<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
amazon
楽天ブックス他
楽天ほか

空飛ぶ広報室 第11話(最終話)

第11話(最終話)



リカ(新垣結衣)と空井(綾野剛)の二人が
「明日、会おう」と約束したその日に、
東日本大震災が発生した。
物語はその2年後から再び始まる…。
ブルーインパルスが松島基地に帰還した、
というニュースを受け、
リカは阿久津(生瀬勝久)に松島に行って
「空自の側から語られる震災の記憶」という取材を
して来ないか、と言われる。松島基地の広報斑には
空井がいる…リカは二の足を踏んでいた。
震災後すぐに、空井は自ら松島基地勤務を志願し、
リカには「もう連絡しません。
どうか幸せになってください」
というメールを送っていた…。いまだ空井に対して
複雑な気持ちを持ち続けているリカは、いったんは
取材を断ろうとするが、比嘉をはじめとする
広報室の元メンバーたちに背中を押され、
「あの日の松島」を取材しに行く決意をする。
そして、松島で二人は2年ぶりに再会する…。



2013年4月

取材中のリカ。

「ここからここまで パンでどうですか?」

「ここは そうだな お願いします」

「煎餅屋だから 地味でも主力商品を中心に置くべきっす」

「かわいくてキャッチーな方が真ん中です」

大津と言い争いになっている珠輝。

「あのお嬢ちゃん 次から一人で大丈夫かよ」

心配そうな坂手さんに

「任せることで生まれる責任感もあるかなと」

とこたえるリカ。

「おいしそうに煎餅が見えないと…」

「ほら!店先でもめない やるなら陰で」

「すんません」

「はい」

「あッ すみません

 すぐに始めますので」

「うわッ べっぴんさんだな」

「はい?」

「ウチの息子の嫁に来ない?」

「彼氏いるに決まってるでしょ」

「聞いてみなきゃ分かんないだろ」

「彼氏はいません」

「ほら〜」

「ホントに?」

「仕事が恋人ですから」

テレビのニュース。
キャスターは藤枝!

「2年ぶりに…

 航空自衛隊のアクロバット飛行チーム

 ・ブルーインパルスが昨日 故郷の松島基地に帰還し

 記念式典が行われました

 2年前の東日本大震災の日 ブルーインパルスは

 九州新幹線開通記念イベントのため福岡を訪れており

 被害を受けませんでした

 以降 福岡県芦屋基地に拠点を移し

 訓練を行っていましたが

 松島基地の復旧工事が進んだことを受け 帰還

 当日は あいにくの雪で展示飛行は中止となりました」

取材のあと話す坂手さんたち。

「飛べなかったんですね」

「うん」

「あれから2年か東京は それ以前と変わんねえな」

「大津君の郡山の実家 どうなった?」

「建て替えは終わったんすけど

 借金てんこ盛りっす」

「大変だね」

「いや 俺なんて全然っすよ

 地元の友達 失業したやつ たくさんいるんで

 こっちで俺だけ平和に暮らしてんのが

 何か悪いみたいで」

「お前 生きててごめんなさいみたいに

 言ってんじゃねえよ」

取材終了で局へ。

「おお〜 とったど〜!」

「お疲れさまでした」

「お疲れさまです」

阿久津さんによばれるリカ。

「稲葉 見たか ブルーインパルスの帰還のニュース」

「はい 一瞬でしたね」

「お前 松島基地へ取材に行かないか

 これ 知ってるだろ

 地元にとってブルーインパルスは復興の象徴

 せっかく帰還がかなったんだ

 これを機に 「空自の側から語られる震災の記憶」

 そんな特集があってもいいんじゃないか」

「はい でも…」

「うん?」

「それを取材するのが私でいいんでしょうか」

「今のお前なら 公正な目で取材できるはずだ

 周りも何も言わんだろ

 この2年

 お前は それだけの仕事をしてきた」

2年前。
空井は松島にいて
明日広報室に来てくださいと約束をしました。

自宅でしまってある携帯を出して
メールをみるリカ。

「自分は無事です」という空井からのメール。

震災当日。

「おい これ大至急」

空井からのメールにほっとするリカ。

「どうか そのまま無事でいてください」と返信。

「集合 ちょっと聞いてくれ

 このまま緊急報道を続ける

 帝都イブニングのスタッフは このまま待機

 稲葉と大屋 報道局のフォロー行って仕事 続けろ」

「引き続き 東北地方を中心とした

 地震に関するニュースをお伝えします」

「珠輝 これ お願い」

3月14日

「空井さん こちらはこの3日間

 報道局と連携して

 情報収集と放送にあたっています

 この状況に ただ ぼうぜんとするばかりです」

「被災地に派遣する…」

「現地で任務に あたっている皆さんを思うと

 勇気づけられます

 私達には報道することしかできません」

3月16日

「5日ぶりに帰宅できました

 空井さんはその後 大丈夫ですか?

