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ビューティフルレイン 第11話(最終話)「私が全部おぼえているよ」

第11話(最終話)「私が全部おぼえているよ」



 木下圭介(豊川悦司)は、未来の美雨(芦田愛菜)のために
プレゼントを用意し、ボイスレコーダーに彼女への
メッセージを録音する。
 そんなある朝、美雨は、父ちゃんの夢は何なのか、
と圭介に問いかける。美雨が毎日元気に楽しく
大きくなってくれること、と答える圭介。すると美雨は、
父ちゃんが父ちゃんのためにしてみたいことはないのか、
と返す。もし何かしたいことがあるなら、自分が
叶えてあげたいのだという。美雨は、
返答に困っている圭介に、今日中に考えておいてほしい、
と告げた。
 同じころ、中村家では、富美夫(蟹江敬三)と
妻の千恵子(丘みつ子)がケンカをしていた。
急病で入院してしまったお祭りの実行委員長の代役を、
富美夫が勝手に引き受けてしまったのだ。
千恵子は、ことしはバザーの当番なのだから
飲食屋台を仕切ることになる実行委員長はできない、
と主張する。しかし富美夫は、一度引き受けたものを
断るわけにはいかない、と引かなかった。
結局、富美夫は実行委員長を、千恵子はバザー当番を担当し、
娘のアカネ(中谷美紀)が両方を手伝うということで何とか落ち着く。
 そんな中、圭介は、一緒に旅行に行くことが夢だ、
と美雨に話す。箱根で、どうしても美雨に見せたいものがあるらしい。
圭介は、その話を富美夫らに伝え、もし可能なら
今度の三連休に行きたいと相談する。富美夫や千恵子は、
不安を抱きながらも、それを了承した。




