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ビューティフルレイン 第3話「…父ちゃん、アルツハイマーってなに?」

第3話「…父ちゃん、アルツハイマーってなに?」




 病気と向き合うことを決意した木下圭介(豊川悦司)は、
医師の古賀豊(安田顕)から受け取った生活の心構えや
注意すべき点などが書かれた冊子に従い、禁煙や
苦手なカボチャを食べたり、予定をメモに残すなどの
行動を始めた。いつもと違う行動をする圭介に
何か隠していると勘ぐる美雨(芦田愛菜)の追及に、
隠し事はしていないとごまかす圭介。
 小学校で美雨や新井小太郎(高木星来)ら生徒たちに
作文書きの宿題が出された。『私の宝物』という題で、
翌日に行われる授業参観で発表する作文と聞いて、
美雨は何を書けばいいのか困惑する。同じ頃、
「中村産業」に、数日前に圭介が打ち合わせを
すっぽかしてしまった取引先から注文が入った。
ただし、翌朝までに大量に納品しなくてはならず、
全員気合いを入れてのハイペースな作業が続く。
途中、工場に西脇アカネ(中谷美紀)あてに、
夫の西脇拓哉からの荷物が届いた。受け取った
アカネはさっさと自分の部屋に戻ってしまい、
何も聞けない中村富美夫(蟹江敬三)と千恵子(丘みつ子)は、
心配をする。
 作業の合間で美雨と夕食を食べていた圭介は、
翌日の授業参観はスーツで決めて行くと宣言しつつ、
今夜は仕事が遅くなるから先に眠っているように話す。
素直にうなずいた美雨だが、宿題の作文がいまだに書けず、
自分の部屋に戻ると白紙の原稿用紙を前に頭を悩ませる。
一方、荷物を開封したアカネの手にはアルツハイマーの
本があり…。




「よし 一服するか。」

と煙草をとりだす圭介ですが
あわててゴミ箱にポイ・・
だけどまたとりだした。

「いやいやいやいやいやいやいや。」

「おはよう。」

「おう 美雨 おはよう。」

「何してんの?」

「うん 何も。」

「これ何?」

テーブルの上に紙がありました。

「早寝早起き 適度な運動正しい食生活 禁煙」

「禁煙?」

「うん。」

「また?」

「またって言うな。

 今度こそ 絶対に禁煙する。」

「何で?」

「それは たばこは体に悪いからに決まってるじゃないか。」

「今まで何回 禁煙するって言った?

 どうせ また すぐ吸っちゃうって。」

「今度こそ 絶対の絶対だ。」

「ふ〜ん。」

その紙を壁にはりました。

「そういえば ゆうべ遅くまで本 読んでたでしょ?