 空幕広報室も ほとんどの人が

 東北へ派遣されたようで

 様子を聞くこともできません」

3月17日

「空井さん

 テレビの映像を見るのが

 つらいという視聴者からの電話がたくさん入っています

 情報を伝えることの難しさを感じています」

3月21日

「宮城県航空自衛隊 松島基地では

 F−2戦闘機の他 全28機が水没

 被害総額は2000億円を超えるという

 大きな被害が出てます」

「しかし 津波が来るまで30分以上はあったわけで

 どうして その間に1機も飛ばせなかったのか」

4月1日

「政府は今日の持ち回り閣議で

 3月11日に起きた地震による震災の

 決定し 発表しました

 合わせて2011年度予算の一部の執行を…」

記事をつくっているリカにメール。

「稲葉さん

 ずっと メールきなくて ごめんなさい

 水が引いてからの松島基地は…

 フル稼働しています

 終わりは まるで見えませんが

 弱音を吐く奴はいません

 災害派遣は勝利なき戦いである

 その言葉の意味を

 今 噛みしめています」

4月15日

「空井さん

 街角グルメの取材を 再開しました

 今 こんなことをしていていいのか

 もっと他に 伝えるべきことがあるんじゃないのか

 そればかり考えてしまいます」

5月9日

「防衛大臣は震災から 2ヵ月となる今週

 自衛隊の派遣態勢を…」

「空井さん

 ご存じとは思いますが

 震災で遅れていた片山さんの異動が決まりました

 空井さんは お元気でしょうか

 お体には お気をつけて」

6月11日

「今日で 東日本大震災の発生から…

 防衛省の発表によると」

「空井さん

 あの日から3ヵ月がたちましたね

 色々なことがありすぎて

 あの日 電話で また明日って約束したのが

 遠い昔のことみたいです」

「稲葉さん ごめんなさい。

 僕は 松島基地に異動することになりました

 自分から 志願しました

 今までありがとうございました

 もう 連絡しません

 稲葉さん

 どうか 幸せになってください」

防衛省にやってきたリカ。
久しぶりに広報室へ。

「稲葉さん」

比嘉さんが声をかけてくれました。

「一年ぶりですね。」

「すっかり変わっちゃいましたね」

「そうですね あの頃いた人は もう誰も」

「電話で比嘉さんが出てホッとしました」

「相変わらず やってますか?ガツガツ」

「最近は小出しで」

「いただきます」

「どうぞ

 松島基地の取材 でしたよね」

「はい ブルーインパルスの帰還と

 その前段として

 基地での震災当時の状況を取材したいと思ってます」

「ぜひとも お願いします」

「あの 松島基地の広報には まだ…

 ええ いますよ 空井二尉

 今は一尉ですけど」

「そうですか いますか」

「いますね」

「正直 他の人に変わっててくれればと

 思ったんですけど」

「うう…あッ すいません

 空井一尉が担当だと取材してくれませんか?」

「いえ 取材はします

 ただ 私が行くか

 他のディレクターが行くか

 それだけのことです」

「そうですか」

藤枝と飲むリカ。

「うん 決めた。やっぱ断るわ」

「公私混同〜」

「公私混同だから行かないの」

「つまり まだ忘れられてないってことか

 空は見上げりゃどこにでもあるもんなあ」

「やめたやめた 松島には行かない

 空も見ない それでおしまい」

「空見ないの かなり難しいぞ」

「見ないのだ!ビール お代わり」

「はい」

そこへ柚木さんから電話。

「はい」

「稲葉ッ?助… けて うま…」

「うま…馬?」

「生まれる〜!」

「ダメ ストップ!」

「えッ?」

「よッ」

柚木さんと比嘉さんが隣の部屋にいました。
柚木さん妊婦さん!