「ねえ 父ちゃん。」

「うん?」

「父ちゃんの夢って何?」

「父ちゃんの夢?」

「うん。」

「それは美雨が 毎日 明るく元気に

 大きくなってくれること… かな。」

「それだけ?」

「それだけって…。」

「もっと父ちゃんが父ちゃんのために

 してみたいこととか ないの?」

「何で そんなこと聞くんだ?」

「美雨は いつも 父ちゃんに

 色々してもらってるから 

 たまには 美雨が父ちゃんのために

 何かしてあげたいの。

 もし 父ちゃんに夢があるなら

 美雨が かなえてあげたい。」

「急に そんなこと言われても。」

「う〜ん。 じゃあ 考えといて。

 分かった。今日中だよ?」

「今日中?」

「うん。」

会社のみんなはお祭りの準備。

「よいしょ。」

「お祭りの実行委員長?」

「ことしの実行委員長は肉屋の孝君だったんだけど

 急に 盲腸で入院したらしくてさ 代役 頼まれちった。」

「まさか 引き受けたの?」

「困ったときはお互いさまだろ。 」

「えっ?」

「盲腸で入院してるやつに実行委員長が務まるか?」

「ことしはバザーの当番なのよ?」

「だから?」

「実行委員長は 断って。」

「男が 一度 引き受けたもん断れるか!」

「バザーの当番と 飲食屋台を仕切る実行委員長

 両方やれると思う?」

「どうしたの?」

「どうもこうもないわよ。」

「大丈夫だよ アカネにも手伝ってもらうから。」

「えっ?」

「駄目よ アカネには

 バザーの方手伝ってもらうんだから。」

「ちょっと待ってよ何の話?」

「ことしのお祭り。」

「アカネには俺の右腕として 実行委員長の

 補佐やってもらうんだ。」

「勝手に決めないでよ!」

「ちょっ 待って私 何にも聞いてないよ?」

「聞いてなくたって手伝うのは 当たり前だろ。」

「そうよ。 あんたこの町内の一員なんだから。」

「え〜?」

結局、この夫婦似てる・・。

「おはようございます。」

と顔を出す圭介。

「よっ。」

「どうしたんすか?」

その話を秋生たちにしながらしながら仕事。

「で 結局どうなったんすか?」

「社長が実行委員長

 奥さんがバザーの担当をそれぞれ やるみたいで。」

「アカネちゃんは?」

「何だかんだ 結局両方 手伝うみたいっすよ。」

「う〜わ 大変っすね。」

「大丈夫だよ。中村産業は

 毎年 焼きそば屋台担当してきたんだから。」

「焼きそばの屋台1つと屋台 全部

 それに バザーまで仕切んのは大違いじゃないっすか。

 ねっ 圭さん。あれ? どうしたんすか?」

「秋生 夢あるか?」

「夢?」

「俺の夢は 万馬券 取ってハワイに行くこと。」と宗田さん。

「ハワイ いいっすよね。」

「おっ 行ったことあんの?」

「あるわけないじゃないっすかテレビで見ただけっすよ。」

「何だよ。紛らわしいこと言うな。」

「すいません。で 夢が どうしたんすか?」

「んっ?いや ちょっと。」

海外の病院からの誘いに返信メールをうつ古賀先生。

「返信が遅れて申し訳ありません。

 アルツハイマー病研究チームへの合流の件ですが

 来月から お世話になります。

 被験者を同行するかについては 

 もう少し考えさしてください」

被験者候補は圭介。


何か思いついた圭介。

「そうか。そうしよう。」

「父ちゃん ご飯だよ。」

「美雨父ちゃん 決めた。

 父ちゃんの夢は 

 美雨と旅行に行くことにする。」


「旅行?」

「うん。

 どうしても

 美雨に見せたいものがあるんだ。」


「見せたいもの?」

「父ちゃんの夢 かなえてくれるか?」

「うん。うん。」

社長夫妻にも報告。

「えっ? 2人で旅行に?」

「はい。できたら 今度の3連休にでも。」

「2人きりで?」

「うん。」

「今度の月曜は 祭りだぞ。」

「ええ。だから 申し訳ないんですけど

 土曜に行って日曜には 帰ってこようかと。」

「じゃあいつもの焼きそば屋台は担当してもらえるんだな?」