 あれ 何の本?」

アルツハイマーの本。

「あれは 仕事の本だ。」

「仕事の本?」

「難しい 大人の 仕事の本。」

「ふ〜ん。」

「ほら〜 早く 顔 洗っちゃえ。」

「は〜い。」

そのすきに本を手にとって
もっと上にかくしました。

朝ごはん。

「あれ?」

「んっ?」

「何で?父ちゃん カボチャ嫌いじゃん。」

「好きになったんだ。」

「何で?」

「いや 何でって。」

かぼちゃをたべる圭介。
顔をしかめながら・・

「うまい。」

「大丈夫?」

「大丈夫。

 そうだ。小学校の参観日

 あした朝9時からで 間違いないな?」

「そうだよ。」

「9時から参観日と。」

「何それ?」

「これは父ちゃんの予定表だ。」

「何で急にそんなの付けんの?」

「いいから 早く食べちゃえ。」

「うん。」

「ほら 納豆 納豆。」

そこに病院の薬をみつける美雨。

「それ 何の薬?」

「これは…。」

わざとらしく咳をする圭介。

「父ちゃん 風邪ひいた?」

「ちょっとな。

 何だよ?」

「父ちゃん 美雨に何か隠してる?」

「隠してないよ。

 出た〜 ゴキブリ!」

とごまかそうとしました。

「どこ?」

「出た〜。」

「どこ?」

「大変だ。」

「ゴキブリなんかいないじゃん。」

「大変だ。大変だ〜!」

「ゴキブリなんかいないじゃん!」

外へでてしまいました。

「圭さん おはよう。」

「おう おはよう。」

「ゆうべ どうした?」

「どうしたって?」

「美雨ちゃんと。」

「ああ。

 ありがとうな おまじない。」

『アカネちゃんの言うとおりだった。』

『うん?』

『心を込めて ごめんなさいって言えば

  父ちゃんは絶対 許してくれるって。

 それが仲直りの おまじないだって』


「よかった。じゃ 仲直りできたんだ。」

「うん おかげさんで。」

「それとホントに大丈夫?」

「何が?大丈夫だよ。

 俺は 全然 大丈夫。

 さっ 仕事 仕事。」


小太郎と美雨。

「マルシタイマー?」

「確かマルシタイマーって書いてあった。」

「どんな本だ?」

「難しい大人の仕事の本だって。」

「水着の女の写真載ってなかったか?」

「たぶん ないと思う。」

「おかしいな。」

「小太郎 何だ水着の女の写真って。」

とおまわりさんの立花さん。

「あっあっ…おっ おはようございます。

 何でもありません何でもありません!」

「2人とも 遅刻するぞ。」

「はい いってきます!」

「いってきます! 」

「小太郎!」

学校。

「今から原稿用紙を配ります。

 あしたまでに作文を書いてきてください。

 作文は 参観日で発表してもらいます。」

「え〜!」

「作文の題名は『わたしのたからもの』」

「僕の宝物は戦車のプラモデル!」

「お姫様のお人形!」

「イチローのサイン!」

「誕生日に買ってもらった腕時計!」

「は〜い みんな静かに。」

「俺の宝物は金だな。

 世の中 結局金 持ったやつの勝ちだからな。」

「私の宝物。

 う〜ん。」

悩む美雨。

会社。

「おう みんなちょっと集まってくれ!

 黒塚工業さんから急ぎの仕事を頼まれた。」

「黒塚工業ってあっ こないだ 圭さんが。」

「あの黒塚工業がうちに仕事くれたんすか?」

「そうだ。」

「圭さんが打ち合わせに遅刻したのに?」

「ただし 大至急の仕事で 納期まで半端なく時間がない。

 あしたの朝までに角フランジを60個 納品する。」

「え〜!」

「もともとは相沢工業さんが請け負ったらしいんだが

 機械のトラブルで急きょ うちに回ってきたんだ。」

「いや 無理っすよ。あしたの朝までに角フランジ 60個なんか。」

「社長 そりゃ いじめだって。」

「仮に そうだとしても 黒塚工業はうちの大事な お得意だ。

 それに 今うちは仕事を選んでる場合じゃない。

 俺は このピンチをチャンスに変えたいと思ってる。」

「うまいこと言いますね。」

「死ぬ気でやれば何とかなる。

 みんなで力を合わせて頑張ろう!」

「はい!」

バレエ教室。

「6 7 8。はい いいです。少し休憩にします。

 お水 飲む人は飲んでください。」

「は〜い。」

「美雨ちゃん 今日いまいち元気ないね?

 何かあった?」

「菜子ちゃんの宝物って何?」

「宝物?作文の宿題が出たの『わたしのたからもの』って題で。」

「宝物か。私の宝物は あれかな

 お母さんが縫ってくれた浴衣。

 お母さんと お揃いの柄なの。お祭りになったら一緒に着るんだ。」

「ふ〜ん。」

職場。

「圭さん バレエのお迎え私 行ってきた方がいいよね?」

「もう そんな時間ですか。よろしくお願いします。」

「はいよ。 そいじゃ みんな晩ご飯は お迎えの後でいい?」

 まあ一応もう準備できてるけど。」

「のんびり飯なんか食ってる場合か!」

「え〜 進んでないの?」

「やってもやっても終わらねえんだよ!」

「私に言われても。」

「邪魔だからよ あっち行ってろよ!」

「だから ご飯は?

