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SUMMER NUDE 第3話

第3話



『彼女がいなくなってから三度目の夏』

DVDを返しにいこうとおもったところに
ラジオから思い出の曲が流れてきて
できなかった朝日。

48時間PART2はそのまま。


回想
看板のところへ目隠しして香澄をつれてきた朝日。

「ねえ? まだ?ねえねえ。 ウフフ。 まだ?いい?」

「いいよ」

「うわっ! でかっ!こんなに おっきいの?」

「うん」

「ウフフ。 うわー ウフッ。 何か 恥ずかしいね」

「うれしくないの?」

「何 言ってんの?うれしいに 決まってんでしょ

 だって 私 この写真すっごい 気に入ってるし

 これを撮ってくれたあなたのことを誇らしく 思います」

「それは 褒め過ぎじゃない?」

「ううん」

「こんなに 大きいと通るとき 無視できないでしょ?」

「でも 看板は 看板だからね」

「これからは あの子のことも私だと思って

 ちゃんと 挨拶するように」

「はっ?」

「無視して 通り過ぎたらあの看板から

 笑顔がどんどん 消えてくからね」

「何 バカなこと 言ってんの?」

「アハハ」

そのときの約束を律儀に守ってたのか。

「おはようございます」

と頭をさげて挨拶。
そこへ夏希がとおりかかりました。

「今さ看板に 挨拶してたよね?」

「してないから。」

「いや いや いや。 してたよ。私 頭 下げてるの 見たもん。」

「知り合いの 海女さんが手 振ってたから 挨拶しただけ。」

「へえー。そんなんまで 見えるんだ。」

「伊勢エビと サザエがとれたっつってすげえ ご機嫌だったね。」

「何 言ってんの?」

「じゃあ 俺 急ぐんで。」

「ねえ?無理って どういうこと?

 まさか DVD返却しない気じゃないでしょうね?」

「どうやって 返せばいいんすかね?」

「はっ?普通に レンタルビデオ屋に行って返すだけです。」

「ハァー。 よく そんな簡単に言えますよね?」

「だって 簡単だもん。」

「そんな 簡単に返せてたら3年間も 借りっ放しにしてると思う?

