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鍵のかかった部屋 エピソード11(最終話)

エピソード11(最終話)



 榎本径(大野智)が不在の中、青砥純子(戸田恵梨香)と
芹沢豪(佐藤浩市)は事件の検証を行う。そして、
榎本は犯人ではない、と純子が断言したとき、
榎本が釈放されたと連絡が入る。
専務の久永(中丸新将)が犯行を自認したからだ。
拘置所で純子と接見した久永は、睡眠中の無意識のうちに
社長を殺害したのかもしれない、と弱気になっていた。
 その後、榎本は、副社長の穎原(えばら)雅樹(鈴木一真)らに、
社長が狙撃事件を自作自演したのは、社長室に隠した何かを
守るため、窓を防弾ガラスに交換させたかったからだろう、
と話す。
 榎本は、自分のことを通報した犯人が自分と社長との因縁を
知ったのは、社長室での純子との会話を盗聴していたからだと
推測。そんなことが可能な人物は誰か、考えを巡らせた榎本は、
第一発見者の窓拭きのスタッフ・佐藤学(玉木宏)に会いたいと
雅樹に申し出た。
 やがて榎本と純子の前に佐藤がやってくる。純子は佐藤に、
社長が倒れていた場所を尋ねた。佐藤がキャビネットの方を
指すと、榎本は窓の外からだとそこは見えないはずだと指摘。
佐藤は「ゴンドラが上がったときに見えた」と証言した。
 そんなとき芹沢からの電話で純子が退室。榎本と2人きりに
なった佐藤は、社長室にいる違和感を口にした。自分は
ガラス越しに眺めることしかできない存在だ、と話す佐藤。
そして、あなたも自分と同じ側の人間だろう、と榎本の様子を
うかがい…。



透明な場所にいる芹沢と純子からスタート。

「ここには 一見 密室なんか

 存在してないかのように見えます。

 でも…。

 このガラスの密室は

閉じ込められた 本人が

 無意識のうちに

つくりあげたものです。」


「目の前に広い世界が 広がっていても

 そこにあるものに触れることは

決して できません。

 彼は この密室を私たちに残して

 突然 姿を消してしまいました。」


「さて 彼は 今

いったいどこにいるのでしょうか?」


事務所に場所がかわり純子と芹沢。

「もう一度 事件を整理してみましょう。」

「そうだな。」

「えー。 まず事の始まりはベイリーフの社長室で起きた

 狙撃事件でした。社長は 出勤前だったので

 大事には至りませんでしたが

 窓は 防弾ガラスに換えられ

 その後榎本さんに 警備システムの見直しを

 依頼することになりました。」


 『社長。 こちらが先日 お話しした 榎本さんです。』

 『後は 廊下のカメラを最新型のものに 替えて

 さらに 内階段とエレベーターホールが 映る場所と

 できれば 社長室の中にも設置されると いいでしょう』

「しかし 実際には システムの工事が 始まる前に

 社長は 殺害された。」

「はい。現場は ビルの最上階。

 部外者が 立ち入ることのできない密室でした。」

社長室で倒れている社長を発見。

「死因は 脳内出血です。

 打撃は それほど強くなかったため

 即死ではなかったようで床をはった 形跡がありました。

 凶器らしいものは見つかっていません。」

「社長が 脳動脈瘤の手術で開頭したことを

 計算に入れた上での犯行だったのか?」

『普通の人であれば絶命に至ったかどうか

 疑わしい レベルということです。

 しかし 社長は もともと頭部に 弱点を抱えていました。』

『去年の 脳動脈瘤の手術』

『頭蓋骨を切開しているため衝撃に 弱くなっていたそうです。』

『そして そのことを皆さんが ご存じだった。』

「犯行が起きたとき 現場にいたのは全員

 ベイリーフの社員で 手術のことは皆さんが 知っていました。」

「誰が どこにいたか?」

「じゃあ 当日の状況をもう一度 説明します。

 社長はおいに当たる 穎原副社長

 久永専務と共に会議室で 昼食を取り

 食後の コーヒーを飲んだ後

 いつもの習慣に従って部屋で 仮眠を取りました。

 同時刻 穎原さんは打ち合わせのため 外出。

 岩切さんと 安養寺さんが午後の会議に 備えて会議室で 待機。

 久永さんも 自室で仮眠を取ります。

 これは 習慣ではなく珍しいことでした。」

「この時点で フロアには社長室で眠っている 社長。

 専務室で眠っている 久永さん。

 会議室で 待機中の岩切さんと 安養寺さん。

 秘書室の 伊藤さんと 河村さん。

 全部で 6人がいたわけだな。」

「はい。それから 約 1時間後

 榎本さんが 警備システムの工事のため

 現場に 到着したんです。」

「警察は 当初 久永さんに嫌疑を掛けた。 なぜなら。」

『社長室 副社長室専務室はそれぞれ 部屋の中にある

 ドアで つながっています。
 
 それを使えば 誰にも見られずに出入りすることができる。』

『そうですね? 久永さん』

『そんな。 まさか 私が。

 本当に眠っていただけなんです。

 何もしてません。信じてください。』

「その後 密室の検証を重ねた結果

 榎本さんが 一つの謎を解明しました。」

「狙撃事件と 社長殺害は同一人物の犯行では

 なかったということだな。」

「はい。」

『これまで どちらも同じ人物による

 一連の事件だと考えてきましたが

 どうやら 間違いだったようです。』

『じゃあ 狙撃を仕組んだのは 誰だといいたいんですか?』

『社長です。

 殺された社長の 自作自演だったんです。』

『何のために そんな。』

『12階の警備システムなんですが

 社長の提案で 5年前に強化を図っているんです。』

『えっ?』

 なのに ことしになって またさらに システムの見直しが

 必要だと 言いだしまして 一応 役員会で協議をしたんですが

 防犯に 多額の費用を掛ける余裕はないということで

 承認されなかったんです。』

『それじゃ 社長は 警備強化のために 自作自演を?』

「そこまでして 警備を徹底したかった理由は 何なのか?

