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泣くな、はらちゃん 第10話(最終話)

第10話(最終話)



はらちゃん(長瀬智也)たちを漫画の世界へ帰し、
自分自身も漫画の世界へ行ってしまった越前さん(麻生久美子)。
心配する漫画世界の面々に、越前さんは
「私なんかいなくても、あの世界は何も変わらないんです」と、
悲しげに微笑む。はらちゃんは、「そんな越前さんは
好きではありません」と、自分の世界と自分自身を
好きになろうとしない越前さんを現実の世界に連れ帰そうとする。
果たして、二人の恋の行方は・・・?




かまぼこ工場

「お疲れさまです。」

「お疲れさま。」

紺野さんをみつめる田中さん。

「いってきます。」

昼休み。
田中さんと紺野さんと百合子。

「でも ホントなんですかね?

  越前さんが漫画世界に行ってしまったって…。

 何か 信じられないんですけど。」

「確かめようがないけど 多分ね。」

「はぁ…。」

「勇気あるなぁ。」

「勇気なのかね? それって。」

部屋からでていく百合子。

「清美さんも行っちゃいますか?漫画の世界に。」

「何で?」

「清美さんまで いなくなったら 寂しいなと思って。」

「何それ…。」

「えっ あっ… すいません。」

マンガの世界。

♪〜 世界じゅうの敵に降参さ
♪〜 戦う意思はない
♪〜 世界じゅうの人の幸せを
♪〜 祈ります

「ひとりじゃないぞ…!オレたちもいるぜ…!!」

「お〜!」

「ハハハ…。」

「アハハハ…。」

越前さんもゆったり。

「いいですね ここは。」

「そうですか?」

「はい すごく穏やかで。」

「ん? 「穏やか」とは?」

「気持が落ち着くことです。」

「なるほど そうですね。」

百合子は越前さんの家へ。

マンガの世界の天井がゆれました。

「ん?」

「何?」

ノートをふる百合子。

「うわっ!」

「越前さん 大丈夫ですか?」

「えっ? これは 何?」

「あっちの世界で 

 誰かが あなたを呼び戻そうとしてるのよ。」

「えっ?」

ノートをふりまわす百合子。

「出ておいで 帰って来るのよ!

越前さ〜ん!」

マンガの世界は大揺れ。

「あっ!」

「越前さん 私につかまってください。」

「あっ!」

「あっ あっ…!」

「何…。」

「越前さん 戻りますか?」

「えっ?」

「越前さ〜ん!」

「姉ちゃん!」

「おっ… うわ〜!」

「越前さん。」

イヤ…。

 イヤ! ここにいたい!」

さらに大揺れ。
落ちてくるものから越前さんをかばうはらちゃん。

「帰りたくないのかしら? あの子。」

ノートを開くとおちたものがすべて元通りに。

「ハァ ハァ ハァ…。」

「越前さん 大丈夫ですか?」

「はい。」

「みんな越前さんを心配してるんですよ。

 もちろん 越前さんが

 こちらの世界にいてくれるのは嬉しいんですが…。」

「いいの?
 
 本当に大丈夫?」とユキ姉。

「大丈夫です。

  そりゃあ家族には悪いなっていうか

 私がいなくなったら 泣いてくれると思いますけど。

 それに… 仕事もね私が急にいなくなったら困ると思います。

 でも それは ほんのちょっとだけ。

 あの世界は 私がいなくても 誰も困らないんです。

 何の問題もないの。

 私なんか いなくなったって

 あの世界は何も変わらないの。」

「そんなことは ないだろ なぁ?」と笑いおじさん。

「そうですよ 1人いなくなったら

 世界は全然 変わってしまいますよ。」とあっくん。

「この世界はね。

「あっちの世界は そんなことない。

 いなくなったら世界が変わってしまう人も

 中には いるかもしれないけど…。

 私は そういう人じゃないんです。

 ちっぽけなどうでもいい人間なんです。」

「世界が大き過ぎるんだなきっと。」とたまちゃん。

「俺達の世界は狭いかもしんないけど

 でもいなくなっても何も変わんないなんて

 人はいないっすもんね。」とマキヒロ。

「ああ そうだな。」

「はらちゃん どうしたの?