「おかしいと思った

 何で入間にいるはずの妊婦が

 こんな所で倒れるの」

「ジュース飲みに来たの」

「赤ちゃん 今 何ヵ月ですか?」

「7ヵ月 腹ん中で暴れまくり」

「座ってください」

「だますんじゃなく 普通に呼んで

 鷺坂さんじゃあるまいし」

「詐欺師・鷺坂リスペクトです」

「リスペクツは要らないと思います」

「ビール2つ」

片山さんと槇さんも到着。

「おっす 稲ぴょん」

「お久しぶり」

「 おッ 藤枝さん!」

「あれ 片山さん オシャレしてます?」

「別に」

「何で一人で来るかな 電車 何分 乗ったの

 何かあったらどうすんの」

「大丈夫だって

 風紀委員の次は過保護なママみたい」

「ママとパパ お似合い

 槙さんは今どちらに?」

「十条の補給本部です」

「俺はね 芦屋の総務班長」

「福岡県の ブルーインパルスがいたとこだ」

「藤枝出張で こっちに?」

「別に!」

「撮影です 婚活の写真の」

「バラすな」

「婚活?」

「はい ドーン ドドーン!」

「ああ 交際相手募集の」

「来月 載るんです 片山三佐」

「いや 別にね焦ってるとかじゃないんだよ

 合コンで うまくいかないとか

 お見合いパーティーで連敗とかじゃない」

「うまくいかないんだ」「連敗なんだ」

「黙れ デリカシーのない女ども」

「でも片山さん カッコイイからな

 いっぱい応募 来るんじゃ…」

「そう思う?」

「ただ問題は その先ですよね」

「どうすればいい?」

「恋愛相談はよそでやれ」

「うるせえ メアド教えてよ」

「比嘉」

「稲葉さん」

「はい」

「こちらから こんなことを

 お願いできる立場じゃないんですけど

 松島基地の取材

 稲葉さん 行ってもらえませんか」

「別に空自びいきの取材をしてくれと

 言ってるんじゃないよ

 そこは稲葉が思ったように

 公正な目で見てくれればいい

 でも 私達は

 稲葉に行ってほしいの

 稲葉に見てきてほしいの

 あの日の 松島を」

「自分も同じ気持ちです」

「稲ぴょんなら 自衛官のこと

 ヒーロー扱いしないと思うし

 ありのままを伝えてくれる」

「ずっと 我々を見ててくれた稲葉さんだから

 お願いしたいんです」

「ねえ 稲葉

 行ってくれないかな?」

リカ、涙をぬぐいました。

「はい」

「よし」

「空井に会ったらさもう 殴るなり蹴るなり

フライングクロスチョップなり してやればいい」

「乱暴すぎんだろ」

「空井にクロスチョップ!」

「やんないです

 やらない」

そして松島へ。

空井が迎えにきてくれました。
ふたりとも表情が硬い。

「お久しぶりです。」

「お久しぶりです」

「このたびは取材 ありがとうございます」

「いえ よろしくお願いします」

「では 行きましょう」

車で基地へ。

「お疲れさまです」

いろんなものの津波到達ラインに赤い線が。
ベンチもひっくりかえったまま。

「あのときのまま残してるんですね」

「はい 忘れちゃいけないんです

 僕達は決して」

「聞かせてもらえますか

 あの日の松島を」

「はい」

「あの日は 雪が降ってて

 下は辺り一面 見渡す限り

 真っ黒な水でした

 目の前では 見る見るうちに

 F−2やT−4が流されて

 ただ…ただ見ていることしか

 できませんでした」

「津波が来たのは警報から30分以上たってから

 でも その間 1機の機体も

 飛び立たせることができないまま

 28機全てが使用不能に陥った

 どうしてそんなことになったんですか」

「聞かれると思ってました

 滑走路は全長2700メートル

 地震の影響がないか

 全てを確認するには時間がかかります

