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鍵のかかった部屋 エピソード3 

エピソード3



 榎本径(大野智)は、青砥純子(戸田恵梨香)と
刑事・鴻野(宇梶剛士)とともに、プロ棋士・竹脇(ゆうぞう)が
殺害されたホテルの一室にやってきた。そこは
ビジネスホテルで、竹脇は背中を包丁で一突きにされ
ドアを頭にして倒れていたという。現場は、窓もドアも
施錠されチェーンまでかけられた密室で、室内には
携帯用の将棋盤、棋書、将棋新聞、飲みかけの
コーヒーカップが残されていた。  榎本は、部屋を開けた時
ドアが遺体に触れたかどうかを遺体発見者のスタッフに尋ね、
スタッフはチェーンがかかっていたため遺体までは
届かなかったと証言した。
 そこへ、来栖奈穂子(相武紗季)が入ってきた。
鴻野は竹脇の恋人だという奈穂子に遺留品の財布などを見せ、
それが竹脇のものだと確認させた。そんなとき、奈穂子は
何気ない様子で将棋盤にあった駒をひとつ動かした。
遺留品のなかに、携帯電話やパソコンがなかったことを
不審に思った鴻野が聞くと、どちらも持っていなかった、
と奈穂子は答えた。そんな折、奈穂子が最近話題の
棋士だと気づいた純子は盛り上がる。
 竹脇からの最後の通話相手だったことから、
芹沢豪(佐藤浩市)が事情聴取されたため、
今回の事件の真相を調べることになったのだ。
 後日、純子と奈穂子が榎本の会社にやってきた。
いつもの「備品倉庫室」でホテルの部屋の模型を
完成させていた榎本は、事件の最大の謎はドアチェーンが
かかっていたことだと話し…。




「今回の密室を 解く上で

 最も重要なポイントは動機だと思います。

 犯人が なぜ 殺人を犯してしまったのか?

 それは 本来容疑者を 絞りこんだり

 犯行の裏付けを 行ったりする際に

 考えることで

 密室と 直接関連づける意味は

 あまりないと いえるでしょう。

 しかし この部屋で起きた

 殺人事件においては

 この鍵や ドアに掛けられた

 チェーンと同じように

 動機そのものが 密室を構成する

 一つの アイテムとなっているのです。

 それは いったいどういうことなのか?

 一緒に考えてみてください。」


仕事に出向こうとした芹沢は
捜査1課の刑事 鴻野に呼び止められました。

「棋士の 竹脇五段ご存じですよね?」

「ええ。 もちろん。 日本将棋連盟は
 
 私のクライアントですから。」

「実は 新宿のホテルで殺害されたんですよ。」

「お忙しいところ申し訳ないんですが

 署まで ご同行 願えますか?」

芹沢さん、疑われていました。

「昨日の 午後 2時から2時半ころ

 どちらに いらっしゃいました?」

「特許庁で 用件を済ましてから

 中央朝日銀行の 本店に向かって車で

 移動してました。」

「それ 証明できる方は?」

「いませんが。」

「実は 部屋の電話の通話記録を調べたところ

 竹脇さん 一度だけ外部に 電話してまして。

 相手は 芹沢先生。あなたですよね?」

「確かに 電話はありました。」

「用件は 何だったんですか?」

「個人的な 法律相談です。」

「具体的には どんな?」

「お話しすることは できませんね。刑事さん。

  フッ。われわれには守秘義務というものが あります。」

「チッ。困りましたねぇ。この事件

 ちょっと 厄介なんですよ。

 何度でも お話を伺いに行くつもりです。」

「厄介といいますと?」

純子に芹沢から電話。

「もしもし 芹沢さん?大丈夫です。

 私が 弁護しますから気を しっかり持ってください。」

「たとえ 人を殺したとしても君に 弁護は頼まないよ。」

「やっぱり 殺したんですね。」

「殺してないって!」

「だって 今 殺したって。」

「たとえ 殺したとしてもと言ったんだよ。

 いいか?俺は ただの参考人であって

 容疑者じゃない。勘違いすんなよ。」

「本当に?じゃあ 相談の電話というのは?」

「それは あの。 不正に…」

「えっ? 不正?」

「とにかくな 早いとこ事件が 解決してくんないと

 面倒なことになりそうなんだよ。

 大至急 あいつに 連絡 取ってくれ。」

「あいつ?」

「殺された 竹脇五段の部屋は密室だったそうだ。」

密室といえば榎本!