 それを話してたら いきなり 警察が踏み込んできて。」

『榎本さん。あなた 殺された社長と

 面識が あったそうですね?

 5年前 あなた 社長の自宅のセキュリティーシステムの

 設置を請け負った。ところが工事が終わって 間もなく

 社長宅に 窃盗犯が侵入し そのせいで あなたは

 疑いを掛けられる羽目になってしまった。

 もちろん 証拠はないので

 首になったりすることはなかったようですが

 同僚から 白い目で見られたり

 相当 肩身の狭い思いをしたんじゃないですか?』

『よく 調べましたね?』

『一般市民から情報提供の電話が あったんで

 裏 取ったんですよ。』

『電話?』

『きっと恨んだんでしょうね 社長を。

 殺してやりたいと 思ったこともあったんじゃないですか?』

『榎本さんが現場に到着したのは

 社長の遺体が発見された後だったんです。

 殺したくても殺せるわけないじゃないですか。』

『できますよ。だって あなた 

 事前に ここの警備システムを調べ尽くしていたんでしょう?

 それに こんなの 余裕で突破できるって

 明言されていたそうじゃないですか。

 榎本さん!あなたが 殺したんでしょう?』

『榎本さん!』

ここまでが前回のおさらい。

「どんな人なんだろう?
 
 よく考えたら榎本さんのこと

 何にも知らないんですよね 私たち。」

「君は 彼が犯人じゃないと思うか?」

「はい。絶対に違います。」

そこに電話。


「はい。えっ? ホントですか?

 はい。 はい。分かりました。」

「何だい?」

「解放されました。 榎本さんが。」

「どうして?」

「久永さんが犯行を認めたそうです。」

久永さんに面会する純子。

「ホントに 社長を殺したんですか?

 久永さん 言ってましたよね?

 自分は ただ 眠っていただけで何もしてないって。

 もしかして警察から 無理な取り調べを

 受けてるんじゃないですか?

 もし そうだとしたら私が 力になりますから。」

「私は 眠っていたんです。」

「ええ。 だから…。」

「だから 眠っている間にやったと いわれれば

 そうなのかもしれない。

 社長には 本当に申し訳ないことをしました。」

副社長にあう純子と芹沢。

「何とか 実刑は免れてくれると いいんですが。」

「あなたは どう思いますか?」と純子にたずねる副社長。

「えっ?」

「思っていることを 正直に 言ってみてください。」

「久永さんは 長期間の拘禁に起因する

  精神的ストレスで 一時的な錯乱状態に

 陥ってる可能性が 高いと思います。

 連日連夜 取調官に お前がやったんだろうと

 責めたてられて つい 虚偽の自白をしてしまう。

 よくあるケースです。

 私には そう 見えました。」

「何が真実なのか 分からなくなってきました。」

と副社長。

純子と芹沢は榎本の部屋へ。

「社長が 狙撃事件を自作自演したのは

 何かを 部屋に隠していたためだと 思われます。

 おそらく セキュリティーをより厳重にして

 それを 守ろうとしたんではないでしょうか?」

「役員会に 提案をしたが通らなかったので

 自分の命が 狙われてるというふりをした。」

「そういうことです。ついでに言うと

 僕が 社長の自宅の セキュリティーシステムの設置を

 請け負ったのは 5年前。

 しかし その直後に 愛人に 現金類を盗まれるという

 不測の事態が 生じています。

 その結果 社長は自宅に隠していた 何かを

 会社に移すことにした。

 そう考えると 様々な符号が合致します。」

「そうか。 だから 5年前に 12階のセキュリティーを
 
  強化してるんですね。」

「その 何かって いったい 何なんでしょうか?」

「それは まだ 分かりません。

 ただ 一つ はっきりしたことがあります。」

「何ですか?」

「久永さんは 無実であるということです。」

「なぜ 無実だと?」

「僕と 社長との過去の因縁を 知っていたのは

 東京総合セキュリティの人間と 青砥さんだけでした。」

『あの社長とは 以前仕事でお会いしたことが あるもので』

『あっ。 そうなんですか?』

「でも 同僚にも 青砥さんにも

 その情報を 警察に知らせるメリットが ありません。」

「確かにな。」

「とすると 犯人が僕と 青砥さんの会話を

 聞いていたのかもしれません。」

「えっ? どこで?」

「社長室です。」

「えっ?」

「犯人は おそらく ずいぶん前に
 
 盗聴器を仕掛けて

 ずっと 情報収集をしていたんだと 思います。」

「盗聴器を?」

「じゃあ 事件が起きる前に

 犯人は すでに 社長室に侵入してたってことですか?」

「それだけでは ありません。

 犯行と同時に 盗聴器は引き揚げましたが

 犯人は その後も 真相が発覚することを 警戒し

 様子を うかがっていた。

 そして僕と社長とのことを 調べあげ

 面倒な事態になる前に警察に 電話をかけたんです。」

『一般市民から情報提供の電話が あったんで

 裏 取ったんですよ』

「誰が そんなことを?」

「久永さんは 勾留中ですから

 匿名で電話することは不可能です。」

「誰か 他に 榎本に 罪をかぶせようとした人間がいた。

 久永さん以外に 真犯人がいる。」

「犯人にとって 久永さんの自白は想定外だったはずです。

 しかし それで 事件が片付いてくれるなら

 むしろ 好都合でしょう。」

副社長もいました。

「私には 叔父から受け継いだ会社を守り

  育てていくという義務があります。

 ですから もし 久永が社長を殺害したというなら

 心神喪失の線でダメージを 最小限に

 とどめたいと 思っていました。

 ですが それが もし間違いというなら

 何としても 真犯人を見つけなければなりません。

 これは 経済ではなく正義の問題なんです。

 そのための協力は惜しみません。

 榎本さん。 どうか密室の解明を 続けてください。」

と頼んででていく副社長。
窓ふきの男を思い出す榎本。

「第一発見者は 窓拭きの スタッフだと言っていましたよね?」

「ええ。」

「会って 話を聞くことはできるでしょうか?」

会社へやってきた純子と榎本。
窓ふきのスタッフ、佐藤にあいました。

「清掃スタッフの佐藤 学さんですね?

