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とんび 第9話「突然の終わり…」

第9話「突然の終わり…」



ヤス(内野聖陽)はアキラ(佐藤健)から
「結婚したい人がいるから会って欲しい」と相談される。
さらにその女性が年上でしっかり者の美人と聞き、
町中の人に自慢する。帰省当日、アキラとともに現れた
由美(吹石一恵)を見て、予想以上に年上であることに気づく。
さらに離婚経験があり子供もいることを打ち明けられると、
ヤスは結婚に猛反対。言い争いになったアキラは
由美を連れて東京に帰ってしまうー。






「会ってほしい人がいるんだ」

「会ってほしい人?」

「うん…」

「取材ってやつか? 俺に」

「結婚しようと思ってる人がいるんです」

「けっ… こん?」

「切った…」

「結婚って お前がか!?」

「うん… でね

 そっちにも1回連れていきたいんだけど」

「お… おい 何やってる人だ?」

「同じ会社の人なんだ」

「じゃ 大卒か?」

「うん… まあ」

「どこだ?」

「慶応なんだけど」

「け… 慶応!?」

「うん 慶応大学」

「そんな…

 お前 向こうの家は納得してくれてんのかよ

 お前みたいな 田舎もんの若造でよ」

「まあ… それは

 向こうがしっかりしてるってのもあって」

「しっかりもんなのか」

「うん」

「まあ… 年上だからね」

「年上?」

「ちょっとね」

たえ子の店にいったヤス。

「あっくんが結婚!?」

「ああ すんだとよ はあ〜

 同じ会社の人で「由美ちゃん」っつうらしい

 ああ 由美かおるの由美な
 
 名字じゃなくて名前の方だけどな」

「で どんな人なの?」

「それがよ 年上だっつうんだよ」

「えッ!?いくつ上なんすか」

「まあ ちょっとらしいんだけどな」

「じゃ いいんじゃないの うん

 「年上の女房は金のわらじを履いてでも探せ」

 っていうしね」

「けどよ ちょっとっつっても年上だぞ

いっくら おめえ

 頭いいっつってもよ〜

 一応 慶応大学とかいうとこ 卒業してるらしいけどよ」

「慶応ってあの慶応すか!?」

「俺も それが心配でよ

 もしかして 他にもあんのか慶応って」

「ないない すごいじゃない」

「あッそう」

「けど やっさん

 もしかして 岩みてえな女が来るんじゃないすか」

「そこ! そこなんだよ クズ

 俺も そこは心配して聞いてみたらよ

 何か大学のときはモデルとかいうやつに

 スカウトとかいうやつをされたとか何とか言うんだよ」

「べっぴんってことじゃないすか!」

「よく知んねえけど そういうことになんの」

「そうっすよ」

「あッそう」

「何か 裏があんじゃねえか」

「裏?」

「借金とか詐欺とか

 タチの悪い男から逃げてるとかよ」

「まさか〜 」

「お前分かんねえぞ

 大体よ いくら相手が旭といえども

 慶応だの べっぴんで

 バリバリ仕事してるお嬢さんが

 おめえみてえなお荷物がついてる男

 選ぶわけねえじゃねえか」

「お荷物…

 コノヤロー! 俺がいつ旭のお荷物になったんだよ」

「ちょっと やっちゃん!こんなとこで

 グズグズしてていいの」

「ああ?」

「だって 二人来るんでしょ お布団とかあんの?」

「あッ…」

坂本さんに話す旭。

「いや〜 親父 大喜びでさ

 スカウトの話とかビックリして電話 落としちゃってさ」

「フタを開けたら企画物のAVだったって言った?

