プトレマイオス ブリーフィングルーム
テレビ映像をみるソレスタルビーイングメンバー。
「セイロン島におけるソレスタルビーイングの武力介入により
われわれは148名の尊い兵士たちの命を失いました。
戦争根絶をうたいながら、ソレスタルビーイングが行っている行為は
国家の秩序をみだすテロリズム以外の何ものでもありません。
私たち、人類革新連盟は断固とした態度で
彼らのテロ行為に挑んでいく所存であります」
「嫌われたもんだね」
「当然の反応だ」
「けど、私たちのしたことで人革連の軍備が増強されていくんじゃ」
「彼等がそうするというのなら、われわれは武力介入を
続けていくだけです」とティエリア。
「戦争の根絶」
「そう、それこそ、ソレスタルビーイングの本懐」
「・・我らの領土に踏み込んだ場合、軍事力をもって
彼らに対抗していくことを皆様にお約束します。
またソレスタルビーイングの暴挙を
これ以上つづけさせないためにも・・」
経済特区 東京
刹那も自宅で同じ画面をみていますが
手にしている新聞の見出しには
「ソレスタルビーイングの創設者はイオリア・シュヘンベルグ」
地球の化石燃料が枯渇した西暦2307年
三つの国家群に建設された3本の軌道エレベーターと
太陽光発電システムによって、人類は
半永久的なエネルギー供給を手にするまでに至っていた。
しかし、各国家群は、己の威信と繁栄のため
おおいなるゼロサムゲームを続けていた。
そう、24世紀になっても、人類はいまだ
ひとつになりきれずにいたのだ。
そんな世界に対して、くさびをうちこむものたちが
あらわれる。モビルスーツ、ガンダムを有する
私設武装組織ソレスタルビーイング。
彼らは世界から紛争をなくすため
民族、国家、宗教を超越した作戦行動を展開していく。
そしてまた、ガンダムマイスターに与えられる
新たなミッションがはじまる。
アザディスタン王国
「ついに都市部にまでテロの波がおしよせてきたようね」
「ええ」
「穏健派が手を組む前に改革をおしすすめないと」
「わかってます。化石燃料にたよってきたこの国をたてなおすためには
太陽光発電システムを所有する国家群に援助してもらうしか
方法はありません」
「ですが、我が国は軌道エレベーターの建設計画に参加せず
エネルギー供給権を保有しておりません。
虎の子である石油が輸出規制をうけている今
無償で援助してくれる国がはたしてあるかどうか」
「それを探すために、議会は王制を復活させて
私をかつぎだしたのでしょう。
なら、やるべきことはひとつです」
「それでも状況は切迫しているわ。
このまま国内が荒れ続ければ
彼らがあらわれる。
私設武装組織ソレスタルビーイング」
「ソレスタルビーイング」
アレルヤとロックオン。
「きいたか、アレルヤ。
リアルIRAの活動休止声明」
「ええ」
「あの声明で、俺たちを評価する国もでているようだが
それは一時的なものだ。
武力介入をおそれて先手をうっただけにすぎん」
「僕たちがいなくなれば彼らはすぐ活動を再開する。
わかってますよ、紛争根絶はそんなに簡単に
達成できるもんじゃない」
「だからさ、休めるときにやすんどけよ。
すぐに忙しくなる」
とでていくロックオン。
「恒久和平の実現。
そのための、ガンダム」
人革連 総合司令部
「で、どうだった?中佐。ガンダムと手合せしたのだろ?