 何で 黙ってるの?」

「はらちゃん。」

ノートを手に取るひろし。

「姉ちゃん。

 俺 バカだからさ さっぱり分かんないけどさ…。

 ごめんね 帰って来てもらうよ。」

「ん?」

「越前さん。」

「はい。あっ…。」

「ありがとうございます。

 私は 嬉しかったです。

 越前さんがこちらの世界に来てくれて

 嬉しかったです。

 でも…私は悲しいです。」


「えっ?」

「あなたは 「私なんか」という

 自分なんかどうでもいい人間なんだという

 そんな越前さんが 私は好きではありません。

 嫌いです。

 越前さんは 帰るべきです。

 自分の世界に。

 帰って自分と両思いになってください。

 世界と両思いになってください。

 自分が 相手を好きにならないと

 両思いにならないんですよ 越前さん。

 どうして あなたは

 自分に自分の世界に 恋をしないんですか?

 こんなに素敵な人なのに…。

 あんなに素敵な世界なのに…。

 あんなことを言う越前さん 好きではありません。

 好きではありません。」


「はらちゃん…。」

そこへまた揺れ。

「あっ!」

自転車でノートをひきずって走るひろし。

「うお〜っしゃ! オラ〜!あ〜!!

 姉ちゃん 帰って来いよ…!

 はっ? えっ あれ!?えっ ブレーキ利かない!!

 あっ あ〜!」

「越前さん。」

「えっ?」

「はらちゃんよぉ!

 ひとりじゃないぞ…!

「オレたちも いるぜ…!!」

「はい!」

「おっ おぉ…!」

「みんな〜!」

「あ〜 止まらない! 誰か!もういいや! 行っちゃえ!

  レッツ ゴー!あ〜!」

かまぼこ工場でものにぶつかってとまりました。

「何だ?

 何だ? えっ? うわ…。」

はらちゃんと越前さんが戻ってきました。

「あっ 皆さんまた お会いできて 嬉しいです。」

越前ざんをみつめ近づいてしっかり抱きしめる百合子。

「おかえり よく帰って来た。」

「はらちゃんは

 こちらの世界にいることにしたんですか?」

「したいことがありまして。

 実は たまちゃんに…

 いや玉田工場長に 結婚について

 教えていただいたんですが…。

 両思いの 男の人と女の人が一番楽しい時は

 新婚さんだそうです。

 ぜひ 経験したいと思うんです はい!」

「はぁ?」

「なので 越前さんと 新婚さんになりたいと思います。」

「新婚さんね… はいはい。」

「ねぇ 越前さん。」

「知りません。

 さっき 私のこと 好きじゃないって言ったじゃないですか。」

「いや あれはですね 越前さん…。」

「ハァ〜 痛っ。」

「ひろし?」

「ひろしさん!」

「姉ちゃん! あぁ よかった 戻って来たんだ。

 姉ちゃんが いなくなったら

 俺が働かなきゃいけなくなんじゃん?」

「はぁ?」

「では 越前さん 私と新婚さんになりましょう!」

「なりません!」

「えっ?どうしてですか? 越前さん。」

「何?めでたし めでたしハッピーエンド?

 あっ 俺のおかげか やる時 やる男?

 アハハ イェ〜イ!」

「まったく!

 切ない話なんだか コメディーなんだか

 はっきりしろよ。」

視聴者の思いを代弁する紺野さん。

「どう見ても コメディーですよね あの2人は。」

「新婚さんは楽しいんですよ…。」

越前さんをおっていくはらちゃん。

「だって 言ったじゃないですか

 私のこと好きじゃないって 何回も。」

「いや ですからあれはですね 越前さん。

 こちらの世界では 思ってることと

 逆のことを言うことがあるじゃないですか。

 怒ってないのに 怒ったりとか 

 あれは そういうことですよ。」

「そんな はらちゃんは 好きじゃありません。」

「えっ!? それは困りますよ。」

「帰って来たの〜?」

「ただいま。」

「ただいま。」

「 はぁ?」

「越前さん それは困りますよ。」

「うるさい!」

越前さんのあとをついていくはらちゃん。

「ちょっと 何やってんの?あんた達。

「新婚さんです。」

「違います!」

「あぁ そうなの?

