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相棒 season11 第10話「猛き祈り」

第10話「猛き祈り」



 何者かに暴行を受け、記憶喪失になってしまった享(成宮寛貴)。
やはり「まろく庵」の人間たちが享と関わりがあったことは
間違いなさそうだ。

 伊丹(川原和久)らは入院中の享に「まろく庵」の生方(山本學)、
坂口(ウダタカキ)、榊(相葉弘樹)らの写真を見せ、彼らが
全員過去に犯罪での逮捕歴があることを説明する。
そんな人間たちと享の間に何があったのか改めて質問するが、
享はやはり「鈴の音」以外は思い出せないという。

 一方、右京(水谷豊)は「まろく庵」周辺で聞き込みをする。
近くの商店の女店主の話では、生方と行動をともにする
真智子(柴本幸)の父・伏木田はガンを患っていたが入院もせず、
医師に往診してもらっていると聞いていたという。その女店主が
やせ細った伏木田を最後に見たのは、半年ほど前だったとか。

 伊丹らが家宅捜索令状をとり、「まろく庵」へ乗り込んだ。
右京も伊丹らに合流したそのとき、生方が「享を半殺しの目に
あわせたのは私です」と自供するのだが…。

 生方の不可思議な自供の裏に隠された驚くべき真実とは? 
窮地に陥った享を右京は鋭い推理で救えるのか!?




通報の女性の声と真智子の声をきく米沢さんたち。

「いいから救急車お願いします!」

「急に タヌキが道を横切ったので。」

「119番通報の声と 芹沢さんがお持ちになった

 音声サンプルを 声紋鑑定した結果・・・

 見事に一致しました。

 間違いなく同一人物ですな

 なんという女性ですか。」

「伏木田真智子。」

「美人ですか?」

「はい?」

「声だけ美人というのに さんざん

 がっかりさせられてますからな。」

「で 米沢さん。」

「えっ あっああ。

 これなんですけども 調べました。

 人毛です。
 
 間違っても タヌキの毛ではありません。」

「そうですか。どうもありがとう。」

カイトくんに話をききにいく伊丹さんたち。

「まろく庵・・」

「うん 名前の由来きくと

 けっこう笑えるんだけどさ。」

「いいよ。そんなことは。」

部屋からでていく悦子。

「そのまろく庵てのは もろみ里のはずれの

 けっこうな森の奥にある。

 庵主の伏木田辰也が

 森を丸ごと所有してて

 まあ 親から相続したものらしいが

 すいぶん前に その森の奥を切り開いて

 住居を建てたそうだ。」

「伏木田辰也は 半年前になくなってて

 今は一人娘の真智子が 

 家を継いでるんだけどね。」

「まあ とにかく そのまろく庵のある森に

 お前は キノコを採りにいったようだな。」

「キノコ・・?」

「これをみてくれ。」

「生方豊豊茂 71歳。

 保険金目的で 女房を殺し

 殺人罪で服役してた。

「榊 大志 26歳。過去にシャブで 実刑をくらってる。」

「で 次が ああ 三隅慎二 25歳。

 窃盗のマエがある。」

「で 最後が 坂口冬二。チンピラあがりで

 恐喝 暴行傷害 前科3犯だ。」

「こいつ ここにきましたよ。」

「何?」

「いつ?」

「昨日です。皆さんがかえったあと。」

「何しにきたの?」

「別に何も。俺がこんな状態だと知ると

 帰っていきました。」

「とどめ刺しに来たか。」

「え・・?」

「だが 記憶をなくしてたんで 引き返した。」

「記憶喪失で命拾いしたな。」

「今 まろく庵にいるのは この男たちと 女が2人。

 1人は 長尾恭子っていう
 
 和解茶髪の女の子。

 で もう一人は 娘の真智子。」

近所のお店でききこみをする右京さん。

「お葬式は 内内でやってあみたいよ。

 亡くなられたって

 娘さんがご報告に見えた時に

 そうおっしゃってたわ。」

「娘さんというのは 真智子さん?」

「そう 気立てのいい子よね〜。」

「伏木田さんは 亡くなる前

 病院にははいられなかったのでしょうかねえ。」

「はいらなかったみたいよ。」

「たしか ガンを患ってらしたんですよね?