密室となった殺害現場の部屋に
やってきました。

遺体を発見されたときのことを
ホテルの従業員にたずねました。

「竹脇さまがチェックインされたのは

 午後 2時ごろでした。その直後に

  一度2時半すぎに もう一度

 竹脇さま宛てに お電話があり

 お部屋に おつなぎしたんですが

 二度目は応答がないとのことでしたので

 私が 見に参りました。」

「電話はどなたからだったんですか?」

「両方とも 来栖さまという女性の方からで

 吉祥寺の自宅からかけられていたと
 
 警察が 確認したそうです。」

「ノックをしても応答がなかったので

 マスターキーでドアを開けたんですが

 チェーンが掛かっておりまして。

 隙間から 竹脇さまが背中を刺されて

 倒れているのが 見えました。

 それで すぐに110番をしたんです。」

「最初に ドアを開けたときに

 遺体に ぶつかることなくスムーズに開きましたか?」

と尋ねる榎本。

「はあ。 チェーンが掛かっていましたから

 ご遺体までは届きませんでした。」

鍵を念入りにチェックする榎本。

「鍵は 犯人が持ち去ったんですか?」

「われわれはそう考えていますが。」

「本来なら それで十分なはずですよね。

 あんな近くに 遺体があったら

 ドアを開ければ 一目瞭然だし。

 どうして チェーンまで掛ける必要が あったんでしょう?」

「それが分かれば 苦労は…。」

榎本が死体のあった場所に寝転びました。

「すいません。ドア 開けてみてくれませんか?」

「私?」

と鴻野があけてみるとドアが
頭にぶつかって少ししかあきませんでした。

「どうも。」

立ちあがって今度は窓をチェック。

「廊下に 監視カメラがあったと思うんですけど

 犯人は 映ってなかったんですか?」

「あれは 全て ダミーです。」と榎本 即答。

「あっ。 調べたんですか?」

「型を見れば 分かります。経費を ケチったんでしょう。」

「じゃあ フロントの方は?犯人を 見てないんですか?」

「このホテルは 1階からエレベーターに乗れば

 フロントを通らずに 客室まで

 来られる構造に なっていました。」

テーブルの上にさしたままの
将棋盤がのこされているのをみる榎本。

そこへ来栖がやってきました。

「こちらが 遺品です。 
 
 恋人の 竹脇さんのもので間違いないですか?」

「伸平さんが いつも研究で使っていたものです。」

将棋の駒を手に持つ来栖。

「手を触れないでください。」

「ごめんなさい。」

と将棋盤じゃなくテーブルにおきました。
それをじっと見つめる榎本。

「何 見とれてるんですか?」

「他のものも 全部伸平さんのものだと 思います。」

「では 何かなくなったものは ありませんか?」

「特には。」

「携帯や パソコンはお持ちでは なかったんですか?」

「はい。持っていませんでした。」

「将棋が お好きなんですか?」

と榎本にたずねる来栖。

「まあ かじった程度ですが。」

「あっ!来栖 奈穂子さんですよね?

 あの 将棋の棋士の。」とくいつく純子。

「ええ。」

「女性初のプロ棋士が誕生するかもしれないって

 ニュースで 見ました。私も 26歳で同級生なのに

 すごいなって思って応援してたんです。」

「ありがとうございます。」

「私 フリードマン・芹沢総合法律事務所の青砥と申します。

 この 芹沢という上司が

 竹脇さんから 相談を受けてたらしくて

  その縁で捜査協力させていただくことになりました。」

「捜査協力?」

「はい。

 彼は 密室の謎を解く 名人で

 最近 立て続けに 2つの殺人事件を 解決してるんです。」

「そうなんですか。」

「今回も 必ず密室を 破ってくれるはずです。」

鍵チェックに余念がない榎本。

マスコミに囲まれる来栖。

「来栖さん。今のお気持ち いかがですか?」

「竹脇五段とは いつから交際されてたんですか?」

「まだ ほんの数カ月です。」

「今は プロ入りを懸けた大事な リーグの最中…。」

というのをテレビで純子がみていると
当人の来栖が訪ねてきました。
いっしょに榎本のところへ。

「榎本さん。青砥です。 入りますよ。

 榎本さん?榎本さん います?