 新婚さんなのね!」

「あの 越前さん?」

「はい。」

「ところで 「新婚さん」って何でしょうか?」

越前さんがにらむので柱にかくれるはらちゃん。

「フッ フフっ…。」

でも越前さんが笑うとはらちゃんも笑顔に。

「思い出しました。」

「ん? 何をですか?」

「はらちゃんが 初めて私の前に現れた頃のことです。」

「あぁ…。」

「まだ 漫画世界の人だって分からなくて…。

 ホント 訳分からなかった。」

「私もです。」

「 「何なんですか? それ」って何回 言っただろ 私。」

「はいよく そうおっしゃってました。」

「あと 「あなた 誰なんですか?」。」

「フフっ はらちゃんです!」

「フフフ…。」

「ハハハ…。

 あっ うぅ…。」

「どうしました?」

「いや 何かこう胸の この辺りが…。」

「痛い?」

「いや…。

 何ていうんでしょう こう…チクチクします。

 痛くはないですしイヤではないです。

 でも チクチクします。

 これは 何なんでしょうか?」


「きっと それは 切ないんだと思います。」

「 「切ない」?」

「はい。」

「それは 辛いことなんですか?

 楽しいことなんですか?」

「辛いけど きっと 大切なものです。

 ちなみに私もチクチクしています。」


「ハッ! 越前さんもですか?一緒ですね。

 両思い… 両切ないですね ヘヘヘ。」


「両切ないですね。」

「あ〜 チクチクします。」

「 はらちゃん。」

「はい。」

「どこか 行きたい所はありますか?」

「いえ 私は越前さんのいる場所に 行きたいです。」

「あぁ… ありがとう。

 何か ラブラブですね。」

「ラ… 「ラブラブ」?」

「それが 新婚さんです。」

「あっ そうなんですか。

  でも 工場長さんがおっしゃってたんですが

 楽しい新婚さんは短いのだそうです。」

「えっ…?

 ん?いや でも そうとは限らないと思います。

 ずっと新婚さんみたいな人もいると思います。」

「あぁ そうなんですね。

 あっ あ〜 チクチクします。

 ハハハ あ〜。

 チクチクしますね。

 あっ 両思い 両切ない ラブラブ ですね!」


「はい。

  はらちゃんは何で そんなに強いんですか?」

「ん? 強いですか?

 私が?」

「はい。」

「分かりませんが 私は越前さんの漫画の人ですから…。

 あっ 私が強いのだとしたら

 越前さんが強いんじゃないんでしょうか?」

「え〜。」

「あっ 違いますか?」

「違うと思います。」

「あぁ そうですか。

 越前さんは弱いんですか?」

「どちらかといえば…。」

「あっ そうですか。

 私は そうは思わないんですが…。」

「えっ どうして?」

「いや だって怒ると 怖いじゃないですか。

 あっ それに 神様じゃないですか!」

「そっか。

  弱い神様は 困りますよね。」

「はい。」

「頑張ります。」

「ん〜。」

そとから御神輿の音がきこえてきました。

「ワッショイ! ワッショイ!」

「ん?」

「ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ!

  ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ!」

「えっ?」

「ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ!」

「これは 何をしてるんでしょうか?」

「おみこしを担いでるのね。」

「「おみこし」? 「担いでる」とは?」

「神様にね「ありがとうございますこれからも よろしく」

 …っていう意味かしらね。」

「えっ そうなんですか?

 では私も越前さんを担ぎたいです。

 ワッショイ! 」

「ハハっ。イヤです!」

「何 言ってるんですか!」

「え〜。」

「おさえろよ〜!」

「よっ はらちゃん。」

「あっ お巡りさんじゃないですか!

 あれ? 何で お巡りさんの服着てないんですか?」

「休みだからな 今日は。」

「休み?

 それは困ります。」

「えっ? そう言われても…。」

「お巡りさんが お休みしたら

 越前さんのいる この世界は 誰が守るんですか?

 お休みしないでくださいお願いします。」

「えっ?あっ そうか… そうだよな!

