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とんび 第4話「本当のお母さん」

第4話「本当のお母さん」



昭和60年(1985年)3月。
アキラはお母さんの事故の真相を
照雲や幸恵に聞いてまわっていた。
それを知ったヤス(内野聖陽)は本当の事は
言わないで欲しいと皆に頼む。
ある日、葛原の嫁が見知らぬ男に
「嫁入り前に娘と会って欲しい」と
言われているたえ子(麻生祐未)を目撃する。





坂本さんからゲイ疑惑をたずねられた旭。

「噂聞いたのね ゲイって嘘だよね?」

「それは…

 そんなふうに見えてました?」

「ほら 家のこととか上手だし

 もしかしたらって」

「ああ」

「嘘ってことだよね?」

「あッ いいんです それで
 
  坂本さんは 女友達みたいな感じでいてください」

はっきり答えずごまかした。

「秘すれば花だ うん  秘すれば花」

と帰り道でつぶやく旭。

翌朝、健介といっしょに歩く坂本さん。
保育園の友達のママたちからは
旭はママの恋人ということになっているらしい。

「市川くんは ママの会社の人で

 近所だから手伝ってくれてるの

 言ったでしょ」

「だけどそんなのは表向きなんでしょ?」

「ママもちょっとは期待したんだけどね

 健介くん 分からないと思いますが

 ママは 昨日 予防線というものを

 張られたのだと思うのですよ」

「予防線?」

「ママは旭に対して

 お友達のような気持ちでいてくれって

 親切なことを誤解して

  変な期待を抱かないようにってことです

 つまり パパになることはまずないってことです」

「な〜んだ」

「すみませんねえ」

旭の秘すれば花作戦が裏目にでてる!!

職場ではバリバリ働く坂本さん。

『家の中では あんなだけど

 坂本さんはものすごくできる人だ。

 あの年で すでにデスク。

 笑顔で きつい要求を通す

 ほほえみの鬼 との異名を持ち

 その働きぶりは 戦車とも呼ばれ

 彼女のようになりたいと憧れる女子社員も多い。

 今 俺が坂本さんに正面から切り込むのは

 戦車に竹やりで突っ込むようなもの。

 それは玉砕を意味する』


坂本さんをじっとみていると

「坂本さん 女ですよ」

と同僚に言われてしまいました。

「はッ?」

「いや あっくんが ゲイかもって言ったら面白がって」

「はあ〜 あの その話ここでしたりしました?」

「違うんですか?」

「違うに決まってんだろ」

「じゃあ何で誰とも付き合わないんだよ」

「それは・・ 付き合いたい人がいるからですよ。」

視線の先には坂本さん。

「えッえッ それって…」

「えッ もう告白したの?」

「タイミングってもんがあるじゃないですか」

「言わなきゃ何も始まらないじゃない」

「あの 秘すれば花って知ってます?」

「秘すれば花?」

『すべてを伝えないからこそ

 より深く伝わることがある

 うまく伝えられないことが

 その思いを語ることがある

 そういうことを俺は

 あの風呂場で知った

 そうだったよな 親父』


昭和60年3月。

照雲とキャッチボールしながら
母の事故のことをきく旭。
照雲はあわててヤスの職場にかけこんできました。

夜、銭湯でもその話。

「何 今さら 探り出してんだよあのバカ」

「美佐子ちゃんのこと 旭に何て言ってんの?」

「会社に遊びに来たとき

 積み荷がバッシャーンって崩れてきたってよ」

するとそこに葛原もやってきて
たえ子さんに子どもがいるのかときいてきました。

「いや ウチの嫁がね

 たえ子さんが男の人と会ってんの見て

 嫁入り前に あの子に会ってほしいとか

 言われてたっていうんすよ」

「何だよ それ」

「離婚の原因って何だったんすか?」

「嫁に行った先が古い農家か何かでよ

 そこの水が合わなかったとか言ってたような…」

「いい加減だな」

「出戻ったときは 俺 まだ中坊だぞ

 そんな話するわけねえだろうが」

「いいんじゃないの子供いようが いまいが

 たえ子さんはたえ子さんなんだし」

「よくねえだろ」

「そう?」

「聞いちゃった以上 飲みに行きにくいだろ」

「そう?」

「もういい お前はいい!」

「でも 知られたくないから

 黙ってたわけですよね たえ子さんは」

「その気持ちをくんでやるのが男かね」

「でもよ ホントだったとしたらよ

 ねえちゃん ずーっと一人で抱え込んでたってことだろ?

