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相棒 season11 第9話「森の中」

 第9話「森の中」



享(成宮寛貴)が瀕死の状態で病院に運び込まれた。
恋人の悦子(真飛聖)によると、享は悦子にキノコ鍋を
作るため山奥にキノコ狩りに出かけたらしいが、
なんらかの事件に巻き込まれたらしい。何者かに
激しい暴行を受け、意識不明のままで予断を許さない状況だ。
右京(水谷豊)は伊丹(川原和久)ら捜査一課と捜査を開始する。

 大けがをしている享を119番通報をしたのは女性。しかし、
自分の名前も告げず、公衆電話からの通報であることが
わかった。どうやら身分を知られたくなかったようだが、
ということは、第三者ではなく事件の関係者である可能性が
高い。右京は病院の看護師から受け取った享の指に
絡みついていた長い茶色の毛の鑑定を米沢(六角精児)に
依頼する。

 生死の境をさまよっていた享だが、幸いにもなんとか
意識を取り戻したのだが…。
 享はただ一つ、「鈴の音が聞こえる…」としか口にしない…。

 享から証言を得られなければ捜査を続けるしかない。
右京と伊丹らは享が発見された郊外の現場へ行き、
119番通報に使われた公衆電話を調べる。そこを糸口に
右京は独自の推理を展開、キノコ狩りとの関連から
森の中への捜索を開始する…

 享はなぜこれほどまでの暴行を受けたのか?
森の中で手がかりは見つかるのか…右京の名推理が光る!!





「救急患者 受け入れ要請。」

「容態は?」

「意識レベル JCS3桁。

 血圧 80の42。 脈拍 114。 呼吸 22。」

「了解」

救急車は病院へ。

「はい。」

「着きましたよ。わかりますか?」

「大丈夫ですか?」

「バイタルは?」

「血圧 84の40。

 脈 110回。 呼吸 浅く20回。

 サチュレーション酸素投与で90パーセントです。」

「呼吸状態が不安定ですね。」

「ああ。 胸郭動揺が認められます。」

「移すぞ。 1 2…。」「3!」

「はい 着きましたよ。はい 大丈夫ですよ。

 わかりますか? 病院ですよ。

 レントゲン 頭 胸 腹 骨盤 四肢!」

「はい。」

下に落ちた携帯電話がなりました。
拾おうとする看護師に

「放っとけ。」という荒木医師。

「先生 サチュレーション 下がってます。」

CT検査。

再びなる携帯にでる看護師のルミ。
電話をかけてきたのは悦子。

「もしもし?

 もう一体どこまで行っちゃったのかなぁ?

 享くんは。」

「あの… すいません。

 こちら 青梅市の中央病院なんですけども。」

「病院?」

重症患者はカイトくん。

病院をたずねてきた右京さん。
受付の男性はイヤホンで音楽をきいていて気づかない。

「失礼。

 お取り込み中… すみません。」

「うわっ!」

「 どうも。 先ほど 甲斐享が

 こちらに運び込まれたと聞いて

 やって来たのですが。」

「甲斐…?」

「享。」

「ちょっと待って。」

そこにルミがやってきました。

「ご家族の方ですか? 甲斐さんの。」

「いえ 家族ではありませんが関係者です。」

「私がご案内します。」

「ああ もうちょっとでわかるから待って。

 あった。 えーっと 今 ICU。

 東棟の…。」

「ふと思ったのですが あなたは

 この仕事には 向いていないかもしれませんねぇ。」

「ご丁寧にどうも。」

もう一度イヤホン。

重症のカイトくんをみつめる右京さん。

「こちらへ。」

「荒木です。 」

「どうも。警視庁の 杉下と申します。

 救急隊から通報がありまして こうして駆けつけました。

 で 彼の容態ですが…。」

「 ご家族の方に お越し頂いた方がいいかもしれません。」

「つまり それほど深刻だと?」

「我々も全力を尽くしますが…。」

カイトパパに電話。

「その事なら1時間ほど前に連絡を受けたよ。

 いや 僕は無理だ。

 これから大事な会合があるもんでね。」

「そうですか。」

「とにかく もういいね?