 よく 指輪 捨てられましたよね。」

「えっ?」

「ホント そこだけは尊敬します。」

「ちょっと。何? そこだけはって。

 ねえ! ちょっと!何? そこだけはって。」

いってしまう朝日。

賢二の店にいる波奈江。

「やばい。」

「うん?」

「私 忙し過ぎて しばらくここに来れなくなるかも。」

「何が そんなに 忙しいの?お前。」

「朝日がさ。」

「うん。 どうした?」

「私の写真 撮ってくれるって約束してくれたの!」

「ホントかよ?」

「ホント!」

「そりゃ よかったな。 おい。赤飯 炊くか? 赤飯。」

「いや。 だから 赤飯なんて食ってる暇 ないんだってよ。」

「何が そんなに忙しいんだってよ?」

「いや。 まずね美容院でしょ。 ネイルにエステに

  岩盤浴にも 行きたいし。」

「老廃物 出してな。」

「あと 笑顔と ポーズの練習もしなくちゃいけないでしょ。」

「やんなきゃな。 お前 それ全盛期の

 パリス・ヒルトンじゃねえかよ。」

「一つ ネックなのが撮影場所なんだよな。」

「撮影場所?」

「市内限定って言われちゃってるからさ。」

「うん。」

「いい ロケーションって限られてくるじゃん?」

「じゃあな 俺が 誰にも教えてない

 取って置きのオーシャンビュースポット 教えてやる。」

「えー?それって ホントにナイス オーシャンビュー?」

「イエス。ベリー ナイス オーシャンビュー。」

「オー。」「イェー! ハハハ。」

「サンキュー ベリー マッチ。」

楽しそう。

海の家にきている駿。

「姉ちゃん 超はしゃいでて。

 家じゅうの洋服 引っ張り出してはもう 大騒ぎでさ。」

「ウフフ。 私も 着てく洋服一緒に選んでって 頼まれたわ。」

「まあ でも これで やっと俺も 肩の荷が下ろせるよ。」

「何で?」

「いや。 まあ一応さ弟として 心配だったからさ。」

そこへやってきた孝至。

「いやー。今日の波は 最高だわ。」

「いらっしゃいませ。」

「そこの シャワーで髪 ぬらしただけじゃねえかよ。」
「何で お前が いるんだよ?」

「ねえねえ。 夏休みの宿題10円で やってくんない?」

「20円 やるから今すぐ 帰れ!」

「孝至さん 今日仕事 ないんですか?」

「あっ。 今 昼休み。ちょっとでも 時間 あったら

 こいつ(ボード)と 戯れてたいから。」

「泳げないくせに始めたらしいじゃん?」

「100円 やるからさっさと 帰れ。」

「ごちそうさま。 また 来るね。」

「はい。」

「120円 貸しな。」

「20円と 100円は足さねえんだよ。

 おい。 お前 お会計は?」

「払っといて。」

「10代の特権?チッ。あ〜あ やれやれ。

 駿君の相手 してやんのも大変でさ。

 あっ。 生 1丁。」

「へい。

 そういえば 孝至さんって あいつと高校の同級生でしたよね?」

「うん? 朝日?」

「うん。」

「そうそう。 部活も一緒だったし クラスも 一緒。

 まあ 勉強も 野球も俺の才能の前に完全に ひれ伏してた…。」

「何で あいつってDVD あんなに返せないんですかね?」

 「彼女 もう 戻ってこないしね。

 でも あいつはそうは思ってないんだよ。」

「えっ?」

「厄介なところは香澄が 何も言い残さずに

 荷物ともどもいなくなっちゃったってこと。」

「でも それって ただ 単純に

 別れたかったってことじゃないんですか?」

「いや。 俺も 9割9分9厘そう思ってるよ。

 でも 朝日はさ戻ってくるつもりがなかったら

 いなくなる直前に DVDを見る約束なんか しないって

 言い張るんだよね。」

「でも そんなんで3年も 待てますか?」

「それは 朝日にとって 香澄が特別な存在だからだよ。

 俺にとっての夏希ちゃんのように。」

「いくら 好きでも 3年 待つとか全然 普通じゃないしね。」

「うん。 ちょっと 待って。あの。

 俺の直球 そんな 簡単に見逃さないでくれる?」

「あっ。 ごめんなさい。 私野球のこと 全然 知らなくて。すんません。」

「野球 分かんなくても直球の意味は 分かるよね?」

「うん?」

「よし。 じゃあ 分かった!
 
 俺が 朝日に DVDを返却させてみせようじゃないの?」

「ホントですか!?お願いします。

 もうね あいつ 見てるといらいらするんですよ。」

「その代わりにこのミッション 成功したら

 俺と デートしてくれない?」

「はっ? デート?」

レンタルビデオ店にいる波奈江。。
いつもの48時間もないことを確認。

「いらっしゃいませ。

 こんなに 借りるなんて珍しいじゃん。」

「世界の名女優からカワイイ 表情とか ポーズとか

 学んじゃおっかなって 思ってさ。」

「そんなの 学んでどうすんの?」

「だって 朝日が 写真撮ってくれるって 言うんだもん。」

「えっ? お前の?」

「当たり前じゃん。 」

「ヘヘヘ。まあ せっかく 写真撮ってくれるって 言うからさ

 一生の思い出に 残るものにしたいなって思ってさ。」

光といっしょに看板のところにきて挨拶。

「最後にもう一度だけ 勝負させてください!

 よろしく お願いします!

 どうせ 勝てないと思ってんでしょ?」


「いや。そんなこと 思ってないよ。」

「どう?今日は 何点差で 負けてますか?