 こんな 無茶な 仕事

 最初から 引き受けなきゃよかったんじゃない。」

「仕事 選んでる場合じゃないってことぐらい

 お前だって分かってんだろ!」

「怒鳴らなくたっていいじゃないのよ ねえ圭さん。」

「ムネさん 秋生と一緒に先に飯 行っちゃってください。

 いいっすよね 社長?」

「ああ!」

「じゃあ お先です。」

「行こう。」

「美雨ちゃん どうする?そのままうちで食べさせちゃおっか?」

「朝カレー作って出たんで 帰ってきたら

 一緒にぱぱっと食べちゃいます。」

「そう じゃあ行ってくるけど

 何かやっとくことがあったら何でも言って。」

「じゃあ 後でスーツ持ってくんで

 アイロンお願いしていいっすか?」

「スーツ?」

「あっ そうか あした 美雨ちゃんの参観日だ。」

「はい。」

そこへ宅配便が届きました。

「ちは〜。お荷物 お届けに上がりました。」

「はいはい はい。はい ご苦労さん。重い。 」

「アカネ宛だ。」

「どっから?」

「ほら。」

アカネの夫からでした。

「アカネ〜?荷物 届いたよ。」

「は〜い。」

「拓哉さんから これ…。」

「ありがとう。よいしょ よいしょ。」

さっさとあがっていくアカネ。

「何が入ってんだろう?」

「荷物が届いたってことはやっぱり あれか。」

「あれって?」

「いや だから その…。」

「離婚?」

「いや いきなり そんな。」

「別居?」

「いやいやいやいや。」

「じゃ 何なのよ?」

「分からん。」

部屋で作文用紙を前に悩んでいる美雨。

「う〜ん。う〜ん。」

「美雨 ご飯にするぞ。」

「は〜い。」

「そういうわけで 今夜 遅くなるから

 1人で寝れるな?

 夜の お話は あした2日分まとめてするから

 それと 何かあったら 工場に呼びに来ていいから。」

「う〜ん 分かった。」

「あっ 父ちゃん あしたばっちりスーツ着てくから。

 父ちゃんのスーツ姿 見んの 久しぶりだろ。」

「うん。」

「そんな顔するなよ。

 仕事だから しょうがないだろ。」

「そうじゃないよ。」

「じゃあ どうしたんだ?参観日 楽しみじゃないのか?」

「作文の宿題があるの。」

「作文?」

「あしたまで。」

「そうか そりゃ大変だな。」

「ごちそうさま。」

「おう。」

「今から1人で集中するから

 絶対に部屋に入ってこないでね。」

「はい。」

「のぞくのも駄目。 分かった?」

「おい 美雨 『鶴の恩返し』か。

 お前は おつるか。 俺は与平か。

 ドアを開けたら美雨は鶴に変身してるのか?

 頑張れよ。 父ちゃんも頑張るから。

 おつるさん 聞いてます?

 与平は 工場に 行っちゃいますよ。」

「分かった!」

「いってきます。」

「あっ。

 いけね〜。」

薬を手にする圭介。

アカネあての荷物には
アルツハイマーの本。

メールを打つ秋生。

「わりぃけど 今夜 残業でデート延期 ハート」

「メールは黙って打て。しゃべるなら電話しろ。」

「「花火大会俺も浴衣で行くぜ」

「あのバカ女と浴衣で花火か。」

「バカ女って言い過ぎっすよ。」

「『割れ鍋に とじぶた』だな。」

「『割れ鍋に とじぶた』?