 了解! じゃあ 任務に戻ります!」

「越前さんをよろしくお願いします。」

「はい。」

「ヘヘヘ…。」

長沼さんたちが声をかけてきました。

「ちょっと はらちゃん。

 あんた どうせやりたいんじゃないの?」

「いいよ 特別!」

「いいんですか?

 ありがとうございます!」

かけていこうとして
越前さんをふりむくはらちゃん。
越前さんのOKもでました。

「はい!

 はらちゃんです!です! です! です!

 皆さん やりましょう 一緒に。」

「担ぐよ〜!」

「せ〜の!

 行きますよ〜!

 ワッショ〜イ!

 ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ! ワッショイ!

 ワッショイ! ワッショイ…!

 神様 ありがとう〜!

 これからもよろしくお願いします!

 ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ! ワッショイ…!

 皆さんも一緒に!

 ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ! ワッショイ…!

 素晴らしいです!

 この世界は 素晴らしいんです!

 ワッショイ! ワッショイ!ワッショイ! ワッショイ…!」

夜、布団を並べて寝るふたり。

「楽しかったです おみこし。」

「よかったです。」

「はい。」

「はらちゃん。」

「はい。」

「帰ってしまうんですよね?はらちゃんは。」

「はい。」

「チクチク しますね。」

「はい。

チクチクしますね。

おやすみなさい はらちゃん。」

「おやすみなさい 越前さん。」

はらちゃんに背をむける越前さんが泣きそうな顔。

翌日、外に出ると雪が降っていました。

「あっ!」

「ん。

 こ… これは 何ですか?」

「雪です。」

「「雪」…。

 キレイですね。

 あっ 消えてしまいました!」

「はい。でも たくさん降ると

  世界が真っ白になることもあるんです。」

「世界が 真っ白に…。」

そこへ母が出て来て傘を渡してくれました。

「はいはい 傘。

 はらちゃんにも はい。」

「ありがとう。」

「これは 傘。」

「「傘」…。」

「 冷たい雨や 雪から守るのよ。

濡れると 風邪をひいてしまうから。」

「えっ 風邪はダメです。

 越前さんは熱を出しますから。」

「はい…。」

かさをさす越前さんをみて
はらちゃんも同じように。

「ん!」

「アハハハ…。」

「アッハッハ!」

「行きましょっか。」

「はい。」

「あっ。

 おかあさん。」

「はい。」

ニカっと笑って

「いってきます!」というはらちゃん。

「いってらっしゃい はらちゃん フフフ…。」

かまぼこ工場でふたりとも仕事。

「越前さん!」

「はい!」

「ありがとうございます。」

「はらちゃん!」とよぶ田中さん。

「はい!」

「行きますか?」とハンドルをまわすしぐさ。

越前さんをみて確認するはらちゃん。

「いってらっしゃい。」

「はい!