 えっ? 何? えっ? 言えないぐらい

 ひどい点数で 負けてるってこと?」

「勝ってるよ。」

「えっ? どういう意味?」


「俺ん中ではずっと お前が勝ってる。」


「ハハハ。 何? それ。もう いいから そんな慰め。」

告白したのにまったく気づかれていない・・。

朝日の家でDVDを奪おうとする孝至。

「お前 何 勝手なこと してんだよ!」

「こんなもんに 縛られてっからな 

 いつまで たっても お前の人生うだつが 上がらねえんだよ!」

「お前にだけは言われたくねえんだよ。」

DVDの奪い合い。

「あれ? 香澄。」

「えっ?」

「バカ お前。 そんな 子供だましに引っ掛かると思うか?」

「一瞬 引っ掛かってたじゃねえかよ。」

「いいから お前 返せよ。」

「ねえ? 頼むよ。 何も聞かずに俺のこと 見逃してくれ。」

「バカ 言ってんじゃねえ。それ 俺が借りてんの。」

「いや。 これを返せば 夏希ちゃんとデートが できるんだよ!」

「知らねえよ。 お前 人の力に頼んないで 自分で 何とかしろよ。」

「一生の お願い。何回 一生の お願い 使えば気が済むんだよ?」

「うっ。」

波奈江と夏希。ご機嫌で服を選ぶ波奈江。

「どちらにしようかな。どうしたの?」

「あのさ。」

「うん。」

「波奈江の気持ちに 水を差すようで申し訳ないんですけど。」

「何?」

「あいつ DVD 返すとか言ってまだ 返してないんだよね。」

「うん。 知ってるよ。」

「えっ?」

「今日も 返されてないの確認してきたからさ。」

「ふーん。」

「まあ それと写真 撮ってもらうことは関係ないと思ってるし。」

「おっ。 頼もしいじゃん。」

「ウフフ。だって 朝日を追い掛けてきて

 こんな強い 追い風 吹いてんの初めてだからさ。

 覚悟を決めて 全力で飛び込むしかないでしょ。」

「そっか。」

「うん。まあ 駄目だったときは大物 助っ人外国人が

 何とかしてくれるでしょ。」

「何? 助っ人外国人って。」

「えっ?夏希のことに 決まってんじゃん。」

「えっ? 何で 私が助っ人外国人なわけ?」

「そんだけ 頼りにしてるってことじゃん。」

「えっ?すっごい 分かりづらいんだけど。

 それって 野球のことですか?」

「うん。 そうだよ。」

「っていうか 何で この町の人はさみんな 例えが 野球なわけ?」

孝至と朝日。

「ああー。 ゲームセットの後のビールは 格別だわ。」

「お前 今度 やったら友達の縁 切るから。」

「腕力じゃ 朝日に負けないと思ってたけどさ

 香澄が絡むと 普段の3倍のパワー 出るんだな。」

「うるせえよ。」

「どうでもいいけどさそのDVDは 面白いわけ?」

「だから 見てねえから。」

「えっ?3年も借りてて中身 気になんねえの?

 しかも タイトル 『48時間 PART 2帰って来た ふたり』だぞ。

  『帰って来た ふたり』って。おい。

 フフッ。 もう 分かったよ。一生 返さないつもりなんだね。」

「そうじゃねえけど。」

「じゃあ いつ 返すんだよ?」

「返すにしたって 自分のタイミングってもんが あんじゃん。

 何だよ? 」

「タイミングって。この3年間で

 一度も そのタイミングは来なかったんだろ?」

「来たよ。」

「いつ?」

「昨日。」

「今 マジな話 してんだけど。」

「いや。 マジで 昨日 来たんだって。」

「えっ?」

「いや。 ホントに。 昨日本気で 返そうと思ったんだよ。」

「んで?」

「思ったんだけど。

  香澄と よく 一緒に聴いてた曲が流れてきただけで

 簡単に その気持ちが吹っ飛んだ。

 俺さ 昨日からずっと 考えてたんだけど。

 やっぱ 香澄じゃなきゃ無理だわ。」

「香澄は もう戻ってこないんだって。」

「そんなの 分かんねえじゃん。」

「3年だぞ? 3年も待って 戻ってこなかったらアウトだろ。

 スリーアウト チェンジですよ。」

「何で お前が 勝手に判断すんだよ?」

「俺だけじゃねえよ。

 お前の周りにいる 全員が。全員が 同じこと 思ってんだぞ?」

「だとしても 俺が終わりだと思ってねえんだから

 しょうがねえじゃん。」

「チッ。 ハァー。もう 好きにしろよ。

 俺の手には 負えないってことはっきりしたから。

 お邪魔しました。」

孝至かえっていきました。

『香澄と僕をつなぐものは

 もはやこのDVDしか なかった』


《消えるわけないでしょ。だって まだ『48時間』のDVD

 一緒に見てないんだし》

『ちっぽけな

 可能性にすがりついていることは

 重々 分かっていた。

 ただ 心のどこかでどうしても 諦めきれない
 
 自分がいるのも 事実だった。

 それは この先の人生で香澄以上の存在が

 決して 現れないという

 確信のようなものがあったからだった』


撮影場所を求めてやってきた波奈江。

「ああ〜〜 すご〜〜い。

 ナイスオーシャンビュー」

候補地をいろいろチェック。

写真館にあおいがいました。

「ねえ? 社長。モデルの事務所全然 決まらないんですけど。」

「東京の連中って 見る目がないんだねぇ まったく。」

「何か いい仕事ないんですか?」

「朝日君。 あおいちゃんにうってつけの仕事って何か ないのかね?」
「前にも 言いましたけど。

 モデルが必要な 撮影なんてめったに ないですから。」

「ああ。 じゃあ そろそろうちの証明写真 取り換えるか?」

「えっ? あのショーウインドーの 写真ですか?」

「そろそろ 替えようとは思ってたんだ。」

「ホテルの PR素材の撮影いってきます。」

「はい。」「いってらっしゃい。」

でていく朝日。

「えっ?もう 行っちゃうの?