 ああ 万が一の事があったら また連絡くれたまえ。

 じゃあ。」

冷たい・・。

病院に悦子もやってきました。

「あっ 杉下さん。」

「カイトくんが警察手帳を所持していたので

 救急隊から警視庁に通報があったんです。」

「けがは ひどいんですか?」

「先生は 今夜がヤマだとおっしゃってました。」

「えっ…。」

悦子はショック。

「すいません…。」

カイトのもとへ。

「今日 彼は非番でした。

 どこで 何をしていたのでしょう?

 ご存じありませんか?

 救急車が 瀕死のカイトくんを収容したのは

 吹上街道沿いだそうです。

 一体 なぜ そんなところで…。」

「あとにしてもらえませんか!

 すいません…。

 ごめんなさい…。」

「出来る事ならば 僕も今はただ

 カイトくんの回復を祈っていたい。

 しかし そうも言ってられないんですよ。」

「さっき 杉下さん 通報っておっしゃいましたよね?」

「ええ。 これが単なる事故ならば

 通報ではなく 連絡という言葉が適切でしょうねぇ。

 救急隊から連絡があったというふうに。」

「事故じゃないんですか?」

「事件です。

 カイトくんはなんらかの事件に巻き込まれて

 こんな目に遭ったんです。」

かけつけた救急車。

「いたぞ!」「はい!」

伊丹さんたちが救急隊員から話をきいていました。

「通報どおりの場所に 

 甲斐享が転がっていたわけですか?」

「木の陰に隠されたような状態でした。」

「木の陰に隠された?」

「ええ。 ちょっと目につきづらい感じでした。

 夜ですし 普通に走っていたのでは

 見過ごしてしまうでしょうね。」

「救急車の到着前に発見されると

 ややこしいと思ったんですかね?」

「…かもな。」

伊丹さんの携帯に電話。

「あっ。」

ため息をついてでましたw

「はい 伊丹です。」

「杉下です。

 カイトくんの容態ですが 予断を許さない状況です。」

「そうですか…」

「そちらの 状況は?」

「今 救急隊員に 話を聞いてるところです。

 これから 吹上署に向かいます。

 ああ 警部殿もよろしければ どうぞ。」

「頃合いを見て お邪魔します。では。」

そこへ声をかけてきたルミ。

「ちょっといいですか?」

「はい?」

「はい。 これ あげます。」

髪の毛でした。

「おっ… これはまた奇妙なプレゼントですね。」

「何か手がかりになるかなと思って 取っておいたんです。」

「手がかり?」

「はい。指に絡みついていたんです。」

処置のとき。

「ちょっと痛いですよ。」

開いた手のひらにあった髪。

「放っておくと 洗い流されて 

 捨てられてしまうと思って…。」

「なるほど。」

「役に 立ちますかね?」

「ええ 大いに。」

「フフッ…。 私 いつも余計な事するなって

 叱られてばっかりなんですよ。

 もう 言われた事だけちゃんとやれって。」

「どうもありがとう。」

「はい。」

内村刑事部長と中園さん。

「精鋭を向かわせろと言ったはずだ。」

「しかし 伊丹たちもそれなりには優秀ですから…。」

「それなりでは困るんだよ 馬鹿者!

  もっと優秀なのがいるだろう捜査一課には。」

「それが あいにくみんな出払っておりまして…。」

「次長の息子が事件に巻き込まれてるんだぞ。

 他を差し置いてでも先に取り組む案件じゃないのか?