 ホントに ちゃんと話してくれてる 年のこととか」

「うん… ちょっと年上だって」

「 「ちょっと」って…

ねえ 離婚のことは?」

「まあ それは会ってからでもいいかなって」

新しい布団をふた組買ったヤス。

「布団 あったんなら新しいの買わなくても…」

「カビくせえ布団に寝てもらうわけいかねえよ

 慶応大学出身のお嬢さんによ」

「慶応出のお嬢さんね」

「おう ヤス旭 結婚すんだって?」

「そうなんだよ でも ちょっと年上でよ」

「けど 慶応出のべっぴんさんなんだろ」

「でも ちょっと年上なんだぞ」

「やっちゃん 行くよ」

「じゃあな」

「ヤス 旭 結婚するって!?」

「そうなんだよ」

話しかけられるたびに戻っていくヤス。

家に帰ってきて美佐子の遺影を
磨きごきげん。

「♪〜お久しぶりね
♪〜あなたに会うなんて
♪〜あれから何年 経ったのかしら」

「やっちゃん」

「♪〜少しは 私も…」

「やっちゃん!」

「うん?」

「あのさ 一つだけ言っとくけど

 来るのは お嫁さんだからね

 美佐子ちゃんが来るわけじゃないからね」

「何言ってんだ ねえちゃ…

 そうか

 アイツは そうかもしんねえな」

ヤスは美佐子に報告。

「お母さん ついに 今日

 ウチに 三国一の花嫁がやってくる

 そのことについて

  一つだけ言っておきたいことがある

 昨日 たえ子ねえちゃんに言われて気づいたんだが

 アイツは お前のことをよく覚えてないから

 その分 マザーコンプレックスってやつだと思う

 きっと お前によく似た娘さんが来ることだと思うが

 笑わないで 見守っていてほしい」

みんな旭の出迎え。

「ヤスは?」

「何 勝手にしてんだよ お前らよ」

「ヤスさん こっちこっち」

「邪魔だよ

 何の騒ぎだよ こりゃ」

「おめえが言いふらしたからだろ

 何だ その格好は」

「当たりめえだろ

 嫁さん 来んだからよ」

電車がみえました。

「来た〜!」

「来た!?」

「お前ら ちゃんと並べよ ちゃんと」

「下がって 下がって」

「マナー悪いと由美ちゃんに失礼だからよ
 
 そこ カメラ カメラ!」

旭と坂本さんは大勢の出迎えにびっくり。

「あれ?

 何? 何かイベントとかあるの?」

「あッ…みんなで由美ちゃん

 出迎えようって来たんだけどね」

「初めまして

 坂本由美です」

「オイ ちょっとじゃねえんじゃねえか」

「似て…

 ないね」

ヤスの家にやってきて
おみやげを出す坂本さん。
でもヤスは背を向けたまま。

「お酒 お好きだって聞いて」

「ああ どうもその辺 置いといてください」

みかねたたえ子が声をかけました。

「由美ちゃんは同じ出版社なんだって?」

「はい」

雑誌を出してみせる旭。

「これ 作ってるんだよ」

「あら まあ ハイカラな

 見て やっちゃん

 素敵よね〜

 奥付は…

 あッ あった 由美ちゃんの名前

 ほら 見てほら 見える? ほら」

「うるせえな〜」

「皆さん 奥付って知ってらっしゃるんですね」

「あっくんが「シティ・ビート」に入ってから

 みんな 何だかんだ気にするようになってね」

「お名前

 あなたのお名前はずいぶん上の方にあるようですが」

「あッ…」

「坂本さんね 仕事できるから」

「へえ〜 できるから上に

できるからね〜

 東京は 実力社会ってやつですか

 へえ〜 田舎はまだまだ年功序列ですけどね」

「私 7つ上です!」

「7つ〜!?」

「33です すみません!」

「 謝ることじゃないでしょ ねえ」

「そうよ べっぴんさんだしねッ やっちゃん

 あッ ご飯にしよっか」

「そうだね 腹減ったし」

「ねッ」

「この際なので…」

「あとで いいんじゃない」

「一緒だから」

「まだ 何かあるんですかな?

 まだ 何かあるの?」

「私 離婚経験があります

 子供も一人います」

「コブつき!?」

「はい…」

「あの 親父…

 あッ… ちょっとおばちゃんと一緒に買い出し

 行ってきてくれないかな」

「でも…」

「そうしよう 由美ちゃんほら 行くよ

 ほらほらほら ねッ

 行ってきま〜す」

坂本さんをつれだすたえ子。

「気にすることないわよ

 やっちゃんが勝手に期待して

  こんなんなってただけだから」

「そりゃガッカリさせちゃいますよね」

「あのさ… どうして離婚したの?」

「あッ…」

ヤスと旭。

「言ったでしょ 年上だって」

「7つはちょっとじゃねえだろ」

「だから…

 言うと そうなるでしょ」

「コブつきは 一切 聞いてねえ」

「離婚して子供がいることがそんなに問題?