 あの人 全然 私に協力的じゃないんですけど。」

「それには まず 朝日君をその気にさせないと 駄目だよ。」

「その気にさせると仕事 くれるんですか?」

「ほら。 あの地ビールの看板の子 いるでしょ?

 あの子の写真を 撮るために

 朝日君が どれだけ 営業して仕事を取ってきたか。」

「いいこと 聞いちゃった。」

海の家にいる夏希に
波奈江から写真のメール。

賢二の店に朝日がくるとあおいが待っていました。

「いらっしゃい。」「こんばんは。」

「どうも。生ビール 下さい。」

「あいよ。」

「社長が ここに来たら会えるって 教えてくれたんで来ちゃいました。」

「何か 駅でナンパしたんだって?」

「するわけないじゃないですか。」

「そっちから 声 掛けてきたくせに

 ほったらかしにするってかなりの 高等技術ですよね?」

「だから 誤解だって。」

「やっぱ 向こうの男はみんな 真っ向勝負って感じ?」

「うん。 駆け引きとかはあんまり してこないんですよね。」

「やっぱり日本と アメリカ。

 まさに 野球と ベースボールの違いって 感じだな。」

「どういうこと?」

「はっ?分かんねえか? お前。」

「分かんないよ。」

「ほい。」

「ってか 今日 波奈江は?」

「夜は エステ 行くって言ってたわ。」

「エステ?」

「いや。 お前が写真 撮るって 言ったからだろ。

 奇麗に 撮ってもらうんだってお前 浮かれまくってたぞ。」

「実は そのことなんだけどさ。」

「その人って 彼女ですか?」

「違いますけど。」

「じゃあ 今 彼女 いるんですか?」

「何で そんなこと言わなきゃいけないの?」

そこへ夏希がやってきました。

「おつかれさまで〜す」

「おう。 お疲れさん。」

「あっ。 律義な人だ。」

「律義な人?」

「賢二さん。 知ってます?この人 偉いからね

 看板の人にまでちゃんと 挨拶するんです。」

「看板?」

「そう。 知ってます?

 あの 海にあるこんな でっかい 看板。」

「あの ビールの 女の人ですか?」

「そう そう そう。その人に向かって

 「おはようございます」とか言うんですよ。」

「私には まともに挨拶してくれないのに 看板って。」

「この人 変なんです。」

「気付かなかったなぁ。」

「初対面で 挨拶もなしに いきなり意気投合してる

 お前らの方がよっぽど 気持ち悪いと思い…。」

「ねえねえ ねえねえ ねえねえ。

 何か この人に期待しちゃったわけ?」

「まあ 多少は。」

「もう 絶対 やめた方がいいよ。

 あなたが思ってるほど この人はね立派な人じゃないから。 ねっ?」

「誰か 他にいい人 いませんか?」

「切り替え 早いねぇ。」

「ごめんね。私 こっちの人間じゃないからさ。」

「私も 全然 知り合いいなくて 困ってるんです。

 どっかに 手ごろな男と手ごろな仕事 落ちてませんかね?」

「だったら なおさら やめときな。

 この人はね 手ごろさの かけらもないから。」

「あのさ。」

「うん?」

「孝至 たきつけて 余計なことすんの やめてくんない?」

「何の話ですか?」

「何 とぼけてんだよ?