 ここにいたのが実戦部隊のアラート機なら

 5分で離陸できるんで

 何とかなったかもしれないですけど」

「あるのは教育隊ですよね」

「はい あの日は雪で訓練も中止が決定していたので

 飛行前点検も何も行われていませんでした

 その状態から飛ばすには通常30分近くかかる

 津波警報が出てすぐ

 整備員もパイロットも飛ばすべく走りました

 でも全員退避の命令が出ました

 間に合わないという基地司令の判断です

 飛行機も 隊員も失うくらいなら

 隊員だけでも戻れと」

「退避の前に せめて

 少しでも水が入らぬよう

 扉を閉めようと  ここ もう直ってるんですけど

 地震の直後レールが ゆがんじゃって

 扉が閉まらなくて どうやっても

 悔しかったです

 何も できなかった

 あの高台

 3メートル かさ上げしています

 その上に仮設の

 ブルーのハンガーを造りました

 松島に帰還してからずっと

 避難訓練を繰り返してます」

「避難訓練」

「はい」

「飛ぶ準備ができていない状態でも

 いかに早く エプロンからあそこまで退避できるか

 もう二度と1機も無駄にしないために」

ブルーインパルスのところにいきました。

「こいつらも流されていたら

 ブルーインパルスは二度と復活できませんでした」

「新しく機体を用意することは?」

「新規調達となると莫大な予算がかかる

 この先 何十年も復活できなかったと思います

 こいつらが残ったことにはきっと意味がある

 だから できることは何でもやりたいと思ってます」

「ホントは色んなプラン考えてたんですよね

 戻ってくる時に仙台駅上空を」

「フライパス…」

「実現しませんでしたけど

 帰還の日もな地元の人達に向けてバーンと

 「帰ってきたぞ〜!」って

 飛ぶつもりだったんですが

 雪の予報で 大事をとって

 前日にひっそり戻ることになっちゃって」

「展示飛行も中止になりましたしね」

「ああ」

「あらためて開催できないんですか?」

「年間の展示飛行の回数は決まってるんです」

「俺達が飛ぶことで

 地元の人達を少しでも元気づけることができたら

 そう思ったんだけどな」

女子隊員にもインタビュー。

「あん時は頭ベタベタになって束になってね」

「体中 膜張ってるみたいで

 自分が臭すぎて最後にはマヒしてた」

「2週間お風呂も入れず 家にも帰れず?」

「はい 雪が降るくらい寒かったんですけど

 廊下にダンボールひいて雑魚寝」

「お二人は主に どんな仕事を?」

「最初は隊内の食事や水の配分

 全国から支援物資が届くようになってからは

その管理や仕分けを」

「当時 困ったことは?」

「やっぱり女子的な生活必需品の不足?」

「そうですね おむつとか生理用品とか」

「支援物資の中にはなかったんですか?」

「あったけど 支援物資は被災者に届けるものですから

 隊員は受け取らないようにしてました」

「あなた達自身も被災者なのに?」

「でも そういう女子アイテムを各基地の女の人達が

 差し入れしてくれたんですよ

 支援物資は受け取れないだろうからって」

「嬉しかったね あれは」

「うん」

そこへ室長も。

「すいません

 地元の集まりに顔出してまして ご挨拶が遅れました

 渉外室長の山本です」

「帝都テレビの稲葉と申します」

「お願いします」

「お願いします」

「空井が市ヶ谷で お世話になったそうで」

「いえ 私こそ 空井さんと空幕広報室の皆さんには

 たくさんのことを教わりました」

「この松島基地でもぜひ何か持ち帰ってください

 何でも書いてOK バンバン好きなだけ

 書きまくっちゃってあの」

「テレビの取材です」

「テレビ?