「もちろんです。」

「圭さんの焼きそばうまいんだよ。」

「焼きそばは いいけど 大丈夫なの?」

「細かく予定表も作って

 旅先からマメに 連絡を入れますんで。」

「お願い 父ちゃんと2人で行かせて。」

社長夫妻とアカネ。

「気持ちは 分かるけどホントに大丈夫かな。」

「う〜ん。旅先で もし 何かあったらねえ。」

「うん。」

「だけど圭さんの気持ちも考えると…。」

「えっ?圭さんの気持ちって?」

「今のうちに 美雨ちゃんと2人で

 楽しい思い出を

 つくっておきたいっていうことなんじゃない?」

「あ〜。」

「なるほどな。」

美雨と圭介。

「箱根?」

「うん。」

「そこに見せたいものがあるの?」

「そうだ。」

「見せたいものって何?」

「それは行ってからのお楽しみ。」

「ん〜 いいじゃん 教えてよ。」

「ほら もう寝ろ。

 おやすみ。」

「おやすみなさい。」

圭介をたずねてきた先生は
祭りの相談をするみんなが目に入りました。

「じゃ こうしよう。俺と圭さんと2人で焼きそば

 秋生は 射的に綿菓子。」

「ちょっ待ってくださいよ何で そっちは 2人で1つで

 こっちは 1人で2つ やんなきゃいけないんすか?」

「だって しょうがねえだろ人手不足なんだから。」

「じゃあ 私が圭さんの焼きそば 手伝うから

 2人で射的と綿菓子 担当すれば?」

「何 言ってんのよ バザーも人手不足で困ってんのよ。」

「じゃあ 俺が 焼きそば やりながら 

 時々 バザー 手伝いましょうか?」

「いいの 圭さんは慣れてる焼きそばだけで。」

「いや だけど このままじゃいつまでたっても

 担当 決まらないじゃないっすか。」

「待てって。俺が 今 話 まとめるんだから。

 秋生 わがまま言わないで射的と綿菓子 両方やれ。」

「1人で2つは 無理っすよ。」

「圭さん1人にするわけいかねえだろ。」

「じゃ ムネさんやってくださいよ

 俺が 圭さん 手伝いますから。」

「よ〜し 分かった!俺が実行委員長やりながら

 圭さんの焼きそばを手伝う。これで どうだ?」

「あの 焼きそばぐらい1人で大丈夫ですから。」

「圭さんは 黙ってろって。俺が 今 話 まとめてんだから。」

「ムネさんが黙った方が話 早く まとまるんすよ。」

「何だ この野郎!」

「何すか ちょっと!」

「何だよ!」

そのときアカネが先生に気付きました。

「先生。」

「どうしたんですか?」

圭介と話す古賀先生。

「アメリカに?」

「はい。新薬の開発チームに参加してみないかって

 ずっと 誘われてたんですが
 
 ようやく 決心がつきまして。」

「新薬って…。」

「アルツハイマー病の新薬です。

 アメリカで 根治を目指している

 チームがありまして もちろん 簡単にいかないことは

 分かってるんですが 参加してみようかと。」

「そうですか。」

「ですから今月いっぱいで病院の方は…。

 木下さんの担当は

 信頼できる後輩に託しますのでご安心ください。」

「それを伝えるために わざわざ?」

「実は気になってたんです。

 木下さんと美雨ちゃんが 皆さんと

 どんなふうに暮らしてるのか。

 正直 親戚でもない人たちと同居すると聞いたときは

 少し驚きました。

 ですが ここに来て分かりました。

 中村産業の皆さんは 木下さんにとって
 
 本当に 家族 同然だったんですね。

 実は私の兄が 木下さんと同じ病気だったんです。

 さっきの皆さんを見て 自分たち家族も

  あんなふうに前向きに

 兄を支えてやれたらよかったのにって

 いまさらながら思いました。

 木下さんのように頑張ってる人を

 1人でも多く救うために

 アメリカで頑張ってきます。

 新しい薬の開発に成功したら 

 真っ先に連絡しますから。」

「ありがとうございます。」

そこへ入ってきたアカネ。

「失礼します。

 あの 母が こちらを。あっ 今 お茶 入れますね。」