 弁護士の 青砥です。

 こちらは 東京総合セキュリティの榎本さんです。」

「どうも。どうも。」

「では 早速ですが 佐藤さんは窓拭きの仕事に

 取り掛かろうとした際に

 社長の遺体を発見されたんですよね?」

「はい。遺体を発見したのはあの窓からですよね?」

「はい。」

「社長は どこに どのような状態で倒れていたんですか?」

「ここに うつぶせで。」

「ここからだと遺体は ソファの陰になって

 見えないんじゃないでしょうか?」

「そんなこと ありません。

 ゴンドラで 上がっていくときに見えたんです。」

脚立にのぼってみる榎本。

「どうですか?」

「確かに見えますね。

 それで 窓は拭かずに屋上へ 引き返したんですね?」

「もちろんです。 窓拭きどころじゃありませんから。」

「分かりました。」

純子の携帯に電話がかかり
その場を離れる純子。

「まさか 中に入るときが 来るとは 思わなかったな。

 いつも 外から のぞいてたけど

 ガラスを隔てた 向こう側は

 自分には 何の関わりもない遠い世界だと 思ってたから。

 さっきの 弁護士先生とだって

 こんな 特殊な状況じゃなければ

 きっと 一生言葉を交わすことなんてなかっただろうし。

 本来は ただ ガラス越しに眺めてることしか

 できない存在なんですよ。

 あなたもこっち側の人間ですよね?」

と榎本にいう佐藤。

「すいません。お待たせしました。」

と純子が戻ると空気が重い。

榎本の部屋にまた集まる芹沢たち。

「われわれは 大事な容疑者を

 一人 見逃していたようです。」

「何か 根拠 あんのか?」

「遺体が ソファの陰になって

 見えないのではないかと質問したとき…。」

『ゴンドラで 上がっていくときに見えたんです』

「でも 佐藤さんが遺体を発見したのは

 窓拭きをする前でした。」

『窓は拭かずに屋上へ 引き返したんですね?』

『もちろんです。 窓拭きどころじゃありませんから』

「とすると 遺体が見えたのは

 ゴンドラで上がってくときではなく

 作業をするために下がっていくときでないと

 おかしいのでは ないでしょうか?」

「あっ。でもさ 下がっていくときは 

 意識なんか してないんだから

 見えてたとしても気が付かないもんじゃないのか?」

「もし そうだとしたら窓拭きを終えてから

 上に昇りますよね?

 一度 下に降りてから 何もせずにすぐ上がるというのは

 矛盾しています。」

「なるほど。

 じゃあ どうやって社長を殺したんだよ?」

「様々な検証を 試みましたがやはり…。

 介護ロボットを使って犯行を行ったとしか考えられません。」

「どうやって?」

「分かった。」と純子。

「ホント?」

「ロボットが 直接打撃を与えられないなら

 ワンクッション置いたんじゃないですか?

 まず デスクの端に石のブロックのようなものを

 底が 半分 はみ出した状態で置いておき

 睡眠薬で眠らせた社長の体を

 デスクの すぐそばに横たえます。

 その後 ロボットのアームを接触させて

 社長の頭にブロックを 落としたんです。」

「発想は 面白いですが

 現場に それらしい凶器は見当たりませんでした。」

「ああ。 分かった!こういうのが あれば

 ロボットを使って その位置に

 社長の首を 持ってくるだけでいいんじゃないでしょうか?」

こういうの=鉄球をつりさげた装置ww

「ですから 現場に それらしい凶器は

 見当たりませんでした。」

「ああ。 そういえば そうでした。」

「榎本。 真面目に答えなくていいからさ。」

「えーと。」

「青砥。 もう考えるなよ。」

「あっ! 分かった 分かった。巨大なドライアイスのキューブを。」

「いずれにしてもだな 

 この犯人は とてつもなく用意周到なやつで 間違いない。

 だから 介護ロボットを犯行に使ったとしたならば

 その性能を 調べあげて計画に 組み込んだんだろう。」

「どういう意味ですか?」

「すなわち ロボットには

 ロボットに できることをさせたということだ。」

「どういう意味ですか?」

「だから そういう意味だよ!」

そこへ里奈から電話。

「お疲れさまです。今 ベイリーフの穎原さんから

 お電話が ありました。」

「穎原さんから?」

事務所に戻る芹沢。

「どうぞ。」

「すいません 突然。」

「何か あったんですか?」

「あれから 気になって 過去の会社の経理を

 徹底的に洗い直してみたんですが

 不明瞭な金の流れが見つかったんです。」

「不明瞭?」

「研究費の水増しなどの形で10年以上にわたり
 
 組織的に 横領がなされていたようなんです。

 総額は 6億円近くだと見積もられています。」

「まさか 久永さんが?」

「久永も 関与していたとは思いますが

 疑惑が持たれている 伝票は

 彼が 決済できる額を超えているんです。」

「ということは…。」

「亡くなった社長が行っていたとしか考えられません。」

純子は久永さんに面会。

「お体は いかがですか?

 いやぁ。 今日も 暑いですね。」

会話をしながらメモに書いた文字をみせました。

「亡くなった社長は、総額六億円に及ぶ

 横領を行っていましたね?

