてるんだもん」
ハンバーガーを大口開けてほおばる未咲。
「そのくせ太らないし」
「体は毎日動かしてるからね」
「ん?香那美何書いてるの?
ああ、進路希望調査」
店の端っこのほうにはアリスのボディガード、ウェイ。
「まいるよねえ。まだ1年だよ。進路なんて考えてないっつの」
「じゃあどうすんの?」
「将来なんていわれても全然分かんないしとりあえず進学?」
「ふうん」
「いいよね。もう進学も就職も決めちゃってる人はさ」
「え?」
「知ってる?こいつ東大から警察にはいるんだって」
「警察」
「香那美!」
「ほーんとマザコンなんだから」
「そんなんじゃないって」
「どうだか」
「そりゃたしかにお父さんがきっかけだったけど
理由はほかにちゃんとあるの」
「それってなに?」
「世の中には平気で人を傷つけ
自分の欲望を満たそうとする人々が大勢いる。
その陰で泣いている人たちも大勢いる。
私は許せないの。そういうのが。」
「か弱い人間の味方になりたい、か。
あいかわらず優等生だなあ、未咲は」
「ちょっと何ソレ?!
せっかくおしえたのに」
未咲、素早く香那美のチキンナゲットを
奪って食べてます。
「それあたしの。かえしてよ〜」
「もうたべちゃったも〜ん」
「たべすぎだって」
「もう一個ちょうだ〜い」
よく食べる女子高生・未咲。
そして現在。
銃に弾をこめるアリス。
「今日はなんて言い日なんでしょう。
ねえ未咲、あなたもそう思うでしょう。
だからね、こそこそ隠れてないでいっしょにお祝いしてちょうだい」
銃をひくアリス。
驚いた黒の口をおさえる未咲。
「あなた、なぜここにいるの」
「それが、オーナーに飲み物をもってくるように言われて
でもきてみたら・・」
転がるオーナーの死体。
「このままじゃぼくらも殺されちゃいます。
どうにかしてください」
「どうにかっていわれても」
ハチを手づかみでつかまえるアリス。
さらにハチの針を腕にさします。
「このハチをつかっても、世界から消えてなくならないものもあったの。
でも、それも今日でなくなる。
あたしを束縛してたもの全部。
おとうさまも、チンロンタンも、何もかも。うふふ」
そのころウェイは幹部を殺しまくり。
自分の血をとばし、指をならすとその箇所がふっとびます。
「ウェイ、きさま・・・」
最後の幹部もおいつめられます。
「ウェイはあたしに協力してくれた。
あの人はあたしのことを理解してくれてるの。
それにね、今日はとってもいい日なの。
そんな日にあなたと再会するなんて
もう運命としかいいようがないよねえ」
銃をかまえながらすすむアリス。
「うふふふ」
隠れている未咲と黒。
「私が合図したら走って」
「ええ?」
「だからね、未咲。死んでちょうだい。
そしてあたしを自由にして。
未咲ってばあ」
「いまだ!」
黒の手をひいて走る未咲。
「逃がさないよ、未咲」とアリス。
未咲と黒はエレベーターにのりこみます。
「あなた、何ものなんですか」
「警察」
「お嬢様の、お友達じゃないんですか?」
無言の未咲。
「これからどうします?」
「まずはこの建物からでたいところだけど」
廊下をうかがいながらすすむふたり。
しかし人々が外にいけないようにエレベーターが封鎖されていました。
「もうしわけございません。ただいま原因を確認中でございます。
しばらくおまちください」
「ここから下へはいかせないつもりか」
「非常階段ならありますけど」と黒。
「そんなもの、とっくに封鎖されている。」
「絶対に誰も通してはダメ、わかった?」
部下に携帯で指示をだすアリス。
ウェイのもとにも電話があります。
「はい。はい、わかりました」
ウェイは部屋の外へ。
「幹部会は終了です。後片付けをしておきなさい」
部屋の外に立っていた部下たちは、死体をみて驚きます。
トイレの個室にかくれた未咲と黒。
未咲は便座にこしかけています。
「あの、これからどうするんですか」
「それを今考えてるの」
「あ、はい」
「あなた、携帯もってない?」
「いえ、規則で仕事中はもってちゃいけないんです」
「ふん。」(使えないやつ、と心の声がきこえそう)
そのとき一瞬灯りがきえました。
「停電?あ、でも大丈夫ですよ。
このホテルには自家発電装置がありますから。ね?」
「送電線から切り離して観測れいをいれないつもりか?」
「観測れい?」
「なんでもない!
なんでこんなことに・・」
「さあ」
「どうしてアリスが、私を殺そうなんて、
友達なのに、どうして・・」
「裏切られたんですね、かわいそうに」
「あなたに何がわかるっていうの!」
「ごめんなさい」
「私こそごめん」
「ただ友達に裏切られるのはやっぱり、つらいことですから」
黒の悲しげな顔をみつめる未咲。
「なんでこんな話してるんだろう。こんなところで」
「そうですね。」
笑い合うふたり。
「うふふふふ。かわってるね、君」
「よく言われるんです、なぜでしょう。」
「だいたい君は、顔みられてないんだから
こんなところにかくれてなくていいのに。
気付いてなかったのか。
待てよ、だったら。
ホールにいって、齊藤をつれだしてきてくれない?