 おかしいな。」

いつものミニチュアがありました。

「あの部屋の 再現ですか?」

「あっ。」

「そうです。」

「榎本さん いたんですか?」

「犯行の目的が物取りだったとしても

 初めから殺すつもりだったとしても

 なぜ ドアチェーンが掛かっていたのか?

 やはり それが 最大の謎ですね。」

「そもそも ドアの外から

 チェーンを 掛けることなんてできるんですか?」

「外すことも 掛けることも可能です。

 掛ける場合にはサムターン回しという道具か

 薄い L字形の金属板を使いますが

 大した手間は かかりません。」

「そうなんですか。」

「ただ このドアには

 どちらの方法も 使われた形跡がないんです。」

「分かった。チェーンは 犯行が起きる前から

 ずっと掛けられたままだったんですよ。」

「じゃあ 犯人は どうやって部屋を出たんですか?」

「窓から 脱出したんです。」

芹沢がいないぶん純子だけ暴走。

「あの窓は 固定式で開閉は できませんでした。」

「だったら 犯人は 伸平さんがチェーンを掛けて

 開けた ドアの隙間から

 犯行に及んだんじゃないでしょうか?」と来栖。

「だとしても どうやって 竹脇さんに後ろを向かせるんですか?」

「例えば…。

 伸平さんがドアを開けたときに

 何かを 床に落とすんです。

 何か とても 大事なものを。

 それで 伸平さんが拾おうとしてかがんだところを

 上から 突き刺したとしたら?」

「ちょっと 待ってください。

 竹脇さんが チェーンを掛けたまま

 ドアを開けたんだとしたら相手は 知らない人間か

 あるいは 警戒心を持っていた人物ということになります。

 そういう相手に対して そこまで無防備な姿を

 見せるというのはちょっと 矛盾しています。

 それに 犯人は 鍵を掛けて逃走しています。

 どうやって 狭い隙間から 鍵を 手に入れたんでしょうか?」

「それは 鍵を使わずにピッキングっていうんですか。

 ああいうので 掛けたのかも。」

「しかし そうなると今度は 部屋の鍵が

 消えてることの説明がつかない。」

「じゃあ 外から チェーンを外して

 部屋に入って 鍵を取ったとか。」

「話が 元に戻りましたね。 せっかく隙間から

 犯行を行ったのに また チェーンが外れてしまいました。」

「そっか。」

芹沢さんのところに来栖をつれてきた純子。

「あっ。 来栖。来栖 奈穂子さんですよね。

 あっ いや。 テレビで拝見するより 数段 お美しい。」

来栖は竹脇の相談内容をききにきたらしい。

「大変 申し訳ありませんが 弁護士として
 
 その質問にはお答えできかねます。」

「でも 彼が 何か 問題を抱えていたんだとしたら

 犯人を捜す 手掛かりになるかもしれません。

 どうか 相談の内容を 教えていただけませんか?」

「ああ。 しかし それは。」

「お願いします。伸平さんを殺した 犯人を

 どうにかして見つけだしたいんです。」

美人に弱い・・?

「実はですね 竹脇さんは…。」

と話しかけたけどとどまりました。

「あっ。お話しすることは できません。」

「今 言おうとしましたね?」

「何 言ってんだよ?」

「相手が 美人だと言っちゃうんですか?」

「言うわけ ないだろ。」

「そうなんですか?」

榎本と待ち合わせて将棋をみにいく純子。

「あっ。 榎本さん。」

「お待たせしました。」

「犯人は 誰なんですかね?