 それなのに 一度も?」

「確か お医者さんに 往診に

 きてもらってるって言ってた。」

「ああ・・なるほど。」

「だけど 気の毒だったわよ。

 最後のほうなんか

 骨と皮だけみたいになっちゃって。」

「あっ 伏木田さんが亡くなられる前

 お会いになった?」

「ううん。見かけただけ。
 
森の中を歩く伏木田。

「もともと細い人なのに

 よりいっそう細くなっちゃって。」

「それは いつ頃のことですか?」

「ちょうど 去年の今頃かしらね。」

「つまり 亡くなる半年ほど前のことですね。」

「そう そう そう。」

右京さんも森の中へいってみました。

パトカーが何台もまろく庵へ。

「ご所望の令状 お持ちしましたよ。」

「これから この屋敷の捜索を開始します。」

「皆さんにももう一度 詳しくお話をうかがいますので

 よろしく。」

「昨日は うっかり忘れてたなんてことがあるかもしれないから

 もう一度お見せしましょう。

 本件の被害者 甲斐享。

 いいか 警察官傷めつけといて

 知らぬ存ぜぬで通ると思うなよ。」

「はじめるぞ。」

恭子に近づく芹沢さん。

「あとで、君の髪の毛をもらえるかな?」

「いくら出す?」

「俺 趣味でもらうわけじゃないからね。」

部屋の中の捜索開始。

「じゃ はじめますか。」

「はい。」

車の検証も。

「おい どうだ?」

「はい。 まだなんとも。」

真智子と恭子と生方。

「あなたには 少しつらい思いを

 させるかもしれないけど。」

「平気だよ。つらいのなんか慣れてる。

 だって この世の中に

 親に見捨てられる以上に

 つらいことなんてあると思う?」

「キョン・・。」

「私なんかより シゲさんの方が心配。

 もうおじいちゃんなんだし。」

「俺は大丈夫だ。

 他の連中に あとのことはよろしく頼むと

 伝えてくれ。」

右京さんもまろく庵にやってきました。

「どうも。令状がおりたようですね。」

「警部殿・・。ええ まあごらんのとおり。」

そこにでてきた生方。

「そろそろ 思い出しましたか。甲斐享のことを。」

「もう降参します。すべてを正直に申し上げます。」

「最初からそうしろよ。で・・?」

「彼を・・甲斐享さんを 半殺しの目にあわせたのは

 この私です。申し訳ないことをいたしました。」

「そのような真似をするのには

 それなりの理由があるはずですね。」

「はい もちろんです。」

「どんな理由でしょう?」

とびだしてくる恭子。

「襲われたんだよ 私。」

「はい?」

「襲われたんだよ 私!」

恭子を襲うカイト。

「いや!」

「おとなしくしろ。」

「何をしてんだーー!」

となぐりかかった土方。

「ああーー!」

「襲われてた私を シゲさんが助けてくれた。」

「これ 見てください。

 この子 甲斐享さんに首を絞められたんです。」

首をのぞきこむ伊丹さん。

「調べてもらってかまいません。

 この子の髪の毛が欲しいなら

 どうぞ持ってってください。」

「森で 甲斐享に襲われた。

 それを 通りかかったあなたが救出した。

 そういうことですね。」

「助けるためとはいえ やりすぎてしまったことは

 反省しています。あまりのことに

 頭に血が登ってしまいました。

 それに 怖かった。」

「怖かった?」

「相手は若い男です。私は年寄りだ。

 手加減なんかしたら 逆に 

 やられてしまうんじゃないかという

 恐怖がありました。

 だから 動かなくなるまで 夢中で・・。」

泣きだす恭子。

「すみません。キョン・・。

 大丈夫だから キョン・・。」

病院のカイトくん。

女性の首をしめたシーンを思い出しました。
そばには伊丹さんたち。

「どうした?」

「事実かもしれません。

 首をしめた 実感があります。」

「記憶が戻ったのか?」

「わかりません。

 他は何も思いだせないんです。

 でも確かに 茶色い髪の女の子の

 首を絞めた気がする。

 これって 俺の記憶ですか・・?」

「茶色い髪の女の子ですか?」

「今朝 俺 ここでいいました。

 長尾恭子は 若い茶髪の女の子だって。」

「なるほど。いずれにしても

 本当の記憶かどうか たしかめましょう。」

「あなたが 首をしめたという女性は この中にいますか?」

写真を指さすカイトくん。