それがすんだら逃げるなり何なり好きにしていいから。お願い」
「わかりました」
手を差し出す黒。
「李舜生といいます。自己紹介、まだ、でしたよね」
「霧原未咲です。トイレで自己紹介なんかしたの初めて」
「ぼくもです」
また笑うふたり。
天文部の香那美。
「未咲がホテルの中に?どうしてですか。
送電線をきって観測れいをシャットアウトした建物ですよ。
能力の発動も観測されているんです!
VI-952がいるに決まってるじゃないですか!
なんでそんな場所にいるんですか!」
無線でしゃべっているのは未咲の部下。
「そんなことはわかってる!
携帯も通じないし、何かがおこってるのは確かだ!」
「しかし、現時点では被害届もでていませんし、
令状もなくふみこむわけには・・」
「だったらさっさと令状をとりつけろ!」
トイレにやってきた齊藤。
「うわ、何やってんです、課長!」
「いいからはやく閉めろ」
「は、はい」
ウェイに甘えるアリス。
「ウェイ、お願い。未咲をつかまえてきて。
そうじゃないとあたし自由になれないの」
「ええ。たかが女ひとり、すぐにでもつれてきてさしあげます」
「ううん、未咲ひとりじゃない。男もいっしょだった」
「男?」
アリスにキスするウェイ。そのまま押したおした?
ウェイターの仕事のふりをして、カートの中に未咲をいれて
移動する齊藤と黒。
「齊藤、もうちょっとましな方法はないのか」
「姿を隠して外にでたいんでしょう?
このまま地下のランドリーにいって
そこから脱出するのが一番なんです。
それはそうと、いったい何があったんです?
みんなやけにピリピリしてますけど」
「説明はあとだ」
「な、李くん、これってどういう?」
ふりむくと李(黒)はいない。
いきなりとまる齊藤。
「どうした?」
「いえ、別になんでも」
そのころ李は仮面をかぶって黒になり
石の花を手に取ります。
真ん中の花をひきぬくとまわりの花が全部枯れました。
結晶のようになってのこる石。
そこにウェイがあらわれました。
「やはりきましたね。
あの警察の女を囮にしたつもりですか。浅はかな。
どこの組織の人間か知りませんが、相手が悪かったですね。
それは返してもらいますよ」
包帯をはずすウェイ。
「これですか。自らの血を流すことが私の契約者としての対価なのですよ。
さあ始めましょうか」
ウェイが恐ろしい顔に豹変。
黒は腕に傷をおい、血が流れ出します。
「どうしました?本番はこれからですよ」
ワイヤーをつかって逃げる黒を追うウェイ。
黒の攻撃をギリギリのところでかわします。
「きいたことがあります。
電気の流れを自在に操る凄腕の契約者がいると。
そうか、あなたがBK-201。
わざと私においつめさせ、油断を誘ったというわけですか。
だが、詰めが甘かったようですね。
スピードは私のほうが上のようだ。」
黒の仮面に血がついています。
ウェイは指をならし、黒はビルの下に転落。。。
ウェイは残された石の結晶をつかみます。
廊下をすすむ齊藤。
「齊藤!こっちだ!」
「あ、でも」
「あわてるな。怪しまれないようにふるまえ」
「はい」
「この部屋をたのむ」
「はい」
「あれ?テーブルなんてないじゃないですか」
後ろのドアが閉まり閉じ込められ、いきなり発砲されました。
未咲も外にでます。
部屋が明るくなり、幹部たちの死体が目に入り
前には銃をつきつけたアリス。
「おしかったねえ。もうちょっとだったのに」
「アリス!いったいどういうつもり?!」
「言ったでしょ。
今日はあたしを束縛したものが何もかもなくなる日だって。
チンロンタンが何よりも重んじていたのは血縁だった。
だからワン・シャオタンの血を一番濃く受け継いでいるあたしには
望むと望まないともかかわらず、チンロンタンという組織を
脊負う人生しか用意されていなかった。
ゲートがあらわれ世界がこんなに混乱していても
それはかわることはなかった。」
ウェイがはいってきました。
「でも、ワンシャオタンが死に、チンロンタンも跡形もなく消え去った。
ウェイ・チーシュンのおかげでね」
「課長。やつは」
「VI-952だ」
「ああっ」
未咲の前にたってかばう齊藤。
「齊藤?!」
「お願いよ、ウェイ。
あたしを自由にして」
「これであなたは自由だ」
アリスの白いドレスのおなかの部分に血の手形。
ウェイが指をならすとアリスは倒れました。
「アリス!」
「あなたは自由になりたかったのでない。
束縛されることを求めて誰かに
依存したかっただけなのですよ、アリス」
「違う・・」
「それが時に、霧原未咲であり、時に私だった。
あなたは父親から解放されたかったのではなく
束縛してほしかったのでしょう?」
涙を流すアリス。
「アリス!アリス!」
とかけよる未咲。
「アリス!」