 グチの一つも聞いてやんのが男ってもんじゃねえのか」

意見は一致せずどうしようか迷っているときに
たえ子のほうから店の中によばれました。

たえ子も旭からまた母のことをきかれたそうで
もうそろそろ隠すのも難しいんじゃないか
と言われました。

「このまま ずっとホントのこと言わないつもり?」

「お母さんは お前の身代わりになって死んだなんて話

 かわいそうで言えるかよ」

「事故のこと 聞き回ってんのもかわいそうだったけどね」

「じゃあ 言ってくれっつったら言ってくれんのかよ

 想像してみろ

  言われたときの旭の顔を」

「でもさ どうすんの?

 このまま ほっとくつもり?」

「ねえちゃん

 とりあえず だけどよ」

「うん」

「酒くれ」

ヤスは家に帰りにくく
家で宿題をしている旭は
父が遅いので「また二日酔いだよ」と
母の写真にむかってつぶやいていました。

ヤスは外で寝ていて
中にはいると朝ご飯はカレー。
二日酔いにいいとたえ子からきいたからだそう。
親孝行・・。

「お父さん お母さんのことだけど」

「あッ… お母さんの?」

「うん」

「何だ」

「得意だった料理って何?」

「何だろうな

 何でも うまかったからな」

「そっか」

「何でだよ お前 急に」

「ううん 何となく

 ほら僕 お母さんのこと何も覚えてないから」

「かわいそうに

 あいつ お前のことな〜んも覚えてないんだと

 バッチリ覚えてても

 それはそれで 困るんだけどよ」

会社までヤスにあいにきた
人たちは、たえ子の元旦那さんと娘さん、肇と泰子。

「ところで 本日は私にどのような ご用向きで?」

「市川さんはたえ子の幼なじみだと伺いまして」

「いや 面倒見てもらってたって言う方が

 正しいと思いますけど」

「実はこの子が嫁入り前に

 たえ子に一目会いたいと言い出しまして

 何とか 市川さんから頼んでいただけないかと

 私が言っても 断られてしまって」

「いや 私が言っても

 同じことだと思いますけどね」

「ダメなら諦めますから

 一度だけ頼んでみてもらえませんか?」

「お願いします

 ずっと会ってみたかったんです。お願いします」

「はあ」

たえ子にあいにいったヤス。

「どんな事情があるか知らねえけど

 ちょっと会ってやるくらいいいんじゃねえのか?

 娘 必死だったぞ」

「捨てたのに?」

「えッ?」

「私は 子供を捨てたの」

「捨てたって ねえちゃんが?」

「古い農家のおウチでさ

 お姑さんには 嫁にもらいたい子がいたらしいのよ

 それなのに息子が私連れてきたもんだから

 最初から気に入らなかったのよね

 それが そもそもの始まりで

 女の子を産んだのがさらに気に入らなかったのよ」

「何で?」

「女の子は育ててもよその家に行っちゃうから

 金食い虫なんだって
 
 やれ なまけもんの嫁は女しか産めないだの

 情が薄いと女しか生まれないだの言われてね

 要は いびり倒されたのよ
 
 信じらんないでしょ?」

「旦那は守ってくれなかったのかよ?」

「責めはしなかったけどね

 そのうち 今度は「男の子はまだか」

 「男の子を産め」ってのが始まってさ

 ちょうど今くらいの時期だったかな〜

 一人で畑仕事してたら

 おじさんがチョコチョコって寄ってきて

  「たえ子さん あんた 一人産んで

 あそこの道が広がったから

 子供できねえんじゃねえか」ってからかわれてね

 冗談だって 今ならね

  でも そのときは何かこうわあ〜ってなって

 もうダメだここにはいられないって

 お願いだからもう離婚してくれって頼んだの

 そしたら

 それはダメだって

 籍を汚されるのは嫌だったみたいで

 どうしても籍を抜くっていうんなら

 子供置いてけって言われてね

  結局 私は自分が自由になるために

  あの子をあの家に置き去りにしたのよ

 だから 今さら どの面下げて会えんのって話なのよ

 あの子を育ててくれた後添えさんにも悪いし

 こんな話 したところで

 あの子にいいことなんか一つもないと思うし

  「秘すれば花」っていうでしょ?やっちゃん」

「そんなシャレたこと言われても分かんねえけどよ

 ねえちゃん 会いたくねえのかよ?」

「会いたくない」

「嘘つけ」

「嘘じゃない」

「じゃあ何で俺を やっちゃんと呼ぶんだよ?