「カイトくんの指にからまっていた毛髪と

 長尾恭子から提出してもらった毛髪を

 照合したところ ぴたりと一致しました。」

病室からみんながでてきて
廊下にいた悦子が右京さんに声をかけました。

「あっ 杉下さん。

 享が 女の子を襲ったって・・。」

「今 僕に言えることは 少なくとも彼は

 むやみに人を襲ったりしないということでしょうかね。」

悦子、ためいき。

刑事部長と中園さん。

「部長!少々困った事態になりました。

 実は 甲斐享が 先に女性を襲っていたようです・・。」

「なんだと?」

「相手は 強姦目的で襲われたと言っています。

 しかも 本人も襲ったことをおおむね認めており

 それを裏付ける証拠も 挙がっているようです。」

「うむ・・。」

「ふたをあけてみれば 被害者が

 実は 加害者でもあったわけで・・。

 部長。」

「まかせる。」

「は?」

「あとは 君の一存で すすめなさい。」

 当然 責任も 君がとるんだ。」

「それは・・。」

「僕はきかなかったことにしよう。」

「そんな・・。」

「うん。君が 報告を怠ったことにしよう。」

「通るわけないですよ。そんなことが。」

「通るんだよ!」

「え・・?」

「縦社会では 十分とおります。」

花の里で右京さんはカイトパパとあいました。

「ああ いらっしゃませ。」

「ああ どうも。」

「どうぞ。」

「ああ。ビールもらおうかな。」

「はい。」

「寝耳に水とはこういうことだね。」

「はい?」

「せがれのことだよ。」

「もう お耳にはいりましたか。」

「喜んでおしえてくれるやからがいる。

 僕の足をひっぱりたいような連中だよ。」

「どうぞ。」

「ああ。」

「君は口は堅いほうかね?」

「えっ?」

「あ 杉下くんが通ってる店の女将だ。

 言わずもがなだ。」

「なんでしたら 私 ちょっと

 お買い物に出ましょうか?」

「あ いや そんな・・。

 はあ・・そうしてくれるかね。」

「はい。えらい方はこれですから。」

「ん?」

「いえ いってきます。

 あっ もしお客様がいらしたら
 
 どうか 対応しておいてくださいね。」

右京さんの顔をみるカイトパパ。

「な〜んて 冗談です。どうぞごゆっくり。」

幸子は席をはずしました。

「ふっふっふ いい女だねえ。君のコレか?」

「とんでもない。」

「まあ それはいいか・。

 実際 のところ せがれはどうなんだろう。

 君の見たてをききたい。」

「女性を襲ったのは 事実だと思います。

 しかし 理由もなく襲ったりはしない。」

「どんな理由だ。」

「それがわからないから

 僕も今 困ってるんですよ。」

カイトくんは自分の首にふれてみて
何かを思い出したよう。

「誰かよんできてください。」

「どうしたの?」

「誰か呼んできて!」

「うん・・うん。」

右京さんはまた森へ。
そこに電話。

「もしもし。」

病院へいきました。

「俺が襲ったのは 森じゃない。

 車の中です。」

「車の中ですか?」

「間違いありません。」

「なぜ 襲ったかは?」

「わかりません。

 でも 俺は 車の中で

 彼女の首をしめたんです。」

「そうですか。しかし これで 

 ひとつ 謎がとけました。」


生方をつれて森に検証にきました。

「ここです。」

そこへ角田さんたちもやってきました。

「忙しいか?」

「これはこれは 課長。
 
 助さん 格さん ひきつれてご登場ですか?」

「今は 現場検証の最中です。」

「みればわかるよ。」

「あいかわらず 警部殿の行動は 不可解ですな。」

「ええ 無理を言って 来ていただきました。」

「何をする気です?」

「ええ まあ そう あせらず。

 ここが暴行現場・・。

 つまり 甲斐享が長尾恭子さんを襲い

 通りかかったあなたが 甲斐享を

 痛めつけた現場ですか?」

「そうです。」

「長尾恭子さん。あなたは 本当に

 ここで 甲斐享に襲われましたか?」

「襲われました。」

「しかし 甲斐享は 車の中で
 
 あなたを襲ったと言っています。

 甲斐享が この森の中で

 暴行を受けたことは 間違いありません。

 ですが 暴行を受けるにいたった理由

 その点については どうも あなた方の証言を
 
 うのみにはできないんですよ。

 あなたが 首をしめられたのはここですか?