 あいつ 使ってDVD 返却させようとしたろ?」

「知らないよ。 あの人が勝手に やったことでしょ?」

「DVD 返したら 夏希さんとデート できるとか言って

 超 張り切ってたけど。」

「あのね。 私はね もう

 返すとか返さないとか どうでもいいわけ。

 波奈江との 約束さえ守ってくれればね。

 賢二さん。 ビール。」

「はいよ。」

「早めで。」

「はいよ。」

「じゃ 生で。」

「はい。」

写真館。

波奈江から朝日に電話。
波奈江はネイルの手入れ中。

「もしもし?」

「ああ。 もしもし? 今 仕事中?」

「ええ。 そうですけど。」

「あのさ。 私の撮影 いつにする?」

「ですから 今 仕事中でして。」

「私の方はいつでも 平気だからさ。」

「今 ちょっと 手が離せないんで。
 
 あの。 こちらからご連絡させていただきます。

 失礼しまーす。」

「あっ。 ちょっと 待って…。まだ 話がある。 まだ…。

 ちょっと。

 今の電話 どう思います?オードリー姉さん。」

テレビ画面はローマの休日。

「フッ。私には そんな笑顔 できまへん。」

写真館の証明写真をみている春夫と清子。
春夫の写真と一緒にあおいの写真が。

「春夫さん。 これは いったいどういうことなんですか?」

「ぼ… 僕だって自分の目を 疑ってるよ。」

「この方とは いったいどういう関係なんですか?」

「いやいや いやいや。関係も何も 僕の知らない人だ。」

「こんな やり方ひきょうじゃありませんか?」

「何を言ってるんだ?」

「別れたいならはっきりと そう言ってくれたらよかったです。」

「待っ…。 あっ。清子さん? 清子さん!」

このふたりの役割はなんなの??

海の家。
あおいとあおい。

「おまたせしましたー。

 ねえ? 小学校んときまでさこっちに いたんだったら

 友達とか 残ってんじゃないの?」

「うーん。小3のときに 向こう 行ったんでもう 全然ですね。」

「ふーん。んで 家族は?一緒に住んでんの?」

「ううん。家族 いないんで。」

「えっ?」

「もう だいぶ 一人も慣れましたけどね。」

「あっ。 何か ごめん。」

そこへ孝至。

「いやー。今日の波も 最高だったわ。」

「いらっしゃいませ。」

「また 遊びに来てもいいですか?」

「もちろん。いつでも おいでよ。」

孝至、あおいにも一目ぼれか。

「えっ? えっ? ちょっ。えっ?」

「サーフボードの ビニール剥がした方がいいですよ。」

「あっ。剥がす。」

「はい。 ご注文は 何でしょうか?」

「夏希ちゃん。 あれ 誰?

 どこの人? 指輪のサイズは?うーん。 右利き?」

「あの。」

「うん。 うん。 あっ ごめん。

 その前に ビニール剥がしちゃうわ。」

「あの。」

「あっ あっ。 えっ? はい?」

「例の DVDの件どうなりました?」

「ああ。 ごめん。あれ やっぱり 無理だったわ。」

「やっぱ この町の人は口ばっかりなんですね。

 まっ あなたの お友達のカメラマンよりは

 孝至さんの方がカワイイ方だと思いますけど。」

「こういうこと 言うのあれなんだけどさ。」

「うん?」

「夏希ちゃん 朝日の この3年間

 見てないから 分かんないよね?」

「えっ?」

「だからさ 何ていうか。

 もう あいつのことはほっといてやってほしいんだよ。

 あっ。 ごめん。急に マジになっちゃって。」

「別に。」

「いや。 うん。あれ?これ 剥がしちゃいけないやつ?」

自転車の朝日の前にでてきた波奈江。

「あ〜さひ!ねえねえ。私の撮影 いつにする?

 あした? あさって?私の方は いつでも 平気だからさ。

 ロケハンも 済んでるからそんなに 時間を取らせません。

 丸1日で 終わらせるからさ。

 ねえ? これ ちゃんと 見て。ほら。」

「波奈江。 ごめん。」

「うん?」

「やっぱ お前の写真 撮るの無理だわ。」

「えっ? 何で?」

「そこ ほとんど香澄と 行ったことあるし。

 あいつのこと 思いながら

 お前の写真 撮るわけにはいかないでしょ?

 ごめんな。」

「ねえ? どうして?

 どうして 香澄の写真は あんなに喜んで 撮ってたのにさ

 私の写真は1枚も 撮ってくんないの?

 そんなに 私のこと 嫌い?」

「そんなこと 言ってないだろ?」

「あの子は 何も しゃべんないよ?

 挨拶だって返してくんないんだよ?

 手だって つなげないし寂しいときに隣にも いてくれないんだよ?

 なのに まだ 香澄のことが忘れられない?

 私といるより 看板の香澄といる方が 幸せなの?

 もう どうしていいか分かんないや。」

賢二の店にやってきた波奈江。

「はあ?あいつまた撮らないって 言ったの?」

「まだ 香澄のことがあって難しいってさ。」

「何だ? それ。 うーわ うーわ。もう あったま きた。

 ちょっと 行ってくるわ。」

「おう。 夏希ちゃん。1回 落ち着こうか。」

「だって 許せないじゃないですか。」

「いや。 朝日も 悪気があって言ってるわけじゃないんだよ。」

「撮るって 約束したんすよ?