 あなたは10年間、

 それを容認してきたんですか?」


驚く久永。

「ことしも 猛暑になるんですかね。

 熱中症って 怖いですよね。」

「横領が事実なら、言葉に出さずに、

 うなずいてください」


うなずく久永。

「朝ご飯は ちゃんと食べられましたか?

 食事は 大切ですよね。食べないと 元気が出ませんから。」

「横領した金は 社長が隠匿していたのですか?」

「隠匿方法は?

 1 現金 2 口座 3 有価証券

 4 貴金属 5 その他」


こっそり指でしめすように指示しますが
うつむく久永。

「久永さん。ホントに これで いいんですか?

 あなたが もし 睡眠障害の病気ではなく

 社長を殺していなかったとしたら?

 もし 物取りが目的で社長が

他の人に殺されていたとしたら?

 お願いします。気を しっかり持ってください。

 何としても 真犯人を見つけだすべきです。

 そのためには ホントのことを知る必要があります。

 社長に 恩返ししましょう。」

指を4本みせる久永。

純子は芹沢に報告。

「横領の事実は 認めたんだな?」

「はい。6億円は 貴金属に換えられ

 隠匿されているようです。」

「隠し場所は?」

「さすがに 社長もそこまでは教えなかったみたいですね。」

「ハァー。

 待てよ。」

「どうしたんですか?」

「社長が 窓ガラスを防弾ガラスに換えようと思ったのは

  窓から誰かが侵入してくる 可能性を

 考えたからじゃなかったのか?

 部屋に隠してあったものを窓の外から 目撃された。

 そう思った瞬間が あったんだ。」

「窓の外?」

「そいつを 間近で見ることが できるのは…。」

窓ふきの佐藤。

「私 調べてみます 佐藤さんのこと。」

「俺も 隠匿物があった場所を確認してみる。」

「はい。」

佐藤の会社へ言って話をきく純子。

「佐藤 学ですか?」

「はい。」

「おとなしいやつですよ。めったに しゃべらないし。

 おい 矢部。 お前 佐藤とよく 同じ現場になるよな?」

「はい。」

「仲 いいのか?」

「いや。 個人的な付き合いは ないっすよ。」

「電話とか メールは?」

「しないっすよ。」

「だそうです。」

「ありがとうございました。」

「はい。」

壁にはってあった写真に目をとめる純子。

「あっ。 ボウリング大会ですか?」

「毎年 恒例なんです。」

「佐藤さんは…。」

「写ってるんじゃない?どっかに。あれ? 写ってないな。」

「あっ。これ そうじゃないっすか?」

人の影にかくれていました。

「あっ。一応 ここにも いるけど。」

「あっ。 ここにも。」

「何だよ。 これしか ないの?」

「そうっすね。」

全部人のかげにかくれていました。

「すいません。他の写真は ありませんか?」

「どうぞ。」

「すいません。」

写真をチェックしましたがどれも同じ。
それを社長室を調べている芹沢に電話。

「顔が写ってない? 1枚もか?」

「はい。 あれは どう見ても

 わざと写らないようにしてるんだと思います。

 何か おかしいですよね。もしかして

 素性が明らかになると困ることでも あるんでしょうか?」

「それは 本気で調べてみる必要がありそうだな。 おい。」

鴻野さんをたずねる芹沢。

「これは 珍しい。何の ご用事ですか?」

「ベイリーフの社長殺害事件で

 第一発見者の 佐藤 学さんの調査をしています。」

「それで?」

「佐藤 学さんの 本籍をお教え願えないでしょうか?」

「冗談でしょ。」

「簡単だとは 思ってませんよ。

 ただ 鴻野さんには それだけの貸しがあると思うんで

 お願いに来たんです。」

「貸し?」

「過去に 2件ほど 密室事件の捜査協力をしたはずなんですが。

 あれ? お忘れですか?