忌憚のない意見をきかせてくれ」
「はあ、私見ですが、あのガンダムという機体に対抗できる
モビルスーツは、この世界のどこにも存在しないと思われます」
「それほどの性能かね」
「あくまで私見です」
「なら、君をよびよせた甲斐があるな。
中佐、ガンダムを手にいれろ。
ユニオンやAEUよりも先にだ」
「は」
「専任の部隊を新設する。人選は君にまかせるが
ひとりだけ面倒をみてもらいたい兵がいる」
「ふぅん?」
「はいりたまえ」
「失礼します。
超人機関技術研究所より派遣されました。
超兵1号、ソーマ・ピールス少尉です」
「超人機関?司令、まさかあの計画が」
「水面下で続けられていたそうだ。
上層部は対ガンダムの切り札と考えている」
「本日付で中佐の専任部隊に着任することになりました。
よろしくおねがいします」
「それにしては若すぎる」
東京
ベンチでホットドッグをかじる刹那。
目の前には平和な風景。
それが火の海になりがれきにかわる光景を想像。
顔をあげると平和そのもの。
そこにとおりかかった沙慈とルイス。
「あ、君」
「沙慈・クロスロード」
「うん、そう、名前おぼえてくれたんだ」
「誰さん?」
「ああ。隣に住んでる・・・えと」
「刹那・F・セイエイ」
ユニオン。フラッグを強化してもらったらしい。
「バックパックと各部関節の強化、
機体表面の対ビームコーティング
武装はアイリス社が試作した新型のライフルをとりよせた」
「壮観です。プロフェッサー」とグラハム。
「そのかわり耐Gシステムを稼働させても
全速旋回時には12Gもかかるけどねえ」とカタギリ。
「望むところだといわせてもらおう」
「ほう。これが中尉のフラッグですか。
ハワード・メイスン准尉。ダリル・ダックス曹長
グラハム・エーカー中尉の要請による
対ガンダム調査隊に着任いたしました」
「きたな。歓迎しよう。フラッグファイター」
ユニオン 大統領官邸
「デビッド、昼のニュースはみたか。
コメンテーターが、ソレスタルビーイングを
世界警察として任命してはどうか、なんてことを言ってたよ」
「妙案ではあります。
国連と違って維持費はかかりません」
「ふん。人間の多くは脛に傷をもっている。
国家もまたしかり。彼らと手をくむものなどいるはずがない」
そこへノックして秘書がはいってきました。
「大統領。タリビアがあす、声明を発表するとの報告が」
「うむ」
プトレマイオス。
「ベーダ、あなたの予測をきかせて。
私の予報と同じね。
太陽プランは12種。
そのどれを選択しても、私たちの立場は危うくなる。
わかっていてもやりきれないわね」
画面がきりかわります。
「スメラギさん。たった今タリビアで声明が発表されました!」
「やはり、タリビア」
「ユニオンは、50をこえる国家の議会制をとりながらも
実質は太陽エネルギー分配権をもつ米国一国の独裁体制を・・」
「デイビッド、ユニオンの特別議会を開く。
主要国代表を招集してくれ」
「わかりました」
人革連 国家主席官邸でも声明をみています。
「わが、タリビア共和国はユニオンを脱退し
独自のエネルギー使用権を主張する」
AEU中央議会もみています。
「この主張に対し、他国から政治的軍事的圧力がかかった場合
我が国は軍事力をもってこれらに対抗するだろう。
我が国は劣悪なる米国支配に、断固反対する!」
声明は拍手をもってうけいれられました。
アザディスタン王国
「タリビアが動いたようね」
「あの国は昔から反米意識が根強いけど
ユニオンを脱退して一方的にエネルギー権を主張するなんて」
「次の選挙のための布石かしらね」