 行きましょう。行きましょう。」

でかける前に工場の中をのぞいている
はらちゃんと田中さん。

噂話をするおばさんたち。

「そうだ 大橋さんの息子さんの話 聞いた?」

「えっ まだ 何かあんの?」

「また新しくバイト始めたらしいのよ。」

「忙しいわね」

「仕事が生きがいって感じよね。」

「私 そんなに働きたくないわ。」

「ほら 生まれて来る3つ子ちゃんのせいじゃない?」

「大変ねぇ・・」

「そうよねぇ」

「でもさ 映画のエキストラまだ続けるのかしら?」

「それで養って行けると思ってるのかしら?」

「そうよね頑張んなきゃダメよね」

「3つ子よ 3つ子・・3人分だもん」

「アハハ…!・・ハハハ…!」

仕上がりの美しくないかまぼこを手に
注意にいく越前さん。

「長沼さん。」

「ん? 何?」

「これ…ちゃんと やってくださいね。

  お願いします。」

「はぁ?」

「お願いします。」

「ちょっと あんた やる気?」

「戦いは好きではありません。

 でも 防御はします。

 この世界を 好きでいたいので。」


「はぁ?」

がんばる越前さんをみている紺野さん。

「よろしくお願いします。」

「分かったわよ。

かわいくないわね。」

長沼さんも笑顔。

「ありがとうございます。」

越前さんも笑顔。
はらちゃんも笑顔でうなづきました。

田中さんとはらちゃん。

「えっ?帰るんですか? はらちゃん。」

「はい!」

「そうですか…。」

「はい。」

「ん?田中さん あれは 何ですか?」

「カモメです。」

「「カモメ」。」

「もっと聞いてくださいはらちゃん。」

「えっ?」

「もっと聞いてください「あれは何ですか?」って。

 聞いてください。」

「ありがとうございます。

  田中さん あれは何でしょうか?」

「マグロです。」

「「マグロ」…。

 では 田中さんあれは何でしょうか?」

「あれはウサギです。」

「 「ウサギ」…。

 田中さん…。」

「はい。」

「私達は ずっと 両思いですね。」

「はい 両思いです。」

「私は嬉しいです。」

「嬉しいです 僕も。」

「田中さん。」

「はい。」

「あれは何でしょうか?」

「あれは灯台です。」

「「灯台」。」

田中さんにホワイトデーにもらった
悪魔ちゃんのキャンディーをみて
嬉しそうにしている紺野さん。

そこへ帰って来た田中さん。

「お疲れさまです。」

「ショボっ。」

「すいません…。」

はらちゃんもやってきました。

「悪魔さん。」

「はっ?」

「 いろいろと お世話になりました。」

「えっ?帰るの?」

「はい。」

「何だ… つまんないの。」

「つ… 「つまんない」とは?」

「何でもない。」

「越前さんをよろしくお願いいたします。」

「イヤだよ 私を誰だと思ってるの?悪魔だよ。

 悪魔は 神様によろしくなんてできないの。」

「えっ そうなんですか!」

「そうなの。」

「はぁ〜。なるほど…。」

「元気でな。」

「はい!」

いつもの親指をさげるポーズをすると
それを上向きになおしてあげる紺野さん。
田中さんも同じく親指をたてて3人で合図。

マンガの世界。

「ん〜。

  いいか?」

IKKIをもったわらいおじさんが
おもいきりふりました。

いつもの店で飲んでいる百合子さんと
越前さんとはらちゃん。

「ん んん… いや〜!ん。うま〜い!

 ん〜!」

「フフフ…。」

「う〜ん うん うん う〜ん。

 うん! あっ…。

 あの 百合子さん。

 私は なぜ 漫画の世界から出て来たんでしょうか?」

「あ〜 何でだろうねぇ。

 分かんないな。

 きっと 理由があるんだろうけどね。」

「そうですか。私のように 違う世界から

 この世界にやって来る人は他にも いるんでしょうか?」

「いるんじゃないかな〜。

 でも その人達は みんな

 ただの変な人って思われてしまって

 気づかれてないんだろうね きっと。

 人はさ 自分の世界を

 疑わなくなっちゃうんだよ。

 自分のいる世界だけが

 世界だと思ってしまう。

 だから 世界の常識と違うことを

 言ったりしたりする人を

 変な人だと決めつけてしまうんだ。

 おかしいよね そんなの。

 だって 今いる この世界だって
 
 誰かが描いている

 漫画の中かもしれないでしょ。」


「えっ?」

上をみあげる2人。

「分かんないよ〜。

 漫画って すごいんだから。

 はらちゃん。」

「はい。」

「はらちゃんは 帰ってしまうの?

 そんな顔に見えたけど。」

「はい。」

「どうして?」

「離れていても 私と越前さんは 両思いだからです。」

「へぇ〜。」

「私は 幸せです。

 神様と両思いですから。

 こんなに幸せな人は

 どの世界にも いないと思います。」

「うん。」

「でも…。意地悪なこと あえて聞くよ?