 なのに 前の女を理由に 断るとか最低じゃないっすか。

 私 間違ってます? えっ?」

「いや。 間違ってないよ。」

「えっ? 私が 悪いんすか?」

「待ってても しょうがねえのにな。

 ごちそうさま。」という駿。

駿をおいかけて外に出る夏希。

「駿くん。あのさ 駿くん 何か知ってるでしょ?」

賢二と波奈江。

「やっぱりあの子には勝てないんだねえ。」

「まあ 今は 勝てなくてもさ最後に 勝ってりゃいいんだよ。」

「ウフッ。賢二さんが言うと 説得力 あるね。」

「だろ?」

「ウフフ。」

「この俺でさえ 勢津子と結婚できたんだから

 全世界の人間に 希望があるってことなのよ。 」

「フフッ。でも 私さ 香澄のことちょっと いい女だなぁって

 思っちゃったこと あるんだよね。」

「そんなこと あったのか?」

「ほら。 朝日が このお店に 初めて連れてきたとき あったでしょ?」

「うん?ああ。 思い出した。

 あの 千葉の バリー・ボンズな。」

「そうそう そうそう。

 絶対に届かないって いわれてたグラウンドから

 ホームランボールが飛んできたとき。」

回想。
朝日とすわる香澄。

「すごい すてきなお店だね」

「でしょ? 後ね 下にもね海の家があって 最高なのよ」

「へえー。 いいな。行きたい」

「今度 連れてくから」

そのときボールが飛んできてガラスが割れました。

「キャッ!」

「ちょっと。 大丈夫?」

怒って外に出て文句をいいにいく朝日。

「ねえ? 朝日。 いいって」

「いや。 ちっと」

「あっ。 血 出てるよ」

「マジで? 大丈夫?」

「ちょっ。 救急箱 取ってくんね」

そこへあやまりにきた野球選手。

「すいませんでした!」

「お前 何してくれてんだよ?ケガしてんだぞ?」

「た… 大変申し訳ございませんでした!」

「謝って済む問題じゃねえだろ?」

香澄が危険なめにあったので朝日の怒りがおさまらない。
だけど香澄の対応は違う。

「すごいよね。ここまで 飛ばすなんて

 フフッ。 やっぱり 打った瞬間手応え あった?」

「あの。 ケガの治療費は全額 払わせていただきますので」

「ああ。そんなことは いいからさ

 代わりに このボールもらってもいい?

 あっ。 ホームランボールってもらえるんでしょ?」

「ええ。そうですけど」

「サイン 書いてよ」

「サインですか!?」

「未来の ホームランバッター誕生の記念に」

そんな香澄をやさしい目でみつめている朝日。

「私 朝日の あんな表情 見たの初めてだったなぁ。

本当は あの時点で勝負は 決まってたんだよね。」

「うん?」

「フッ。 私も バカだなぁ。

 こんな負け試合ずるずる 続けてさ。 フフフ。」

「そんなことは ねえよ。

 波奈江にしか してやれないことが

 きっと あるはずなんだから。

 そんななぁ香澄と 比べたりすることなんかないんだよ。」

「ありがとう。でももういいんだ。」

部屋でビールを飲んでいる朝日。

また香澄のことを考えていました。

《打った!大きい 大きい 大きい》《入った》《うわっ!?》
《みさき東高校1点 先制》

《浦野 すげえな》

《ねっ? 私が 目をかけたバッターだけ あるでしょ?》

《参りました》

 《ウフフ。 すごい》

そこへ夏希がたずねてきました。

「何で 来てんの?」

「ねえ。 もういいかげんに してくんないかな?」

「はっ?」

「何で 波奈江との約束守ってくんないの?」

「何で あんたが そこまで出しゃばってこれんのか

 理解できない。」

「あんたが ずっと 待ってる人はもう 戻ってこないんだよ。」

「いや。 何も知らないあんたに 何が分かんだよ?」

「聞いたの。」

「何を?」

「彼女が 出てったときの話を。」

駿との会話。

「この町から 出てった日にあの人 うちに来たんだよ」

「何しに?」

「うちの親父にさ看板 外してくれって 頼みに」

香澄をおいかけた駿。

「ちょっと 待って!