 モタモタと事件解決が手間取っていたら

 我々が とばっちりを受けるかもしれん。」

「それは もう重々承知しております。」

「わかってたら 可及的速やかに 事件を解決しろ。 いいな?」

「失礼します。

 まあ 大丈夫ですよ 杉下がいますから。」

「は?」

「杉下右京です。

  言われなくても捜査に参加するでしょう。

 それは当然です。

 部下が事件に巻き込まれたんですから。

 杉下なら 可及的速やかに

 事件を解決するでしょう。」


「貴様!」

「うちの精鋭が束になってかかるより

 杉下一人の方が役に立ちますから。

 ハハハハハ!」


「を言うか!失礼致します!」

「コラッ!」

メガネをたたきつける部長。

「勝手な事ばかり言ってんじゃねえよ!」

と廊下で毒づく中園さん。

吹上警察署で通報されたときの会話をきく
右京さんたち。米沢さんもいます。

「はい 消防庁です。火事ですか? 救急ですか?」

「救急です。 けが人がいます」

「場所をどうぞ。住所をお願いします」

「住所は…番地まではわかりませんけど

 吹上街道の毛呂美里辺りで…」

「交通事故ですか?」

「とにかく大けがしてます。救急車お願いします

 あっ 武蔵児童公園にある木の陰です」

「あなたのお名前は?」

「いいから救急車お願いします!」

通話がきれました。

「もしもし? もしもし!?」

「これが 消防庁から提出して頂いた通話記録です。

 お聞きのように 通報者はまず間違いなく女性です。

 しかし名前を名乗りませんでした。

 公衆電話からの通報だったために

 災害救急情報センターからの

 折り返しの電話も出来ず…。

 つまり いまだに誰が通報者なのかは不明です。」

「通報者が今回の件に関係のない第三者だとしたら

 名前言わないのおかしいっすよね。」

「だいいち 今時公衆電話なんか使わないぜ。

 それをあえて使ったって事は

 正体を知られたくないからだろ。」

「つまり 今回の件に関係している。」

「そう見て 間違いないだろうな。」

「しかし あの坊っちゃん なんで 毛呂美里くんだりに…。」

「それについてはひとつ 手がかりがあります。

 どうやら キノコのようですよ。」

悦子の話。
「今夜はキノコ鍋を作ってくれるって言って

 キノコ狩りに出かけていったんです。

 彼 結構そういうの こだわるんで。」

「キノコ狩り?」と伊丹さん。

「ええ。」

「この辺り一帯で キノコが豊富に採れるところってある?」

「ご覧のとおりの田舎で  

 森や林はいくらでもありますからね。」

「敷地を開放して キノコ狩りで商売してるところも

 何軒かあります。」

「とりあえず その辺をしらみ潰しに当たってみますか。」

「周辺の地図を用意して頂けますか?」と右京さん。

「はい。」

「けど まあ甲斐の意識が戻ってくれりゃ

 そんな事しなくて済むぜ。

 今は皆目 状況がつかめないが

 奴の目が覚めれば 一発で解決だ。」

「覚めりゃあな。」

「え?」

「ぶっちゃけ やばいんでしょ?」

「そうですねぇ…。」

「マジ 死んじゃうって事ですか?」

「担当の先生は 最悪の事態も想定した口ぶりでしたねぇ。

 あっ そうそう。手がかりといえば もうひとつ。

 これなんですがね…。」

「ああ はい。」

「これを調べてもらえますか?」

「髪の毛ですか?」

「ええ。 カイトくんの指に絡みついていたそうです。」

どこかの民家。
髪をといてもらっている女性。

「いい?」とはいってきたのは坂口。

「どうぞ。」と返事する伏木田真智子。

「何?」

「お嬢は間違ってると…。

 どうするんだ? これで全て台無しになっちゃったら。

 おやじさんが なんのために…。」

「わかってるってば!」

「どうわかってんのさ!?」

「だからって人殺しは嫌。」と長尾恭子。

「お前は黙ってろよ。」

そこへはいってきて

「鳴りやんだ。」と叫ぶ生方豊茂。

みんなは懐中電灯片手に外へ。
看板には「まろく庵」
林の中をすすむみんな。

病院ではカイトくんが目をあけました。

「甲斐さん?

 甲斐さん わかりますか?

  甲斐さん?甲斐さん わかりますか?