 たえ子おばちゃんだってそうじゃない」

「あの人はね…」

たえ子と坂本さん。

「捨てられたんです 私「約束が違う」って」

ヤスと旭。

「約束?」

「元のダンナさんとは

 結婚するときに約束してたんだって

 子供ができたら仕事辞めるって

 で 最初はそのつもりだったらしいんだけど」

 
「現実 考えたら一度 辞めちゃうと

 簡単に戻る場所なんて見つからないだろうなって

 仕事 好きだったし

 自分なりに頑張ってきたし

 もし ここで仕事 辞めちゃったら

 私 子供に
 
 「お母さんは あなたのために仕事を諦めた」とか

 そういうことを思ってしまうかもって」

「 だから… 元のダンナさんに

  「自分も働きたい」って言ったんだって

 そしたら 「いいよ」って言ってくれたらしいけど

 実際 仕事しながら子供育てるって大変じゃない

 親父だって 大変だったでしょ?

 急に熱 出されたら戻んなきゃいけないし

 仕事 長引きそうでもお迎えは行かなきゃいけないし

 親父だって俺のことみんなに手伝ってもらって

 何とか やってきたって感じでしょ

 それを 元のダンナさんは

 ものの見事に 何一つ手伝ってくれなかったんだって」


「あんまりにも きつくなって 1週間に一度でいいから

 会社に残れる日をつくってって頼んだんです

 そしたら「要領悪いから両立できないんだ」

  「そんな人 仕事続けても」

  「どうにもなんないと思うけどね」って

 でも 子供にとってはお父さんだからって

 そう思って我慢してきたんです」

「分かるな〜」

「でも 「僕が欲しかったのはこんな家庭じゃない」

 「こんな家 帰りたくないから別れてくれ」って

 離婚届 渡されちゃって」

「ひどい話だと思わない?」

「当たりめえの話じゃねえか」

「えッ?」

「我が身 大事で仕事 続けて

 結局 愛想を尽かされたって話だろ

 そんなもん同情も何もできっかよ

 なあ お母さん」

「でも…

 好きな仕事を続けたいって気持ちは分かるでしょ

 だから」

 
「子供やダンナよりてめえの方が大事な女だろ

 たぶらかされてんだよ お前は」

「そんな言い方」

「そんな言い方じゃねえそうなんだ

  そんなんと一緒になってみろ

 ガキの世話 押しつけられて病気になったら

 施設へ放り込まれておしまいだよ

 てめえ 大事な女はそんなもんだよ」

「坂本さんは そんな人じゃ…」

「やめとけ 旭

 お母さんだって きっと生きてたらそう言うぞ」

ヤスをみつめる旭。

「何だよ」

「お母さんはそんなこと言わないと思う」

「ああ… そうか じゃあ

 俺のお母さんとお前のお母さんは別人なんだな

 だったら いい だったらとにかくな

 俺は そんな嫁 ごめんだからな!」

坂本さんとたえ子。

「やっちゃん

 バカだから色々言うかもしんないけど

 根はね〜 根は優しいから

 時間がたてば きっと」

でも家の前に帰る準備をした旭が
たっていました。

「え〜ッ!?」

「帰るよ 坂本さん」

「えッ!?何があったの あっくん」

「 「結婚すんなら 金輪際親でも子でもない」ってさ」

「えッ!? そんなこと言ったの」

「そういうことだから

 おばちゃん忙しいところ ごめんね」

「ちょっと あっくん!」

坂本さんの手をひいて帰ってしまう旭。

「どうすんの あっくん帰っちゃうわよ!