 っていうか 密室にしか興味ないって

 言ってたのに どういう 風の吹き回しですか?」

「今回の密室には 動機というものが

 強く 関係しているようです。」

「動機?」

「それを 抜きにしては謎が 解けそうにないので

 情報収集に来たんです。」

そのとき来栖と後輩の真理を目撃。

「大丈夫。心配しないで。私は ちゃんと 戦えるから。

 だから 真理ちゃんもしっかりして。

 2人で 絶対に 昇級しましょう。」

涙をぬぐう真理がふたりに気づきました。

「すいません。 会場を探してたらちょっと 迷っちゃって。」

「そうですか。じゃあ 一緒に行きましょう。」

「私 顔 洗ってから行きますね。」

「あっ。 彼女は 稲垣 真理さん。奨励会の後輩なんですけど。

 伸平さんが 殺されて私が かわいそうだって。

 当事者より動揺しちゃってるの。」

将棋の試合を観戦。
プロ昇格戦 三段リーグ第17局

来栖の手がとまりました。

「来栖さん どうしたんですか?」

「かなり 追い詰められています。

 次の一手で 明暗が 分かれるでしょう。」

来栖が息をはき髪をかきあげると
真理が部屋からでていきました。

時間ぎりぎりに次の一手。

「おい。 見ろよ。」

ざわざわする観戦者。

「大丈夫だったんですか?」

「はい。」

来栖勝利。

「来栖さん。あと 1勝で四段昇級が 確定しますね。」

「勝負の世界は 何が起きるか分からないので

 油断せずに最後まで 気を引き締めて…。」

「すごいですね 来栖さん。」と純子。

「これまでの対局を振り返ってみていかがでしょうか?」

「ちょっと。 カワイイからってじろじろ 見ないでください。」

こちらをみている男性。

「榎本さん。あの方が 中野 秀哉四段です。

 竹脇さんが殺された日の 翌日に

 2人は 順位戦で対局する 予定だったんですよ。」

「結局 彼の不戦勝になったんですか?」

「奈穂子ちゃん 勝ったの?」と

純子に声をかけてくる中野。

「はい。」

「竹脇が殺されたことで ますます 注目されちゃったな。

 竜王戦で 8連覇を成し遂げたっていうのに

 毒島竜王がすっかり かすんじゃって

 かわいそうなぐらいだよ。」

「あの。 竜王戦って 何ですか?」

「えっ? 知らないの?将棋界最高の タイトル戦。」

「そういえば 控室で 中継を見ている 記者がいましたね。

 あれは BSか 何かですか?」

「そうそう。 朝と 夕方しか中継してないんだけどね。」

「皆さん パソコンを見ていたようですが。」

「将棋のソフトで局面を 先読みしてるんだよ。」

「将棋ソフト。」

「電脳将棋 激指って知らない?

 タイトル戦の妙手を対局者より 先に

 コンピューターが 発見するのは珍しくない。

 けど この間の竜王戦で 毒島竜王が

  終盤で指した 1六桂という手は

 さすがに激指にも 発見できなかった。」

そのあと来栖もいっしょに中野と話をすることに。

「俺が 殺したんじゃないっすよ。

 警察にも言ったけど竹脇を

 恨んでんのは俺だけじゃないから。」

「例えば心当たる人物とか いますか?」

「例えば 谷 二郎八段とか。

 将棋雑誌の コラムで竹脇に
 
  名指しで批判されたって激怒してたよ。」

「伸平さんは 将棋に対して 

 潔癖過ぎるところがありましたから。」

「谷さんという方は 偉い方なんですか?」

「大物だね。将棋チャンネルで

 講座なんかも 持ってるし。」

と携帯で動画をみせてくれる中野。

「竹脇さんは 携帯を持っていなかったようですね?」

「ああ。 そうそう。

 あっ。 でも そういえば持ってたこと あったかもな。」

「えっ? 竹脇さんが 携帯を?」

「うん。奈穂子ちゃんと 3人で飲み 行ったときにさ

 見せびらかしてたよね?」

「そんなこと あったかな?