「甲斐さんちょっとまぶしいですよ。

 わかりますか?」

知らせをきいて病院にやってきた右京さんたち。

「これで詳細がわかるな。」

「無駄な捜査もしなくて済みますね。」

「意識が戻り容態も安定しましたので

 こちらへ移しました。」

「じゃあ 早速彼に話を聞きたいんですが

 よろしいですかね?」

「いや…。 無理ですね。」

「いや 手短に済ませますから。」

「いえ そういう事ではなくて…。」

「は?」

「そういう事じゃないって どういう事っすか?」

右京さんはカイトパパに電話。

「 もしもし。杉下です。」

「死んだのかね?」

「はい?」

「万が一の事があったら

 連絡してくれと言ったはずだが?」

「幸い 命は取り留めました。意識も戻りました。」

「無事だったら いちいち連絡してくれなくていいんだよ。」

「ですが 記憶を失ったようです。」

「なんだって?」

「記憶喪失ですよ。」

医師から説明をうけました。

「全生活史に及ぶ 逆行性健忘と診断しました。

 過去の記憶について 一切思い出せない状態です。

 自分の名前はおろか

 住所 職業 経験した出来事など何も思い出せません。

 前向記憶はしっかりしていますので

 意識を取り戻して以降の事は記憶しています。

 見当識も問題ありませんから

 今 現在自分のおかれた状況において 認識しています。」

「記憶喪失は頭のけがが原因ですか?」

「こちらですが脳にダメージはなく

 特に異常は認められません。」

「つまり 回復の見込みは十分あるという事ですね?」

「当然 見込みはあります。同じようなケースで

 1週間ほどで回復した例もありますから。

 ただ 治療法が確立されていませんので

 10年 20年かかる場合もあれば

 最悪は一生 記憶が戻らないという事も考えられます。」

カイト君の部屋に。

「警察官…?

 僕がですか?」

「これが君の警察手帳です。」

「『甲斐享』…。

 俺の名前は 甲斐享?」

「みんなは カイトって呼んでる。

 あだ名ね。」


「昨夜 君は ここへ瀕死の状態で運び込まれた。」

「聞きました 先生から。」

「最初はひき逃げを疑われたが

 けがの状態から 恐らく 君は何者かに

 暴行を受けたものと思われる。」

「フッ… ひでえ事するなぁ…。

 でも どうして?」

「俺たちも それが知りたいんだ。」

「すいません。」

「なんでもいい。思い出してくれないか?」

「何も…。

 ごめんなさい…。」

「謝る事はない。

 別に責めてるわけじゃないんだ。」


伊丹さんが優しい・・・。

悦子のほうを向くカイトくん。

「あなたも 警察の方ですか?」

「そうじゃありませんよ。

 こちらは 君の大切な人です。」

「大切な人?」

「ええ。」

「名前 教えてもらえますか?」

「笛吹悦子。」

「さて 行きますか。」

「行くって?」

「当てにしていたカイトくんの供述が

 得られなくなった以上

 独自に手がかりを探す他ないじゃありませんか。」

「そういう事だな。」

「警部殿には 何か当てでも?」

その4人をよびとめる悦子。

「すみません! 享が…!」

「鈴の音が聞こえる…。」

「鈴?」

「はい。 鈴の音が…。」

「どういう事かな?」

「わかりません。 でも 鈴の音が…。」

「鈴の音ですか…。」

ニワトリの世話をしている榊 大志。

「よいしょ。」

庭ではまきわりをしたりせんたくものをほしたり。

「ああ お嬢 冬二の奴 見かけなかったか?」

「ううん。」

「キョンは?」

「ううん。」

「いないの?」

「ああ。朝飯のあと 姿が見えねえんだ。

 どこ行っちまったんだ?あいつは。

 仕事 ほっぽり出して。」

「キョン 大丈夫か?」

「平気。」

「ああ…。」

「シゲさん…。」

「ん?」

「守りきれるかしら?」

「ああ… こうなりゃ守るしかないだろ。」

カイト君と悦子。

「僕は 普段あなたを なんて呼んでましたか?」

「悦子とか エッちゃんとか…。

 まあ… おまえとか てめえとか気分によって色々。」

「気分次第ですか…。

 でも てめえはひどいな…。フフフ…。

 どこで出会ったんですか?僕たち。」

「ああ… 夜行バス。

 マイアミ発 ニューヨーク行きの。」

「夜行バスで出会ったんですか?」

「そう。座席の事で もめたの。もう大ゲンカ。

 それが出会い。」

「初対面でケンカですか…。」

「うん。あっ でも それがきっかけで

 2人に恋が芽生えた。

 ロマンチックでしょ?」

「そうかなぁ…。」

「ん?