 俺 ずーっと不思議だったんだよ

 他のヤツらはみんな

 ヤスか やっさんなのに

 何でねえちゃんは「やっちゃん」なのか」

「小さい頃から そうじゃない 理由なんてないわよ」

「娘 泰子っていうらしいじゃねえか

 やっちゃんって呼んでたんじゃねえのか?

 だから俺のことも ずっと…」

「うるさい!」

声を荒げるたえ子。

「ねえちゃん 会ってやれよ

 かわいそうだったぞ」

「あっくんだってかわいそうだったわよ」

「何で今 旭の話が出んだよ」

「だって同じ話じゃない」

「どこが同じなんだよ」

「一緒じゃない

 親のこと知りたいって子 ほっぽらかしてんのはさ

  大体 12年も一緒にいて

 ケジメ一つつけられてない あんたに

 偉そうな口たたかれたくないわよ」

「あ〜 気分悪いッ

 こんな店 二度と来るか!」

ケンカしてでていくヤス。

家に戻ると旭の姿はなし。

そこへ照雲の奥さん 幸恵から電話。
今日、旭がきて母親のことをきいたらしい。
電話をきると今度は社長から。
同じく母のことをきききた旭が
そこにいるそうで
あわてて会社にいくヤス。

でも旭はでていったあとで
旭をさがしまわるヤス。

やっとひとりでいた旭をみつけたヤス。

「旭 何やってんだ」

「お父さん」

「お前よ

 何で俺に ビシッと聞かねえんだよ

 コソコソ聞き回ってよ」

「お父さんがすごくお母さんを好きだったのは

 分かるから

 事故の話させるの 何か悪くて

 でも やっぱり

 お母さんのことは知りたいし」

「何聞いても

 受け止められるか?」

「うん」

ヤスと旭、いっしょにお風呂にはいりました。
自宅の小さい湯船にむかいあってふたり。

「旭よ お母さんのこと

 何もおぼえてないのか」

「抱っこされてたのは 何となく」

「抱っこしながら

 よく 「こんにちは赤ちゃん」歌ってたんだけどな」

「ふ〜ん」

「いつもよ食べきれないほどのおかず作って

 俺とお前が食べんの見てニコニコしてな

 自分のことは いっつも後回しの

 とにかく 優しい人だったよ

 そんな人だったから あの日もよ

 あの…

 日もよ」

「お父さん?」

「あの日 お母さんはお父さんかばって死んだんだ」

「お父さんを?」

「おう

 お父さん

 お前と お母さんにいいとこ見せようと思ってよ

 休みの日に会社入れて

 荷さばきして見せてたんだ

  したら 荷物 崩れてきてよ

 お母さん

 お父さんを突き飛ばして

 自分が下敷きになって…」

「僕を かばったんじゃなくて?」

「そんなこと…

 そんなこと思ってたのか?」

「みんな言わないのは

 そういうことかなって」

「残念ながら 大ハズレだな

 お母さんは

 お父さんのせいで 死んだんだ

 だから ずっとみんなにも隠してたんだ

 勝手に荷物が崩れてきたって言って

 そんなことお前 言いたくねえだろ

 そんなことはよ

 言ったって ほら

 お母さん生き返るわけじゃねえしよ

 まあ言っちまったけどよ ハハハ…」

「はあ〜ひどいよ

 お母さんお父さんをかばって死んだのに

  それが…

 最期だったのに

 ちゃんと言ってあげないって」

「そういや そうだな」

「「そうだな」じゃないよ!」

旭は怒ってしまいました。

翌朝 仏壇の美佐子はいつものように笑顔。

「お母さんの得意料理だけどよ
 
ポテトサラダとか

 何か やたらうまかったの思い出してな」

でも旭は怒ったままでろくにしゃべらずに
学校にいってしまいました。

お寺にいったヤス。

「何だ お前か 旭が相談に来るかと思ったら

 むさくるしいバカだったか」

「俺だって 墓場に両足突っ込んだジジイに

 会いに来たわけじゃねえ」

「まだ片足だ」

「けッ」

「おい 旭が事故のこと

 聞きに来ると思ってたってことか

 わしはまだ 聞かれとらんからな」

「来ても「知らねえ」で通してくれよ

 頼むからホントのことは…」

「お前 何かあったのか?