 なのに あなたは 榎本を参考人どころか

 被疑者のような扱いをした。

 恩を あだで返すとはこのことだ。

 その気になればね 違法な身柄拘束で

 国家賠償請求をしたっていいんですよ。

 まっ そんなことはしたくありませんがね。」

本籍地をおしえてくれました。

「ありがとうございました。」

さらに資料をみせる鴻野さん。

「美術館や 宝石商で起きた窃盗事件の記録だ。

 どこも 厳重な警備システムを備えていたが

 あっさりと突破された。

 これらの事件には

全て共通点があるんですよ。」


「何ですか?」

「事件が起きた日の 終業間際に

 現場を訪れた

 榎本さんの姿が 監視カメラに 映ってた。

 ただし 他には 何の痕跡もなし。

 指紋も 検出されなかった。

 最新鋭の警備システムを

 難なく 突破できる人間なんて

 そう多くはいないんじゃないですか?」


一瞬榎本の姿がうかびますが
その資料はおいていく芹沢。

佐藤の故郷へいってききこみをする純子。
実家のあった場所は更地になり
売り出されていました。
そこで学校へ。

「引きこもり?佐藤さんがですか?」

「ええ。 入学して 間もなく。」

「じゃあ卒業できなかったんですか?」

「そうです。」

「ということは 卒業アルバムにも写ってませんよね?」

「はい。」

「どなたか 学さんと親しくしていた方はいらっしゃいませんか?」

「さあ。」

元同級生の家をまわってききこみ。

「佐藤さん?」

「はい。」

「息子さんのことについて調べてるんですけど。」

「すいません。 同級生の佐藤 学さんのことを調べてまして。」

「いたと思うけど今は 何やってるか分かんないわ。」

「佐藤 学さんという方なんですが。」

「息子さんの同級生なんですけど。」

「分からないわね。」

「ありがとうございました。」

「ああ。 よく知ってますよ。」

「えっ? ホントですか?」

「学君とは親同士が 仲が良くて

 小さいころ よく遊んでました。うん。」

「今でも 連絡を取ってらっしゃいますか?」

「ああ。 いいえ。引きこもりになっちゃってからはまったく。」

「ご実家の方は引っ越されてますよね?」

「はい。 2年前に。」

「あっ。 それで 写真の方は?」

「あっ はい。入学式の集合写真です。

 これが 一番 最近だったので。」

「ありがとうございます。

 えー。 あっ。これが そうですよね?」

と佐藤を指さす純子。

「えっ? 違います。これです。」

「えっ? 佐藤 学さんですよ?」

「はい。 これが 学君です。」

「えっ? じゃあ この人は?」

「椎名 章君です。」

別人でした。

「彼は佐藤 学じゃありませんでした。

 本名は 椎名 章。高校生のときに
 
 父親が 共同経営者に裏切られて 会社が倒産。

 両親は 多額の負債を背負ったことを苦に

 彼を残して 心中自殺しています。

 その後 章は ヤミ金業者に

 しつこく 付きまとわれていたようなんですけど。

 あるとき 取り立て屋の男をナイフで刺し

 行方不明になったそうです。」

「刺した?」

「はい。」

「それで 偽名を使ったのか。」

「やくざに追われる身になった章は

 仕方なく 学に 成り済ますことにしたんだと思います。

 当時は 今ほど管理も厳しくなかったので

 簡単に 住民票が取れたんでしょう。

 住民票があれば免許が取得できますから

 身分証明は 可能になります。

 章は 家の問題がなければ

 一流大学へ進学し

 エリートコースを歩んでいけるだけの素養を

 じゅうぶんに持っていた。

 そう 担任の教師が言っていました。」

昔の章につきまとう借金取り。
しつこくおいかけられついに
刺してしまいました。

「もし 椎名 章が犯人だったとしたら

 怨恨による 犯行ではなく

 物取りが目的だったってことになりますね。」

「まあ そういうことになるだろうな。

 問題は 動機よりも殺害方法だよ。

 社長の部屋が侵入 不可能だったとすれば

 椎名は どうやって殺したのか?」

「結局 そこなんですよね。榎本さんは

 介護ロボットを使ったはずだって言ってましたけど。」

「ルピナスVのセーフティープログラムは 万全だ。

 被介護者を 攻撃するような動作は一切 できないし

 わざと 床に 落とさせるという操作も 受け付けない。

 障害物を センサーが察知して減速するから

 壁に衝突させることも不可能だ。

 そんなものがさ殺人の道具になるのか。

 散々 考えたけどさっぱり 分かりゃしないよ。

 うーん。」

「はい。」

「コーヒー お持ちしました。」と里奈。

「あっ。 ありがとう。」

そのとき、ソーサーごと
コーヒーをこぼしてしまう純子。

「ああー! ごめんなさい!」

「タオル 持ってきます。」

「ありがとう。 ごめんね。

 ごめんなさい 芹沢さん。大丈夫ですか?

 ああ。 靴まで。ああ。 大変。

 大丈夫ですか? せ…。芹沢さん?」

「そうか。そうだったのか。」

「えっ?」

「分かったよ。

 介護ロボットを使ってどうやって 殺害したか。」

芹沢は興奮して榎本に報告。

「それ 見た瞬間さ

空からひらめきが 降ってきたんだよ。

 この方法だったら

殺害できると思わない? どう?」


鍵の開く音。

「お見事です。」

「すごい。よし。 やった。

 今回は 俺が密室の謎を 解いちゃったよ。

 悪いな えのもっちゃん。」


得意気!!

「すごい! 芹沢さん!

 すごいです! さすが。 さすが芹沢。

 さすがです ホントに。

 じゃあ 記念写真 撮ります。はい。」


ポーズして記念写真ww

そして社長室で副社長や岩切相手に説明。

「社長が殺害されたとき 部屋は完全なる 密室状態でした。

 それ故 われわれは密室の謎を 解き明かすべく

 検証に 検証を重ねてまいりましたが

 ようやく 一つの結論にたどりつくことができました。

 それは 犯人は社長室には 侵入していなかった。

 つまり 遠隔操作によって殺人を行ったんです。」

「それに使われたのがルピナスVだと いうんですか?」

「犯人は 窓の外 ゴンドラに乗って操作をしました。」

「セーフティープログラムが備わってますから

 殺人なんかできるわけないんですよ。」

「確かに ルピナスVのセーフティープログラムは

 非常に 優れたものです。しかし 盲点があった。」

「盲点?」

「岩切さん。ルピナスVで

  あのダミー人形を抱えあげてください。」

「お願いします。」

「フゥー。」

人形を抱えるロボット。
毛布が落ちました。

「これが 盲点です。」

「はっ? 何 言ってんですか?」

「見てください。毛布が 落下しました。

 ルピナスVのセーフティープログラムでは

 対象となるものを 床に落としたりすることはできません。

 この場合 対象とは抱えられてる 人形だけを指し

 毛布は それに含まれていない。

 つまり毛布が 落っこちたとしても

 何の関心も示さないというわけです。」

「どういうことですか?具体的に 言ってください。」

「青砥。」

「はい。」

「事件当時 社長は カウチでこのように 寝ていました。

 犯人は ルピナスVを使って

 カウチごと社長の体を 持ち上げた。」

「まさか。」

「そうです。 その場合セーフティープログラムの対象は

 カウチであって 社長の体は付属物と見なされます。

 ですから カウチごとダミー人形を リフトアップし

 その後 傾ければ社長は滑り落ちて

 床に 頭を打ち付けられる。

 では 岩切さん。

 カウチごとダミー人形を持ち上げてみてください。」

やってみますが動かない。

 「リフト 不能。 エラーナンバー 2」

 「リフト 不能。エラーナンバー 2」

 「リフト 不能」


「えっ? どうしたんですか?」

「奥行きですよ。」

「何?」

「アームの長さを超える物体は

 持ち上げることできないんですよ。」

「長さって どれくらいなんですか?」

「確か 70cmだったと思います。

 だから ルピナスVに殺人なんか

 できるわけないんですよ。そう言ってるでしょ。」

こういう落とし穴があったとは・・w

「いや。 いや。

 ちょっ。ちょっと 待ってください。 ねっ?