「フフフ…。」

「フフフ…!」

「ハハハ…!」

「家族はいないのかなぁ?」

「え?」

「僕 家族はいないんですか?

 誰も来てないみたいだけど。」

「お母さんとお兄さんは

 海外にいらっしゃるって言ってた。」

「父は?」

「お父さん?

 お父さんは…。」

「もういない?

 死んじゃった?」

「ううん。お忙しい 方だから…。

 ああ… あれだね。

 着替えとか取りにいってくる。そうそう そうする。

 おとなしくしててね。」

「この状況で騒げると思いますか?」

「ああ… だね。

 いってくる。」

カイトくんの部屋にはいってくる男。

「どちら様ですか?

 俺 今 記憶が…。」

「本当なんだね 記憶喪失って。」

「え?あ… すいません。お名前 教えてもらえますか?」

部屋からでていきました。

「あの…。」

そこへ角田さんたちもきてくれました。

「こっち…。」

「ええ。」

「ここ さっきも来たよ。いやいや そんな事ないでしょ。」

「この奥じゃないですか?」

さっきの男に近づいたのは夜間受付の人。

「兄さん。やばいよ これ 見えてるよ。」

ナイフをとりあげました。

「パクられちゃうよ。ちゃんと隠して持たなきゃ。

 俺が夜勤明けだった事に感謝しな。バーイ!」

角田さんたちが部屋にはいってきました。
「どうだ? 調子は。」

 いや いい わかってる。

 まず 俺たちが誰かわからないんだろ。

 まあ 記憶がないとこ見舞っても

 どうかとは思ったんだが

 案外 刺激になって ヒョイッと元に戻るかしらんと思って…。

 あえて やって来た。

 どうだ? 戻ったか?」

「…いいえ。」

「そうか…。 いや いい 気にするな。

 そんな簡単には戻らんよな。」

「すいませんが… どちら様ですか?」

「俺は 見てのとおりブルース・ウィリスだ。

 頭髪の具合がどう見てもブルースだろ。

お前 誰だ?」

「俺っすか?じゃあ ジョニー・デップで。」

「なるほど。 お前は?」

「ロバート・デ・ニーロで。」

「もう帰ってもらえますか。」

「どうだ こんな具合だが記憶は戻りつつあるか?」

そこへ今度は幸子が。

「どうも。

 ああ… お加減いかがですか?