 覚えてない。私 たぶん 酔ってたと思う。」

とごまかす来栖。

榎本と帰る純子。

「榎本さん 彼女 います?

 彼女。 います?」

「それが 今回の件と何か 関係あるんですか?」

「いや。 竹脇さんの携帯のことなんですけど。

 来栖さんが 知らなかったっておかしくないですか?

 たとえ 一時期だったとしても

 彼女には番号ぐらい 教えますよね?」

「そのことと僕に 彼女がいるかどうかが
 
 どう関係するんですか?」

「それに 何か 竹脇さん人間性が
 
 よくないっていうか。

 芹沢さんに 相談してたのも

 どうも 不正がらみのことだったみたいだし。」

「そのことと僕に 彼女がいるかどうかは?」

「だから 榎本さんだったらどうかなって 話です。

 っていうか 事件と関係ないこと

 聞いちゃいけないんですか?」

「別に そうは言っていません。」

「じゃあ彼女 いるんですか?いないんですか?」

「女性っていうのは

 どうして 恋愛の話を

 したがるんですかね?」


「そりゃ もちろん

 面白いからですよ。」


「面白い?」

「それに どんな恋をしてきたかで

 その人の人柄がうかがえたりするじゃないですか。」

「そういうのは 人前で 軽々しく

 口にするものでは ないでしょう。」

「何 固いこと 言ってるんですか?

 榎本さんみたいに鍵とか

 防犯の話ばっかりしてたら

 女の子に モテませんよ。

 あれ? 何か 話 ずれてません?何だっけ?

 あっ。 そうだ。 携帯だ。

 来栖さんと 竹脇さんって

 ホントに 付き合ってたのかなぁ?」

将棋の棋譜をしらべる榎本。

仕事中の芹沢。
来栖とあう純子。

「芹沢先生は 守秘義務を守り続けてるんですね。」

「そうなんです。お役に立てなくて すいません。」

「いいえ。 弁護士としてそれが

 あるべき姿だと思います。

 それに 私も 今は最後の対局に

  集中しようって決めましたから。」

「そうですね。最後の チャンスなんだし

 まずは それが 最優先です。

 この間の来栖さん すっごく カッコ良かったです。

 あしたも 勝てますよ。頑張ってくださいね。」

「ありがとう。何か すごく うれしい。」

「ウフッ。 あの。プロ入りの お祝いに

 今度 2人で おいしい

 ご飯でも食べに行きませんか?」

「強くなりたかったの。

 肉体競技だけじゃなく

 頭脳競技でも女は 男に かなわない。

 そう考えてる人たちをあっと 言わせてやりたくて

 プロ棋士になる道を 選んだの。

 でも 現実は思ったより 厳しかった。

 男性棋士と戦うと

 どうしても 終盤で競り合って

  負けることが続いて。

 今期は たまたま 調子がいいけど

 次は 駄目かもしれないって

 いつも ひやひやしっ放し。

 ごめん。 急にこんな話 されても 困るよね。」

「そんなこと ないです。ただ あの。」

「大丈夫。それでも

 やるしかないって分かってるから。 」

シリアスな話になりました。
榎本はまだPCを調べ
そばには真理の資料も。

谷に話をきくことに。

「私は 殺してませんよ。

 竹脇を 殺してやりたいほど憎んでる人間は

 腐るほど いますよ。

 毒島竜王もその一人じゃないですか?」

「毒島竜王も?」

「かつて ライバルといわれた男が

 ひのき舞台で脚光を浴びてるときに

 人知れず 安宿で刺し殺されたなんて。」

「竹脇さんが 殺された日に

 毒島竜王の対局が あったんですか?」

「そのとおり。

 だから 毒島竜王は 容疑者にならずに 済んだんです。」

「谷先生。 お願いします。」

「はい。 失礼。」

「ありがとうございました。ハァー。

 何か 捜せば いくらでも

 容疑者が 出てきそうですね。」

「えー。 こちらが23日に行われた 対局で

 毒島竜王が指した  1六桂です。

 えー。 端の筋に 桂馬を打つのは

 一点狙いですから

 普通は いい手にならないんですがね。

 解説者も 報道陣も 誰一人

 気が付かなかったようですが

 これが 絶妙手だったようで

 鬼藤九段の 意表を突きました。」


という将棋の番組をみている榎本。

「帰りましょうか。

 榎本さん?」

「すいません。

 1六桂が指された時間は 分かりますか?」

「2時10分ですね。」とおしえてくれるスタッフ。

いつもの指を動かすしぐさ。

「そうか。そうだったのか。」

「もしかして?