 いや。 たとえカウチが 駄目だとしてもですよ

 何か こう 台になる物体さえありゃ いいんですよね?

 それ。あっ。 テーブルだ。

 ああ。 このテーブル。犯人はですね

 ルピナスVを使って いったんテーブルの上に載っけて

 それで 持ち上げてまた 落とした。」

「テーブルに社長を横たえたとしたら

 何らかの痕跡が残るんじゃないでしょうか?」

「それは そうですよね。ちょっと 待ってください。

 他にね…。」

「芹沢さん。 もう やめましょう。」

「何 言ってんだよ?いまさら 引き下がれるかよ!」

「悔しいのは 分かりますけど。」

「悔しいとかそういう問題じゃないだろ!ほら。 他に…。」

芹沢をみつめる二人の視線・・。

「どうも。

お騒がせして申し訳ありませんでした。」


それを榎本に報告する純子。

「70cm?」

「そうなんです。

 重さは 300kgまで 大丈夫だって

確認してたんですけど

 奥行きまでは。

 芹沢さん ショックで魂 抜けちゃったみたいで。」

鍵をあけるいつものしぐさ!!

「あれ? もしもし。 榎本さん?聞こえてます?」

「僕も 今からそちらへ 伺います。」

社長室。

「社長は なぜ ルピナスVを社長室に置いていたんでしょうか?」

「わが社にとってシンボル的な 存在だからでしょう。」

「例えば 一人では持ち上げられない

  重たいものを動かすためだったとは考えられないでしょうか?」

「重たいもの?」

「ここに あるもので奥行きが 70cm以下の

 重たいものといえば答えは 限られてきます。」

「えっ?」

介護ロボットにキャビネットをもちあげさせ
下から手を入れる榎本。

「予想したとおりでした。

 隠し扉です。

 よりよい 介護のために技術の粋を集めて 作られた

 このロボットは 社長にとっては
 
 単なる フォークリフトの代用品にすぎなかったというわけです。」

「中身は?」

「空っぽです。6億円相当の 貴金属類は

 やはり 犯人に盗まれたようです。」

そのとき部屋に風が吹き込む音が。

『介護ロボットを犯行に使ったとしたならば

 その性能を 調べあげて計画に 組み込んだんだろう。

 すなわち ロボットにはロボットに

 できることをさせたということだ』

という芹沢の言葉を思い出す榎本。

「そうか。そうだったのか。」

鍵の外れるしぐさの榎本を
純子がものすごく頼もしそうな顔でみてる!!

「密室は 破れました。」

「ホントですか?」

「教えてくれよ。

 犯人 どうやって社長を殺したんだよ?」

「それはあした お話しします。」

「出たよ。久しぶりに 出ちゃったよ。

 俺が 苦手なやつ。どうして あしたなんだよ?

 今 言えよ!すぐ 言えよ! ここで…。」

翌日。

章のあとをつける榎本。

純子と芹沢はおとなしく事務所でお仕事。
気になって顔をだす芹沢。

「どうぞ。」

「連絡 あった? 榎本から。」

「いえ。 まだです。」

「かけてみても いいんじゃない?こっちから。」

「かかってきますよ。」

「そう。」

仕事で清掃中の章の前にあらわれた榎本。

「僕の情報を 警察に流したのはあなたですね?」

「何の話ですか?」

「あなたには 感心しましたよ。

 密室の解明に ここまでてこずったのは 初めてです。

 でも ようやく 答えを見つけることができました。」

「申し訳ありませんが

 何を言われてるのかさっぱり 分かりません。」

「では 分かるように説明しましょう。

 話は 少しばかり 複雑です。

 まず あなたは 窓拭きの最中に

 偶然 あるものを目撃しましたね。」

「あるもの?何ですか? あるものって。」

「社長が 部屋に隠し持っていた

 6億円相当のダイヤモンドですよ。

 あなたは 何とかしてそれを盗めないかと考え

 情報収集のために盗聴器を 仕掛けることにした。」

「仕掛けるっていったい どうやって?」

「清掃に訪れた際は いつも 屋上と内階段の ドアを開ける

 マスターキーを 警備員から渡されるんですよね?」

「ええ。」

「清掃の時間はたっぷり あります。

 仲間の清掃員が 作業している間に

 ビルを抜け出し 合鍵を作ることはじゅうぶんに 可能でしょう。

 その合鍵を使いあなたは 深夜の 役員フロアに侵入したんです。

 監視カメラは 夜間はセンサーで 作動する

 アラーム録画設定になっていたため

 人体から発する赤外線を ブロックする 素材。

 例えば アルミで全身を包んでおけば

 センサーをくぐり抜けることができます。

 そうして あなたは盗聴器を仕掛け

 時間をかけて 様々な情報を集めていったんです。」

「フッ。冗談でしょ?」

「残念ながら 本気です。集めた 情報というのは

 例えば 社長が 昼食後にコーヒーに 砂糖を入れて 飲むこと。

 社長のコーヒーだけは専用の粉を使って入れられること。

 毎日 必ず食後に 仮眠を取ること。

 そしてダイヤが どこに隠されているのかということ。

 あの音を 耳にすれば 隠し場所を推測するのは

 それほど難しくはなかったでしょう。

 ついにダイヤを 奪うときが来た。

 そう思った矢先に不測の事態が 起きました。

 社長が 狙撃事件を でっち上げ

 警備システムがさらに 強化されることになってしまったんです。

 だから 僕が システムの工事に取り掛かる前。

 つまり 事件前夜にダイヤを盗みだし盗聴器を

  回収したんですね?」

芹沢と純子。

「かかってきませんね。」

「だから こっちから かけちゃえよ。」

「いや。 でも せかしちゃ 悪いし。」

「大丈夫だよ。どうせ 暇なんだからさ。

 かけちゃえ かけちゃえ。」

「おかけになった電話番号は現在 使われておりません。

 恐れ入りますが…」

「あれ?何だよ?」

章と榎本。

「学歴のない 一清掃員が そんなに 手の込んだこと

 考えつけると思いますか?