 そうでしたまあ どうぞどうぞ こちらへ」

「あの 鷺坂室長とは違った意味で濃くて」

「はい 久々に勇猛果敢・支離滅裂を実感しました」

当時の写真をみせてもらいました。

「写真は さほど残ってません

 広報の隊員もみんな災害救助に必死でした」

「自分も 空幕広報の人間だったのに

 写真を撮るより 他にもっと

 できることがあるんじゃないかと思ってしまって」

「あまりに被害が大きすぎました

 活動範囲の線引きでも悩まされました」

「「線引き」というと?」

「例えば 被害に遭ったお宅のがれきの撤去や泥かきも

 本来 してはならない」

「えッ?」

「自衛官は救助活動以外で

 私有地に入ることを禁じられているんです

 石ころ一つ拾えない」

「非常時なのに?」

「しかし私達にとっても なじみの町です

 泥をかぶったままの家々を前に

 手をこまねいてることはできなかった」

「では これは…」

「地元の了解を得てから

 基地司令からの命令が 下されました

 「基地から流された流出物を捜索せよ」

 無理やりの名目です

 でも 他に方法がなかった

 問題になったら基地司令のクビが飛ぶ

 それでもそういう命令を出してくださった

 この件については報道対応に気を使いました

 取材に来た記者の方達に

 事情を説明して もし 問題になったら

 この活動を打ち切らざるをえないと

 でも 各社とも好意的な報道をしてくれました

 おかげで活動を続けることができた

 隊員達は よく頑張ってくれました

 つらい光景もたくさん見たと思います

 隊員の中には 自分の家族が

 行方不明のままの者もいました

 それでも みんな

 少し休むと すぐにまた出て行こうとするんです

 打ちのめされてるだろうに

 それでも…

 すいません」

途中で言葉が詰まる室長。

空井とリカ。

「みなさん 同じですね。

 震災から1年たった頃

 比嘉さんに会ったんです

 その時少しだけ話を聞いたんですけど」

回想

「任務の合間は避難所の子供達と遊んでました

 キッズ受けはね いいんですよ」

「分かります」

「子供達 昼間は忘れてても

 夜になると怖いみたいで

 何とかね笑わせたいと思いましてね

 あらゆる顔芸を駆使しましてね

 結果 顔面ゴムおじさんとして人気を博しました

 行けてよかったです

 少しでも役に…立てて…
 
 もっと 何か もっと

 できたのかもしれませんけど

 すいません」

比嘉さんも涙ぐみ言葉が・・。

回想おわり。

「テレビの映像を見ているだけで

 不安定になった視聴者が大勢いました

 実際に現場にあたっていた隊員の人達が

 何も感じないわけないですよね」

「現場では 何も考えないよう

 スイッチを切って動けるんですけど

 基地に帰…」

空井も涙。

「基地に帰って

 こう ふとした瞬間に

 あれ 何でですかね

 止まらなくなることがあります

 情けないですね」

「私は 空井さんの泣き顔ならたくさん見てるんで

 今さらです」

「ひどいなあ

 あそこのお風呂

 地震でボイラーが壊れたのを

 新品に交換して

 被災者の皆さんに開放したんです

 こんな時に風呂なんか直してる場合かって

 意見もあったんですけど

 1万6000人の人に使ってもらって

 すごく すごく喜んでもらえました

 あッあと あっちの体育館

 全国から集まった自衛官1000人

 こう ギュウギュウに枕並べて

 こうおしくらまんじゅうみたいに…」

リカも泣きだしました。

「ごめんなさい。私…

 何にも伝えられてません」

「いいんです

 何か できることがあるって

 楽なんです

 有事において果たすべき義務がある

 それだけでも

 心のよりどころになります

 だから 気にしなくていいんです

 稲葉さんが 泣くようなことじゃないんです」
 
しゃがみこんでしまうリカの頭をなでる空井。

「余計泣けるんで やめてください」

「僕が稲葉さんにできることは

 他に もうないんです」

空井におくってもらうリカ。

「ありがとうございました

 明日は お昼前に坂手さん達と

 車で基地に入るんで」

「はい」

「じゃあ」

「はい」

そこへあらわれた鷺坂さん。

「稲ぴょん 稲ぴょ〜ん!」

「鷺坂さん!」

「昨日から ちょうど石巻に来てて

 「稲ぴょんがそちらに向かいました!」

 比嘉から連絡もらったもんだから」

「ずっと東京と東北の行き来を?」

「そう 各地の小学校や仮設住宅を訪問して

 避難訓練のレクチャーしたり他にも色々と」

「鷺坂さん達OBも震災直後から東北に?」

「隊員達の代わりに

  彼らの家族の捜索にあたってました

 まあ 少しでも安心して任務に励めるように

 空井 元気にしてた?」

「元気でしたよ」

「そう」

空井と隊員。

「帰しちゃってよかったのか?お前の彼女」

「いや か 彼女なんかじゃ」

「でも 2年前のあの日

 お前が真っ先に自分の無事を知らせた相手って

 あの子だろ」

鷺坂さんとリカ。

「私 ずっと この2年間

  空井さんからのメールの意味を
 
