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空飛ぶ広報室 第8話

第8話



イメージアップ用の新たなPV作成が必要となった空幕広報室
だが、もはや制作予算が無い…。密着取材をしている
リカ(新垣結衣)の姿を見た空井(綾野剛)たちは、
低予算で作れる「ドキュメンタリー風PV」企画を思いつく。
テーマは「入隊の理由」。
父親に憧れて、C1の整備士になった」という美人整備士
・芳川秋恵(南明奈)が選ばれる。彼女は浜松基地時代の
空井の知り合いで、二人の仲の良さを目の当たりにしたリカは
動揺し…




PVが却下され予算がもう残っていない広報室。

「え〜 しめて9万4831円」

「もう1回 計算しよ」

「何度やっても同じ」

「もう10回目ですよ」

「どうすんだよ

  スタジオ代しか残ってねえぞ」

「いっそ静止画は?紙芝居みたいな」

「昭和のコマーシャルか」

それをみているリカに声をかける室長。

「時に稲ぴょんこの前の晩のことなんだけど

 空井と 朝帰りだったんだって?」

「はあ? 違います

 捏造ですデマです 誰がそんなこと…」

「はッ?」

「ヘヘヘ カマかけてみたの

 あの後 稲ぴょんとどうなったのか 空井に聞いたらさ」


「はい?内緒です 内緒 すいません」

「内緒だあ?」

「内緒にすることがあったと?」

「何もありませんよ!」

「妄想 かきたてられますよね」

「ぴょん ぴょん…」

全員でぴょんぴょんww


「待ってください!

 あの日は ただ…」

楽しく会話していたら夜遅くに。

「あッ 稲葉さん 終電」

「私 タクシーで帰れますから」

「急がないと  お会計 お願いします」

そして駅へ走ったふたり。

「あッ よかった 終電 間に合いましたよ」

「空井さんは?」

「自分 もう終電ないんで」

「えッ じゃあ」

「歩いて帰ります

 お疲れさまでした!」

「気をつけて」

元気よく手をふる空井。


「何やってんだよ 二人して」

「そこで「お疲れさま」はマズイ」

「そりゃマズイって」

「マズイぞ 非常にマズイ

 陸と海のプロモーションビデオ

 かなり出来がいいらしい

 ウチは去年のPV再利用しよう

 下手なもん出すよりそっちの方がいい」

「う〜ん仕方ないかもしれませんね」

「クッソー!」

その間もずっとカメラをまわすリカ。

「ものすご〜く撮ってますね」

「あッ すいません」

「ドキュメンタリーとしてはおいしい場面だもんね」と室長。

「そうやって稲葉さんが撮ってる時と

 カメラマンの坂手さんが来てる時ありますよね」

「基地での撮影や動きがある撮影の場合は

 プロに任せた方が確実なんで

 ちょっとした雑感は これで」

「雑感?」

「取材が長期にわたるドキュメンタリーはこういう形が多いんです

 低予算で作れますから」

「それだ!」

「はいッ」

「えッ?」

「ドキュメンタリー風のPV

  撮影も自分達で」

「いいですね 隊員のインタビューで構成して」

「俺のカメラセンスがうなるぞ〜 もう」

「私 何しましょ」

「音声っぽい 棒が似合う」

「棒っぽい 体形がちょいちょい…」

「テーマは?PVのテーマ 大事よ」

「テーマ何か…」

「入隊の理由 どうですか?