 どうして 看板外してなんて 言いに来たの?」

「フッ。だって あの看板があると

 朝日が 私のことを忘れられないでしょ?」

「それって もう戻ってこないってこと?」

「フッ。 じゃあね」

回想おわり。

「最初から 戻ってくる気なんかなかったんだよ。

 彼女が この町を出てった3年前から 今日まで

 戻ってくる 可能性は1%も なかったってこと。

 これで 分かったでしょ?」

「教えてくれてありがとうございます。」

「大丈夫?」

「大丈夫なわけ ないでしょ。」

朝日は家の中へはいっていきました。

賢二の店でそのまま眠ってしまった波奈江。
夏希が上着をかけてあげました。
そこへ勢津子が。

「こんばんは」

「遅くまで お疲れさま。」

「いえ。」

「賢二からさ 波奈江が まだ店にいるって 聞いてね

 ちょっと 心配になっちゃって。」

「わざわざ すいません。」

「ううん。

 朝日から 約束 断られて落ち込んでるんだって?」

「相当 楽しみにしてましたからね。」

「うん。」

「で 私 もう あったま きて許せなくて

 あいつんとこ行ったんすよ。」

「そうなの?」

「でもちょっと 反省してます。」

「どうして?」

「あまりにも無神経過ぎたかなって。」

「フフッ。朝日もね 香澄ちゃんがいなくなった 最初のころは

 今とは 比べ物にならないぐらいひどかったのよ。」

「えっ?」

「あの看板の前からまったく 動かなかったの。」

3年前。
孝至たちが朝日をつれていこうとしても拒否。

「行くぞ」

「ちょっと やめろって」

「朝日」「朝日。 ほら。 行こう」

「ほっといてくれって」

「朝日。 ほら ほら ほら」


「誰が どれだけ説得しても絶対に 動こうとしなかったの。

 そんなことがしばらく 続いてね。

 看板の前で 見掛けなくなったと思ったら。」


「ごめん。 俺 こっちから行くわ」


「今度は 看板の前だけは絶対に 通らなくなってね。

 どんなに 遠回りしてでもあそこだけは避け始めたんだけど。

 見かねた 波奈江がね 看板 外すように

  お父さんにお願いするって 言ったの。

 そしたら「それだけは やめてくれ」って

 朝日に 懇願されたらしくてね。

 それから またあの看板の前に 戻ってきたの。

 この子 香澄ちゃんがいなくなってから

 さらに 朝日のこと好きになってる気がする。」

「えっ? どうしてですか?」

「うん?だって ずっとそばで 見ちゃってるからね。

 香澄ちゃんが いなくなってからの朝日のこと。」

看板の前で一緒に過ごす朝日と波奈江。

「あんな いちずな姿 間近で見てるとさ女だったら

  「ああ。 こんな人に愛されたら 幸せだろうな」って

 思うんじゃないかな。

 私もね 気持ちはよく分かるんだよね。

  賢二も似たようなところ あったから。」

夏希は朝日に電話。

「もしもし」

「ハローハロー」

「えっ? あっ。 私だけど。」

「ああ。 あんたか。 また何か 文句でも あるんですか?」

「えっ? 何?酔っぱらってんの?」

「あっ。 ごめん。 酔っぱらってた。」

「酔っぱらってちゃいけませんか?

 酔ってるのはそっちのせいですけどね。」

「はっ? っていうか今 どこにいるわけ? もしもし?」

波奈江も目をさましました。

看板の前でビールを飲んでいた朝日のところに
夏希と波奈江がやってきました。

「こんばんは。おふたりともおそろいで。

 僕ね 律義な男なんで

 看板以外にも ちゃんと挨拶できるんです。」

「飲み過ぎだって。」

「俺だってな!

俺だって香澄が戻ってくるなんて

 最初っから 思ってなかったよ。

 そんなことは 分かってたよ。

 でも 香澄が戻ってくる わずかな可能性を 信じたかったの。

 その可能性を 信じるしかなかったんだよ。

 ずーっと 忘れたくてしょうがなかったよ。

 何度も 忘れようとした。

 でも 無理だった。

 忘れることなんかできなかったよ。

 だって 俺にとっては 間違いなく

 この世で 最高の女だったから。

 だから!

 香澄が出てったときから 

 戻ってくる 可能性はなかったって 聞いても

 全然 諦める気になれねえんだよ。」

「私さ あんたのことずっと 誤解してた。

 そこまで いちずに なれるのってホント すごいと思うよ。

 だから あんたには ちゃんと幸せになってほしいと思うわけ。

 これ ホントに。

 私だってさ 油断してたら

 前の くそ婚約者のことすぐ思い出しちゃうよ。

 今日だって あしただって目の前に現れたら

 自分だって どうなっちゃうか分かんないもん。」

「俺だって そうだよ。」

「でも もう 目の前に現れないって 分かったから

 私は 指輪を捨てたの。

 だから あんたを幸せにすんのだって

 この看板の彼女じゃないんだって。」

「あんたには 分かんないだろ?