 もう 終業時間なんで帰らせてもらいます。」

「ダイヤを 処分しに家に帰るんですか?

 あなたが こっから 出てくなら

 僕は 警察に通報しなくてはなりません。

 あなたは 逮捕され アパートに

 家宅捜索が 入ることになります。」

「いいかげんにしてください。何の証拠があって そんな…。」

「数百個の ダイヤとなると隠し場所は 限られてくる。

 でも ホントはどこかに埋めてしまうのが

 一番 安全なんですが

 そうはできないのが 人間のさがです。

 どんなに 辺ぴな場所を選んで 

 どんなに 深く穴を掘っても

 誰かに 見つけられるんじゃないかと思うと

 夜も 眠れなくなる。

 だから どうしても 手元に置いておきたくなるんです。

 今 あなたが恐れているのは警察よりも

 火事や 泥棒でしょう。違いますか?」

「あんたどうかしてるんじゃないのか?」

「玄関脇の古い洗濯機のことですが。

 あれだけ 古いものだと

 盗まれる心配 ありませんよね?

 ダイヤの包みを 内槽と外槽の間に 押し込めば

 まず 見つかることはないし 取り出すのも 困難です。

 しかも 洗濯物を入れ水を ためておけば

 カムフラージュと 火災よけの一石二鳥になる。

 なかなかよく 考えたと思いますよ。」

「そんなの ありかよ?うちに 勝手に入ったのか?」

「一つだけ分からないことが あります。

 あのダイヤは 社長が横領したものですから

 たとえ 盗まれたとしても 公表することはできません。

 あなたも おそらくそれを 察していたはずです。

 では なぜ 大変な苦労をしてまで

 殺す必要が あったのでしょうか?」

「殺してない。俺は 殺してない。

 ダイヤを盗んだのは事件が起きる 前の晩だ。

 当日は あの部屋に入れなかった。

 社長を殺すことは 不可能だ。」

「いいえ。 可能です。」

「どうやって?どうやって 殺すんだよ?説明してみろよ!」

「ダイヤを盗みに入った夜に

 全ての準備は整えられていたんです。

 事件当日。 あなたは清掃開始の時刻より一足先に

  ビルを訪れ ゴンドラに乗って12階へ 降りました。

 昼食を終えた 社長は深い眠りに 落ちていた。

 コーヒー用の砂糖の中に 睡眠薬が仕込んであったからです。

 社長室に置かれた 介護ロボットは

 まだ 開発途中のため 

 市販の ラジコン用 コントローラーを使って動かしています。

 盗聴で 情報を仕入れていたあなたは

  コントローラーを持参しロボットに

 社長の体を 持ち上げさせ窓の すぐ内側まで運んでこさせた。」

「それで? ロボットに何をさせたっていうんだよ?」

「それだけです。

 介護ロボットには 介護ロボットにできることを やらせた。

 それで 十分だったんです。」

「フッ。はったりだな。

 あんた ホントは何も分かってないんだ。

 鎌をかけてるだけだろ?」

「なるほど。 よほど トリックに自信が あるようですね。

 まあ 無理もありません。僕も 風が吹いていなければ

 気付かなかったかもしれませんから。」

「風?」

「昨日の 強風です。

 社長室の窓は 防弾ガラスではめ殺しになっています。

 どんなに 強い風が吹いてもびくともしないはずなんですが。

 なぜか がたついていたんです。

 理由は すぐに分かりました。

 窓ガラスがほんのわずかだけ 可動するよう

 細工がしてあったんです。

 まったく 遊びがない状態では

 力が 通り抜けられないですから。」

「何 言ってんだよ?」

「デッド・コンボですよ。」

「デッド・コンボ?」

「ビリヤードで 最もリスクが 高いとされている

 コンビネーション ショットです。

 キューで突いた 手球はポケットに落とすターゲットの球に

 直接 触れることはなく その手前に 接している的球に

 当たるだけです。

 しかし 手球の持っている運動量は 的球を通り抜けて

 ターゲットへと 伝達される。
 
 これを 日本では即死コンビネーションと呼んでいます。

 社長の頭部は 窓ガラスの内側に押し付けられています。

 もし 外側から重量のある鈍器で ガラスを思い切り

  たたいたとしたらデッド・コンボと 同じ現象が

 起きるというわけです。

 ガラス越しに伝播した 衝撃は手術を受けたばかりの

 頭蓋骨には 致命的だった。

 ただし即死はしなかったようですが。

 その後 あなたは いったん屋上へ戻り

 後から やって来た仲間の清掃員と通常どおりに

  業務を開始した。

 そして 偶然 遺体を発見したように 装ったんです。

 ところが まだ わずかに意識が残っていた 社長は

 最後の力を振り絞りキャビネットに向かってはっていった。

 死の間際に至るまで ダイヤに執着していたんでしょう。

 あなたは 一瞬 遺体が消えたと思って

 焦ったんじゃないんですか?

 だから ゴンドラで上がっていくときに

 遺体を 見つけたんですよね?」

「どこにあるんだよ?そんな鈍器。」

「あのビルの屋上で大きな鈍器を 隠せる場所は

 1カ所しか ありません。

 給水タンクの中です。

 見つけましたよ。 あなたが使ったボウリングの球を。

 あなたらしくない落ち度でしたね。

 きっと 仲間の清掃員が来る時間になってしまい

 タンクに 投げ入れるしかなかったんでしょう。」

「そうだよ。俺が やったんだよ。

 何で 殺す必要があったかって?