 はい。

 密室は 破れました。」


「教えてください。犯人は どうやって
 
  ドアにチェーンを掛けたんですか?」

「チェーンを掛けたのは犯人では ありません。」

「じゃあ やっぱり。」

「最初から 掛かっていたわけでもありません。

 背中を刺された後で竹脇さんが 自ら 掛けたんです。」

「どうして?犯人が

 おそらく引き返してくるんだろうと思ったからです。」

「引き返してくるって一度 部屋を出た後にか?」

「そうです。 そして 実際に犯人は 引き返してきました。」

「何で そんなことが分かるんだよ?」

「切断された ドアチェーンを復元し

 ドアを開けてみると

 ちょうど 遺体のすれすれの位置で 止まりました。

 しかも ドアの角度が遺体の角度と

 ぴったり 一致していたんです。

 最初は 第一発見者の ホテルマンが

 ドアを開けたときに

 遺体を 押しのけたのかと思ったんですが。」

『チェーンが掛かっていましたから

 ご遺体までは届きませんでした。』

「つまり ホテルマンより 先に

 誰かが ドアを開けていたということです。」

「犯人が 引き返してくるのが分かってて

 ドアチェーンを掛けたと。」

「いえ。 マグネット盤です。」

「はあ?」

「正確には そこにあった竜王戦の局面です。

 竹脇さんはそれを 守ろうとしたんでしょう。」

「竜王戦って 何だ? そりゃ。」

「それが 犯人につながる

 重要な手掛かりに なるからです。

 マグネット盤には 毒島竜王が指した

 1六桂が 再現されていました。

 その手が指されたのが午後 2時10分。

 竹脇さんが チェックインしたのは午後 2時です。

 さて 竹脇さんは どうやって

 1六桂の手を 知ったのか?」

「テレビで 見たんじゃないですか?」

「竜王戦の テレビ中継は朝と 夕方しか

 やっていません。」

「電話で 誰かに教えてもらったとか?」

「通話記録に 残っていたのは

 来栖さんから かかってきた 2本と

 芹沢さんにかけた 1本のみ。

 来栖さんの 最初の電話は

 まだ 1六桂が指される前だし

 二度目は応答が ありませんでした。

 芹沢さんとは竜王戦の話を されましたか?」

「いや。」

「インターネットで 実況サイトを見るには

 パソコンか 携帯電話が 必要です。

 でも 盤面を表示できるノートパソコンがあったら

 マグネット盤はいらなかったはずですし。

 テーブルの上にも竹脇さんの かばんにも

 ノートパソコンのためのスペースは ありませんでした。

 つまり 携帯電話を使ったとしか考えられないんです。」

「竹脇五段は 携帯電話を持ってなかったんだろ?」

「それが 中野さんが持ってるところを見たことがあるって。」

「竹脇さんがドアに チェーンを掛け

 竜王戦の盤面を 守ったのは

 犯人が 携帯を持ち去ったという

 ダイイング メッセージを残すためだったんです。」

「犯人の見当はついてるんですか?」

「お見せしたいものが あります。」

「何ですか?」

「稲垣 真理1級がリーグ戦で残した 手順です。」

「おっ。 美人ちゃんだね。」

「その中で ぎりぎりの寄せ合いを勝ち抜いた対局だけ

  選んで解析してみたんですが

 終盤戦における指し手の 90%が
 
 電脳将棋 激指が 選んだ手と一致していました。

 終盤戦は手が絞られるといっても

 これは 高過ぎる数値だと思います。」

「不正をしてたっていうわけか?」

「他にも もう一人 90%近い数値を記録した人がいます。」

「誰ですか?」

「さらに 詰むか 詰まないかという局面で

  勝負を決めた一手を

 ピックアップして激指に 出題してみました。

 右が 彼女の指し手。左が 激指が選んだ手です。

 全部で 20以上 ありましたが。」

「何が 言いたいんですか?」

「2人が 協力して 
 
 不正を行ったと 考えると

 全ての辻褄が 合うんです。」


「そんなことあるわけないじゃないですか。」

「でも 彼女の今期の成績は前期と比べて あまりにも。」

「誰にだって 調子がいいときと悪いときが あります。」

「落ち着いて 聞いてください。

 僕は 対局の際 携帯電話を使って

  カンニングが行われたと思っています。

 そして 犯行現場から持ち去られたのが

 その電話だとすれば。」

「やめてください。

 聞きたくありません。」

でていく純子。

「話は 最後まで 聞けよ。
 
 青砥! おい!」

プロ昇格戦
三段リーグ 最終局。

来栖の記事をみて立ち上がる芹沢。

「どうも。お出掛けですか?」

と刑事もやってきました。

対局をする来栖。

「来栖さん 追い詰められてますね。」

来栖が髪をかきあげると
真理が席をたちました。

おっていく純子。
ロッカーからPCをとりだして
屋上でこっそり手をさぐる真理をみつけます。

対局後、来栖のところにやってきた純子と榎本。

「私 来栖さんには
 
 正々堂々と勝負してほしかったんです。

 絶対に 勝てるって信じてたから。」

「ありがとう。おかげで 実力で戦って 負けた。

 これで もう一生 プロにはなれない。」

「別に プロにならなくてもいいじゃないですか。

 ここまで これただけでもすごいことなんだから。」

「分かったようなこと 言わないで。

 あなたみたいに 正論を振りかざす女を見てると

 いらいらする。

 順調に 弁護士になれたあなたに

 私の気持ちなんて分かるわけ ないでしょう?