 本当は 車の中だったのでは ありませんか?

 あなた 嘘を言ってるでしょ?」

「嘘なんかついてません。」

「真智子さん。あなたが 瀕死の甲斐享を車に乗せ

 はこんだんですよねえ。

 そして 途中で119番通報をした。」

「それがなんですか?」

「恭子さん その車に あなたも

 同乗していたのではありませんか?

 真智子さんが 単独で

 瀕死の甲斐享を運んだとは

 考えづらいんですよ。

 たしかに1人でも

 運転も119番通報もできます。

 しかし 瀕死の甲斐享を1人で車に乗せて

 その甲斐享を 途中で 車からおろして

 道端に転がすというのは

 1人では厳しい。だから あなたもその車に

 同乗していたんですよ ええ。

 あのワゴン車に・・。

 そして その際 あなたは 助手席ではなく

 後ろに乗っていたのではありませんかねえ。

 甲斐享はひどい状態でしたからねえ。

 いつ息をしなくなるともわからない。

 せめて 救急車を呼ぶまでは 

 道端に転がすまでは

 なんとかもってほしい。

 一種の責任逃れですが

 当事者にとっては 

 切実な思いだったに違いありません。

 その切実な思いが 片方は後ろで

 様子を見るという 役割分担になって

 あらわれたのだと思いますよ。

 ところがそこで 予期せぬ事態にみまわれました。

 意識を取り戻した甲斐享が あなたに襲いかかった。

 なぜ襲いかかったのかといえば
 
 目の前にあなたがいたから。

 理由はそれだけです。

 おわかりですか。

 暴行を受けて気絶した人間が

 意識を取り戻した時に

 まだ暴行の途中であると
 
 錯覚することは 往々にしてあること。

 つまり 甲斐享が恭子さんを襲ったのは

 そのような錯覚のもと 

 条件反射的に 反撃にでたからなのですよ。

 そして 真智子さん。

 その 予期せぬ事態に驚いたあなたは
 
 ハンドルをきりそこねた。」

ぶつかる車。

「幸いなことに その衝撃が

 再び 甲斐享を静かにさせました。」

「それはあなたの想像でしょう!」と生方。

「ええ。甲斐享の証言に基づく想像です。

 ですから 自信をもって申し上げました。」

「想像じゃね。時間の無駄です。

 現場検証をすすめてください。」

「どういう立場で指図してんだよ。」

「時間の無駄化無駄じゃないかは

 こちらで判断します。」

「だから 言ってるじゃないですか!

 甲斐享さんを暴行したのは この私ですよ。

 それでいいでしょう!」

「ちっともよくありませんよ。

 動機が嘘じゃ困るの!」

「暴行の事実は認めてらっしゃるのに

 なぜ嘘をつくのか。

 よほど 隠したい事情がおありなんでしょうね。」

角田さんがでてきました。

「そろそろ 俺の出番かな?」

「お待たせしました。

 まろく庵の庵主であり あなたのお父様は

 真智子さん 半年前にガンで亡くなられた。

 そうですよね?」

「ええ・・。」

「それは本当ですか?」

「いや 嘘だね。」と角田さん。

「俺は この案件に関しては 管轄違いだ。

 この場にしゃしゃりでるのも場違い。

 だが 仲間の警察官が

 ひどい目にあわされたとなると

 やはり じっとしてはいられない。そうだろ?