「あっもう おいとましますのでどうぞ お構いなく。」

「あっ 父がもし よろしければ 

 お食事でも ご一緒にと…。」

「ありがとうございます。

 皆さんにもよろしくお伝えください。」

「先生も頑張ってください。」

先生が帰って行きました。
ベランダで話すアカネと圭介。

「できるといいね新しい薬。」

「できたらいいな。

 だけど 俺は 今できることを

 毎日 精いっぱいやっていくしかないから。」

「うん。」

「悪くないね。こっち側からの景色も。」

「うち 禁煙だよ?」

「たばこ やめたもん。」

「ホントかよ。」

「ホントだよ。」

そこへ美雨帰宅。

「ただいま!」

「おう おかえり。」

「美雨ちゃん おかえり。」

「あれ?アカネちゃん どうしたの?」

「旅行の荷造り手伝ってあげようかなと思って。」

「ホント?父ちゃん 早く 荷物 準備しよう。」

「おう。手帳に予定表も書かなきゃな。」

「うん。早く。 早く早く。」

「はいはい。」

そして旅行へ出発。

「じゃあ いってきます。」

「いってきマンモス。」

「気を付けてな。」

「ホントにマメに 連絡 入れてね。」

「はい。」

「あ〜 でも やっぱ 心配だな 

 俺 ついて行こうかな。」

「よけい心配だよ バカ。」

「ひどい。」

「じゃ。」

「いってらっしゃい。」

「いってきま〜す!」

「はい。」

見送るみんな。

「楽しい思い出たくさん できるといいねえ。」

「2人で旅行するなんて

  これが最後かもしれねえもんなあ。」

バス停で待つふたり。

「う〜ん。来ないね。

 電車の時間 間に合う?」

「うん。まだ じゅうぶん間に合うよ。」

「よかった。」

通りがかりの中学生カップル。

「昨日ね友達んちに行ったんだけどね

 エレベーターに挟まれた。」

「エレベーターに挟まれたの?」

「そう 顔を出したときにバンッて。」

「顔 出したの?」

「そう 顔 出したとき…。」

そのカップルをみながら圭介の書いた手紙の朗読。
二人で電車に乗りました。

『15歳の美雨へ

 美雨 誕生日おめでとう。

 15歳といえば 中学3年生

 美雨にもそろそろ

 好きな男の子ができるころですね。

 美雨がどんな男の子を好きになるのか

 すごく気になるけど

 実際に その男の子を見たら

 父ちゃんは嫉妬してしまうかもしれません。

 でも誰かを好きになるというのは

 とても すてきなことです。

 恋をするとドキドキしたり わくわくしたり

 胸が締め付けられそうになったりします。

 だけど美雨が好きになった相手が

 必ず 美雨のことを

 好きになってくれるとは限りません。

 時には 失恋して 傷つき

 泣きたくなる日もあるでしょう。

 だけど 美雨には 傷つくことを恐れないで

 いつも 自分の気持ちに

 正直に生きていってほしいです。

 どんなときも 自分に正直に生きていれば

 たとえ 傷ついても

 きっと 美雨の将来の

 役に立つと思うからです。』


美雨をじっとみつめている圭介。

「何?」

「楽しいか?」

「うん!」


社長たちはお祭りの準備。

「ほこり 立つって もう。よ〜し。」

「はい ちょっと通るわよほら。」

「はい お尻 邪魔。」

「やっぱりついてった方が よかったのかな。」

「心配し過ぎだって。」

「まっ 箱根なんてね

 いざとなったら走って行けるんすから。」

「走って行ける?」

「ほら 大学生がよく お正月に走ってるでしょ。」

「時々 イノシシが出んだぜ箱根の山ん中は。」

「嫌だ ホント?」

「イノシシ注意って道路標識も あんだぜ。」

「え〜!」

小太郎と菜子ちゃんたちもきました。

「こんにちは!」

「バザーの商品持ってきたよ〜!」

「ああ ご苦労さん!」

箱根についた美雨と圭介。
バス停でバスを待つことに。

「ねえ 父ちゃん 喉 渇いちゃった。」

「何か買ってきてやろうか?」

「うん。」

「何がいい?」

「う〜ん。オレンジジュース!」