 偉そうに 説教しないでよ。

 言っとくけど 私

 あなたと友達になったつもりは ないから。

 ただ 竹脇が 芹沢さんに

 何を 話していたのか知りたかっただけ。」


冷たい言葉に傷つく純子。

「よかったら 1局 お手合わせしません?」

と榎本にいう来栖。

「光栄です。」

「竹脇さんは あなた方の不正に気付いたんですね?」

「あの男は そういうことに異常に 鼻が利くんです。」

「それを ねたに脅されてあなたは 彼の恋人になった。」

「恋人?体のいい デリヘル嬢ですよ。」

「不正の証拠として 竹脇さんは

 あなたの携帯電話を取り上げたんですね?」

『いいだろう? これ。

 これ 見たらさどうしても 欲しくなっちゃってさ。』

とみせびらかす竹脇。

「激指で調べた情報は

 この携帯で伝えることになってました。

 暗号は 呼び出し音の数で読み取ります。

 携帯は マナーモードにして消音素材で くるみ

 バッグに 入れてありました。

 わずかな振動を膝や 手で感じるんです。

 真理ちゃんも 21までに初段にならなければ

 奨励会を退会しなければなりません。
 
 2人とも 崖っぷちだったんです。」

「不正のことが 明るみに出たら

 あなたも 稲垣さんも

 将棋界から永久追放されることになる。

 何としても 証拠である 携帯を取り返さなければならない。

 だから竹脇さんを 殺したんですね?」

「私には アリバイが ありますよ。」

『電話はどなたからだったんですか?』

『両方とも 来栖さまという女性の方からで

 吉祥寺の自宅からかけられていたと』

「あの電話は 稲垣さんが代わりに かけたんです。」

「じゃあ ドアチェーンはどうやって 掛けたんです?」

部屋の中で竹脇を刺す来栖。

「竹脇さんを刺した後あなたは

 携帯とキーを持って 部屋を出ました。

 ドアに 鍵を掛けエレベーターに乗り

 一度は ホテルを出ましたが。

 そこで 重要な証拠を残してきたことに 気付いて

 慌てて 引き返してきたんです。

 しかし ドアは 遺体に邪魔されて

 開けることはできなかった。

 必死に遺体を 押しのけたものの。

 ドアチェーンは あなたが引き返してくると読んだ

 竹脇さんが 最後の力を振り絞って自ら 掛けたんです。

 現在 進行中の 竜王戦の局面1六桂が残っていれば

 そこに 携帯があったことが分かる。

 つまり 持ち主の あなたが

 犯人であるという証拠になるからです。」

「1六桂はあの男が 自分で考えて

 たまたま 見つけただけかもしれないでしょう?」

「解説者も 記者も トッププロの棋士でさえ

 誰一人として気付かなかった手なんですよ?

 しかも あなた自身が

 自白に近い行動を 取っているんですよ。」

「いつですか?」

「殺害現場で初めて お会いしたときです。」

将棋の駒を手にして戻したあのとき。

「あのときあなたは 手にした駒を

 盤上ではなく机に戻しましたよね?

 それで 局面は1六桂が指される前。

 つまり 竹脇さんがチェックインする前の
 