 って どう見てもよくなさそうな方に お聞きしてる自分が

 マヌケでとっても嫌なんですけど。

 いかがですか?」

「ああ… 見てのとおりです。」

「ですよね。 すいません。

 ああ これ…私 持ってきたんです。

 カイトさんが… あっ すいません。

 よいしょ…。

 カイトさんがお好きなものばかりです。

  うちで召し上がってもらってるものばかり。

 食べたら 記憶がよみがえってくるかもしれないと思って。

 召し上がります?」

と重箱を近づけました。

「俺 まだ 食事が…。」

「そうですよね…。

 あらやだ どうしよう…。

 じゃあ においだけでも。」

「あの… 失礼ですが…。」

「あっ そうですよね。

 私は…。」

「あんた ひょっとして 月本…。」

「…幸子です。 」

「えっ?」

「あっ やっぱり 警察の方でしたか。」

「なんで あんたがここにいるんだよ?」

「こいつと どういう関係だ?」

「う〜ん…。説明すると長くなりますから

 省いてもいいですか?」

省かれた。

現場をみてまわる右京さんたち。

「かれこれ1時間 ああやってますよ。」

「いいじゃねえか 気の済むまでやらしときゃ。」

「警部殿の事だ 必ず何か見つけ出すさ。」

「収穫ありました?」

「まあ 収穫と呼べるかどうかはわかりませんが。」

「もったいぶらずに聞かせてくださいよ。」

「もちろん お聞かせしますよ。」

「僕 もったいぶってます?」

「警部殿…。」

「言葉の綾ですから 気になさらずに どうぞ。」

「では カイトくんが救急車に収容されたのが ここ。」

「この木の陰に隠すようにしてあったと。」

「119番通報をしたという公衆電話があそこ。」

「ええ 確認済みです。間違いありません。」

「つまり 通報者はあそこで電話をかけて

 瀕死のカイトくんをここまで運んだ。 どうやって?」

「えっ?」

「 おぶって運んだのでしょうか?」

「いやぁ 車でしょう。」

「ええ 僕も そう思います。

 仮に おぶって運んだのだとすると

 犯行現場つまり カイトくんが暴行を受けた現場が

 この ごく近辺でないと厳しい。」

「おぶって運んでくるとなると骨ですからねぇ。」

「はい。 ゆうべ この辺りを一通り調べた鑑識も

 犯行現場は 別の場所という見解でしたよね。

  僕も 鑑識の見解を支持します。

 つまり カイトくんは犯行現場から
 車で運ばれてやって来た。

 ここまでは よろしいですか?」

「ああ 結構です。 どうぞ。」

「さて せっかく けが人を車に乗せたのならば

 そのまんま 病院に担ぎこんだら

 よかったじゃありませんか。

 そう思いません?」

「いやいやいや…。

 だって 直接病院に運んだら面割れちゃうし。」

「ええ 通報者は身元を隠している節がありますね。

  わざわざ公衆電話を使ったのも

 それを裏づける行動のひとつでしょう。」

「ですね。」

「そこで 僕は通報者の気持ちを忖度してみました。

  けが人の命を助けたくて車に乗せたが

 身元は知られたくないから病院までは運べない。

 となると途中で救急車を呼ぶ事になるが

 携帯で呼ぶと身元が特定されてしまうから

 公衆電話を使うしかない。

 そういう気持ちで車を走らせていたとしたら

 真っ先に発見した公衆電話を使いませんかねぇ。」

「真っ先に?」

「言い換えれば犯行現場から最も近い公衆電話でしょうか。」

「はぁ〜。」

「ここで ひとつカードを切りましょう。」

「カードって?」

「我々が手がかりとして持っているカードです。
 
 すなわち キノコ狩り。」

「ん? あっ…。

 この公衆電話に一番近い

 キノコ狩りの出来る場所って事ですか?

 ヒットする可能性は高いと思いますよ。」

戻ってきた冬二。さっきの男。

「冬二!」

「ふーちゃん…。」

「どこへ行ってたんだ?」

「病院。」

「え?どっか悪いの?」

「馬鹿。

 あいつ 記憶なくしてた。」

「何言ってんだ お前…。」

「記憶喪失なんて幸いじゃない。」

「ねえ そうだろ?」

「でも ずっと記憶をなくしたままって保証はないからな。」

と三隅慎二。

「そうだけど…。」

「 当面 無事に過ごせるだけでも助かるじゃん。」

「どうやって 担ぎ込まれた病院を突き止めたんだ?」

「ゆうべ お嬢をつけた。

 そのあと救急車を追って…。」

「どうして また 今日病院になんて行ったの?」

「様子を見に行っただけだよ。」

「もしも記憶をなくしてなかったら

 どうするつもりだったんだ?」

「え?」

「様子を見ただけで帰ってきたか?」

「殺しに行ったくせに。」

「キョン…。」

「決まってるよ そんなの。」

「そもそも お嬢のせいじゃねえか!