「そんな。軌道エレベーター周辺国家の情勢悪化は
太陽光発電システムの運営に支障をきたすわ」
「当然アメリカの要請をうけ、ユニオンは
軍事的干渉にふみきるでしょう。
そしてそのことをタリビアも予測しているわ」
「予測」
人革連。セルゲイの部隊。
「少尉、タリビアがなぜこのような強硬策にでたかわかるか」
「ユニオンが軍事行動をおこせば
ソレスタルビーイングが介入してくると考えての
行動だと思います」
「そのとおりだ」
グラハム。
「誘い出されてあらわれるか、ガンダム」
アザディスタン王国
「タリビアが、ソレスタルビーイングを利用しているというの?」
「うらやましいわ。
あのような恐喝じみた強硬姿勢をつらぬけれるのも
タリビアが軌道エレベーター近くにあればこそ。
我が国とはちがいきれるカードがある」
「ソレスタルビーイングは本当にあらわれるかしら」
「さあ。でもソレスタルビーイングがどうタリビアに対応するかで
この国の未来がかわるかもしれないわね。」
「この国の未来が」
「利用できるということよ。
彼らを」
「たとえ利用されているとわかっていても
わたくしたちは動く」
と車に乗っている王留美。
プトレマイオス。
「そう。それでこそソレスタルビーイング」
スメラギがはいってきました。
「ミッションを開始します。
ガンダムマイスターたちに連絡を」
テレビのニュース。
「ユニオンは議会の賛成多数で
軍をタリビアに派遣することを決定いたしました。
また、アメリカは・・」
道路を走る刹那。
「タリビア」
ロックオンも出撃準備。
「ハロ、いくぜ」
「了解、了解」
刹那は水中へ。
「キュリオス。アレルヤ・ハプティズム。
介入行動に入る」
「デュナメス。ロックオン・ストラトス、
撃ちに行くぜ」
二機は島から出撃。
「エクシア。刹那・F・セイエイ。出る」
エクシアは海中から。
「ついにガンダムとご対面ですか。
楽しみですよ、中尉」
「私もだ。
さて、このカスタムフラッグがどこまでガンダムに対抗できるか。
いや、そうする必要があるとみた」とグラハム。
太平洋タリビア近海
「ユニオンの艦隊とアメリカ第二艦隊が
タリビア近海に到着」
「ブラジルの基地からも航空兵力が出撃。
タリビアの主要都市の制空権を掌握したもようです」
タリビア軍 陸上用MS部隊
「タリビア軍は?」
「三か所の主要都市に陸上用モビルスーツ部隊を駐屯させています」
「まさに一触即発だな」
「スメラギさん、どうするんです?」
「きまってるわ。私たちのやるべきことはひとつよ」
「あ、艦長!ガンダム出現!」
「あれがガンダムか」
「こちらブルーシャーク。ガンダムを○?した。
首都方面へとむかっている。対応を乞う」
「通信が妨害されている、ガンダムの仕業か」
タリビア首相官邸
「首相、ガンダムがあらわれました」
「やはりきたか」
「ガンダムは分散し三つの主要都市へむかうものと
おもわれます」
「武力介入する気か。ユニオンと我ら米軍を相手に」
アザディスタン
「ソレスタルビーイングが武力介入をすれば
タリビアの強硬姿勢を手助けすることになるわ」
「逆に武力介入せず、ユニオンの軍事行動を許せば
紛争根絶という彼らの行動理念が瓦解する」
「さあ、どちらを選ぶ。ソレスタルビーイング」とアメリカ大統領。
「・・戦闘を開始していません。
ソレスタルビーイングがどのような武力介入をおこなうのか・・」と
ニュースキャスター。
「ミッション。スタート」
ガンダムはタリビアのモビルスーツを攻撃。
「なんだ?ユニオンの専制攻撃か?」
「ガンダム!」
「う、なぜだ!