  くだらん

  旭に軽べつされたとか 嫌われたとか

 くだらんにも ほどがある」

「どこが くだんねえんだよ」

「じゃあ何か

 お前は 旭に嫌われたら

 お前も旭が嫌いになるのか?

 旭が好きでいてくれたら

 お前も旭を好きになるのか?」


「…なわけねえだろうがよ

 俺は 旭がどうでもな…」


「ほ〜ら みろ

 旭が どう思おうが何をやろうが

 お前は な〜んも変わらんだろ

 ホントに救いようのないバカだなお前は」


鉢植えの枯れた花びらにふれるたえ子。

葛原嫁といっしょにいるたえ子の娘を見て
はしっていくヤス。

「おい コラ 何やってんだよクズ嫁」

「市川さん」

「バカ 見りゃ分かんだろ

 夕なぎに連れてくんだよ」

「お前 何勝手なこと…」

「すいません

  あの 私が悪いんです」

「えッ?」

「もう会ってはもらえないんだろうなと思って

 そしたら こちらの方が友達のふりして

 お店に連れてってくれるって言ってくださったんです」

「勝手なことしてんじゃねえよ

 事情があんだよ

 てめえには分かんねえ深い事情が」

「バレなきゃいい っつう話だろ?」

「ああ?」

「何も言わなきゃ

 一見の客が来たってだけの話で

 収まんだろっつってんだよ」

「ああ」

「じゃあ夕飯作んねえといけねえからよ

 うまく まとめとけよ バカ」

「この野郎

 それでいいのか? 泰子ちゃんは」

「はい 顔だけでも見れれば」

ふたりはたえ子の店にいくことに。

「いいな 分かってるな?」

「はい 店で知り合ったおねえちゃんって設定ですよね?」

「いいか 緊張すんなよ

  行くぞ

 おッ おお」

店にはいったふたり。

「あ… 空いてるか?」

「あれ? 二度と来ないんじゃありませんでしたっけ?」

「俺は来たくなかったんだけどよ

 知り合いのねえちゃんに会っちまってな

 仕方ねえだろうがよ」

「ふ〜ん」

「ヤス どこで知り合ったの?

 痛ッ…」

「ったく」

「いらっしゃい」

たえ子は顔をみてすぐに気付いた様子。

「ほいじゃ ほら 中 中入れ

 あッ ビール ビール」

「お嬢さんは?」

「お… お茶で」

「ウチは お酒飲むところだから

 お茶で ご飯食べたいなら そういうお店行ってくれる?」

「じゃあビールで」

「そんな かてえこと…」

「 お酒飲むところに来たら お酒 飲みなさい

 郷に入れば 郷に従えよ

 それって大事なことよね 社長

 それができない人間は何やってもダメよねえ」

「う うん」

「お料理 これ 今日のオススメだから」

とメニューをみせました。

「社長 商売続けるコツっていうのは

 忘れることだと思わない?」

「うん?」

「今日が一番大事 その次に大事なのが明日

 昨日や おとといはもうどうでもいい

 そうやってかないと何にも長続きしないわよね」

「まあ そうかもね」

「一番よくないのは恨みをためることよね

 結局 何にもうまくいかなくなるし

 恨んだらダメよね恨みは時間の無駄 ねッ」

「ねえちゃん…」

「何にしましょう」

「あッ えっと あの…」

「ああ このお嬢さん もうすぐ結婚すんだと」

「あら おめでと」

「ありがとうございます」

「旦那に作ってやれるっつうかよ

 そんなもんがいいんじゃねえか?」

ヤスにしては気がきいている。

「分かった

 葛ちゃん 子供大変でしょ? 」

「今ああ そうっすね」

「ちゃんと大変だったことメモしとくのよ

 大きくなったらねそれ ちゃんと子供に見せて

 覚悟させんの

  でないと 子供持ったときに 

 大変なことになっちゃうから

 大変なのはね 育てること

 それに比べたら 産むのなんて

 屁みたいなもんよ

 感謝しなきゃいけないのはね

 育ててくれた人

 照雲ちゃん」


「はい」

「親不孝中の親不孝は逆縁なんだって?」

「あッ はい」

「親は 先に死ぬのがいいのよね

 死んだ方がいいのよね

 子供の幸せ見届けたいっていうのは

 親のわがままなのよね 見なくていいのよ

 その子が幸せだったらそれでいいの」


照雲 泣きだしました。

「アホだ ねえちゃん」

「 ちょっと何泣いてんのよ!