 入隊説明会でも使うなら

 入隊してから働くまでを

 イメージできるような」

「ほお〜

 それでいこう異議なし!」

リカの手を握る空井。

「稲葉さん ありがとうございます」

「ああッ」

室長に意味深にみつめられるリカ。

 「何ですか その目は

 何ですか その目は」


職場で映像をみているリカに声をかける珠輝。

「空井さんって稲葉さんのこと大好きですよね」

「えッ?」

「女として見てるっていうんじゃなくて

 懐いてる みたいな」

「珠輝はどうなの 空井さん?」

「私に興味ない人興味ないんで もういいです」

「あッ そう」

そこへ声をかける阿久津。

「稲葉 余ってるネタないかって回ってきた」

「新番組ですか」

「働く女性を取り上げる5分番組だ

 前にお前 女性自衛官やったろ

 中身オッサンの」

「ああ」

「ああいうのが欲しいらしい

 来週からだってのにネタのストックが足りないんだと」

「分かりました」

珠輝に書類を渡すリカ。

「出してみれば 企画」

「私がですか?」

「うん。 ミニ番組なら

 そのうちディレクターさせてもらえるかも」

「結構です仕事 増えるだけだし

 楽して お給料もらえるならそっちの方がよくないですか?

 あッじゃ お昼行ってきま〜す」

そばにいた藤枝。

「若い子は淡白だよね〜」

「人のこと言えんの?」

「まあね」

「珠輝って何でウチに入ったんだろ」

「さあ コネとか?」

「藤枝は何でだっけ?」

「モテそうだから」

「あのね 空自を見習いなさいよ

 みんな崇高な使命と目的を持って」

広報室できいてみました。

「俺はね すっごく好きな子がいて

その子が防衛大学の教授の娘で」

あまり崇高じゃなかった・・。

「はッ?」

「近づこうと思って入学

 でも すぐフラれて残ったのは厳しい修練の日々

 ホント つらかった」

「柚木さんは?」

「貧乏だったから
 
  防大だってお金かかんないし就職もできるし」

「槙さんは?」

「体力に自信があったから」

「比嘉さんは」

「さすがに就職活動に失敗してからの…」

「何ですか?

 あッ 空井さんは…

 ブルーインパルス」

「はい」

「そんなもんよ 理由なんて人それぞれ」

「片山のは群を抜いてしょうもない」

「ほっとけ」

「仕事に対する意識が最初から高いやつなど

 そうはいないって

 意識ってのは「場」
 
 場が育てるの」

「場が育てる…」

また鷺坂がいいこと言った!