「あなたも罪な人だ」
「え?」
「アリスを父親の依存から解放してしまった張本人だと
まだ気付いていないのですか」
「なんだと?」
「父親の権力を真っ向から否定されるなんて
彼女にとってははじめての経験だったんですよ」
『父親なんて関係ないじゃん!』と言った未咲。
「そして彼女は、あなたにあらたな依存先を見出したのです。
なのにあなたは警察官になった。
ワンシャオタンの娘とは絶対に
相容れることのない世界の人間になったのです」
「そんな・・」
「ふ」
「課長!」
未咲を体ごとかばう齊藤の背にも血が。
「邪魔するな!」
指をかまえるウェイ。
そのとき爆発がおこり煙幕の中から黒があらわれ
ウェイにパンチをくらわせます。
ふっとぶウェイ。
そこまで続く血だまりをつかって黒は電撃をしかけました。
苦しむウェイ。
「うわぁぁっぁぁ」
「BK-201・・」とつぶやく未咲。
「なぜ、おまえが・・」
黒は腕をめくって傷をみせます。
「おまえの血だったのか・・・
あの一瞬で、そんな・・ことを」
ウェイ、死亡。石をとりもどす黒。
「スピードは俺が上だった」
そのまま窓からとびだそうとする黒に銃をつきつける未咲。
「待って!」
黒は一瞬振り向き、そのまま下へ。
ホテルの前にはパトカーや救急車。
アリスも運び出されます。
そして後日。
マオと黄と黒。
「ウェイ・チーシュンは、
チンロンタンの支配権を根こそぎうばいとるつもりだったのさ。
ワンと幹部を全員殺し、そのうえで娘までとは
まったく、ようやるぜ」
「で、その犯人としておまえをつかおうとしたわけか」
「それとな、妙なことだがウェイの死体が安置所から消えたらしい」
「やはりそうか。あの夜、星は流れていない。」
黒はたちあがります。
「任務完了だ」
そこには石が残されていました。
未咲と香那美。
「もし、私が警察になんてはいっていなければ
アリスを救えた思う?」
「どうだかねえ。
人の心や未来なんてわかるやつはいないよ。
けど、警官になっていないあんたなんて、想像できる?」
ほほ笑む未咲。
香那美はたばこをとりだして火をつけます。
「香那美!あんたいつからたばこ・・」
「あたしだって、
こう見えて何かに依存しなきゃ生きていけない
か弱い女なのさ」
ウィンクする香那美。
「あんたを頼りにしてる人はいっぱいいる。
でも、なんでもかんでもしょいこもうとするのは
あんたの悪い癖だよ。
あたしが助けをもとめたときに
すぐに来てくれないと困るしね」
「わかった。
でも、たばこ、隣で吸わないでくれる?
服に匂いがつくから」
警察。
「昇進を断る?」
「はい」
「理由をきかせてくれるか」
「先日の事件で、自信の力不足を痛感しました。
まだ上にいくわけにはいきません。
私にしか救うことのできない人間ひとり
救うことはできなかった」
「この話を断るということは
どうういう意味なのかわかっているのかね」
「覚悟のうえです」
「いいだろう、霧原警視、下がってよし」
「は!」
車で移動中の齊藤と未咲」
「課長、何かありました?」
「なぜだ?」
「いや、なんとなく」
「なんとなくものをいうな!」
「は!すみません」
「齊藤、これからもたよりにしているぞ。
「え?なんか言いましたか?」
「なんでもない」
未咲たちの車は歩道を歩いている黒とすれちがいました。
アリスは予定通りお亡くなりに。。。
ウェイは宇宙人の耳のようでしたが
やっぱり並の人間じゃないようで
てっきり死亡したと思ったのに生きていたとは。
未咲のちょっと切ないエピソードになってしまいましたが
このつらさを背負ったまま前にすすむしかないのでしょうね。
トイレで黒がスケコマシモード発動するかと思いましたが
それはなかったです。もっと後半でするのか?
接触はしたけど黒の正体にはまったく気付いていないようだし。
未咲さんがつねに美しい脚をさらしだして
大サービスの回でした。
キャスト
黒 (ヘイ)(CV:木内秀信)
銀 (イン) (CV:福圓美里)
黄 (ホァン)(CV:池田 勝)
猫(マオ)(CV:沢木郁也)
霧原未咲(CV:水樹奈々)
オープニングテーマ
「HOWLING」 abingdon boys school

HOWLING
abingdon boys school
エンディングテーマ
「ツキアカリ」 Rie fu

ツキアカリ
Rie fu

【完全生産限定版】DARKER THAN BLACK-黒の契約者- 1
やっぱり煙草ネタ持ってきましたね(笑)
テーマなのかな?
今回は何か黒というか李クンの百面相を
ドキドキしながら見ました!
でもコレ全部演技かよ。
と、思うとやはり黒はオソロシイ男だなと(笑)
さすがに霧原さん相手にプレイボーイモードには
入らなかったですねぇ(笑)