 「幸せになってください」っていう言葉の意味を

 ずっと考えてたんです

 でも 今日よく分かりました」

空井

「稲葉さんには稲葉さんの人生があります

 その人生を一緒に歩む相手は

 僕じゃない方がいいんです」

リカ

「空井さんは

 たくさんのもの 抱えてて

 抱えきれないくらいで

 でも きっと私には抱えてほしくなくて」

「あの人は

 ただでさえ一生懸命で

 いつも自分から険しい道を

 選んでしまう人だから」

「自分がどんなにつらくても あの人は

 私には笑っていてほしい

 そう思ってるんです」

「だからこれでいいんです 別々の道で」

「もう決めてるんです 空井さんは

 だから 私も

 自分の人生を歩こうと思います」

市内をみてまわるリカ。

「まだ こんなに」

「東松島市だけで

 100年分のがれきが出ました

 でも 急ピッチで処理が進んでます

 毎日 地元の人達が

 分別にあたってます」

仮設住宅に行きました。

「こんばんは」

「あら サギちゃん 来てたの」

「昨日からね」

「おッ めんこいの連れてる」

「俺の娘 みたいなもん」

「どうも」

「カワイイ おのくん?」

「ここ 小野の仮設住宅で生まれたから「おのくん」」

 手作りだからいっぱいは作れないけど

 口コミで じわじわ人気が出て今では予約待ち

 全国から買いに来る人が大勢いるの」

「すごい いつから作られてるんですか?」

「ちょうど1年前「めんどくしぇ」ってなって」

「めんどくしぇ?」

「復興復興 言っても全然 進まねえし

 いつ仮設から出られるかも分かんねえし

  悲しむのも疲れた

 ただ待ってるのもめんどくしぇし

 オラ達でできることをやっぺしねえ」

「んだんだ」

「今じゃ「めんどくしぇ」が

 私らの復興の合言葉」

「それと皆様の 心意気」

「サギちゃん いいこと言うね」

「ねえ」

「どうぞ」

「すいません」

「東京からですか?」

「はい 申し遅れました 私 帝都テレビの稲葉と申します」

「ブルーインパルス 帰ってきたでしょ その取材」

「ブルーインパルスの」

「帰ってきていがったねえ」

「うるせなあんだんだ うるせなあ」

「えッ?」

「あれから ずーっと

 空が静かだったからね

 止まってた日常が戻ってきたみてえで嬉しなあ」

「展示飛行 中止で残念だったねえ」

「子供達も楽しみにしてたのに」

「ブルーの隊員の方達も残念がってました」

「稲ぴょん 明日は?」

「明日はカメラマンの方達も来て

 飛行訓練を…」

何か思いついたリカ。

「鷺坂さん!」

翌朝 ビラをくばるリカをみつける坂手さんたち。

「お願いしま〜す  お願いします

 帝都テレビです お願いしま〜す

  お願いしま〜す」

「何してんだ あれ?」

「選挙活動?」

「はッ?」

広報室で待つ山本室長と空井。

「遅いなあ帝都テレビの稲葉さんから連絡は?」

「いえ」

そこへ電話。

「はい 広報班です」

「空ぴょ〜ん」

鷺坂さんからでした。

「空ぴょん?」

「空ぴょんに稲ぴょんから伝言」

「あッ」

「「今日のブルーの飛行訓練は

 基地の外から撮影するので

 そちらには伺いません」とのことです」

「えッ 外からですか?」

「空井 外に出てごらん」

「えッ?」

見物人がいっぱい。

「どうぞ どうぞ こちらに どうぞ」

「室長 室長あの これ…」

「うん ゆうべ 稲ぴょんがさ」

ビラをみせられる空井。

「鷺坂さん!

 飛行訓練って基地の外からでも見えますよね

 みんなに知らせて 見てもらえば」

「訓練は訓練だからな

 外に知らせるってのは…」

「じゃあ 例えば誰かが勝手に告知する分には?」

「問題

 ないかも しれないかも」


「集まったもんだなあ

 稲ぴょん 朝から色んな所で配ってたみたい」

ビラにかかれたうさぎのイラストをみつめる空井。

ブルーインパルスが飛んで
喜ぶ人たち。

空井の目がまたうるんできました。

「お帰り〜」「すご〜い」

「うわ〜 お帰り〜」「待ってた〜」

「お帰りなさ〜い」「すごい」「カッコイイな」

「稲ぴょん

 お前に会わないで 帰るつもりだよ

 詐欺師・鷺坂としては

 仮病を使って電話してでも

 稲ぴょん 呼び戻して

 何とかしてやりたかったけど

 お前ら二人とも

 さんざん苦しんだから

 でも 何にも思いつかなくて

 詐欺師としては

 お手上げだ」

そこから大声をはりあげる鷺坂さん。

「空井大祐!

 稲葉リカ!

 あの日から

 時計の針が

 止まってしまった人がたくさんいる

 でも それでも

 前に進もうとしている人達が…

 前に進もうとしている人達が

 たくさんいる

 勝手な願いだが 俺は

 お前達に

 諦めてほしくない!」


空にハートマーク。

二人でみたあの空を思い出す空井とリカ。

空井もリカも走り出しました。

「痛ッ 稲葉 コケんなよ!」

ブルーインパルスに手を振る人たち。

「手振ってる」

「ああ」

「俺達 戻ってきたんだな」

空井とリカが出会いました。

「稲葉リカさん!!