われわれはまだ何もしていないぞ!」
「ソレスタルビーイングの創設者
イオリア・シュヘンベルグが
声明でこういったはずよ」と留美。
「ソレスタルビーイングは、
戦争をほう助する国も
武力介入の対象であると」
エクシアは地上におります。
「タリビアを戦争ほう助国家と断定。
目標を駆逐する」
モビルスーツを次々破壊。
「キュリオス。介入行動を開始する」
「デュナメス、目標を狙い撃つ」
「人様のこと利用して、勝手しなさんな」
「しかし、これは一方的だ」とアレルヤ。
「ガンダム。タリビア軍に攻撃を開始!」
「そうか。ガンダムは我が国に攻撃を。
ブライアン大統領にホットラインを」
「は」
「どうやら、ソレスタルビーイングは
貴国を、戦争をひきおこす存在とみなして
攻撃を開始したようだな。
私は、彼らの行動を遺憾だと思っている。
もちろん。
ユニオン脱退を撤回していただけるなら我々は
貴国を守るために喜んで軍を派遣しよう。
そうか。わかった」
電話をおく大統領。
「わが軍がは友好国であるタリビア共和国防衛のため
ソレスタルビーイングに攻撃を開始する」
「アメリカのモビルスーツ部隊が発進しました」
「予想通り、タリビアの防衛行動だと思われます」
「そう」
「ミッションどおり、各ガンダムは戦線を撤退し
安全圏へと離脱」
「とんだ茶番だ」とティエリア。
「待って下さい。
エクシアに接近する機体があります。
米軍のフラッグです」
「米軍?どういうこと?」
「スペックの二倍以上のスピードで
エクシアを猛追してます」
「あのフラッグは」と刹那。
「これでガンダムと戦える。
見事な対応だ。
プレジデント!」
エクシアをおうフラッグ。
エクシアも応戦。
「はやい!」
「よし」
エクシア、海中へ。
「おみごとです、中尉」
「逃げられたよ。
カスタム・フラッグ。一応対応してみせたが。
しかし、水中行動も可能とは
汎用性がたかすぎるぞ、ガンダム」
「まさか、タリビア軍を攻撃するなんて」
「タリビアも、そしてアメリカも
こうなることを予測していたようね」
「予測していた?」
「ソレスタルビーイングに武力介入されたタリビアは
率先して米軍の助けをかりたのよ。
これによりタリビア国内の反米感情は沈静化し
アメリカ主導の政策に舵をきることができる。
タリビアの現政権もアメリカの支援をうけて安泰。
他の国々も、タリビアの二の舞を避けるべく
露骨な反米政策を打ち出そうとはしないでしょう。
この一連の事件で、一番得をしたのはどこかしら。
もしわからないのであれば、あなたにこの国を
救う資格はないわ。
アザディスタン王国第一王女マリナ・イスマリールさま」
沙慈と姉。
「ねえ。どういうことなの?姉さん。
ソレスタルビーイングがタリビア軍を攻撃って。」
あの国は、戦争も何もしてないじゃないか」
「そうね」
「戦いをやめさせるとかいってたくせに
戦いをひきおこして。
そんなのおかしいよ」
「そんなに簡単じゃないのよ、世界は」
世界は、簡単じゃないの」
普通におもしろかった。
場面転換もはやいけどさすが4回目ともなると
だいたい把握できてきたし。
上のひとたちの思惑は狐と狸の化かし合いのようにもみえます。
大統領がタヌキおやじに見えて、、、
やる気満々のグラハムと、実力派のセルゲイと
どちらが先に近付くことができるか。
超人というのも興味深いです。
最後のひとことにテーマのすべてこめられているような
気がしました。
刹那・F・セイエイ
接近戦型ガンダムエクシアのパイロット
ロック・オン・ストラトス
射撃型ガンダムデュナメスのパイロット
アレルヤ・ハプティズム
変形機能を持つガンダムキュリオスのパイロット
ティエリア・アーデ
重武装型ガンダムヴァーチェのパイロット
パトリック・コーラサワー
AEU軍所属のMSパイロット、軍のエース
グラハム・エーカー
ユニオンフラッグのトップファイター
キャスト
刹那・F・セイエイ 宮野 真守
ロックオン・ストラトス 三木 眞一郎
アレルヤ・ハプティズム 吉野 裕行
ティエリア・アーデ 神谷 浩史