 状態に戻ったわけです。」

「詰めが甘い癖っていうのは直らないものですね。

 だけど 一つだけ言っておきたいんです。

 私は 決してあの男に 負けたんじゃない。

 あの男は ただ 細部にまで 気を配らなかった

 私のミスに 乗じただけです。

 だから 私は毒島竜王に 負けたんです。

 何か 気が 楽になった。

 今まで 私何に しがみついてたんだろ?

 王手。」


「参りました。」

芹沢にお礼をいう鴻野。

「このたびは捜査に ご協力いただき

 どうも ありがとうございました。」

「できることなら あなた方とは

 二度とお会いしたくありませんね。」

「私も そう思ってますよ。」

「おい。 榎本ってのはいったい 何者なんだよ?」

と電話を切ったあとつぶやく鴻野。

「芹沢さんはどこまで 知ってたんですか?」

「何が?」

「来栖さんのことです。

 竹脇さんから 不正のことで

 相談 受けてたんですよね?」

「ああ。 あれか。 あれ 違うんだよ。」

「違うって?」

「実はな 竹脇五段アダルトサイトから

 多額の不正請求 受けてたんだよ。」

その続きを榎本に叫ぶ純子。

「紛らわしいこと言わないでくださいよ!

 何が 守秘義務ですか!

 そんなこと とっとと

  警察に 言っちゃえばいいじゃないですか!

 って 言ってやりたかったけど

 私も さすがに 弁護士なんで我慢しました。

 私にも 将棋 教えてください。

 そしたら 対局できて楽しいですよね。」

「結構です。 機械相手の方が気兼ねしなくていいんで。」

「私 来栖さんの弁護を申し出ようと思ってます。

 断られるかもしれないけど。」

机に頭を突っ伏す純子に

「青砥さん。彼氏 いますか?

 今まで どんな恋をしてきましたか?」


という榎本。

「どうしたんですか?」

「いや。 別に。 何か

 面白い話を しようかと思って。」


『女性っていうのは

 どうして 恋愛の話をしたがるんですかね?』

『そりゃ もちろん面白いからですよ』

という会話をかわしたことを思い出して
笑う純子。

「あっ。 フフフ。アハハハ。

 アハハハハ。ウフフ。 アハハハ…。」

笑われて

「もう いいです。」

とつぶやく榎本・・。

榎本なりにはげましてくれてるのかと
思うとかなり萌え!!

女性初のプロ棋士から殺人犯へ。
あまりにもひどい転落ですが
プロへの道は厳しいということですね。
不正してプロになってもそのあと
たいへんだと思うけど。

鍵のエキスパートじゃなく
もはや有能私立探偵な榎本!
芹沢さん、普通によんで使ってるしw




榎本径: 大野智 
青砥純子: 戸田恵梨香 
池端誠一: 風間杜夫 
日下部雅友: 堀部圭亮 
円山: 浜田晃 
水城里奈: 能年玲奈 
芹沢豪: 佐藤浩市




 

2012.04.30 Monday 23:05 | comments(0) | trackbacks(12) | 
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