 ちょっ 意味 分かんないっす。」

「すいません。」

休憩おわり。

「再開するか?」

「やるか。」

「よし 頑張ろう!」

「はい。」

「頑張って。」はげます千恵子。

工場ではみんな仕事。
美雨は
なかなか作文がかけず。

「お茶 入ったよ!わあ ここまで できたんだ。」

「うん。」

「あとちょっとだね。」

「まだまだ…。」

美雨、ねむそう。

「よしラスト。」

「終わった〜!」

「やれやれだい。」

「みんな お疲れさん!」

「お疲れっす。」

「お疲れさん ありがと。お疲れさん。

 圭さん 圭さん お疲れさん ありがと ありがと。」

「お疲れさまでした。」

「さああとは納品の準備だけして 事務所で乾杯しよう。」

「はい。」

「俺 その前に ちょっと 美雨の様子 見てきます。」

「はいよ。」

「お疲れしたっ。」

「お疲れ。 」

「お疲れっした。」

「へい お疲れ。」

「いや〜 終わるもんすね。」

美雨は眠っていました。

「何とか終わったぞ。」


乾杯するみんな。

「お疲れさま。」

「取りあえず乾杯!」

「乾杯。」

「ああ うまい。」

「しかし よく間に合いましたね。」

「ここじゃなんだからさみんなで ちょこっと飲み行くか?」

「おっ いいっすねえ。」

「こんな時間から?」

「だから ちょこっとだよ。」

できた部品をみている圭介。

「あっ 圭さん こんなとこいたんすか。

 この後 みんなで1杯やりに行くんすけど 圭さんも行くでしょ?」

「行こうよ 圭さん。」

「いやっ 今夜はやめときます。

 あした…。」

「ああ そうかあした美雨ちゃんの参観日だったな。

 さすがに 二日酔いで参観日はちょっと まずいよな。」

「気にしないで行ってきてください。」

「じゃあ お疲れさん。」

「お疲れっした。」

「残念だけどな。」

「社長のおごりだもんね。ムネさん またホルモン 今日?」

「ホルモン ホルモン 3人前だ。」

圭介の手には部品が。

拓哉からアカネにメール。

「荷物 届いたか?
 
 もう一度 二人でゆっくり話し合いたいと思ってる」

ためいきをついてスマホをおくアカネ。

母は室内でトレーニング。

「ねえ。
 
 ねえ。お父さんたち まだ仕事?」

「えっ いやさっきまでやってたけど やっとこさ終わったんで

 みんなで飲みに行ったよ。」

「ふ〜ん。」

「何?」

「んっ?」

「お父さんに何か 話でもあるの?」

「いや 別に。」

「話があるんならお母さん聞くよ。ねえ どこ行くの?」

「うん ちょっと。」

「話があるんじゃないの?

 私 もう寝ちゃうよ?」

「おやすみ。」

「私も飲んじゃおっかな。」

つくった部品のチェックをしている圭介の
ところにアカネがやってきました。

「圭さん?

 何してんの?もう仕事 終わったんでしょ?」

「ミスがあった。

 このねじ25mmにしなきゃいけないのに

 45mmにしちまったんだ。

 だから もう一度カットして平らに磨かないと。」

「えっ?そっち全部?」

「うん。」

「だったら みんなでやれば?

 何で1人でやってるの?」

「もともと 俺が打ち合わせに遅刻したせいで

 やることになった仕事だし

 ここは俺が受け持ってたパートだから。」

「じゃあ あしたにすれば?