自販機はすぐそこ。

「よし。 じゃあ ここで待ってろ。」

「うん。」

だけど自販機を前にとまどう圭介。
美雨がその様子に気づきました。

「どうしたの?」

「これ…。

 どうやって買うんだっけ。」


ちょっと間があったものの笑顔で

「お金 貸して。」

と手を差し出す美雨。

「ここに お金を入れて…。

 オレンジジュースのボタンを押す。

 ほらね。

 よいしょ。おいしい。

 父ちゃんも飲む?」

「おう。 ありがとう。」

ため息をつきながらも一口。

社長たちは食事中。

「やっぱり 寂しいね。」

「何 言ってんだ。

 これまでは こうやって

 3人で食べてたじゃないか。」

「だけど…。」

そこへ電話。

「はい 中村産…。」

「あっ 圭さん? 無事 着いた?」

「うん。 さっき 旅館に。

 これから風呂にでも入ろうかと思って。」

「あ〜 よかった〜。」

「美雨ちゃんは?」

「元気だよ。」

報告おわり。

「無事 着いたって。」

「よかったねえ。」

「だから 言っただろ大丈夫だって。」

「自分だって心配してたくせに。」

ほんとにいい人たち・・。

「さて そうなると 

 アカネに ちょっと 話があるんだ。」

「えっ?」

「昼間 電話で信用金庫の理事長と話してたら

 お前の話になって…。働いてみないかって。」

「私が? 信用金庫で?」

「まっ 取りあえずは 

 臨時雇いっていう形になるそうなんだが

 ゆくゆくは正規雇用も考えてくれてるらしい。」

「工場の経理手伝ってもらうのは大助かりなんだけど

 あんただって  いつまでも

 こうしてるわけにいかないでしょ。」

「ちゃんと 第2の人生を踏み出すためにも

 いい機会だと思うんだけど どうだろう。」

「ありがとう 色々 心配してくれて。

 ちょっと 考えてみるね。」

「まっどうしてもって話じゃねえしな。」

「気軽に考えればいいからね。 」

「うん。」

ベランダで煙草をとりだして
やっぱり吸うのをやめたアカネ。

布団の上であやとりをする美雨と圭介。

「できた ゴム!」

「お〜 すごいな〜。」

「次は ほうき 教えて。

 それは また あした。

 今夜は そろそろ寝なきゃな。」

「ねえ 父ちゃん あした 見せてくれるものって何?」

「いいもの。」

「何?」

「まだ教えな〜い。」

「何で〜?」

「その代わり 父ちゃんのもう一つの夢

 教えてやろうか?」

「もう一つの夢?」

「美雨の 花嫁姿を見ること。」

「花嫁姿って?」

「美雨の結婚式だよ。」

「結婚式って どうやるの?」

「よし 教えてやる。 立て。

 いいか?

 花嫁さんの美雨は 父ちゃんと 腕 組んで

 バージンロードっていう赤い じゅうたんの上を

 歩いて入場するんだ。分かったな?」

「うん。」

「よし。

 美雨 結婚 おめでとう。」

「ありがとう。」

「そういうときは

 『長い間 お世話になりました』って言うんだ。」

「うん。」

ちゃんと正座する美雨。

「父ちゃん。

 長い間 お世話になりました。」

このとき しばらく間が・・。

「幸せになれよ。」

「うん。」

「皆さま お待たせいたしました。

 新婦の入場でございます。」

「よっ 待ってました!」

父ちゃんと腕を組む美雨。

「結婚行進曲」の音楽を歌うふたり。

「やっぱり 駄目だ。

 結婚式は 中止しよう。」


「どうして?」

「父ちゃん やっぱり

 美雨をお嫁に行かせたくない!」


「えっ?」

「父ちゃんは美雨を 一生 離さないぞ。」

「嫌だ 結婚式の続きやる。」

「駄目だ!」

「嫌だ!」

「どうしても結婚したいって言うんだったら。」

布団に美雨をおさえつける圭介。

「嫌だ〜!」

「どうだ 参ったか?

 お嫁に行かないって言え。」

「嫌だ!」

眠っている美雨をみながら
またまた圭介の手紙。

『18歳の美雨へ

 誕生日おめでとう。

 進路は もう決めましたか?