 じ 自分… 僕はッ

 稲葉さんのこと

 幸せにできるかどうか分からないけど…」


「私の幸せは

 私が決めます」


「はいッ」

しっかり抱きしめ会うふたり。

比嘉さんたち元広報室全員にメール。

「ウィーぬはッ」

「おお〜イエス!」

「よっしゃ〜ッ」

阿久津さんにも。

「サギちゃん?」

結婚しますというメールが
抱き合う二人の写真とともに
みんなにおくられていました。

「集合」

って阿久津さん、みんなにみせるのかw

「既成事実 作っとかないと

  また何かあったら困るからな」

ブルーインパルスを眺めながら
手をつなぐふたり。

3ヶ月後。

おむつをかえる槇さん。

「はい 気持ちよくなりまちたね〜」

「よし はいドーン!」

と名前 空子をみせる柚木さん。

「まんますぎない?」

「アンタの「航子」だって

 似たようなもんでしょうが」

「航子ちゃんの方がいいでちゅよね」

「ヤダよね〜」

彼女とあう片山さん。

「えッ いいんですか?」

「はい」

「ホントに?

 カメラ カメラを隠してあって

 「ドッキリです」みたいなことじゃ?」

「いいえ」

疑り深いw

藤枝とともみ。

「おっしゃ プロポーズ成功したか

 俺も純愛に生きてみよっかな」

「無理でしょ」

「だよね

 つか ともみん 最近どうよ?」

「マンション買っちゃった 1LDK」

「 一緒に住んでやろっか」

「ペットとしてなら」

坂手さんと大津さん。

「今日な嫁と子供 いねえんだよ

 終わったら飲み行こうぜ」

「用事あるんで」

「用事ある… 何ッ!」

「いいじゃないっすか」

「お待た〜今晩 何食べる?」

「う〜ん 焼きトンかな」

「それいい どこの行くの?」

「焼きトン…」

いつのまにか珠輝とくっついてた。

広報室。

「すいません 内局に出した書類が

 1枚 抜けてました!」

「そういうこともねえ

ありますよねえ

 はいッ 頂きました」

「やっべッ」

鷺坂さんは野球のコーチ。
そこに電話。

「子どもの名前?

 自分達で考えなさいよ

 ゆっくり悩める時間があるのは

 平和の醍醐味なんだから

 たっぷり味わいなさい」

「サギのおっちゃん」

「今 忙しいんだ」

「早く」

「じゃあね お待たせ お待たせ

  でっかいフライ いくからな」

「え〜ッ 無理〜!」

「無理かどうかは走ってみなくちゃ分からない いくぞ

 バック バック!

 ナイスキャッチ!

 バックホーム!」

松島

「空自を題材にしたドラマ?」

「はい もし もしですよ

 実現すれば

 ブルーインパルスにも協力してほしいって」

「実現しないだろ」

「意志あるところに 道は拓けます!」

「新婚は言うことが違うね」

「それは関係ないでしょ」

「肌身離さず 写真持って

 お前 ちょっと見せろよ」

「ウィー」

「いや〜 カワイイですよね

 ウチのリカぴょん」


「お前 何言ってんだ」

リカの指にも結婚指輪。

「先方には 11時に行くと

 言ってありますので」

「どうした?」

「北の方から悪寒が」

「旦那か

 虫の知らせか?」

「いえ たぶん また

  しょうもないことしてるんだと」

松島

「はッ もういいのか

 嫁さん 東京に置きっぱなしで」

東京

「離れてて寂しくないのか」

「空は」

「空は」

「空は つながってます」




震災の話がはいって何度か涙したけど
終わりの十数分はずっとにやにやがとまらない!
空井は一人で完結しちゃって
リカもものわかりよくそれを受け入れようとしてるけど
二人とも今元気で生きてるのに
好きなら好きっていわなきゃ!

距離だけなんて障害にはならない。
鷺坂さんが最後まで背中をおしてくれて
本当に理想の上司。(元上司だけど)
広報室の仲間たちもみんないい人ばっかり!

自衛隊を題材にしたドラマ
ばっちり空自の宣伝になってました!
ブルーインパルスがとぶたびに
広報室で喜ぶみなさんの姿が目にうかぶように
なってしまった。

リカと空井がいちゃいちゃしてるシーンを
もっといっぱいみたかったけど
最後の最後に充分満足な終わり方で
たいへん楽しかったです。








稲葉リカ…新垣結衣
空井大祐…綾野剛
柚木典子…水野美紀
片山和宣…要潤
槙博巳…高橋努
比嘉哲広…ムロツヨシ
藤枝敏生…桐山漣
坂手はじめ…渋川清彦
香塚ともみ…三倉茉奈
大津裕一…前野朋哉
阿久津守…生瀬勝久
鷺坂正司…柴田恭兵