沙慈・クロスロード 入野 自由
スメラギ・李・ノリエガ 本名 陽子
アレハンドロ・コーナー 松本 保典
王 留美 真堂 圭
紅 龍 高橋 研二
フェルト・グレイス 高垣 彩陽
クリスティナ・シエラ 佐藤 有世
リヒテンダール・ツエーリ 我妻 正崇
ハロ 小笠原 亜里沙
ビリー・カタギリ うえだ ゆうじ
グラハム・エーカー 中村 悠一
パトリック・コーラサワー 浜田 賢二
絹江・クロスロード 遠藤 綾
ルイス・ハレヴィ 斎藤 千和
マリナ・イスマイール 恒松 あゆみ
ラッセ・アイオン 東地 宏樹
セルゲイ・スミルノフ 石塚 運昇
イオリア・シュヘンベルグ 大塚 周夫

DAYBREAK’S BELL

罠

機動戦士ガンダム00 (1)
THE BACK HORN
テレビ映像をみるソレスタルビーイングメンバー。
「セイロン島におけるソレスタルビーイングの武力介入により
われわれは148名の尊い兵士たちの命を失いました。
戦争根絶をうたいながら、ソレスタルビーイングが行っている行為は
国家の秩序をみだすテロリズム以外の何ものでもありません。
私たち、人類革新連盟は断固とした態度で
彼らのテロ行為に挑んでいく所存であります」
「嫌われたもんだね」
「当然の反応だ」
「けど、私たちのしたことで人革連の軍備が増強されていくんじゃ」
「彼等がそうするというのなら、われわれは武力介入を
続けていくだけです」とティエリア。
「戦争の根絶」
「そう、それこそ、ソレスタルビーイングの本懐」
「・・我らの領土に踏み込んだ場合、軍事力をもって
彼らに対抗していくことを皆様にお約束します。
またソレスタルビーイングの暴挙を
これ以上つづけさせないためにも・・」
経済特区 東京
刹那も自宅で同じ画面をみていますが
手にしている新聞の見出しには
「ソレスタルビーイングの創設者はイオリア・シュヘンベルグ」
地球の化石燃料が枯渇した西暦2307年
三つの国家群に建設された3本の軌道エレベーターと
太陽光発電システムによって、人類は
半永久的なエネルギー供給を手にするまでに至っていた。
しかし、各国家群は、己の威信と繁栄のため
おおいなるゼロサムゲームを続けていた。
そう、24世紀になっても、人類はいまだ
ひとつになりきれずにいたのだ。
そんな世界に対して、くさびをうちこむものたちが
あらわれる。モビルスーツ、ガンダムを有する
私設武装組織ソレスタルビーイング。
彼らは世界から紛争をなくすため
民族、国家、宗教を超越した作戦行動を展開していく。
そしてまた、ガンダムマイスターに与えられる
新たなミッションがはじまる。
アザディスタン王国
「ついに都市部にまでテロの波がおしよせてきたようね」
「ええ」
「穏健派が手を組む前に改革をおしすすめないと」
「わかってます。化石燃料にたよってきたこの国をたてなおすためには
太陽光発電システムを所有する国家群に援助してもらうしか
方法はありません」
「ですが、我が国は軌道エレベーターの建設計画に参加せず
エネルギー供給権を保有しておりません。
虎の子である石油が輸出規制をうけている今
無償で援助してくれる国がはたしてあるかどうか」
「それを探すために、議会は王制を復活させて
私をかつぎだしたのでしょう。
なら、やるべきことはひとつです」
「それでも状況は切迫しているわ。
このまま国内が荒れ続ければ
彼らがあらわれる。
私設武装組織ソレスタルビーイング」
「ソレスタルビーイング」
アレルヤとロックオン。
「きいたか、アレルヤ。
リアルIRAの活動休止声明」
「ええ」
「あの声明で、俺たちを評価する国もでているようだが
それは一時的なものだ。
武力介入をおそれて先手をうっただけにすぎん」
「僕たちがいなくなれば彼らはすぐ活動を再開する。
わかってますよ、紛争根絶はそんなに簡単に
達成できるもんじゃない」
「だからさ、休めるときにやすんどけよ。
すぐに忙しくなる」
とでていくロックオン。
「恒久和平の実現。
そのための、ガンダム」
人革連 総合司令部
「で、どうだった?中佐。ガンダムと手合せしたのだろ?