 お嬢が仏心なんか出すからこんな事に…。」

「いいか 冬二!お嬢が助けたのは

 彼だけじゃねえんだぞ!俺たちもなんだ!」

回想。
ぼこぼこにされるカイトくん。

「お前なんかに邪魔させねえぞ!」

「うぉー!」

「やめて! お願い やめて!」

ととめにはいったお嬢。

「あん時お嬢が止めてくれなかったら
 
 俺たちは 人一人殺してたんだぞ!」

「わかったよ。

 あいつも俺たちも お嬢に救われたって事でいいさ。

 でも そのおかげで おやじさんが

 危険にさらされてんじゃねえか!

 いいのかよ それで?

 いいのかよ? お嬢! それで!」

「おやじさんはなんとしてでも守る。

 守らなきゃならねえんだ。」

部屋からでていく冬二。

右京さん達がまろく庵めざしていました。

「『季節には特にキノコが豊富です』

『まろく庵 この先』… と。」

「警部殿!」

「元気いいな まったく。」

まろく庵にやってきました。

「は〜い。」

「ごめんください。」

「どうぞ。」

「お邪魔します。」

「まろく庵というのはこちらですね?」

「はい。」

「我々 警視庁から来ました 捜査一課の 伊丹と申します。」

「三浦です。」

「芹沢です。」

「それと…。あれ?」

右京さんは外に。

「もう 何やってんすか?」

「いえ これです。

 こちらが馬ですね。そして こちらは鹿。

 面白いですね。」

玄関にほってある馬と鹿をいていると
生形がやってきました。

「はい。馬鹿です。

 あっ…ようこそ いらっしゃいました。」

「ひょっとしてまろく庵の「まろく」を漢字で表記すると 馬鹿。

 馬を「ま」と読み鹿を「ろく」と読むわけですか?」

「すなわち 馬鹿庵です。」

「しかし 馬鹿庵だと 語呂も体裁もよくないという事で

 読み方を変えてひらがな表記にして

 「まろく庵」としたそうです。

 いやぁ 亡くなった庵主の口癖が

 『小利口になるより大馬鹿になれ』でしたから

 そういった思いがこもってるのかもしれませんな。」

「なるほど そういう事でしたか。」

「あっ 気がつきませんで。よろしかったら中へ。

 お茶でも差し上げますよ。

  しかし 皆さんキノコ狩りという感じじゃないですな。

 そもそも 服装が…。」

「警察の方だそうよ。」

「ああ なんとまあ…お見逸れ致しました。」

「警視庁の 杉下と申します。

 杉下です。」

「で どういったご用件でわざわざ こんな森の奥まで?」

カイトくんの写真をみんなにみせました。

「知らねえな。」「知らないっす。」

「知らない。」

「見た事ないっすね。」

「いや…。

 存じ上げません。」

「そうですか。どなたも見覚えありませんか。」

「はぁ…。」

「ちなみに その方どうかなさったんですか?」

「暴行傷害事件の被害者なんですよ。

 場合によっては殺人未遂事件ですが。

 まあ いずれにせよ現在 捜査中でして。」

「キノコ狩りに来ていたところ襲われたようで。」

「キノコ狩りの出来る場所だったら

 この辺り いくらでもありますよ。」

「ですから しらみ潰しに当たろうかと。

 下手な鉄砲も数を打てば当たると言いますからね。」

「そりゃまあ お仕事とはいえ ご苦労な事ですな。」

「 実は その皮切りがここなんですよ。」

「はい?しらみ潰しの手始めに

 こちらへ お邪魔しました。」

「ああ そうですか。」

「数多あるキノコ狩りの出来る場所の中から

 まずは こちらを選んだんです。」

「なんだか謎をかけられているようですな。」

「それじゃあ 聞きましょうか。それは なぜ?」

「いくら下手な鉄砲でも

 一応は狙いを定めて撃つものですよ。」

「ハハハ… なるほど。ええ。」

「せっかくおいで頂いたんですけど

 どうも我々はお役に立ちそうもないですな。

 申し訳ありません。」

「そうですか。 じゃあ 失礼します。」

「ああ…お手洗いをお借り出来ますか?」

「はい。」

「こちらです。どうも。」

窓の外にある車を発見。
さらに勝手に部屋にはいりこみ
あちこち物色する右京さん。

壁にはてあるのは世界各地の災害や事故の
切り抜き。
写真立てにはいっている老人の写真。
そばにあった手書きの本もパラパラめくり
布につつんであった竹筒を手にし
双眼鏡のようにのぞいていると
真智子にみつかりました。