「なかなか いないですねえ」

「それは?」

「PVの主役の隊員を募集したんです」

「素晴らしい入隊理由でキャワイイ隊員を

 探してるんだけど なかなかね」

「女性隊員って決まったわけじゃ」

「俺ん中では決まってる」

「え〜ッ」

「稲葉さん 子供の頃から

 報道記者になりたかったんですよね」

「はいまあ なれませんでしたけど」

「きっかけは何だったんですか?」

「父が新聞の記者をしていて」

「あッ そうなんですか?」

「私が小学生の時にバイクで居眠り運転して

 自損事故で死んじゃったんですけどね

 あッそんなに悲壮感はないんですよ

 母子家庭でもさほど苦労しなかったし
 
 母が昔から

 「好きなことして好きに死んだんだからいい」って」

「クールな母に クールな娘」

「私 父のことあんまり覚えてないんです

 取材取材でいつも家にいなかったから」

「それでもお父さんと同じ報道記者に?」

「そう言われてみれば何ででしょうね」

「あッこの人 稲葉さんに似てますね」

「えッ?」

「亡くなった父がC−1輸送機のパイロットだったので

 C−1輸送機の整備員になろうと思いました」

「どうせ暑苦しい若造…

 カワイイ 決定」

「そこかよ!」

「芳川秋恵 26歳 秋恵ちゃん」

「よしかわあきえ…

 あッ すいません ちょっと

 あっ」

空井にはききおぼえがあるようで。

「何だよ」

「あッ いや 別に」

「怪しい 吐け 吐け うん?」

「あの 基礎過程で浜松にいた時…」

「分かった! 第1術科学校で整備を学ぶ秋恵がいた」

「はい」

「何があった?」

「 「何が」ってほども」

「何だよ」

「いや ただ…」

「ただ?」

「二人で出かけたりとか それくらいです」

「な〜に〜!どこ行った?」

「「どこ」って

 どこでもいいじゃないですか」

またリカに視線が。

「何か?」

さっそく取材に。

「芳川士長!」

「はい」

と作業場からおりてくる芳川さん。

「整備検査隊の芳川士長です」

「く 空幕…」

「空井さん?久しぶり

 嘘ッ え〜ッ 信じらんない

 今 空幕なんですか?」

「うん。夢 かなったんだね」

「覚えててくれたんですか?」

「約束したよね お互い頑張ろうって

今は 別の夢があるから」

「そうなんですね」

「うん」

「はい!懐かしのご対面はここまで

 将来有望空自期待の星の片山一尉です」

「よろしくお願いします」

「よろしく」

「こちらは 空幕広報室の密着取材をしてる

  帝都テレビの稲葉さん」

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「隊内の皆さんからの推薦ですが

 PVの出演 問題ないですか?」

「私で お役に立てるなら」

「入隊理由を軸にするから

 亡くなったお父さんの話聞かせてもらうことになるけど」

「はい 父も喜ぶと思います」

「インタビューが1日 ロケが1日 それでシフトの方…」

リカも出演依頼。

「えッ テレビ 私が?」

「はい 働く女性を毎回取り上げるミニ番組が始まるんです

 取材するのは別のスタッフになりますけど」

「いいじゃん テレビ 出ろよ」

「入隊希望者 増えっかもよ

「命令!」

「えッ 命令ですか?

 え〜ッ 無理 無理ですよ」

職場のアイドルのような芳川さん。

「芳川士長 前脚の注油 頼むわ」

「はい」

輸送機の下で整備する芳川さん。

「狭いから いつも私が

 ああ〜 暑い」

「すごいですね」

「細かい所は素手じゃないと どうしても

 ニオイも全身につきます

 でも 楽しいです

 今は7レベルを目指しています」

「7レベル?」

「整備員のレベルは3段階あってその上級です

 最終的には検査員になりたいです

 ウチの分隊にも二人だけいて

 あッ あの人。飛行機のこと 
 
 何でも分かっちゃうんです 整備の神様です
 
 あと20年ぐらい先の話ですけど」

「あと20年 勉強ですか」

「はい」

「今は何年目なんですか?」

「入間は7年です それまでは浜松で

あッそこで空井さんと会ったんです」

「あッ はい」

「空井さんとは 友達と四人でダブルデートしたりしてました

 青春ですよね

 空井さんってちょっと面白いんですよね

 何か 話す順番が変だったりとか」

「昔から?」

「今もですか?」

「はい

 内緒ですけど 私 空井さんって私のことが

 好きなんじゃないかなって思ってたことがあって

 全然 勘違いだったんですけど」

「勘違い?」

「仲良くなるとすごい人懐っこいんですよね

 あの頃は お金もなくて遠出もできなかったんで

 二人でファミレス行ったりして

 延々6時間ぐらい喋ってるだけで全然飽きなくて

 またあんなふうに話せたらいいなあ」

芳川さんが気に入った片山さん。

「秋恵 ヤバイ
 
 3次元なのに2次元並みにカワイイ

 何で付き合わなかったんだよ」

「いいでしょ」

「あッ すっげえ性格悪いとか?」

「A・A 悪女・秋恵」

「それはないです!」

「なら何で?」

「基礎過程が終わって

 新田原に異動になって

 何となく そのまま」

「ほお〜」

あしたキラリの企画書を渡す阿久津さん。

「返された。」

「えッ?いい子ですよ カワイイし

 仕事に対する意識もすごく高くて

 ウチのADと取り替えたいくらい」

「いえ お前にディレクションを任せたいって」

「はッ?」

「番組立ち上げで人手がないし

 空自に詳しいお前に預けた方が早いんじゃないかと

 密着取材と並行してできないこともないだろ」

「せっかくのご指名ならやらせていただきます

 珠輝 これ手伝わない?