 18歳の美雨がどんな勉強をしているのか

 それとも もう社会に出て働いているのか

 残念だけど 今の父ちゃんには 分かりません。

 だけど 美雨がやってみたいと思ったことは

 全部 やってみたらいいと思います。

 相談にも乗ってやれなくて

 申し訳ないと思うけど

 美雨なら きっと 

 自分で自分の道を決め

 夢を持って

 生きていってくれると信じてます。』


翌朝、お祭りの準備中のアカネたち。

「うわっ! 嫌だ…。」

そこへ電話。

「ああ 出る出る。

 はい 中村産業でございます。

 あっ 圭さん!おはよう。」

「おはよう。」

「おはようございます。今から 旅館 出ますんで。」

「あっ じゃ 芦ノ湖 回って
 
 電車 乗って 帰ってくんのね。」

「芦ノ湖 出るとき また電話します。」

「じゃ 電話 待ってます。」

「気を付けてね〜。」

報告おわり。

「よし 行こう。」

「芦ノ湖に行くの?」

「そうだよ。」

「そこに美雨に見せたいものがあるの?」

「しょうゆうこと。」

橋を渡るふたり。

「わあ。」

「美雨 走るな 危ないぞ。」

さっそく転んでしまいました。
「わあ!」

「美雨!」

美雨にかけよったときに
啓介の手帳が川に落ちてしまいました。

「あっ。」「あ〜!」

拾えず・・。
「ごめんなさい。

 大事な手帳だったのに。」

「気にすんな 大丈夫だよ。」

石に座る圭介。

「父ちゃん。」

「美雨。

 父ちゃん どこ行くって言ってた?」

「芦ノ湖だよ。

 芦ノ湖に行くんだよ。」

「芦ノ湖 行って何するって言ってた?」

「美雨に見せたいものがあるんだよ。」

「見せたいもの…。」

「忘れちゃった?」

「忘れちゃった。」

「芦ノ湖まで行けばきっと 思い出すよ。」

「次のバスまで1時間以上あるな。

 どうする?」

「歩いて行こう。」

「美雨 大丈夫か?」

「だいじょうブイ!」

社長夫妻はまた準備。

「射的だな。」

「そろそろ芦ノ湖に着いたころかなあ。」

「イノシシに出会ってなきゃな。」

「やめてよ もう。」

「ヘヘッ。」

そこへアカネ。

「昨日の話よく考えてみたんだけど。」

「おお 信用金庫の話か?」

「お断りさせてもらってもいい?」

「まあ そりゃ 構わんけど。」

「どうして?」

「ちゃんと勉強してみようと思って。」

「勉強?」

「介護福祉士を目指してみようと思うの。」

とテキストをみせました。

「『介護福祉士』」

「そっか。」

圭介と美雨。

「だいじょうブイ。」

美雨をおんぶ。

「よし。 ほら。

 乗ったか?」

「うん。」

「よし。」

そのとき、晴れているのに雨が
ふりはじめました。

「あっ 雨だ。

 奇麗な雨だね。

 父ちゃん?」

妻との会話を思い出す圭介。

「こんな奇麗な雨 初めて見たよ」

「『美しい雨』って書いて「美雨」は?」

「美雨か。」

「うん。」


「思い出した 父ちゃんの夢。」

「何?」

「美雨と一緒に 

 美雨の生まれた場所に行くんだ。」


「美雨が生まれた場所?」

「うん。」

「病院じゃないの?」

「行こう。」

湖がみえました。

「湖!あれ 芦ノ湖?」

「うん。」

「早く行こう!わ〜!」

湖を嬉しそうにみつめる美雨。
ふたりならんですわります。

「父ちゃんが ママちゃんに

 プロポーズした場所なんだ。」


「プロポーズ?」

「父ちゃんとママちゃんが

 ずっと一緒にいようって 

 約束した場所を

 どうしても美雨に見せたかったんだ。」


「それが ここ?」

「父ちゃんは 

 ママちゃんが大好きだったから

 ずっと一緒にいたいと思った。

 ママちゃんも 父ちゃんのことを

 好きになってくれて。

 だから 美雨が生まれた。」


「2人とも大好きだったから?」

「うん。

 美雨が生まれた日

 父ちゃんとママちゃんは

 うれし過ぎて泣いちゃったんだ。」


「大人なのに?」

「うん。

 そのとき 父ちゃんは

 この子に出会うために

 今まで生きてきたんだって思えるぐらい

 幸せだった。

 命に代えても この子 守りたい

 守っていこうって決心した。

 その気持ちは今でも変わっちゃいない。

 美雨が初めて立った日

 初めて歩いた日

 父ちゃん 本当に幸せだった。

 美雨は 父ちゃんとママちゃんの愛の結晶だ。

 誰よりも愛されて生まれて

 今まで育ってきたことを…。

 忘れないでほしいんだ。

 これから先 悩んだり 苦しんだり

 時には 泣きたくなるぐらい

 悲しい気持ちになることもあるかもしれない。