 今までとは違うのよあっくんね

 向こうに家ができんのよこのまま

 ホントに帰らなくなったらどうすんのよ」

おならをするヤス。

「最低なんだけど 美佐子ちゃん」

旭と坂本さん。

「気に入らないのも分かるよ

 お父さんは結婚したら長距離トラックを辞めた人でしょ

 お母さんにいたっては

 子供のために命まで投げ出す人でさ

 大丈夫 覚悟はしてたから」

「何だかんだ言っても

 最後は「頑張れ」って言ってくれると思ってたんだけど」

たえこの店。

「事情は分かるし ホント気持ちのいい子だったのよ」

「あのバカ ぶちあげた手前

 引っ込みがつかなくなったんだろ」

「似てなかったからね〜あの子 全然」

「美佐子ちゃんに似てなくなかった?」

「そこかな? やっぱり」

坂本さんの母に話す旭。

「そういうことなんで とりあえず

 ウチの親父は置いとく形で話を進めます

 あの… 婚姻届の証人のサイン

 お父さんにお願いしてもいいですか」

「ウチは いいけどいいの? 市川さんは それで」

「別に一緒に暮らしてるわけでもないですし」

健介をねかしつけている旭の姿をみる坂本さん。

「そうやって寝かせてきたんだよな

 お父さんも」

翌朝。

「あれ?

  おはようございますあの…

 由美さんは?」

「あれ?まだ 寝てない?」

「いえ…」

「ママは?」

坂本さんがいなくなっていました。

旭の地元。

「今日までいりゃよかったのにな

 短気 起こしやがって

  これだから 東京の人間はよ」

「ヤス またバカやったらしいんだよ」

「まったく めんどくせえ

 これだから 田舎もんはよ」

「おお やっさん

 おお〜 お嫁さんとしっぽり飲み明かしたんすか」

葛原を殴るヤス。

「イテッイテテ… 何すんすか!?」

「あんな嫁 ウチに入れらんねえだろ」

「えッ?」

「7つも上の しかもコブつきだったんだよ」

「ああ そうなんすか…」

「ああッ!」

「バカ! 耳もとでどなんじゃねえよ」

「やっさん 後ろ!あれ あれ!」

坂本さんがいました。

「何だよ!?何だよ アンタ」

「すいません お話があって」

「こっちはねえよ」

「ここの…

 証人のところにサインしてほしいんです」

婚姻届をみせる坂本さん。

「アンタ… 旭から 話聞いてねえのかよ」

「聞きました」


「それで来てんのかよ!?

 どうかしてんじゃねえか?」

「でも…私は お父さんに認めていただきたいんです

 お願いします!サインしてください!」

「何だよ お前 しつけえ女だな

 そんなに結婚したきゃてめえの親に頼みゃいいだろ」

「お父さんじゃなきゃダメなんです!」

「ヤスと嫁じゃねえかオイ モメてんぞ」

「ハハハ…」

ふたりにみんなも注目。

「てめえの気持ちばかり押しつけやがってよ

 俺な アンタみたいな女が一番嫌えなんだよ!」

「でも 私は… 私はお父さんが好きです!」

「負けてんぞ! ヤス」

「うるせえな!

 黙ってろ! おめえら!」

「私にとって市川君を好きだということは

 お父さんを好きだってことです

 結局は同じことなんです」

「アンタも黙れ!」

「だから!

 私を娘にしてください!」

「いいぞ! 娘」

「いいぞ〜!」

「娘?」

「はい

娘にしてください」

「娘…」

婚姻届を丸めて食べてしまうヤス!

「食った〜!」

「ハハハ…」

「ウッソ…」

「バーッ! まいったか

 こざかしいマネしやがって

 俺に たてつこうなんざ100年早えよ

 へッ!」

「ハハハ… 何だ ありゃ」

たえ子がやってきました。

「たえ子さん」

「こういうのね ここでは

 「やっちゃんのバカを甘く見る」って言うのよ」

「あれが…ヤスさんなんですね」

たえこの店にやってきました。

「前に同じ保育園の保護者から

 苦情を受けたときのことなんですが

 市川君 「僕が悪いんです!」って

  いきなり自分で自分のこと殴りだして

 そしたら 相手戦意喪失しちゃって」

「 へえ〜 そう あっくんが」

「聞いたら 昔 お父さんがそうしたって言うんです

 それ聞いて…

 私 いいな〜って」

「だから?