  今は 両思いかもしれない。

 でも 越前さんが

 他の人を好きになってしまったら?」


「えっ?」

「はらちゃんより もっと。」

「そんなこと あるんでしょうか?」

「あったとしたら?」

「う〜ん… うん。

 それで越前さんが幸せでしたら

 私も幸せです はい。」


「そう。
 
 はらちゃん。」



「はい。」


「その気持を 「愛」っていうんだよ。」

「 「愛」… ですか?」

「そう。

  この世界では それを「愛」って呼ぶの。

  その気持を 誰かに持てることは

 とっても幸せなんだよ。」


「愛 フフっ。

 百合子さんは 誰に 愛ですか?」

「フッ…。」「フフフ…。」

「内緒だよ。」

「アハハハ…。」

「じゃあ はらちゃん 頑張って。
 
 元気で。」

百合子が親指を下にむけるポーズをすると

「ん〜。」

はらちゃんは親指を上にたてて笑顔。

「フフフ。」

「はい 百合子さんも 元気で。

頑張ってください。」

「はい 頑張ります。」

百合子は越前さんになにか耳打ちして
帰っていきました。

「フフっ」

ひとり帰り百合子。

「はぁ… 愛か…。」

しまってあったペン先をとりだしました。

「はぁ…。

 はぁ…。」

部屋にかえったはらちゃんたち。
ノートを手にする越前さん。

「越前さん。」

「はい。」

「笑ってください。」

「えっ?

 そんな 「笑ってください」って

 言われても 笑えません。」

「そうなんですか?」

「そうなんです。」

「越前さんが笑えば

 世界は輝くのに。

 越前さんの住む 

 この素晴らしい世界が。」


「この世界は イヤなこと いっぱいあるじゃないですか。

 そう思ったでしょ?はらちゃんも。」

「きっと どの世界にも

 イヤなことは あるんです。

 私のいる 漫画の世界にも。

 越前さんのいる この世界にも。

 でも 私は自分のいる世界が好きです。

 世界と両思いになりたいです。

 両思いは 幸せです。

 越前さんも 世界と両思いになってください。

 それが私の 一番の幸せです。

 愛です。」


「分かりました。

 私も…。

 はらちゃんに 愛です。」

「越前さんが この世界で

 また どうしても辛くなったら

 その時は私は いつでも やって来ます。

 愛ですから。」

 
「はい。」

「ん〜。ワン ワン ワン ヘヘヘ。

 はぁ…。

 新婚さん 楽しかったですね。」

「はい。」

越前さんの横に並んで
いっしょにノートをめくる手をそえるはらちゃん。

「フフっ結婚式のケーキ入刀みたい。」

「ん? 「ケーキ入刀」とは?」

「今度 会った時に。」

「分かりました。」

ノートを開いてマンガの世界に帰るはらちゃん。
ノートの中のマンガの越前さんはなくなりました。

「あっ。」

「おかえり。」

「おかえり。」

「おかえり はらちゃん。」

「おかえりなさい はらちゃん。」

「おかえり どうだい? 調子ははらちゃん。」

「はい とても幸せです。」

「よかった〜!まぁまぁ 飲んで飲んで〜!」

「ハハハ…!」

「神様!

 愛です!」

出勤する越前さん。

「はい お弁当。」

「じゃあ いってきます。」

「いってらっしゃい。」

マンガを描いているひろし。
タイトルは「はたらけひろし」ww

「あっ! あっ あっ…!! うわ〜。

 ハハハ…。

 やり直しだ 次…。」

本屋には

「奇跡のカムバック

 矢東薫子 新連載スタート!!」


というお知らせが!

工場。

「これ どうします? 副工場長。」

田中さんが副工場長。

「はい そのままで お願いします。

 で いいですよね? 工場長。」

「はい よろしくお願いします。」

「大丈夫かよ この会社。」

「行きますよ 大橋さんの息子さん。」

「はい。行きましょう。」

「あっ 閉めないと…。」

「いってきます!」

「いってらっしゃい!」

「いってらっしゃい。」

通りかかりにギターを弾き歌っている紺野さんを
みかける越前さん。
田中さんもきいていました。

「♪〜 でも 恋をした でも 片思い
♪〜 あなたのことしか歌えない
♪〜 でも 恋をした でも 片思い
♪〜 そんな自分に笑う
♪〜 そんな自分に笑う」


「で 誰なんですか?」

「はっ?」

「いや だから 教えてくださいよ。

 その片思いの相手って 誰なんですか?」

「はぁ…。

 お前だよ!」

と田中さんの胸ぐらをつかむ紺野さん。

「え〜!?