 そんなときは ここに来て

 思い出してほしいんだ。

 美雨は1人じゃないってことを。

 世界で 一番愛されて

 生まれてきたってことを。

 それさえ思い出せば

 美雨は きっと また頑張れる。

 前を向いて歩いていける。

 たとえ 父ちゃんが…。

 何もかも全部 忘れちゃったとしても。」


「大丈夫。

 美雨が 全部 覚えといてあげる。

 父ちゃんが美雨のことを忘れちゃっても…。

 美雨は父ちゃんのことを忘れないから。

 そしたら父ちゃんは

 いつまでも

 美雨の父ちゃんでいられるでしょ?」


このへんで涙腺崩壊した。

「美雨。」

「だから だいじょうブイ!」

美雨をしっかり抱きしめる圭介。


駅からまた電話報告。

「今から電車で こっちに向かうのね?」

「夕方には そっち着くと思う。」

「うん。」

「帰ったら すぐ祭りの準備 手伝うから。」

「美雨も手伝う!」

「じゃ 待ってるから。気を付けてね。」

「OK。」とみんなにOKサインをみせるアカネ。

「よかったね〜。」

「よかったな 無事でな。」

電車で眠ってしまった美雨に
上着をかけてあげる圭介。

「本日も特急ロマンスカーをご利用くださいまして

 ありがとうございます。

 デッキ お手洗いを含めまして全車 禁煙です。

 化粧室 お手洗いは3号車と8号車にあります。

 携帯電話はマナーモードに設定し…」


お祭りがはじまりました。

「はいいらっしゃい いらっしゃい。」

「秋生 どうだい?お客いねえな

 おい。もっと 呼びこめよ。」

「いらっしゃいませ! 安いですよ!

 いらっしゃいませ!」

美雨もよびこみをしていました。

「じゃあ…。」

「あっ は〜い。」

「まだまだ ありますよ!

 これ いいんじゃないですか?」

菜子ちゃんたちもいました。

「あっ いらっしゃいませ!」

小太郎も。

「母ちゃん!」

「何?」

「小遣い!」

「昨日 あげたでしょ。」

「え〜?」

「遊んでおいで ほら。」

「美雨あっち 行ってみようぜ。」

「駄目だよ 今 お手伝いしてるんだから。」

「いいよ美雨ちゃん 行っておいで。」

「いいの?」

「いいよ。」

「いってきます!」

「や〜 ご苦労さま。しっかり頑張ってくれよ。」

「ご苦労さまです!」

「社長!」

「おお ハーちゃん!」

射的をする美雨。

「やった やった やった!」

「おめでとう美雨ちゃん 大当たり〜!」

秋生は綿菓子やさん。

「いらっしゃい いらっしゃい 

 甘い甘い綿菓子は いかがっすか?」

「綿菓子1つ下さい!」

「1つ下さい!」

「おう 美雨ちゃん。」

立花さんもやってきました。

「ご苦労さまです。」

「ありがとう。」

「ああ ご苦労さまです。」

「立花さんご苦労さまです。」

「ご苦労さまです。」

圭介はやきそば。

「ありがとう。」

「ありがとうございます。」

「さあ 焼きそば いかがっすか?

 おいしい おいしい 焼きそば

 焼きたての焼きそばいかがっすか?」

「私も手伝う。」とアカネ。」

「おう。」

「はい。 」

「おいしそうだね。」

「うん。」

「いらっしゃいませ!

 おいしい おいしい 焼きそばいかがですか〜?」

「父ちゃん!」

「おお すごいな!」

「これ当たったんだよ!」

「カワイイじゃないか。」

「カワイイでしょ。」

「うん。」

美雨も父ちゃんのやきそばを食べました。

「うん おいしい。」

「うん うまい。 やっぱ圭さんの焼きそば 最高っすね。」

「やっぱりお祭りは いいよね〜。」

「ことしは実行委員長が いいからな。」

「あっ じゃ 来年は俺が実行委員長やろうかな。」

「無理 無理。」

「あっ 秋生君。」

「はい。」

「彼女は どうしたの?」

「ああ 何か あの…予定があるとか ないとか。」

「ホントに いんのか?」

「いますよ。」

「怪しいな。」

「何 言ってんすか勘弁してくださいよ もう。」

「全部 妄想だったりしてな。」

「この ほら吹き この野郎。」

どつかれたひょうしに
フランクフルトをおとしてしまいました。

「俺のフランク!フランク!」

そしてみんなで笑顔で記念写真。

「ムネさん もうちょっと中…。」

「そうかい?」

「はい。はい はい はい。

 はい。じゃあ 皆さん 撮りますよ!」

「は〜い!」

「はい ポーズ!」

「ブイ!」


最後も美雨への手紙。

『20歳の美雨へ

 美雨 誕生日おめでとう。

 大人になって初めての誕生日

 父ちゃんからのプレゼントは

 受け取ってくれましたか?