 ナレーション書いたりしてみたくない?」

「命令ですか?」

「違うけど」

「じゃあ お断りします」

「あッ 自信ないんだ

 ああ そっか そっかそういうことか」

「あの 私 稲葉さんみたいな

 負けず嫌いタイプじゃないんで

 そういう戦法 ムダですよ」

どこまでもやる気のない珠輝。

「場って どうやったら作れます?」

「ば?」

阿久津さんにはなんのことだか。

撮影。

「来た来た来た」

「あと1度 高くお願いします」

「すいません こちら
 
 撮影で使わせてもらっても大丈夫ですか」

 秋恵ちゃんが整備をするとこ撮るから」

「いつもどおり自然に」

「自然に?」

「じゃ 本番いきます

 用意 はいッ」

空井がインタビュアー。

「整備の仕事は どうですか?」

「毎日 楽しいです」

「あの位置 ダメだろ」と坂手さんがダメだし。

「やりがいのある仕事だと…」

「うんうん

とても責任の重い仕事ですよね」

「かぶっちゃダメでしょ」

「ただチームで仕事してる…」

「カット

  ごめん やっぱダメだわ これ

 ちょっ見て ほら」

モニターをのぞく空井達。

「何ですか これ?」

「何かチカチカしてますね」

「シャッタースピードちゃんと変えました?」

「シャッタースピード?」

「ここ 水銀灯ですよね

 フリッカー出てるんじゃ?」

「シャッタースピードって書いてあるでしょ」

「なるほど」

「対象者の目線がレンズに近くなるように

 聞くのはカメラのすぐ隣から」

「はい」

「さっきのは完全に横向きでした

 質問は相手の言い終わりを待ってから

 語尾がかぶらないように」

「はい」

「相づちも打っちゃダメです

 声が重なると編集しにくくなるんです」

「はい」

リカと空井をみて

「何か先生に怒られてる生徒みたいですね」

という芳川さん。

柚木さんと飲むリカ。

「ただそこにかわいらしく存在するって

 どうしたら できるんですかね」

「私に聞くか」

「間違えました」

「稲葉だいぶ かわいくなったけどね」

「全然ですよ ああいう子が好きだったんだなと思うと

 何万光年もの隔たりに気が遠くなりま〜す」

「お〜い 地球に戻ってこ〜い」

「いいなあ 柚木さんは

 「どんなにオッサンでも」

 蹴り入れても 女として見る!」

 なんて言ってもらえて

 槙さんとデートしたんですか?

 何黙ってんですか

 あッ それ!あッ!