 疲れてるんじゃないの?」

「あした 美雨の参観日なんだ。」

「参観日。」

「だから どうしても 今夜中に終わらせなきゃ。

 あっ 社長や奥さん 秋生たちには内緒にしといてくれ。

 長いことやってて いまさら こんな単純ミスしたのかって

 愛想 尽かされると困るから。」

「何で そんな単純なミスを。

 もしかして圭さんが こないだ買ってた本。」

「あれは 人に頼まれたんだって。

 さっ 仕事 仕事。」

「私も手伝う。」

「いいよ。」

「圭さんのためじゃないよ。

 参観日 楽しみにしてる美雨ちゃんのため。」

「ホントに いいって。アカネちゃんには無理だから。」

「大丈夫 カットしたねじを 平らに磨くぐらい。

 え〜っと まずは 25mmと45mmに

 仕分けすればいいのね。

 ほら 圭さんもカット始めて。

 2人でやれば半分の時間で済むじゃない。

 さあ やろう。

 えっと。」

作業をはじめるアカネ。

「ありがとう。 後は 俺1人で。」

「何 言ってんの 最後まで付き合う。

 さっ やろう。」

「ありがとう。だから 圭さんのためじゃないんだってば。」

翌朝。

「圭さん 美雨ちゃん 学校。起こさなくていいの?」

「あっ!」

あわてておこしにいきました。

「美雨。起きろ 美雨。」

「んっ?何 その顔?」

「いいから早く。支度 支度。」

美雨をおくったあとまた工場へもどりました。

「アカネちゃん。」

「あっ美雨ちゃん 間に合った?」

「うん 何とか行った。」

「ああ よかった。」

そこへやってきた社長。

「圭さん。アカネ。何やってんだ!」

「お父さん。」

「社長。」

参観日。

「あっ 来た。」

「小太郎。」

「目立ち過ぎだぜ 母ちゃん。」

「アハハ。」

仕事を続ける圭介。

「圭さん もう行け 限界だ。」

「参観日 遅刻しちゃいますよ。」

「後は 俺らでやっとくから。」

「いや だけど…。」

「圭さん。早く行ってあげて。」

「もう少しですから 最後まで。」

「急ぐぞ!」

「はい!」

なかなかこない父ちゃんを心配する美雨。

「何やってんだよ 父ちゃん。」

自転車をとばす圭介。

「それでは 参観日の授業を始めたいと思います。」

圭介がおくれてはいってきました。
作業着姿のまま。

「すいません。」

つまずいてみんなに笑われました。

「すいません。」

美雨にVサイン。

「なんで?えっ?」

社長とアカネたち。

「じゃあ 夜中じゅう ずっと2人きりで?」

「うん。」

「何で言ってくれなかったんだよ。

 一言 言ってくれりゃ お前みんなで手伝ったのに。」

「だってお父さんたち 飲みに出掛けちゃってたじゃない。

 それに 圭さんだって誰にも知られたくなかったんじゃない?」

「そういや 圭さん 今まで あんな単純ミスしたことなかったのに。

 どうしちまったんだろうな。」

「疲れてたのよ 誰かさんが無理な仕事 引き受けるから。」

「俺のせいか?俺は工場を守るために仕方なく。」

「はいはい 分かりました。」

「何だ その言い方は!」

「何よ 分かったって言ってるでしょ?」

「分かってねえんだ お前は俺の苦労が!」

「苦労は 私だって同じでしょ。

 経理誰がやってると思ってんのよ。」

夫婦ゲンカがはじまってしまい
席を立つアカネ。

「」おい。 おい アカネ。 おい。」

「あっ ねえ朝ご飯 一緒に食べない?」

「後でいい。ちょっと寝る。」

「お前のせいだぞ。」

「あんたががみがみ始めるからでしょ 目 三角にして。」

「怒らすからいけねえんじゃねえかよ。」

学校。

「新井 小太郎さん。」

「はい!」

「お願いします。」

「はい。「『ぼくのたからもの』」「あらい こたろう」

 ぼくのたからものは ぎんこうのちょきんつうちょうです。」

「銀行の ちょ…。こっ こた 小太郎!」

「静かにしてください。

 ぼくはお年玉や おこづかいをもらうと

 お母ちゃんに たのんでちょきんしてもらいます。

 でも 時どき あずけた お金が

 ちょきんされてないときがあります。

 母ちゃん おねがいだから ぼくのお金をとらないで

 ちゃんと ちょきんしといてね。

 おわり。」

「ホントにもう何を考えているんだか。」

「どうも ありがとう。じゃあ 次は。」

そのときいびきがきこえ
圭介がたったまま寝ていました。

「美雨の父ちゃん 寝ちゃってるぞ。」

「お父さん?美雨ちゃんのお父さん。」

よばれてもなかなかおきない。

「父ちゃん。 父ちゃん。」

美雨がおこしにいきました。

「美雨!あれ?」

「しっかりしてよ  もう。」

「ごめん。

 すいません。 すいません。」

「じゃあ 次は木下 美雨さん お願いします。」

美雨はうつむいたまま。

「どうしたの?木下さん。

 木下さん。

 作文は?」

「書いてません。」

美雨をみつめる圭介。

学校がおわり親子で帰る生徒たち。
小太郎は母に頭を小突かれました。

「痛え。 痛っ。 あっ痛っ。」

「ハハ。」

教室で先生に挨拶をする圭介。

「先生。」

「ああ。」

「今日は 親子ともども ホントに すいませんでした。」

「あっ いえ。」

「言い訳しても仕方ないんですけど実は 昨日…。」

「木下さん?」

美雨が帰って行きました。

「美雨? 美雨。

 すいません。 また。」

美雨をおいかける圭介。

「美雨 待ちなさい。

 どうして ちゃんと作文 書いてこなかったんだ?

 ゆうべあんなに頑張ってたじゃないか。

 美雨。

 返事をしなさい 返事を。

 おい 美雨。」

美雨、いってしまいました。

「おい 美雨 いいかげんにしろ。」

「いいかげんにするのは どっち?