 もしちゃんと受け取ってくれたら

 それが おそらく父ちゃんから美雨への

 最後のプレゼントになると思います。

 美雨 初めて自転車の乗り方を

 練習したときのこと覚えてますか?

 小学校2年生だった美雨は

 転んでも転んでも 頑張って立ち上がり

 練習を続けましたね

 あのとき 

 父ちゃんが言った言葉を覚えてますか?

 何か困ったことがあったとき…

 どうしていいか分からなくなったとき…

 下を向いてばかりじゃ何も解決しません。

 自転車と同じように 前を向いて

 ゆっくり 少しずつでいいから前へ前へです。

 立派な人にならなくていい。

 お金持ちにならなくてもいい。

 今日も 1日 精いっぱい

 頑張ったなと思えるような

 あしたが来るのが楽しみだと思えるような

 そんな毎日を生きてください。

 もしも この世の中に神様がいるとしたら
 
 父ちゃんは たった一つだけ

 美雨を幸せにしてやってくださいと

 お願いします。』





笑顔いっぱいの素晴らしい終わり方でした。

始まる前は、父子家庭で二人きりなのに
父が若年性アルツハイマー・・
芦田愛菜ちゃんをつかって
視聴者を泣かせる気満々のドラマだと思ったし
実際、毎週毎週必要以上に愛菜ちゃんを
泣かせては視聴者の涙をそそろうとするのに
少々辟易しましたが、
そのうちそんなことしなくても
じゅうぶん泣けるうえに
心もあったかくなるお話になりました。

現実は甘くない、
でもこんなあったかい人たちが
どこかにいてもいいじゃないかと思わせる
中村産業の人たちや美雨の祖父母、
親身になってくれる先生。
父ちゃんを大好きな娘と
娘がなによりも大事な父ちゃん。

心から愛された記憶があれば
人は強く生きられると思うので
父ちゃんと母ちゃんの愛をしっかりうけとった美雨は
この先もすくすく成長していってくれるはず。
圭介が亡くなって両親がいないようなことになっても
毎年届く父からの愛情あふれるプレゼントと手紙、
そして芦ノ湖で父ちゃんからもらった言葉がある限り
美雨は幸せを感じられると思いました。

この世に神様がいるなら
できるかぎり圭介の病気の進行をおくらせて
この親子がなるべく長くいっしょにすごせますように
中村産業の人たちにも幸あれと一視聴者は祈ります。





2012.09.17 Monday 16:25 | comments(0) | trackbacks(4) | 
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【ビューティフルレイン】第12話 最終回と統括感想
たとえ父ちゃんが何もかも全部忘れちゃったとしても。 大丈夫。 美雨が全部覚えといてあげる。 父ちゃんが美雨のことを忘れちゃっても美雨は父ちゃんのことを忘れないから。 そしたら父ちゃんは、い...
| ドラマ@見取り八段・実0段 | 2012/09/17 7:06 PM |
ビューティフルレイン #12 最終回
『私が全部おぼえているよ』
| ぐ〜たらにっき | 2012/09/17 7:36 PM |
《ビューティフルレイン》最終話
洗濯物を干しながら、美雨が聞いた 「父ちゃんの夢って何?」 「『父ちゃんの夢』?」 「うん」 「それは美雨が 毎日明るく元気で 大きくなってくれること…かな」 「それだけ?」 「それだけって…」 「もっと 父ちゃんが父ちゃんのために したいこととかない
| まぁ、お茶でも | 2012/09/17 9:20 PM |
いってきマンモス!(芦田愛菜)お祭り、娘と二人旅、そしてビューティフルレインへ(豊川悦司)
今週末はお彼岸である。 暑さ寒さも彼岸までですから〜、そろそろお願いします。 最近の連続ドラマとしては全12回は長い方である。 淡々とよどみなく展開してフィニッシュ。 申し分のないドラマだったな。 まあ、豊川悦司と芦田愛菜の父娘、それを見送る中村産業の皆さ
| キッドのブログinココログ | 2012/09/18 4:28 AM |