 やっちゃんにサインしてもらいたいの」

「そうですね」

「けど…

 こうなっちゃうとな〜」

葛原嫁のところにいるヤス。

「何で おめえに飯食わせなきゃいけねえんだよ」

「うっせえな お前

 何だ その ちっこいの いつの間に産んだんだよ」

「孫だよ 孫二人で旅行行きやがってよ

 世話 押しつけられたんだよ」

「そのわりに 楽しそうじゃねえか」

「あったり前だろ

 こんなかわいいもの他にあるか なッ」

「なッ」

「てめえもよ つまんねえ意地張ってっと

 寂しいぞ 老後」

「俺は 別に…」

「いいタマだと思うけどな〜

 嫌がられてんの分かってて 婚姻届持ってくるなんてよ

 東京のお嬢ちゃんにしちゃ気合い入ってんじゃねえの」

美佐子に語りかけるヤス。

「孫の顔は見たいよな

 お母さんも」

そこへやってきた照雲。

「ヤス いる〜?」

「大体 話がおかしいと思うんだよ
 
 出てったのは向こうなんだから

 向こうから頭下げるのが筋だろ」

「だから来たじゃない お嫁さん

 筋 通ってるよね?」

「俺は…旭のこと言ってんだよ

 仕切れてねえにもほどがあんだろ

 情けねえ!」

「じゃあさ

 お嫁さんに旭に来るように伝えてもらったら?」

「へッ でも どこいるか分かんねえからよ」

「いるみたいよ」

「どこに?」

「「夕なぎ」に

 ヤスのこと待ってるってさ」

そこへいくことに。

「ヤス ちゃんと言いたいこと

 言った方がいいよ」

「ビシッと言ってやるよ決まってんじゃねえか」

「本当に 本当に言いたいことだよ」

「いらっしゃい アハハ…」

「帰るわ」

「まあまあ いいから

 いいから そこへ座れ 座れ座れ

 おめえはバカだから分かんねえかもしんねえけどよ

 この嫁はな いい! いい嫁だ」

「まだ 嫁じゃねえ」

「あの… お父さん」

「誰がアンタのお父さんだ」

「すみません どうぞ」

「飲んでたのか?」

「飲んでない 飲んでない」

「やっちゃん 来るまで飲まないってねえ」

「早く認めて飲ましてやれよ イケる口だってよ」

「そうか…」

「はい」

「美佐子は一滴も飲めなかったけどな

 てめえは飲めないのに

  ニコニコニコニコ話 聞いて

 自分のことはいっつも後まわしの

 そういう…

 アンタとは正反対の人だったよ

 旭の母親はそういうヤツだった」

「はい…」

「やっちゃん それはさ 言っちゃダメよ」

「何で言っちゃいけねえんだよ

 大体 おかしいだろうが

 普通はよ どっかしら

 自分の母ちゃんに似てる女選ぶもんだろうが

 それが一番自然でうまくいくんじゃねえのか

 ズレてんだよ!何かズレてんだよ!