 あんたはもう飲んだら泣くんだから

 お葬式 ちゃんとやれてんの?

 お経あげながら坊主が泣いてたら世話ないわよ」

「はい やっちゃん」

返事するヤスと泰子。

「はい」

「あッ おねえさんもやっちゃんっていうの?」

「はい」

「そう そうなんだよ」

「じゃあ 今日は大きいやっちゃんと

 小さいやっちゃんね

 二人とも どうしてハマグリが

 婚礼に使われるか知ってる?」

「いえ」

「ハマグリはね

 上の殻と下の殻がピッタリ合うの

 他の貝では こうはいかないのよ

 こんなにピッタリなんだから

 最期まで添い遂げないといけないよって

 苦労があっても

 短気を起こさないでって」


「そうなんですか」

「小さいやっちゃんは 子供は好き?」

「はい」

「ああ そう

 なら

 強い親になりなさい

 強い親っていうのはね…

 自分がボロボロになっても

 決して子供の手を離さない親のことよ

 分かった?」


「はい

 いただきます」

はまぐりのお吸い物を飲む泰子。

「おいしいです

 これ おいしい」

たえ子も泣いていました。

照雲とヤスと帰り道。

「あれでよかったんですか?」

「子供を捨てるような人だって

 聞かされてきたんです 私

 あんな優しい人だなんて思いもしなくて」

「あのさ あんたを置いてったのはさ…」

「いいです そこは

 そこはもう

 秘すれば花で」

同じ言葉を言っていたたえ子を思い出すヤス。

「秘すれば花」っていうでしょ?やっちゃん」

「あんたら 親子だよ」

肇からもお礼をいわれてわかれました。

「旭にもあんなふうに伝わるといいよね

 嘘しか言えなくなっちゃったヤスの気持ちがさ」

「それはねえな

 大体 伝わったら 自動的に嘘だってバレちまうじゃねえか」

「あッ そうだね」

帰っていく父と娘の後ろ姿をみおくるふたり。

「なんか もういいわ

 俺

 旭が笑っててくれりゃ

 俺は どうでもいい気がしてきた」


旭と和尚。

「お母さん お父さんをかばって死んだんだって

 そんなこと知られたくないからずっと黙ってたって」

「そりゃまた ずるい話だよな」

「でも お父さん

 あのとき泣いてたんだと思う」

「うん?」

「お風呂に潜ってたのは

 ごまかしてたんだと思う」

「そりゃ つらいだろうな
 
 自分が 誰かの命を奪って

 生かしてもらってるなんて話をするのは」


「そうだよね

 僕だったら…」


「「僕だったら」?」

「僕なんか生まれなきゃよかったのにって

 思うと思う」


「よかったな 旭

 どんなつらい話でも

 お父ちゃん 旭のためなら

  してくれるんだろ?