忌憚のない意見をきかせてくれ」
「はあ、私見ですが、あのガンダムという機体に対抗できる
モビルスーツは、この世界のどこにも存在しないと思われます」
「それほどの性能かね」
「あくまで私見です」
「なら、君をよびよせた甲斐があるな。
中佐、ガンダムを手にいれろ。
ユニオンやAEUよりも先にだ」
「は」
「専任の部隊を新設する。人選は君にまかせるが
ひとりだけ面倒をみてもらいたい兵がいる」
「ふぅん?」
「はいりたまえ」
「失礼します。
超人機関技術研究所より派遣されました。
超兵1号、ソーマ・ピールス少尉です」
「超人機関?司令、まさかあの計画が」
「水面下で続けられていたそうだ。
上層部は対ガンダムの切り札と考えている」
「本日付で中佐の専任部隊に着任することになりました。
よろしくおねがいします」
「それにしては若すぎる」
東京
ベンチでホットドッグをかじる刹那。
目の前には平和な風景。
それが火の海になりがれきにかわる光景を想像。
顔をあげると平和そのもの。
そこにとおりかかった沙慈とルイス。
「あ、君」
「沙慈・クロスロード」
「うん、そう、名前おぼえてくれたんだ」
「誰さん?」
「ああ。隣に住んでる・・・えと」
「刹那・F・セイエイ」
ユニオン。フラッグを強化してもらったらしい。
「バックパックと各部関節の強化、
機体表面の対ビームコーティング
武装はアイリス社が試作した新型のライフルをとりよせた」
「壮観です。プロフェッサー」とグラハム。
「そのかわり耐Gシステムを稼働させても
全速旋回時には12Gもかかるけどねえ」とカタギリ。
「望むところだといわせてもらおう」
「ほう。これが中尉のフラッグですか。
ハワード・メイスン准尉。ダリル・ダックス曹長
グラハム・エーカー中尉の要請による
対ガンダム調査隊に着任いたしました」
「きたな。歓迎しよう。フラッグファイター」
ユニオン 大統領官邸
「デビッド、昼のニュースはみたか。
コメンテーターが、ソレスタルビーイングを
世界警察として任命してはどうか、なんてことを言ってたよ」
「妙案ではあります。
国連と違って維持費はかかりません」
「ふん。人間の多くは脛に傷をもっている。
国家もまたしかり。彼らと手をくむものなどいるはずがない」
そこへノックして秘書がはいってきました。
「大統領。タリビアがあす、声明を発表するとの報告が」
「うむ」
プトレマイオス。
「ベーダ、あなたの予測をきかせて。
私の予報と同じね。
太陽プランは12種。
そのどれを選択しても、私たちの立場は危うくなる。
わかっていてもやりきれないわね」
画面がきりかわります。
「スメラギさん。たった今タリビアで声明が発表されました!」
「やはり、タリビア」
「ユニオンは、50をこえる国家の議会制をとりながらも
実質は太陽エネルギー分配権をもつ米国一国の独裁体制を・・」
「デイビッド、ユニオンの特別議会を開く。
主要国代表を招集してくれ」
「わかりました」
人革連 国家主席官邸でも声明をみています。
「わが、タリビア共和国はユニオンを脱退し
独自のエネルギー使用権を主張する」
AEU中央議会もみています。
「この主張に対し、他国から政治的軍事的圧力がかかった場合
我が国は軍事力をもってこれらに対抗するだろう。
我が国は劣悪なる米国支配に、断固反対する!」
声明は拍手をもってうけいれられました。
アザディスタン王国
「タリビアが動いたようね」
「あの国は昔から反米意識が根強いけど
ユニオンを脱退して一方的にエネルギー権を主張するなんて」
「次の選挙のための布石かしらね」
「そんな。軌道エレベーター周辺国家の情勢悪化は
太陽光発電システムの運営に支障をきたすわ」
「当然アメリカの要請をうけ、ユニオンは
軍事的干渉にふみきるでしょう。
そしてそのことをタリビアも予測しているわ」
「予測」
人革連。セルゲイの部隊。
「少尉、タリビアがなぜこのような強硬策にでたかわかるか」
「ユニオンが軍事行動をおこせば