 しっくりこねえんだよアンタ!」

「それは無理です

  そんなの無理ですよ だって市川君には

 お母さんの思い出がないんですから」

「アンタな!」

「そのかわり

 市川君には お父さんとの思い出があります

 お母さんがいない分 お父さんのことはよく覚えてます

 人の倍 覚えてます
 
  いつもいつも私にお父さんの話ばかりします

 だから 私は市川君からお父さんを

  取り上げるようなことはしたくないんです」

「じゃ 身 引いてくれよ!旭のためによ」

「何度も考えました 私でいいのかって

 そう言ったら市川君に怒られたんです

 初めて怒られました
 
  「年上とかコブつきとかそんなこと」

  「もう二度と引け目に思うな」って

 変な理屈かもしれませんけど

 だから もう 私にはこうするしかないんです

 お願いします認めてください!」

そこへ旭が健介をつれてやってきました。

「あっくん!」

「あッ!」

「やっぱり いたいた!」

「何で 健介 連れて?」

「連れてきた方がいいと思って

 親父

 あのさ

 色々 気に入らないことはあると思うけど

 この子の じいちゃんになるって考えてもらえないかな

 おじいちゃんが増えるって

 ものすごい 楽しみにしててさ」


「汚え…」

ヤスじゃなく照雲が怒り始めました。

「汚いだろうが! 旭!」

「しょ… 照雲ちゃん」

「幸恵 その子を外に出して」

「えッ?」

「いいから 早く出して!」

「おばちゃんと散歩しようかねッ」

「うん 」

「大丈夫 大丈夫 はい 一緒に行こう はい」


「子供を連れてくるなんて やり口が汚いだろ

 こんなことしたら ヤスが何も言えなくなるだろ
 
 はっきり言うけどな 旭

 おじさん…この嫁さんは反対だ

 やめた方がいい」

「えッ… 何で?」

「ヤスの言うとおり この人は

 お前のお母さんに何一つ似てないからだ」

「ちょっと待ってよ… 何で

 お母さんに似てなきゃいけないんだよ」

「お前のお母さんは もういないからだ」

「親父のためにそうしろってこと?」

「お母さんのためだ」

「お母さんって… 何で?」

「お前のお母さんは もう何も言えない

 お前のすることを応援することも

 叱ることもできない そういう人だ

 だけど お前のことを誰よりも愛してた

 それは間違いない そんな お母さんのために

 せめて どこか一つでも

 面影を感じられる人を

 選んであげようと思わないのか

 何も そっくりな人を連れてこいとは言わない

 だけど どこか一つでも似てるところがあれば

 お母さんは喜ぶと思わないか?

 旭の中にちゃんと自分は生きてるんだって

 そう思えると思わないか?

 この人は お前にはお母さんの思い出がないから

 それは無理だって言った

 確かに そうかもしれない

 でも たとえ そうでも それは お前以外の人間が

 決して言ってはならないことだと思う

 この人は そういうことを平気で言う人だぞ

 そんな人お母さんが喜ぶと思うか?どうなんだ?

 旭?

 答えろ!」

答えたのはヤス。

「クソ坊主!てめえに何が分かんだよ!

 美佐子は喜ぶに決まってんだろうが!」


「えッ?」

「 アイツは… アイツだったら

 「孫つきで きてくれんのありがとう」って

 そう言うよ!

 「離婚してくれて

ダンナさんに感謝しなきゃ」って

 トンチンカンなこと言うに決まってんだよ

 てめえに似てるとか似てねえとか

 ケツの穴の小せえこと言わねえんだよ!

 この子はよ

旭が俺と気まずくなんねえようにって

 婚姻届 持って乗り込んできたんだよ!

  そこまで コイツのことを考えてくれる女

 どこに いんだよ!

 俺みてえな 学もねえこ汚え親父をよ

 「好きだ」って言ってくれる

 そんな女が どこにいんだよ!

 旭と 俺と

 まとめて好きだって言ってくれる

 もし そんな女が他にいるとしたら

 美佐子だけだろうが!

 似てるんだよ この子は

 美佐子に そっくりなんだよ!

 だから 俺の娘になるんだよ!」


「やっちゃん

 よく言った!」

「はあ… 疲れた〜」

やっぱり照雲の芝居でした。

「もう どうしたかと思ったわよ」

「どこで気づいたんですか?」

「分かるわよ」

「どういうことなんだよ あッ!」

「照雲ちゃんの芝居だったのよ

 やっちゃんは乗せられて

 本当に言いたいこと言わされちゃったの」

「ナマグサ〜!」

「ありがとうございます お父さん

 ホントに…」

「お… おう」

「親父

 これからもよろしく頼みます」

「うっとうしいんだよおめえら

 大体な いい若いもんが

 惚れた腫れたで親の顔色 伺うな!」

「はいはい あっくんも座ってこっち詰めてね」

「座れ」

「はい」

健介も戻ってきました。

「もう いい?」

「うん」

「はい」

健介に

「ヤスです…」

と挨拶するヤス。

「こっち来い  こっち来い

 寒かったか?

 ねえちゃん ジュース」

「はいはい」

坂本さんもいっしょに墓参りへいきました。

「お母さんも長くてな

 拝むの」

「へえ〜」

「ところで

  じいちゃんってのは 何したらいいのかね〜」

「かわいがってりゃいいんじゃないの

 めんどくさいことは俺達がやるから」

「 「俺達」ね〜」

「ヤスさん!あれ 何?」

「えッ? 何だよ どれどれ

 ヨイショ… どれだほら」

「 飛んでるやつ」

「鳥か? 飛行機か? スーパーマンか?」

すっかりいいおじいちゃん。

「まったく どこ行ったんだ?