 フッ。教えてやろうか?

 俺の目的はダイヤなんかじゃない。

 最初から あいつを殺すこと。

 復讐することが 目的だったんだ。」

「復讐?」

「あいつは 俺の親父を裏切った。

 共同経営が傾いたとき 会社の金を 持ち逃げして

 親父と おふくろを死に追い込んだんだ。」

清掃中に社長とぶつかってその顔をみて
驚いた章。

「殺して 何が悪い?」

「では 復讐計画の途中で

 ダイヤを発見したということですね?」

「あれは 予想外の出来事だった。

 どうせ 殺すなら ついでに あのダイヤも

 もらっておこうと思ったんだ。

 そうすれば 世界が変わる。

 新しい人生を始めることができる。

 ダイヤを 手にすればガラスの向こう側へ 行ける。

 高級な スーツを着て 磨きぬかれた 革靴を履いて

 金が無ければとても 手の届かないようないい女を

 口説くことだって できる。

 君のことは調べさせてもらったよ。

 君になら 分かるだろう?俺の気持ちが。」

「それでガラスは 越えられたんですか?

 復讐を果たしダイヤを 手に入れて

 あなたは 解放されたんですか?

 僕には そうは見えません。」

「君には どう見える?」

「前後左右。それから 上下まで

 ガラスに 囲まれているように見えます。

 僕は ガラスの箱に

 閉じ込められるのは ごめんです。

 たとえ 向こう側に行けないとしても

 自由で いたいんです。」


榎本の部屋をたずねていく純子と芹沢。

「榎本さん。 いらっしゃいますか?

 榎本さん?」

「青砥。」

「はい。」

「見ろ。」

「あっ。」

榎本の鍵コレクションがなくなっていました。

そこへ鴻野さんから電話。

「はい。 もしもし?」

「捜査1課の 鴻野です。佐藤 学が 自首してきましたよ。

 あっ いや。 椎名 章か。」

「自首?」

「復讐のために社長を殺したそうです。

 本人の供述どおり自宅の洗濯機からダイヤも 見つかりました。

 そうですか。ただ一つ 気になることがあるんです。」

「えっ?」

社長と話す芹沢たち。

「それで 久永さんはどうなったんですか?」

「ええ。 復職は認められませんが 依願退職扱いとして

 規定の退職金をお支払いすることにしました。

 横領の件は社長の従犯に すぎませんから。」

「そうですか。

 これからは社員と 力を合わせて 

 私が 新たな ベイリーフをつくっていきます。」

「微力ながら お力になります。」

「ありがとうございます。」

「榎本さんにも どうぞよろしく お伝えください。」

「はい。 伝えておきます。」

この副社長、すごく怪しい感じだったのに
ただのいい人だった。

純子と芹沢。

「あれから もう 3日ですよ。

 榎本さんどこにいるんでしょうね?」

そこに公衆電話から着信。

「はい。 もしもし?」

「すいません。連絡が 遅くなりました。」

「どうしたんですか!?心配してたんですよ!」

「榎本? 榎本か?」

「ちょっと 事情がありまして。」

「榎本! どこにいんだ? 」

「今!空港です。」

「空港?」

「 えっ?旅行にでも 行くんですか?」

「はい。臨時収入が 入ったもので。」

「臨時収入?」

「ああ。 ちょっと。」

携帯をうばう芹沢。

「おい。 榎本。聞きたいことが あるんだ。」

「何でしょうか?」

「椎名 章の部屋から 押収された

 6億相当の ダイヤのうち

 約 1億円分が ホワイトジルコン。

 つまり 偽物だったんだそうだ。」


「そうですか。」

「お前 まさか。」

「何のことでしょう?

 社長が 業者に

 だまされたんじゃないんですか?」


携帯を奪い返す純子。

「あの。旅行って どこに行くんですか?」

「さあ。」

「いつ 帰ってくるんですか?」

「さあ。

 フライトの時間なんで もう 行きます。」

「あっ。 ちょっ。ちょっと 待ってください。」

「では。」

電話がきれました。

「何だって?」

「さあ。」

「はあ?」


そして榎本のブラックなスマイル・・!!


なんと!!そういうオチなのか。
鍵マニアの密室マニアだけじゃなく
特技を生かした泥棒・・?!

続きが気になってしょうがない終わりかたでした。
スペシャルか映画をやる気満々にみえたけど
ほんとに泥棒なら続編とか難しいかな。

鍵オタクだけどいい青年にみえたのに・・
純子との仲もいいかんじになったときもあって
ほほえましく見守っていたのに・・
まじめを装った怪盗だったなんてあんまりだ(T_T)
最初からルパンみたいに実は鍵マニアの泥棒でーすと
わかってたら見方も違ってきたんですが
榎本信頼してただけに芹沢さん並みにショックでした。

犯罪の手口の推理があれほどお見事だったのも
そういう人だったからなのね〜。

殺人の手口はそんなのないないと思う
強引なものが多かったけど
大野君がまじめに推理していく過程を
みてるのは楽しかったです。
いつも長台詞おつかれさまでした。

芹沢さんのキャラは楽しかったし
だんだん影響されてた純子もいいコンビで
毎回楽しんでみることができました。

昨夜のショックは大きかったけど
一夜明けたらちょっと落ち着いたので
続編やるなら
キャラ変したクールで華麗な怪盗榎本でお願いします(^O^)



榎本径: 大野智 
青砥純子: 戸田恵梨香 
池端誠一: 風間杜夫 
日下部雅友: 堀部圭亮 
円山: 浜田晃 
水城里奈: 能年玲奈 
芹沢豪: 佐藤浩市
鴻野 宇梶剛士









2012.06.26 Tuesday 09:28 | comments(0) | trackbacks(14) | 
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