 槙さんもしてた

 したんだ デート

 どうだったんですか?」

「言えない」

「えッ?」

「言えない とても言えない

 恥ずかしくて死ぬ!」


「メチャメチャ気になるんですけど」

「無理 無理…」

「何 何?何が 何があったんですか?」

「トイレ!」

「ねえねえ…」

そこへやってきたともみ。

「あれッ リカ?」

「おう」

「藤枝とじゃないんだ

 とうとう別れたの?」

「だから付き合ってないっての」

「リカが変な影響 与えたせいで株下げたよね 藤枝」

「はッ?」

「また熱く説教でもしたんでしょ

 そういうの どうかと思うよ 人は人なんだから」

「ちょっと待った 何の話?」

「藤枝 「NEWSピープル」のキャスターに志願したの」

「藤枝が報道? 嘘でしょ」

「嘘ついてどうすんの 休暇中のサブキャスターの代理で

 登板したのはいいんだけど

 臨時のニュースが入って

 中継から急にスタジオに戻ったから焦ったんだろうね」

「かねてより詐欺容疑で げん… 全国に」


「一度 噛んだらハマっちゃって」

「アメリカのマサチューセッチュちゅう…」

「最後に笑ってごまかした

 バラエティーならそれでもいいけど

 報道はねえ」

落ち込む藤枝のところにいくリカ。

「よう 稲葉 何だよ」

「NEWSピープル」

「ああ もう その話?もう やめやめ

 いや すっげえ怒られてさ

 ネットでも「チャラ男はバラエティーだけやってろ!」とか

 叩かれまくるし  いいことなし」

「ごめん 知らなくて」

「何で稲葉が謝んだよ」

「私が異動になった時 藤枝が話 聞いてくれた」

「あん時と今とは違うだろ

 お前 最近 忙しそうだし

 まあ 今までどおりバラエティーの藤枝でいきますよ
 
 どの道気まぐれで志願しただけだし」

「報道のキャスターやりたいなんて

 藤枝が気まぐれで言うわけない

 本気でやってみたかったんじゃないの?」

「俺 向いてないし

 真面目にやるとか 一生懸命とか

 何やったって無理な時は無理だし

 最初っから余計なことしない方がいいんだって」

「それ 本気で言ってる?

 なりたいものがあるなら…」

「お前だって なれてねえじゃん

 報道記者が夢で一生懸命 頑張って

 それでも なれてねえじゃん!

 ごめん」

またまた撮影。

「はい…はい カット〜!」

「あッ もう何で言うんですか

 基地でのラストカットは俺様の声で締めるって決めてたの」

「あとはお墓参りのシーンだけですね」

「OKですかね」

「カメラ前 通りましたよね…」

「じゃあ 「あしたキラリ」の方のインタビュー お願いします」

「撮影って集中力いるね」

「あまり集中しない方がいい

  ドキュメンタリーの場合

 いつ どこで何が起こるか分かんないから

 周りにもこうやって気を配ってないと」

という坂手さんの言葉に

「戦闘機のパイロットに似てます」

という空井。

「集中しないんですか?」

「計器を見つつも いつ どこから敵機が来るか分からないので

 常に全方位に意識を散らしています

 集中するのはロックオンの瞬間の2秒」

「2秒!?はあ〜 一瞬ですね」

「いや 長いですよ

 音速の世界の中では」

「音速…はい」

「乗ってみたいなあ 音速」

「あれッC−1は時速800キロくらい?」

「イーグルのマッハ2.5とは段違いです

 ライトニング兇世 そこまで出ないけど

 でも ステルスですから」

「そうだな」

リカがインタビュー。

「お父さんがパイロットだったんですか」

「はい 航空自衛隊の

 C−1輸送機のパイロットをしてました」

「どんな方でした?」

「面白くて くっだらない一発ギャグとかが得意で

 いつも笑わせてくれて

 休みのたびに色んなとこに連れてってくれて

 楽しい思い出しかないです

 でも基地のふれあいイベントの時に

 C−1の説明をしてる父がピシッとしてて

 すっごいカッコよくて

 C−1を見たのも初めてだったから

 あんな大っきい飛行機を操縦してるんだって思ったら

 それもビックリで」

「いつ整備員になることを決意されたんですか?」

「高校で進路に迷って

 その時に病気で死んだ父のことが浮かんで

 父が好きだった飛行機に携わる

 そんな仕事がしたいなと思いました」

「お父さん きっと喜んでますね」

「…だといいんですけどね」

そのあと空井と話すリカ。

「思い出してましたか?

 記者だった お父さんのこと

 どんな人だったんですか?」

「母いわく
 
 「正義のスッポン」」

「うん? 」

「正義のスッポン

 食らいついたら離れない」

「親子ですね」

「子供心に憧れてたんですよね

 たぶん ずっと

 ウチの父 遊園地とか動物園とか

 ちっとも連れてってくれなかったんです

 でも 一度だけ

 私が「田んぼを見たことがない」って言ったら」

「田んぼ?」

「そう 田んぼ

 「そりゃいかん」って

 「これから見に行こう」って車に乗せられて

  キレイな山があって

 大きな湖があって

 周りには水田が広がってて

 日の光がキラキラ湖と田んぼの水に光ってて

 「キレイだね」って私が言ったら

 嬉しそうに笑ってくれました

 父は私に 私達が住んでる国を

 教えてくれようとしたんだと思います

 その時は分からなかったけど

 あの湖

 どこだったのかなあ」


撮影予定日は雨。

「お墓のある千葉も終日雨です」

「仕方ねえな」

「芳川士長に中止連絡します

 稲葉さんにも」

「はい」

「金曜日に延期

 分かりました」

でも金曜日も雨でした。

「雨男は誰だ!