「杉下さん。

 こんなところで何なさってるんですか?」

「道に迷ってしまいましてね。」

「はあ?」

「お手洗いを出た途端 右と左が

 わからなくなってしまいまして

 フラフラしているうちに ここに。」

「警察の方って こういう事するんですね。」

「僕は 特に警察を代表しているわけではありませんから

 僕を基準に判断されても困るのですが…。

 どうか この件は 内緒に…。

  叱られてしまいますので。」

「皆さん お待ちかねですよ。」

「あっ…。

 この方が 亡くなられた 庵主さんですか?

 あなたの お父様でしたね?」

「そうですよ。」

「半年前に ガンで

 この世を去られたとおっしゃいましたね。」

「それが 何か?」

「あっ いえ…。

 失礼。 ああ… もうひとつだけ。」

「なんでしょう?」

「車を そばで拝見させてもらってもよろしいですか?」

「車?」

「外に止めてあるワゴン車です。」

「なぜですか?」

「何か不都合でも?」

外に出て車をみることに。

「ほら 壊れてる ここ。」

「事故でしょうかね。」

「ハンドルを切り損ねたんです。」

「あなたが?」

「ええ。」

「どこで?」

「下の道ですよ。」

「吹上街道?」

「ですね。」

「それは いつ?どの辺りでの事でしょう?

 ああ… いずれにしてもごく最近の事でしょうね。

 特にサビなども出ていませんし。」

「1週間くらい前だったかしら。

 場所はここから少し走ったところです。

 正確な番地までは わかりません。」

「1週間ですか…。

  湿気が多いと1日でサビが出たりしますが

 1週間サビが出ない。なぜでしょう?」

「そんな事…サビに聞いてください。」

「ホホホ…。」

「失礼。 なるほど。

 ハンドルを切り損ねた理由はなんでしょう?」

「急に タヌキが道を横切ったので。」

「タヌキ!?」

「この辺 多いんですよ タヌキ。」

「タヌキだ。それが どうかしたのかな?」と生形。

「車の中 拝見させて頂いてもよろしいですか?」

「断ります。

 調べたければ令状を持ってらっしゃい。

 ちゃんとした手続きを踏んだ捜査ならば

 どんな事にも協力しますよ。

 お帰りください。」

「失礼します。」

ひきあげる4人。

「当たりだな。あの声 間違いないだろ。」

「119番通報したのは あの女だ。」

「この辺 多いんですよ タヌキ。」

「俺も そう思いました。

 だからちゃんと録音しときました。」

「あの若い娘も気になるな。」

「茶髪の女か?」

「知らない。」

「カイトの指に絡まってたのは

 あの子の髪の毛かもしれませんね。

 それから 首の包帯。

 あれ 気になりますよ。ねえ 気になりません?」

「ええ 僕は 皆さんの見解を全て支持しますよ。」

「は?」

「ところで 皆さんは どっかで鈴の音を聞きましたか?」

「いえ 聞いてませんが。」

「聞いてません。」

「警部殿 聞きましたか?」

「いいえ 僕も聞いていません。

 カイトくんは この森のどっかで

 鈴の音を聞いたのでしょうかねぇ…。」

病院のベッドの上にカイトくん。
森の中の右京さん。

まろく庵。

「ねえ お嬢。

 私 怖いよ あの人。」

「え?」

「杉下って人。」




前半だけだと謎。
この人たちは家族でもなさそうだし
どういう団体なのか。
何かの宗教系?

キノコ狩りにきていただけなのに
どんなまずいものをみて
あんな目にあったのか。

怪我して記憶も失ったカイトくんに
みんなやさしくてパパ以外には
愛されキャラ。
トリオが特にかわいがってますなあ。





2012.12.13 Thursday 09:32 | comments(0) | trackbacks(5) | 
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