ソレスタルビーイングが介入してくると考えての
行動だと思います」
「そのとおりだ」
グラハム。
「誘い出されてあらわれるか、ガンダム」
アザディスタン王国
「タリビアが、ソレスタルビーイングを利用しているというの?」
「うらやましいわ。
あのような恐喝じみた強硬姿勢をつらぬけれるのも
タリビアが軌道エレベーター近くにあればこそ。
我が国とはちがいきれるカードがある」
「ソレスタルビーイングは本当にあらわれるかしら」
「さあ。でもソレスタルビーイングがどうタリビアに対応するかで
この国の未来がかわるかもしれないわね。」
「この国の未来が」
「利用できるということよ。
彼らを」
「たとえ利用されているとわかっていても
わたくしたちは動く」
と車に乗っている王留美。
プトレマイオス。
「そう。それでこそソレスタルビーイング」
スメラギがはいってきました。
「ミッションを開始します。
ガンダムマイスターたちに連絡を」
テレビのニュース。
「ユニオンは議会の賛成多数で
軍をタリビアに派遣することを決定いたしました。
また、アメリカは・・」
道路を走る刹那。
「タリビア」
ロックオンも出撃準備。
「ハロ、いくぜ」
「了解、了解」
刹那は水中へ。
「キュリオス。アレルヤ・ハプティズム。
介入行動に入る」
「デュナメス。ロックオン・ストラトス、
撃ちに行くぜ」
二機は島から出撃。
「エクシア。刹那・F・セイエイ。出る」
エクシアは海中から。
「ついにガンダムとご対面ですか。
楽しみですよ、中尉」
「私もだ。
さて、このカスタムフラッグがどこまでガンダムに対抗できるか。
いや、そうする必要があるとみた」とグラハム。
太平洋タリビア近海
「ユニオンの艦隊とアメリカ第二艦隊が
タリビア近海に到着」
「ブラジルの基地からも航空兵力が出撃。
タリビアの主要都市の制空権を掌握したもようです」
タリビア軍 陸上用MS部隊
「タリビア軍は?」
「三か所の主要都市に陸上用モビルスーツ部隊を駐屯させています」
「まさに一触即発だな」
「スメラギさん、どうするんです?」
「きまってるわ。私たちのやるべきことはひとつよ」
「あ、艦長!ガンダム出現!」
「あれがガンダムか」
「こちらブルーシャーク。ガンダムを○?した。
首都方面へとむかっている。対応を乞う」
「通信が妨害されている、ガンダムの仕業か」
タリビア首相官邸
「首相、ガンダムがあらわれました」
「やはりきたか」
「ガンダムは分散し三つの主要都市へむかうものと
おもわれます」
「武力介入する気か。ユニオンと我ら米軍を相手に」
アザディスタン
「ソレスタルビーイングが武力介入をすれば
タリビアの強硬姿勢を手助けすることになるわ」
「逆に武力介入せず、ユニオンの軍事行動を許せば
紛争根絶という彼らの行動理念が瓦解する」
「さあ、どちらを選ぶ。ソレスタルビーイング」とアメリカ大統領。
「・・戦闘を開始していません。
ソレスタルビーイングがどのような武力介入をおこなうのか・・」と
ニュースキャスター。
「ミッション。スタート」
ガンダムはタリビアのモビルスーツを攻撃。
「なんだ?ユニオンの専制攻撃か?」
「ガンダム!」
「う、なぜだ!
われわれはまだ何もしていないぞ!」
「ソレスタルビーイングの創設者
イオリア・シュヘンベルグが
声明でこういったはずよ」と留美。
「ソレスタルビーイングは、
戦争をほう助する国も
武力介入の対象であると」
エクシアは地上におります。
「タリビアを戦争ほう助国家と断定。
目標を駆逐する」
モビルスーツを次々破壊。
「キュリオス。介入行動を開始する」
「デュナメス、目標を狙い撃つ」
「人様のこと利用して、勝手しなさんな」
「しかし、これは一方的だ」とアレルヤ。
「ガンダム。タリビア軍に攻撃を開始!」
「そうか。ガンダムは我が国に攻撃を。
ブライアン大統領にホットラインを」
「は」
「どうやら、ソレスタルビーイングは
貴国を、戦争をひきおこす存在とみなして
攻撃を開始したようだな。
私は、彼らの行動を遺憾だと思っている。