 お前か?」

「いや 自分スカイですし」

「お前か?」

「祖父の代から晴れ男でして」

「違います」

「片山さん どうなんですか?」

「うん?」

「遠足で雨に降られたことは?」

「なくはない」

「修学旅行は?」

「小雨程度?

 全ての雨が俺一人のせいだとか

 非科学的なことで俺を非難するな」

「自分が言いだしたんですよ」

「このままだと機材費だけで赤字

 さらに 今年最初の入隊説明会に

 間に合わなくなります」

そこへ声をかける室長。

「天気といえば いるじゃないの

 強〜い味方が」

気象隊に話をききにいく空井達。

「絶対に晴れる日 ですか?」

「この1週間の1日だけでいいんです」

「次の水曜日は比較的 晴れると思います」

「水曜日」

「コラッ  コンピューターに頼るな

  この辺りだと 北東気流の影響で

 水曜には まだ気圧の谷が残る

 前線が途切れてるように見えるが

 潜在的にはつながってるとみた方がいい

 同じ天気は二つとないんだ」

「はいッ」

「じゃあ いつ晴れますかね?」

木曜が晴れそうだと教えてもらい予定の調整。

「木曜日芳川士長のシフトを調整して

 休みにしていただけないでしょうか」

「木曜日しかないんです 晴れが

 お願いします!」

水曜日の夜はひどい雨。

「ロケ 明日でしょ

 ガンガン降ってんじゃん」

「タハッ 俺が雨男なせいで」

「やっぱりやれることは やったんですから

 こうなったら最後の一押し

 晴れ乞いするか」

「晴れ乞い?」

「やりましょ やりましょ」

「えッえッ?」

リカもテルテルボーズをつくっていました。

「結局 神頼みですか?」

「頑張ってる人達のために

 祈りたくなる時もあるの」

「ふ〜ん」

「場が人を育てるんだって」

「ば?」

「上司や先輩や同僚が

 真剣に仕事してるのを見て

 自分も頑張っちゃうっていうような」

「へえ〜」

「人の思いが 人を動かす

 ねッ」

「いや もうちょっと かわいく」

広報室の晴乞いはすごく本格的・・。

「饒速日命 明日の晴天を

 お願い申し上げ奉り候」

芳川さんも手をあわせて祈り
リカも同じく。

木曜日は晴天でした。

「空幕広報室・室長の鷺坂です」

「芳川です」

「今日は お線香を上げさせてもらいに来ました」

「ありがとうございます」

「お父さんとは何度かお会いしたことがあります」

「そうなんですか?」

「愉快な方で いつも隊を盛り上げてました」

「やっぱり」

「私と一発ギャグ対決をしたことも」

「えッ 勝ったのは?」

「 引き分けでした

 私が「アイーン」で

 お父さんが「ガチョーン」」

「用意 はいッ」

お墓で撮影スタート。
墓参りをする芳川さん。

そのとき上空を飛ぶ飛行機をみつけた空井。

「 あッ あれ あれ撮ってください!

 芳川士長と一緒に

 お父さんのC−1輸送機です」

「嘘…」

「片山さんカメラこっち

 早く こっち来てレベル下げて」

輸送機をみあげる芳川さん。

「手配したんですか?」とリカ。

「いや 偶然」

「カット」

「お父さんからの はなむけですね」

「はい」

「まれにあるんだよな

 こういうことが

 みんなの思いが

 奇跡を呼ぶ」


芳川さんは涙を流し
坂手さんも泣き始めました。

「また泣いてる」

「うるせえんだよ」

「ていうか撮れてないじゃないですか」

坂手さん いいひと!!