 そんな時 杉下から 調べ物の依頼を受けた。

 喜んで引き受けたよ。」

「依頼って?」

「このあたり一帯の医者と葬儀屋を

 しらみつぶしにあたることだ。」

「ガンを患ってらしたお父様は

 病院へは入らず お医者様の

 往診を受けていたそうですね?」

「いや。そんな事実はありませんよ。

 ほんとに そんな医者がいるんだったら

 ここに連れて来てもらおうか。」と大木さん。

「お父様のご葬儀は 内内でなさったとか?」

「その事実もありませんよ。
 
 葬儀を取り仕切った葬儀屋も 坊主も存在しません。」

と小松さん。

「俺は 別角度から調べたぞ。

 役所をあたったよ。

 そもそも 死亡届なんか出てないね。」

「ということは つまり・・」

「伏木田なにがしは 公式には死んでいないということだ。」

「ならば 生きている?」

「いや それはわからん。

 年金詐欺目的で 届を出さないことだってあるだろ。」

「そうですねえ。しかしまあ 年金詐欺云々は

 おいておくとして そうなんですよ。

 伏木田辰也さんは 死んではいなかった。

 半年前にいなくなったというのは 嘘です。
 
 少なくとも カイトくんが

 この森を訪れたその日までは

 生きていた。

 カイトくんが聞いたという鈴の音。
 
 それが 伏木田辰也さんが

 生きていた 証だったんです。

 即身仏ですよ。」

「即身仏・・。」

「ミイラってことか。」

「まろく庵庵主 伏木田辰也さんは

 即身仏になるべく 土の中で ひたすら

 命の尽きるのを待っていたんです。

 まだ死にきれていないことを外へ知らせるための

 鈴をならしながら・・。」

「だから 言ったじゃねえかよ!

 あいつ 殺しときゃよかったんだよ! 」と冬二。

「冬二 やめろ!」

「どうやって 即身仏に たどりついたんですか?」

「ひとつは 甲斐享の証言。」

「鈴の音がきこえる・・。」

「それから 部屋で発見した

 節の くりぬかれた竹筒。

 あれは 土中の棺から 地表へ出して

 空気孔の 役割を果たしたものですねえ。

 ああそうそう。部屋の壁の新聞記事も

 ヒントになりました。」

「おやじさんは 苦しんでいる人々を

 救いたがっていました。

 たび重なる災厄に見舞われるこの国を

 本当に憂いていた。

 だから 即身仏になる決心をしたんです。」

「自らの命と引き換えに人々を救う。

 そういうことでしょうかね?」

「人々の 苦しみを一身に背負いながら

 祈り続けて 仏になって生まれ変わる

 それが 即身仏です。

 それの何がいけないんですか!

 何が悪いんですか!」

「シゲさん・・!」

「即身仏になるためには 木食行という

 ほぼ 断食に近い修業をなさるそうですねえ。

 体が徹底的に脂肪をなくさないと

 うまくミイラになれない。」

「・・ええ。」

「文字通り 骨と皮だけになってしまいますから

 そのカモフラージュとして ガンになったと偽り
 
 やがて この森から 姿を消す方便として

 半年前に亡くなったと近所に伝えた。

 そういうことですね?」

「父は・・父は 何も悪いことしてません!」

「即身仏になるという行為は すなわち自殺。

 自殺の善悪については あえて言及しませんが

 しかし それを手助けしている皆さんは

 自殺ほう助の罪に問われる可能性があります。

 さらにいえば やがて

 即身仏となった伏木田辰也さんを

 掘り起こすことになりますねえ。

 それもいささか具合が悪い。

 刑法には 墳墓発掘を禁じる規定がありますからね。」

「多少は 法律にふれることがあるかもしれません。

 でも 私たちは 誰かに迷惑をかけていますか?

 無事に即身仏になって 人々のために祈る
 
 それがおやじさんの願いです。

 私たちは それを手助けしているだけですよ。

 自ら飢え 暗い棺の中で 一心不乱になって祈り
 
 死を待つ・・・

 どれほどの想いがその行為をささえているか

 わかりますか?

 なまなかな思いじゃ とうていなしえません!」

「お願いです。父のことはどうか

 そっとしておいてくださいませんか。」

「私は一生刑務所でもいい。

 死刑だっていい。

 だから おやじさんだけは・・。」

「頼むよ 頼むよ!