 よかったな

 バカなお父ちゃんで」


「うん」

朝日がのぼりました。
また家の前で寝ていたヤスは中へ。

「フフッ また作ってくれたのかよ」

「飲んでばっかだから カレーばっかりになっちゃうよ」

「あ… あんがとよ

 お前よ

 昨日 何かあったのか?」

「うん? 別に

 そうか

 いた…」

ポテトサラダもありました。

「ポテトサラダ?」

「お母さんのとは全然違うと思うけど」

「何だよ 急に」

「一緒に頑張ろうってこと」

「えッ?」

「お父さん

 この世にたった二人しかいないんだよ」


「おう」

「いろんな人がいるけど

 お母さんに命をもらったのは世界中で

 俺とお父さんだけなんだよ

  だから…

 頑張ろう 一緒に

 お母さんのために」


「おう」

「じゃあ行ってきます」

ヤス、泣きそう。

「おうっ!」

美佐子に語りかけ。

「きいたか お母さん

 あいつ
 
  「俺」って言ってたな

  ガキがガキでいる間なんて

 すぐに終わっちまうな

 何もかも言わなくても

 気持ちは伝わっていくんだね」


現在。

「何もかも言わなくても

気持ちは伝わっていくんだね」

「そういうもんだって思いたいんですよね

 秘すれば花だって」
 
そのとき携帯がなりました。
それをみて驚く旭。

坂本さんでした。

「健介がね 旭はいずれ

 お父さんになるんじゃないかと期待してるの

 保育園でもそう思われることもあるみたいで」

「そうなんですか」

「ちゃんと言って聞かせたんだけど

 市川くん来るとやっぱり期待しちゃうと思うし

 そんなの市川くんには迷惑だろうし」

「あの 坂本さん頭上げてください」

「考えなしに ズルズル甘えちゃってホントにごめん」

「そんなことないですよ僕は全然そんなふうには…」

「でも やっぱり甘えすぎだと思うから

  今までホントにありがとね」

「「今まで」?」

「じゃあ」

『俺の 秘すれば花は

 見事に散った。

 でも考えてみれば

 俺の秘めていた思いは

 花なんて呼べるようなものでもなく

 子育てを手伝うことで点数を稼いでから

 じわじわと 事を進めようという

 せっこい下心なわけで

 親父のそれとは…』


雨の中 外へとびだす旭。

健介はなんだか寂しそう。

そのときチャイムがなりました。

ドアの外には・・旭じゃない?!
旭はまだ走ってる!!




秘すれば花・・
本当のことを言うのがいいとは限らない
やさしい嘘をついた大人たちでした。

でも旭の場合はちょっとちがう・・。
坂本さんからみたらかわいい年下のイケメンで
子どももいる年上の自分はどうしても
遠慮がちになってしまうのだろうし
ここは秘すれば花なんていってないで
ガっといかなきゃ!!

見た目佐藤健であのスキルなら

やりで戦車落とせますって。


けどせっかく走っていったのに
そこにほかの男性(元旦那とか?)
いたらすぐにあきらめそう〜。

たえ子が母と名乗らずに
娘に言い聞かせてるところも
ヤスと旭のお互いを思う気持ちにもうるうるきました。



市川安男…内野聖陽
市川旭…佐藤健
坂本由美…吹石一恵
幸恵ゆきえ…加藤貴子
市川美佐子…常盤貴子
照雲…野村宏伸
たえ子…麻生祐未
海雲…柄本明











2013.02.03 Sunday 23:05 | comments(0) | trackbacks(9) | 
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とんび 第4話:本当のお母さん
秘すれば花・・・(┯_┯)うるる 今回は、ヤスとアキラ、たえ子姉ちゃんと娘・泰子@徳永えり、そしてアキラの坂本さんへの 秘すれば花な物語。 勘のいいアキラなので、皆が美佐子の死の真相を話してくれないのは、 自分のせいで母が亡くなったせいなのではと勘付いて
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強い親になりなさい。 強い親っていうのはね… 自分がボロボロになっても決して子供の手を離さない親のことよ。 とんび 第4話    昭和60年。 12歳になったアキラは、母が亡くなった事故に...
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| ぷち丸くんの日常日記 | 2013/02/04 10:17 AM |
とんび #04
『本当のお母さん』
| ぐ〜たらにっき | 2013/02/04 12:26 PM |
秘すれば花 〜 とんび
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ドラマ「とんび」 第4話 あらすじ感想「...
秘すれば花----------!!「ゲイって嘘だよね?」「それは-------そんな風に見えてました?」じゃぁ嘘でいいのかと思いきや、なんと旭はそれを否定しないで、それでいいと言い出したのだ...
| ◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆ | 2013/02/04 6:29 PM |
ドラマ「とんび」 第4話 あらすじ感想「本当のお母さん」
秘すれば花----------!! 「ゲイって嘘だよね?」 「それは-------そんな風に見えてました?」 じゃぁ嘘でいいのかと思いきや、なんと旭はそれを否定しないで、それでいいと言い出したのだ!! 女友達のようでいてくれってどういう事? 由美の事好きじ
| ★☆TB黒衣の貴婦人の徒然日記☆★ | 2013/02/04 6:29 PM |
《とんび》☆04
旭は、坂本由美の子健介の面倒見てくれるのは、旭がゲイだという噂を流されていた。 聞かれても、ヘラヘラと、坂本さんは女友達、なぞと逃げるので、すっかり本命に気を悪くされていた。 女編集長はとても仕事ができる人だ。そうなると、なにがなんでも自分一人の力で解
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