番組のオンエア。

「今日の働く女性は

 航空自衛隊

入間基地整備検査隊の芳川秋恵さん」

「父が航空自衛隊で輸送機のパイロットをしてたんです」

広報室でもみていました。

「泣けますねえ」

「俺様のナレーションが最高だな」

空井がリカに電話。

「もしもし 空井です 音楽入れして直行すれば

 ギリギリ 説明会に間に合います

 稲葉さん 撮影に来ますか?」

「もちろん皆さん渾身のPV初出しまで

 キッチリ撮らせていただきます」

「よかった 許可申請 出しといたんで」

「許可?」

翌朝 リカを迎えにきた空井。

「おはようございます」

「お待たせしました。」

「できたてのホヤホヤです」

「よかったですね 間に合って」

「はい」

「説明会って基地でやるんですか?」

「いえ 北海道です」

「ふ〜ん ほ!?」

「千歳基地への定期便です

 空自は物品も人員も基本 空輸なんです」

「どうぞ」

リカに手を差し出す空井。

「不安ですか?」

「いえ ちゃんと整備してるの知ってますから」

いっしょに飛行機に乗りました。

藤枝のデスクには「藤枝へ」とかかれたDVD。

「機長から連絡します

 ポイント通過まで約1分です

 ポイント通過まで約1分です」

「あと1分で通過します」

「通過?」

「はい」

「直接は

見せてあげられないんですけど

  お父さんの湖

 たぶん 福島の猪苗代湖です

 周りに田んぼがブワーって広がって

 近くに磐梯山

 空から 何度も見たことがあります」


「あッ 猪苗代」

「いなわしろ いなわしろ…いなばしろ 稲葉さんみたいな」

「適当ですね」

「すいません

 今 通ります」


目を閉じて父とみた光景を思い出すリカ。
目がうるうる。

「ありました

 見えました お父さんの湖

 ありがとうございます」


空井も目がうるんでる・・。

千歳基地から北海道大学でおこなわれている
説明会へ。

「こっちこっち!」

「お待たせしました」

「間に合わないかと思いました」

「申し訳ありません 」

「はい

 そちらは?」

「あッ すいません
 
 帝都テレビの稲葉さんです

 空幕広報室の密着取材をしていただいてて」

「テレビの」

「はい」

「あの…」

「知識や技術のレベルを向上させる実務訓練や

 定期的に行われる演習等を通して組織としての…」

空席も目立つし熱も感じられない。

「確かに 盛り上がってないですね

 でも 私が出たって」

「皆さん 今日は東京からテレビ局のディレクターさんが

 偶然 取材にいらしてます」

「言っちゃった」

「ずっと航空自衛隊を密着取材してるとのことですので

 我々の仕事の魅力を外側からの視点で

 語っていただければと思うのですが

 では 稲葉さんよろしくお願いします」

リカが首をふっているのに強引。

「すいません」とあやまる空井。

DVDを再生する藤枝。

「ナレーション 入ってねえじゃん」

「高校で進路に迷って

 その時に 病気で死んだ父のことが浮かんで」


話しはじめるリカ。

「え〜帝都テレビの稲葉と申します

 私は 空幕広報室の密着取材をしています

 でも 私には

 空自のセールスポイントを

語ることは できません

 そこには 色んな人がいて

 組織としても色んな問題や

 どうにもならない状況もあって

 それを分かった気になって

 ひとまとめに語ることは

 不誠実だと思うからです

 ただ一つ 言えることは

 どんな仕事でも

 自分がやりたかった仕事でも

 そうじゃない仕事でも

 真っ正面から向き合えば

 何か得ることができるんじゃないでしょうか」


DVDをみている藤枝。

「いや〜 ヘコみますね

 いまだに怒られっぱなしだし

 逃げ出したくなることもしょっちゅうです」

リカの演説。

「思いどおりにいかないことは

 たっくさん あります

 どんなに一生懸命やっても