 俺たち おやじさんに救われたんだ。

 だから 今 恩返ししてんだよ!」

「このとおりです!」

「お願いします!」

「俺達ができる恩返しは

 これしかねえんだよ。お願いします。」

頭をさげるまろく庵の人たち。

「みなさんの気持ちは 

 わからなくもありません。

 伏木田辰也さんの思いにも

 一定の尊敬の念を抱きます。

 しかし それは 僕の個人的な気持ちです。

 警察官として 法律に触れる行為は

 見過ごせません。」


「おんなじですねえ!」 と生方。

「はい?」

「甲斐享さんとおんなじだ。」

回想。まろく庵にいるカイトくん。

「もちろん みなさんの気持ちはわかります。」

「だったらさ・・。」

「いや でも それはあくまでも

 僕の個人的な思いで

 だから 話は別です。」

「見過ごしてもらえないということですか?」

「自殺しようとしている人を

 ほっとくわけにはいきません。」


「自分の意思で死ぬんだよ。」

「自殺はみんな本人の意思です。

 他人の意思で死ぬなら

 それはもう 殺人です。」


回想中断。

「キノコをとりに 森の中に入ってきた甲斐享に

 即身仏の真実を 知られてしまったわけですね?」

回想。

森の中で鈴の音をきいたカイトくん。

「地中で鈴の音がするのを

 奇妙に思ったようです。」
 
筒に耳をつけているカイトくん。

「あっ あの どうも。」

「あっちに 立ち入り禁止の札があったの

 気がつかなかったかね?

 ここらああたり 危険なんだよ。

 イノシシもでるし ああ もう日も暮れてきたんだから
 
 帰った方がいいよ。」

「あの 鈴の音がきこえるんですけど。

 あと 人の声も。」

「木のせいだよ。」

「いや・・ちょっとすいません。

 ここの方ですか。」

「そうだよ。」

「なんなんですか?あれ。」

「えぇ?なんかね・・?」

「まさか 中に人が・・?」

回想おわり。

「仕方なくお願いして事情を説明したんですが。

 聞き入れてもらえず・・。」

「暴行に及んだ。」

「入定を目前にしたおやじさんのかろうとを

 掘り返そうとしたからです!」

カイトくんをとめるみんな。

「おい 待ってくれよ!おい!」

「お願いです。待ってください!」

「なあ 頼むよ!」

ついに暴行をくわえはじめました。

「おまえなんかじに邪魔させねえぞ!」

「うおー!」

「貴様!尊い祈りを踏みにじる気か!」

そこへやってきた真智子たち。

「やめて!お願い やめて!やめて」

「死んじゃうよ この人。」

「埋めよう。だってこのまま返すわけにいかないだろ。

 埋めよう。」

「それがいい。」

「キョン 手伝って。」

「え どうするの?」

「決まってるでしょ 病院よ。」

「バカヤロー!

 おい 帰したら おやじさんのこと ばれちまうんだぞ!」

「キョン リヤカー持ってきて!」

「お嬢!」

「父のために みんなを人殺しにはさせられない!

 人殺しにはさせられないよ シゲさん。」

「申し訳ないけど お嬢・・

 あとは よろしくたのんだよ。」

「シゲさん!」

「つまり 真智子さんの制止によって

 すんでのところで 思いとどまったわけですね?