もちろん。
ユニオン脱退を撤回していただけるなら我々は
貴国を守るために喜んで軍を派遣しよう。
そうか。わかった」
電話をおく大統領。
「わが軍がは友好国であるタリビア共和国防衛のため
ソレスタルビーイングに攻撃を開始する」
「アメリカのモビルスーツ部隊が発進しました」
「予想通り、タリビアの防衛行動だと思われます」
「そう」
「ミッションどおり、各ガンダムは戦線を撤退し
安全圏へと離脱」
「とんだ茶番だ」とティエリア。
「待って下さい。
エクシアに接近する機体があります。
米軍のフラッグです」
「米軍?どういうこと?」
「スペックの二倍以上のスピードで
エクシアを猛追してます」
「あのフラッグは」と刹那。
「これでガンダムと戦える。
見事な対応だ。
プレジデント!」
エクシアをおうフラッグ。
エクシアも応戦。
「はやい!」
「よし」
エクシア、海中へ。
「おみごとです、中尉」
「逃げられたよ。
カスタム・フラッグ。一応対応してみせたが。
しかし、水中行動も可能とは
汎用性がたかすぎるぞ、ガンダム」
「まさか、タリビア軍を攻撃するなんて」
「タリビアも、そしてアメリカも
こうなることを予測していたようね」
「予測していた?」
「ソレスタルビーイングに武力介入されたタリビアは
率先して米軍の助けをかりたのよ。
これによりタリビア国内の反米感情は沈静化し
アメリカ主導の政策に舵をきることができる。
タリビアの現政権もアメリカの支援をうけて安泰。
他の国々も、タリビアの二の舞を避けるべく
露骨な反米政策を打ち出そうとはしないでしょう。
この一連の事件で、一番得をしたのはどこかしら。
もしわからないのであれば、あなたにこの国を
救う資格はないわ。
アザディスタン王国第一王女マリナ・イスマリールさま」
沙慈と姉。
「ねえ。どういうことなの?姉さん。
ソレスタルビーイングがタリビア軍を攻撃って。」
あの国は、戦争も何もしてないじゃないか」
「そうね」
「戦いをやめさせるとかいってたくせに
戦いをひきおこして。
そんなのおかしいよ」
「そんなに簡単じゃないのよ、世界は」
世界は、簡単じゃないの」
普通におもしろかった。
場面転換もはやいけどさすが4回目ともなると
だいたい把握できてきたし。
上のひとたちの思惑は狐と狸の化かし合いのようにもみえます。
大統領がタヌキおやじに見えて、、、
やる気満々のグラハムと、実力派のセルゲイと
どちらが先に近付くことができるか。
超人というのも興味深いです。
最後のひとことにテーマのすべてこめられているような
気がしました。
刹那・F・セイエイ
接近戦型ガンダムエクシアのパイロット
ロック・オン・ストラトス
射撃型ガンダムデュナメスのパイロット
アレルヤ・ハプティズム
変形機能を持つガンダムキュリオスのパイロット
ティエリア・アーデ
重武装型ガンダムヴァーチェのパイロット
パトリック・コーラサワー
AEU軍所属のMSパイロット、軍のエース
グラハム・エーカー
ユニオンフラッグのトップファイター
キャスト
刹那・F・セイエイ 宮野 真守
ロックオン・ストラトス 三木 眞一郎
アレルヤ・ハプティズム 吉野 裕行
ティエリア・アーデ 神谷 浩史
沙慈・クロスロード 入野 自由
スメラギ・李・ノリエガ 本名 陽子
アレハンドロ・コーナー 松本 保典
王 留美 真堂 圭
紅 龍 高橋 研二
フェルト・グレイス 高垣 彩陽
クリスティナ・シエラ 佐藤 有世
リヒテンダール・ツエーリ 我妻 正崇
ハロ 小笠原 亜里沙
ビリー・カタギリ うえだ ゆうじ
グラハム・エーカー 中村 悠一
パトリック・コーラサワー 浜田 賢二
絹江・クロスロード 遠藤 綾
ルイス・ハレヴィ 斎藤 千和
マリナ・イスマイール 恒松 あゆみ
ラッセ・アイオン 東地 宏樹
セルゲイ・スミルノフ 石塚 運昇
イオリア・シュヘンベルグ 大塚 周夫

DAYBREAK’S BELL

罠

機動戦士ガンダム00 (1)
THE BACK HORN