 うまくいかないこともあります

 夢があっても

 かなわないこともあります

 悲しいけど

 あるんです それは

 でも どんなに失敗しても

 なりたいものに なれなくても

 人生は そこで終わりじゃない

 どこからでも また

 始めることができる」


DVDの終わりには
ディレクターのリカと並んで
ナレーション 藤枝の文字が。

「ミラクル藤枝の再登板を待つ!!」

という手紙をみて
泣きだす藤枝。

「恐れずに

 飛び込んでみてください

 一つ一つの出会いを

 大切にしてください」

 
拍手する空井に続いてみんなも拍手を。

PVも上映されました。

「仕事を覚えるうちに

  だんだん楽しくなってきて 達成感かな」

説明会終了。

「搭乗手続きまで あと30分です」

「輸送機の終電のために走る日が来るなんて」

「終電って 電車」

「航空機だから終航?」

「終輸送機とか ですかね」

「はい」

「ありがとうございます」

「待って!」

「はい?」

「2秒ください」

リカにキスする空井!!

「いきましょう。」

あとをついていくリカ。

「やっぱ 短いですね」

「えッ?」

「2秒」

「えッ?」

空井の手をつかんでひっぱっていくリカ。

PVでもりあがる広報室。

「父は娘に

 大空への夢を託した」

「見ていてねお父さん」

「傑作じゃないの カンヌ持ってく?」

「各地説明会でも 評判は上々です」

「おお〜!

 動画の再生数 2万超えてます」

「おお〜ッ」

「神風 吹きまくってんな おい」

「一時はどうなることかと思った」

「火事場の馬鹿力でこんなリカバリーできるなら

 常に窮地に追い込んどくかな」

「やめてくださいよ」

「グッジョブ!」

「グッジョブ頂きました」

リカの職場。

「阿久津さん 空幕広報室の密着取材
 
 こういう形で まとめようと思いますけど

 見てもらえますか」

「どうした?」

「「どうした?」って

 ダメ出しでよくなるなら

 そっちの方がいいなと」

「見ておく」

「私 阿久津さんのこと

 結構 尊敬してます」

「「結構」って何だ?」

「今まで あまりそういう上司に

 当たったことなかったんで

 一度 ちゃんと言っとこうと思って」

「相変わらず何も分かってないな」

「えッ?」

「俺の問題じゃない

 お前が変わったんだ」


「そっか」

笑顔ででていくリカ。

あいかわらずもりあがる広報室。

「北の大地で何があった?吐け 吐けッ」

そのとき夕刊をみた柚木がびっくり。

「何これ

 室長!」

「はい?」

「今日の夕刊です」

「お待たせしました」

リカも坂手さんから
夕刊をわたされました。

「 えッ?

 どうして こんな…」




何?何?何?!
せっかく音速の世界では長い2秒のキスがあって
楽しかったのになんでこんなめんどくさそうなことで
ひっぱるの?!
楽しいエピソードだけでいいのに。

元カノ(ではないけど)登場で
もっとこじれるかと思ったけど
そんな心配いらなかった。
リカがまた勘違いという言葉でひいてしまう前に
2秒間のキスきたし!!

柚木さんと槇さんの恥ずかしく話せないデートは
ぜひ詳細なスピンオフかスペシャルをお願いします。

藤枝はがんばってー。
今だって報道じゃなくてもキャスターやってるだけでも
充分狭き門をくぐりぬけてきたのではないかと
思うけどな。




稲葉リカ…新垣結衣
空井大祐…綾野剛
柚木典子…水野美紀
片山和宣…要潤
槙博巳…高橋努
比嘉哲広…ムロツヨシ
藤枝敏生…桐山漣
坂手はじめ…渋川清彦
香塚ともみ…三倉茉奈
大津裕一…前野朋哉
阿久津守…生瀬勝久
鷺坂正司…柴田恭兵






2013.06.03 Monday 08:17 | comments(0) | trackbacks(6) | 
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