 参観日に汚い作業着で来て

 スリッパも忘れて

 その上 ぐうぐう寝ちゃうなんて信じらんない。

 スーツで来るって言ったくせに 父ちゃんの嘘つき。」

「確かに 美雨の言うとおりだ。

 父ちゃんが悪かった。 ごめんな。」

「駄目 許さない。」

「そんなこと言わないでくれよ。

 そうだ 父ちゃん これから

 ちょっと出掛けなきゃいけないんだけど

 後で お前の好きな たこ焼き買ってくるから

 2人で一緒に食べよう?」

「いらない。

 絶対 許さないから。

 父ちゃんなんか 大 大 大 大 大っ嫌い!」

「おい 美雨。」

「圭さん。」

アカネが美雨の様子をみにいってくれました。

「美雨ちゃん。

 ちょっといい?」

お茶をいれてあげるアカネ。

「はい どうぞ。

 圭さんね ゆうべ 寝ないでず〜っと お仕事してたの。」

「何で?」

「どうしても 今日の朝までに

 やらなきゃいけない お仕事があってね。

 ほら 朝美雨ちゃん 学校に見送った後も

 ぎりぎりまで お仕事して。

 だから 作業着で行かなきゃ 授業参観に間に合わなかったの。

 だからね ゆうべは 全然 寝てなくて

 それで つい居眠りしちゃったんだと思うよ。」

「アカネちゃん 何で知ってるの?」

「ずっと一緒にいたから。」

「夜中も?」

「そう ずっと。

 圭さんね カッコ良かったんだよ。」

「何が?」

「責任感を持って 最後まで諦めないで 

 一生懸命 頑張って。」

「だけど 父ちゃんこのごろ おかしいんだよ。」

「おかしいって?」

「急に たばこ やめるって言ったり

 嫌いなカボチャ 食べたり

 風邪もひいてないのに薬 飲んだり。

 何かあったのかな。」

「何かあったら

 美雨ちゃんにはちゃんと言うと思うよ。

 ほら 圭さん 美雨ちゃんのこと

 一番 大事に思ってるんだから。

 そうでしょ?」

「うん。」

圭介は受診。

「木下さん。」

「はい。」

「今日はお薬だけでよろしかったですか?」

「はい お願いします。」

「もう少々お待ちください。」

圭介は帰宅。
テーブルの上に薬の袋をおいたまま。
そこへアカネがやってきました。

「圭さん。美雨ちゃん一応 落ち着いたよ。」

「そう。ありがとう。」

「だけど他の人は ともかく

 美雨ちゃんにだけは

  ちゃんと言った方がいいんじゃない?」

「何が?」

薬をかくす圭介。

「圭さん…。

 アルツハイマー病なんじゃない?

 もし そうだったら

 薬 飲んでも完全には治らないんでしょ?

 まあずっと隠しておけるわけないし

 いつかは言わなきゃいけないときが来るんだから。」


本をこっそりみている美雨。
圭介は部屋に戻りました。

「ただいま。」

美雨はうつむいてすわっていました。

「美雨。」

「何?」

「父ちゃんな。

 たこ焼き買ってきたぞ。

 2人で食べよう。」

「これ何? 病気の本でしょ?

 父ちゃん病気なの?

 アルツハイマーって

 どんな病気なの?」


「どうってことないんだ。

 ちょっと 物忘れが 

 多くなる病気らしい。」


「物忘れ?」

「大丈夫だよ ちゃんと薬も飲んでるし。」

「じゃあ あの薬。」

「黙ってて ごめん。

 美雨に 心配かけたくなかったんだ。」


「薬を飲んでれば治る?

 ねえ 治るの?」


「治る。」

「ホント?」

「本当だ。

 ちゃんと栄養 取って 

 たばこもやめて 薬 飲んでれば…。

 すぐ治るって言われた。」


このときの表情をみてると泣きそう。

「何だ その顔は。

 父ちゃんは だいじょうブイ。」


「ホントに ホント?」

「だいじょうブイだって言ってるだろ。

 なっ 分かったか?


 分かったら ほら たこ焼き食おう。

 何だよ たこ焼き大好きだろ?」

「うん。」

「よし 今 お皿 持ってくるからな。」

「父ちゃん。

 大嫌いって言ったのは取り消します。

 ごめんなさい。

 それから眠いのに

 頑張って参観日に来てくれてありがとう。

 だけど 病気も治ってないのに

 寝ないで朝まで仕事するって

 どういうこと?