 すいませんでした〜!!」

笑顔でみつめ帰っていく越前さん。

越前さんが部屋でマンガを描きました。

「ははは…!」

「工場長ですよ 工場長…」

「どうかしてますよ この世界は…私が工場長ですよ…」

「でもね はい… 全然嬉しくないわけではないです」

「お やけに素直じゃん性格 変わったんじゃないの」

「思い切って 社長 目指してみたらどうなの?」

「それも悪くないかもしれませんね」

「私の意見も言っていいですか?」

「工場長か なんか妙に 懐かしい響きだな」

「いや でもね ちょっと責任を押し付けすぎですよ みんな」

「殺すしかないね」

「て ほどでもないか」「はぁ…」。

「ちょっと 聞いてくれるか?」

「笑える話なんだ これが」。

 「先に笑わないでくださいよ 笑いおじさん」

「ははは…!」

楽しそうなマンガの世界。

「フフっ。」

「ははは…!」

「ははは…!」

笑顔でノートを閉じる越前さん。

工場のそばでノートを開いて
かたりかける越前さん。

「はらちゃん

 ちゃんと私は生きてます。

 この世界で。

 大きくなんて 変わらないけど

 それでもあなたと会うまでとは違います。

 まだ 世界と両思いじゃないと思うけど。

 でも はらちゃん言ってましたよね いつか。

 片思いは美しいんだって。

 だから…世界に片思いです。

 はぁ…。

 会いたいな。」


ノートをふろうとして、やめました。

「ふぅ…。」

雨の中走る越前さん。

「あっ!」

転んでノートを落としてしまいました。

「うっ…。」

越前さんに傘をさしかけてくれるはらちゃん。

「はらちゃん!」

「はい 両思いの 〜はらちゃんです!」

ふたりとも笑顔。
越前さんに手をかしてあげるはらちゃん。

雨もやみました。




両切ない!!!
けど一生会えないんじゃなくて
またこうやって会えるんだという
終わり方だったのではらちゃんたちと
同じく最後は笑顔でした。

越前さんに、はらちゃんより好きな人ができて
この世界とも両思いになれると
もっといいんでしょうけど
このままはらちゃんと両思いでも充分かなって
ちょっと思いました。

自分の世界で頑張って生きて行くのは大事。
ちゃんと自分の生まれた世界を好きにならないと。

純粋なマンガ世界のキャラたちに
毎回癒されました。





はらちゃん  長瀬智也
越前さん   麻生久美子
田中くん   丸山隆平
紺野清美   忽那汐里
マキヒロ    賀来賢人
ひろし     菅田将暉
あっくん    清水優
長沼さん    稲川実代子
警官      小松和重
笑いおじさん 甲本雅裕
たまちゃん       光石研
ユキ姉     奥貫薫
秀子      白石加代子
矢口百合子  薬師丸ひろ子






2013.03.26 Tuesday 12:25 | comments(2) | trackbacks(1) | 
<< ジャンプ17号感想 | main | 宇宙兄弟 第49話「リーダー新田」 第50話「ニッタとムッタ」 >>
syou (2013/03/26 6:20 PM)
honeyさん、こちらではお久しぶりです!

はらちゃん、毎回楽しかったです!!中でも、清美さんとユキ姉がお気に入りです(笑)
「世界中の人に降参さー」の歌をCD化してほしい!清美バージョン付きで!

ラストもいい終わり方だったし、マイボスマイヒーローと同じくよかったです!!

さて、僕は明後日引っ越すのですが、いまは一つ下の妹の引っ越しで、僕と小4はお留守番。今から皿うどん作りまーす!(明日の晩はから揚げに挑戦です!!)
自分のPCもてて、ここにも自由にコメントできるようになったので、またたまに来させていただきます!
honey (2013/03/26 10:06 PM)
syouさん、こんばんは。

はらちゃん、おもしろかったです!
いい言葉もいっぱいで。

おお〜、ダブルでお引っ越しですか。
新生活楽しみですね。
進学おめでとうございます。









泣くな、はらちゃん #10 最終回
『私の世界』
| ぐ〜たらにっき | 2013/03/26 7:43 PM |