 そして あなたと恭子さんは 瀕死の甲斐享を

 車まで運んだ。」

「そうです。」

「車で運ぶ途中 甲斐享は 一度

 意識をとりもどしましたねえ。

 そして 恭子さん あなたの首を絞めた。

 彼の名誉にかかわることですからねえ。

 この点は はっきりさせておきたい。」

「ええ おおむね 杉下さんが

 さっき おっしゃったとおりです。」

「どうも。つまり 皆さんは

 即身仏になるために 土の中の棺に

 こもっていた 伏木田辰也さんを守るために

 甲斐享に暴行を働き 追及が及ぶと

 事実をねじまげるような嘘をついた

 そういうことですね。

 ええ そういうことだったんですよ。」

「了解しました。」

「ところで 空気孔となった 竹筒が
 
 すでに回収されているということは

 伏木田辰也さんは 無事に

 入定なさったということですね。

 平たく言えば 命が尽き

 即身仏となった。」

「あの夜です。鈴の音がなりやんだのは・・。」

筒のそばで確認した生方。

まろく庵ではみんなが真智子の説得。

「おやじさんが なんのために。」

「わかってるってば。」

「どうわかってんのさ。」

「だからって 人殺しは嫌!」

「お前は黙ってろよ。」

そこに戻った生方。

「なりやんだ。」

みんなで竹筒のそばにいって
手を合わせました。

「あっ 筒・・。」

筒を抜いて持ちかえることに。

「さあ・・。」

その場所をかくしました。

「我々は かろうとへかけつけ

 しきたりどおりにあなをうめました。」

「そして 3年3カ月たったら

 そのかろうとを 堀り起こすわけですね?」

「そうです。おやじさんをひきあげて

 即身仏として おまつりします。」

「実は 森の中をほうぼう歩いてみたのですが

 そのかろうとの場所が みつからないんですよ。」

「甲斐享さんの一件があったから

 みつからないように
 
 目印になるようなものは すべて撤去しました。」

「その場所を教えていただけませんかねえ。

 これだけ広い森です。
 
 やみくもに掘り返すわけにもいきません。

 どうですか?」

「教えてたまるか。」

「まあ 甲斐享の記憶が戻れば

 いずれ わかることですがね。」

「不謹慎のそしりを 免れないかもしれませんが

 あえて言います。

 甲斐享さんの 記憶の戻らないことを

 祈っています。」

病室。
眠っているカイトくんが目をさましました。

すぐそばに伏木田さんが!!

ユーレイ!

カイトくんの顔の前で手を何度かまわしました。

「申し訳ありませんでしたね。」

笑顔になるカイトくんはまた眠りました。

悦子が部屋に戻ってきたら
カイトくんが話し始めました。

「おまえ ふざけんなよ・・。

 何がニューヨーク行きの夜行バスだよ。

 それ お前が好きな

 『或る夜の出来事』って映画の 

 ストーリーだろ?

 俺らが出会ったの 渋谷じゃん。

 しかも合コン。」


「享・・?」

「酔ったお前を 家まで送っていったのが運の尽き。」

「はあ?何が運の尽きよ。

 そっちがビシバシ光線おくってきたから

 わざわざ 送ってって 言ってあげたんじゃん。」

「ああ よく言うよ。」

「だって ほんとだもん。」

「っていうか・・思いだしたの?

 記憶・・全部戻った?」

「うーん・・・ああ。」

笑うカイトくん。
悦子は泣きだしました。

「おい。怒ったり泣いたり
 
 忙しいやつだな。」

「もう〜ひどいよ!」

「おい 病人 病人。

「悪かった・・心配掛けて。」

カイトくんに抱きつく悦子。

「あっ・・あ だから 痛い」

そして伊丹さんたちもきました。

「あらわれたのは この人ですか?」

「ええ この人。まちがいありません。」

空気が・・。

「ありえませんな。」

「フッ・・夢でも見てたんじゃねえのか?」

「うん にわかには信じられないな。」

「いや ほんとですよ。

 本当にこの人が ここにきたんですから。」

「じゃあ・・・幽霊だ。すいません。」

「ですね。」

「えっ?」「えっ?」

「カイトくんが夢で見たというのはおかしい。

 なぜならば カイトくんは一度も

 伏木田辰也さんには あっていませんし

 写真もみたことないはずですからねえ。

 夢というのは理屈に合いません。

 しかしカイト君は この人物にあったという

 ここで目の前に現れたと。

 不可思議な現象ですが 僕は頭ごなしに

 否定する気にはなれませんねぇ。」

「えぇ〜 幽霊っすか?」

「ええ 可能性は十分に

 いや ほぼ間違いないと思いますよ。

 そうですか。君は幽霊をみましたか。」


右京さんが嬉しそう。

「ゆ 幽霊談義はさておき

 まあ 記憶が戻って何よりだな。」

「あ はい。ご心配おかけしました。」

「もう 完璧?」

「はい。」

「そりゃ 良かったねえ。」

「それじゃあ 我々は ひとまずひきあげますか。」

「おお そうだな。」

「ありがとうございました。」

「あなた ご覧になったことは?」

と悦子にたずねる右京さん。

「え?」

「幽霊です。ありますか?」

「あ いえ・・。」

「一度も?」

「はい。」

「実は 僕も いまだかつて

 幽霊を見たことがないんですよ。

 なぜでしょうねえ?