 今度からそういう無茶は

やめてください。」


「はい。」

ふりむいて返事する圭介も泣きそう。

美雨が眠ったあと顔をみつめる圭介。
ランドセルの中に作文をみつけました。

「『わたしのたからもの』

 木下 美雨

 わたしのたからものは父ちゃんです。

 わたしのお母さんは 

 わたしが生まれてすぐに

 しんでしまいました。

 だから 父ちゃんは 

 わたしが生まれてからずっと

  一人でわたしをそだててくれました。

 朝ごはんを作って せんたくをして
 
 そうじをして工場で はたらいて

 買いものに行って

 ばんごはんを作って

 それから 夜 ねる前には

 お話をしてくれます。

 わたしは父ちゃんがいなかったら

 生きてこれませんでした。

 だから わたしは父ちゃんに

かんしゃしています。

 わたしは 早く大きくなって

 父ちゃんの いろいろな

おてつだいをしたいです。

 そしてたからものの父ちゃんと

 ずっと ずーっと いっしょに

 なかよく くらしていきたいです。

 おわり』」


作文を読みながら涙を流す圭介。

『最後には 自分が誰か

 家族のことすら忘れてしまいます。』

という医者の言葉。
その場にすわりこんでひたすら涙。
作文を顔におしあてて声を殺します。

ベランダにでるとアカネに声をかけられました。

「圭さん。

 ちゃんと話した?」

「言えなかったよ。

 治らない病気だってことは 

 言えなかった。

 アカネちゃん。

 神様っていると思うか?

 もし いるなら…。

 神様は 不公平だよな。」


手すりをこぶしでたたきます。

 「痛っ。 痛〜。」

「圭さん。実はね…。」

そこに電話の音。

「ごめん。何でもない。」

拓哉からでした。

「もしもし アカネ?来週 そっちに行くよ。」

「えっ?」




治らない病気っていうのもつらいけど
大好きな家族のこともわからなくなってしまうというのが
本当に残酷。
つらいつらい展開の中でこの工場の人たちが
みないい人ばっかりで救われる。
父ちゃん大好きのしっかりしら美雨の行動にも癒される。

でもつらい(T_T)






2012.07.16 Monday 17:07 | comments(0) | trackbacks(6) | 
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【ビューティフルレイン】第3話
アカネちゃん。 神様っていると思うか? もしいるなら…。 神様は不公平だよな。 「ビューティフルレイン」第3話          簡単感想のみで。 うん…本当に、神さまは不公平だ...
| ドラマ@見取り八段・実0段 | 2012/07/16 6:47 PM |
ビューティフルレイン #03
『…父ちゃん、アルツハイマーってなに?』
| ぐ〜たらにっき | 2012/07/16 7:35 PM |
《ビューティフルレイン》#03
食卓に並ぶ、大嫌いだったはずのカボチャ。それだけでもなんで?となるのに、禁煙(何回目)とまで書いてあり、それに、自分の予定までメモに書き入れ始めた。 美雨は、今までの父ちゃんとは違う!と感じていた。 風邪でもないのに薬の袋が置いてあって、せっせと飲んで
| まぁ、お茶でも | 2012/07/16 8:02 PM |
ドラマ「ビューティフル・レイン」 第3話...
父ちゃんは何かを隠してる---------!!勝負の3話目。今回の視聴率勝負の軍配はどっちへ!?ですね(^^)世間では子役対決も見もの・・・なぁんて言われてますけど。で、今回は私はこち...
| ◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆ | 2012/07/16 9:00 PM |
ビューティフルレイン (第3話・7/15) 感想
フジ系ドラマ『ビューティフルレイン』(公式)の第3話『…父ちゃん、アルツハイマーってなに?』の感想。 なお、本作を面白いと思った方、出演者のファンの皆さんは読むと不愉快になりますから、読まな...
| ディレクターの目線blog@FC2 | 2012/07/16 9:02 PM |
不幸せなのは忘れかけた男(豊川悦司)と忘れられる女(芦田愛菜)です。(中谷美紀)
メモか・・・メモすればなんとかなると思うんだよな。 記憶喪失の素人は・・・。 もちろん、若年性アルツハイマー病に限らず、記憶喪失にまつわる病は様々な症例の個人差がある。 なにしろ、健康な人間の記憶機能そのものが様々な個人差によって構成されているわけだし
| キッドのブログinココログ | 2012/07/17 1:57 AM |