2013.06.24 Monday 08:56 | comments(0) | trackbacks(11) | 
<< 宇宙戦艦ヤマト2199  第12話「その果てにあるもの」 | main | ジャンプ30号感想 >>









空飛ぶ広報室 最終回「2年後の再会〜二人で大空に描く未来」
生真面目すぎて、じれじれの不器用な2人… 稲ぴょん(新垣結衣) と空井 (綾野剛) の、遠恋なメール交換も途絶えがちだったけれど、最後は周囲も含めて大ハッピーエンド。 しかも、難しい職種(自衛隊)。難しい時事問題(震災)に、ユーモアを交えつつ、果敢に取り
| のほほん便り | 2013/06/24 9:14 AM |
空飛ぶ広報室 最終話:2年後の再会〜二人で大空に描く未来
結婚!ヽ(〃'▽'〃)ノ☆゚'・:*☆オメデトォ♪ いやぁ〜、まさかそんなとこまで話が進むとは・・・ 2年振りの再会時には、不自然なほどによそよそし過ぎる二人だったんで どうなるのかと思ったけど、良かった、良かった!!! そもそも2年前もチュウ
| あるがまま・・・ | 2013/06/24 9:53 AM |
北の方から悪寒が・・・
「空は繋がってます」「あまちゃん」の次に楽しみにしてたドラマ空飛ぶ広報室今日、遂に最終回となってしまった「私の幸せは私が決めます」サギちゃんの既成事実で、稲ぴょんと空井...
| 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映... | 2013/06/24 10:01 AM |
北の方から悪寒が・・・
「空は繋がってます」 「あまちゃん」の次に楽しみにしてたドラマ 空飛ぶ広報室 今日、遂に最終回となってしまった 「私の幸せは 私が決めます」 サギちゃんの既成事...
| 虎党 団塊ジュニア ブログ 弐号機 | 2013/06/24 10:01 AM |
空飛ぶ広報室 (第11話 最終回・6/23) 感想
TBSテレビ系ドラマ『空飛ぶ広報室』(公式)の最終回『2年後の再会〜二人で大空に描く未来』の感想。 最終回は「初夏の甘夏みかん」… 最終回の感想を一言で例えるなら“初夏の甘夏みかん”だろうか...
| ディレクターの目線blog@FC2 | 2013/06/24 10:28 AM |
空飛ぶ広報室
最終話と総括。 
| AKIRAのドラマノート | 2013/06/24 10:49 AM |
空飛ぶ広報室 第11話(終)★綾野剛「可愛いですよね。うちのリカぴょん」--RESCUE WINGS高山侑子も登場
空飛ぶ広報室 第11話(終) 2年後の再会〜二人で大空に描く未来 空自取材を再開することになって、松島に出張していた空井(綾野剛)とコンタクトしたあの日・・・3.11。 松島基地は水没して28機喪失。 災害派遣で身を粉にして無事をメールで伝えるのがようやく
| 世事熟視〜コソダチP | 2013/06/24 11:59 AM |
空飛ぶ広報室 最終回
東日本大震災から2年、リカ(新垣結衣)は、この2年間の仕事ぶりから、公正な目で取材が出来るだろうと、宮城・松島基地へ震災の取材に行かないかと阿久津(生瀬勝久)に勧められます。 リカは、松島で被災...
| ぷち丸くんの日常日記 | 2013/06/24 8:48 PM |
ドラマ「空飛ぶ広報室」 第11話(最終回...
2年後、現在---------。いやぁ実に爽やかでメッセージ性のあるドラマだったなぁ。最後まで楽しませてくれた。あたたかい気持ちにさせてくれた。よく泣いて、笑って、教えられて・・・...
| ◆◇黒衣の貴婦人の徒然日記◇◆ | 2013/06/24 10:46 PM |
(終)空飛ぶ広報室 第11話 感想(ブルーインパルスまんじゅう付)
最終話 2年後の再会〜二人で大空に描く未来 公式HPよりあらすじ2013年4月 ―― 震災から2年、ブルーインパルスが松島基地へ帰還するニュースを 藤枝 (桐山漣) が伝えていたころ、リカ (新垣結衣) はこの...
| 帰ってきた二次元に愛をこめて☆ | 2013/06/25 6:18 PM |
《空飛ぶ広報室》★最終話
あれから2年。松島基地に戻ったブルーインパルス。 約束した“あの日“ リカと空井は、震災のため会えなかった。 阿久津に松島基地に取材に行かないかと打診された。地元では、ブルーインパルスが復興の希望の光だった。これを機に『空自の側から語られる震災の記憶』
| まぁ、お茶でも | 2013/06/26 1:44 AM |