 そうですか・・

 君 見ましたか。」

「いやいやいや やめてくださいよ。」

右京さんはカイトパパに電話で連絡。

「うーん そうか・・。

 わざわざ 連絡ありがとう。」

「いえ それでは。」

「ああ・・せがれは 仕事に復帰するのかな?」

「もちろん そうなると思いますが。」

「そうか・・。」

「もう よろしいですか?」

「こうみえて 僕は げんをかついだりする。」

「はい?」

「物事に いろいろ

 暗示を感じたりするたちなんだよ。

 つまりね・・今回の一件は

 息子の潮時を 暗示してるんじゃないかと

 思えるんだが 君はどう思う?」

「さあ 僕には わかりませんねえ。」

「わからないか・・。」

「ええ。」

「そうか・・。」

電話をきって病院から帰る右京さん。

森を歩く右京さんとカイトくん。

「生方豊茂 坂口冬二 榊大志 三隅慎二の

 4人については 傷害の容疑で 
 
 依然取り調べが続いていますが
 
 捜査一課は 殺人未遂まで

 視野に入れているようですねぇ。」

「ええ。」

「君をこの森から出すわけにはいかないという

 事情があったわけですから

 つまり 殺意があったという
 
 理屈も成り立ちます。

 男性四人と同時に 伏木田真智子と 長尾恭子のふたりは

 自殺ほうじょの容疑で 取り調べを受けましたが

 こちらは微妙ですねぇ。

 送検されても起訴猶予。

 あるいは 不起訴かもしれませんね。」

森の中にはいっていくカイトくん。

「おかしいな・・

 このへんじゃなかったかな?」

「あれ?」

「このへんですか?」

「いや・・ああ すいません。」

「あれ・・?」

「君の記憶もあてになりませんねえ。

 関係者が口をつぐんでいる以上

 頼りになるのは 君だけなんですよ。」

「記憶は戻ってるんです。」

「かわってます。」

「だけど かろうとっていうんですか・・

 即身仏が眠ってる場所だけが わかんないんです。

 そこだけ なんか 記憶がすっぽりないんです。」

真智子がやってきました。

「かろうと探しですか?」

「ええ。しかし どうも

 彼の記憶があいまいで・・。」

「おからだのかげんは?」

「ああ 平気です まあ このとおり。」

「本当に申し訳ないことをしました。おわびします。

 3年3カ月たったら また来てください。

 そうすれば 場所はわかります。

 法律には触れるかもしれないけど

 私は 絶対に掘りおこします。

 父の祈りを成就させるために。」

一礼して去っていく真智子。

「3年3カ月がすぎるまで

 見つからないかもしれませんねえ。

 この森のどこかで眠ってらっしゃる

 伏木田辰也さんは・・。」

カイトくん 無事職場復帰。

伊丹さん達がやってきました。

「おはようございます。」

「おや おはようございます。」

「おはようございます。」

「ひとつだけ よろしいですか?」

「ええ なんでしょう?」

「今回は カイト坊ちゃんが

 被害者ということで

 警部殿と つるんで動きましたが
 
 これに味をしめて これからも

 我々と仲良くできるなんて 思わないでください。」

「そうですか。それは残念ですねえ。」

「以上です。」

「はい。」

「おい カイトぼ・・。

 こら カイト!てめえ

 二度と キノコ狩りなんか行くんじゃねえぞ?

 わかったか?」


「はい。」

「愉快な人ですね 伊丹さんって。」

「ええ。」

「ずっとああですか?」

「ずっとああですよ。」

紅茶をそそぐ右京さん。



即身仏も一人ではなれない以上
現在の法律のもとでは
罪に問われてしまうのか。(まわりが。)
伏木田辰也さん、カイトくんのとこだけじゃなくて
まろく庵の人たちのとこにもちゃんと
おわびにあらわれなきゃ。

人々を救うために人ひとり殺そうと
してるんじゃダメでしょうが。

でもカイトくんが自分と同じ信念をもって
とめようとしたことを知って
右京さんもさぞ満足なんじゃないかと。

伊丹さんたちはカイトくんのために
一生懸命でほんとにかわいいんだな〜と
楽しかった。でも幽霊は苦手なのねw





2012.12.20 Thursday 10:51 | comments(0) | trackbacks(9) | 
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