 健ちゃんの父ちゃんと母ちゃんは」

石段に座って町をみおろしながら
話しているふたりの姿が
若い頃の自分と美佐子にかさなりました。

旭たちが帰ることになり駅までみおくり。

「バイバイ」

「ああ バイバイ

 また おいで」

「じゃ 親父」

「おう 体に気いつけろよ」

「親父 あのさ…」

「出るぞ 電車」

「ああ…

  じゃ 親父 親父もホント体は大事にしてよ」

「お前もな

 もう ひとりもんじゃねえんだからよ

 由美ちゃんも健ちゃんも

 苦労してきたんだからよ

 お前が しっかり助けてやんだぞ」

「はい…

 はい お父さん」

家で美佐子に語るヤス。

「俺達 だってよ

 アイツ

 由美ちゃんと自分のこと

 俺達って言いやがった

 アイツにとっちゃ

 もう あっちが家族なんだろうな
 
 ホントに…

 お前と俺だけになっちまったな

 お母さんは いつまでも若いな

 はあ…」

いつものようにたえこの店。

「ねえちゃん おかわりはい」

仕事中の旭。

「先生 「徳田出版」の市川です

 はい 資料 揃えましたんですぐお持ちします

 はい 失礼します」

「酒井先生?」

「はい あと少しで脱稿なんで行ってきます」

「おッ 頑張れよ はい!」

机にはヤスと美佐子の写真にくわえ
健介の卒園式に3人でとった写真も。


『これは…』

仕事中のヤス。

「せちがらい世の中ですな〜

 はあ…」

『とんびとタカが 旅をした物語』

葛原嫁が孫をつれてきていました。

「オイ 何やってんだ?」

「デカい車 好きだからよ 悪いな」

「おッ 歩くようになったか」

『旅なのだから いつかは終わる

 だけど…

 そのことを 俺は…』


荷がくずれてきて下敷きになりそうな
葛原の孫を助けにいくヤス。

「危ねえ!」

「とんび?」

「ヤスさん!救急車 救急車!」

ヤスが旭をかばった美佐子のように下敷きに・・・。

『俺は すっかり忘れていたんだ』


坂本さん、さすが出版社でも
バリバリ仕事こなしてるだけあって
ヤスにあんなふうに言われても
簡単にひきさがったりしない!
ヤスも素直じゃないから
すんなり認めることができないでいるのを
長いつきあいの照雲がうまくやってくれました。

ヤスも旭のことも好きって言ってくれるのは
美佐子と由美ちゃんだけ。
まあほんとはたえこや他の人たちも
みんなふたりのことを好きなんだけどね。

でもヤスーー!!
やめてーーーこの展開!

前は葛原の積んだ荷物のせい。
今回は葛原の孫のせいじゃ
葛原がかわいそう。

ヤス、これからじいちゃんとして
孫もかわいがらなきゃなのに・・!
旅をおえるには早すぎるよ。






市川安男…内野聖陽
市川旭…佐藤健
坂本由美…吹石一恵
幸恵ゆきえ…加藤貴子
市川美佐子…常盤貴子
照雲…野村宏伸
たえ子…麻生祐未
海雲…柄本明











2013.03.11 Monday 16:35 | comments(0) | trackbacks(4) | 
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【とんび】第9話 感想
俺みてえな学もねえこ汚え親父をよ、「好きだ」って言ってくれる、 そんな女が どこにいんだよ! 旭と、俺と、まとめて好きだって言ってくれる。 もし、そんな女が他にいるとしたら、美佐子だけだろうが! ...
| ドラマ@見取り八段・実0段 | 2013/03/11 5:09 PM |
とんび #09
『突然の終わり…』
| ぐ〜たらにっき | 2013/03/11 7:43 PM |
とんび 第9話
ヤス(内野聖陽)のところに、旭(佐藤健)から「結婚したい人がいるから会ってほしい」と電話が掛かって来ます。 相手の女性が旭より少し年上で、慶応大学を卒業したと聞いたヤスは、たえ子(麻生祐未)や...
| ぷち丸くんの日常日記 | 2013/03/11 8:55 PM |
とんび 第9話:突然の終わり…
何だかなぁ・・・・・・・・Σ( ̄⊥ ̄lll)・・・・・ 今回は全編に渡って原作にはないストーリー展開・・・ 結婚を反対する理由が、美佐子に似てないからって、そげな・・・ 毎回ヤスの大人げ無い振るまいに、クスっとしたり、呆れたりしてたけど、 今回はちょっとヤス
| あるがまま・・・ | 2013/03/11 10:21 PM |