 この写真を撮ったときの 幸福感は

 俺にしか 分かんないだろ?

 この看板を見て 笑ってくれた香澄の笑顔は

 俺しか 知らないんだよ。

 この看板が立ったときの

 満足感を超える 瞬間なんてさ

 この先の人生で

  二度と起こらないって 分かるんだよ。

 でもさ…。

 周りは 勝手なこと 言うんだよ。

 他に 女なんていくらでも いるって。

 他に いないんだよ!香澄しか いないんだよ!

 こいつと 一緒にいたときが一番 幸せだった。

 もう二度と こんな気持ちに

 ならないって 確信がある。

 だから 諦めたくないんだよ。

 諦めらんねえんだよ!」


おまえは一生看板の前で挨拶してろと思ったけど
波奈江は優しい。

「無理にあきらめなくていいよ」

ビールをあける波奈江。

「飲も」

「ハァー。 ウフフ。

 こうやって 飲むの久しぶりだねぇ。」

二人で看板の前で過ごした時間。

「お前さ。いっつも隣にいるよな。」

「フフッ。 うん。

 そんくらいしかできないからさ。

  夏希も 一緒に飲もうよ。」

「うん。」

3人で乾杯。

レンタルビデオを返しにきた波奈江。

「これ全然参考になんなかったな。」

「そうなんだ。」

「ウフッ。っていうか そもそも

 写真 撮ってもらうっていう約束が なくなった。

 ウフッ。 じゃあね。」

返されているDVDをみてびっくり。

「嘘!?」

「今日の昼返しに来たよ。」

泣きだす波奈江。

夏希のところへやってきました。

「そっか。 あいつも やっとDVD 返したのか。」

「うん。」

「これで 私も 2人のこと

心から応援できんじゃん。アハハ。」

そこへ朝日もやってきました。

「うっす。これは 閉店ですか。」

「はい。 本日の営業は終了いたしました。」

「マジか。」

「はい。」

「じゃあ 賢二さんとこでも 行くか。」

「うん。 」

「波奈江も 行くっしょ?」

「うん。」

「ああ。 じゃあさ2人で 先 行ってて。

 私 片付けとか色々 あるからさ。」

「うん。よろしくね。」

ふたりで歩く朝日と波奈江。

「今度の月曜 暇?」

「何? それ。 嫌み?暇に決まってんじゃん。」

「俺 休みだから 撮るよ。」

「えっ?」

「写真。 約束してたやつ。」

波奈江が嬉しそう。

「何すんだよ?」

「何でもないよ。」

二人を見守っている夏希。

「何してんの?」

「えっ? 拭いてんの!」

「早く 行こうよ。」

「うん。 すぐ 行く。」

夏希も嬉しそう。




山Pが番宣で「夏!海!美女!」って言ってましたが
夏の海辺の光景はたしかに夏らしくキラキラなのに
内容はジメジメしてる。
一話まるまるつかってようやくDVD返したくらい。

朝日、よくいえば一途だけど
どっちかというと女々しいという言葉が
ぴったりくるかんじ・・。

この先の人生で香澄以上の人があらわれないとまで
言うのなら、なぜ探しにいかない?!
帰ってくるって信じて待ってればいいもんじゃないと思う。

香澄も看板外してほしいと頼むくらいなら
「私のことは忘れて」って置手紙くらい
おいていかないと・・。

写真もとってもらえず香澄が最高だというのを
さんざんきかされてもそれでも朝日のそばに
いてあげる波奈江。
朝日が波奈江のよさに気づいて好きになろうと
してくれたとしても好きになるかどうかはわかんないなあ。

告白されても気づかれてさえいない光も気の毒・・。




 



三厨朝日: 山下智久 
千代原夏希: 香里奈 
谷山波奈江: 戸田恵梨香 
矢井野孝至: 勝地涼 
桐畑光: 窪田正孝 
谷山駿: 佐藤勝利(Sexy Zone)
堀切あおい: 山本美月 
米田春夫: 千葉雄大 
石狩清子: 橋本奈々未(乃木坂46) 
一瀬麻美: 中条あやみ  
一倉香澄: 長澤まさみ  
下嶋勢津子: 板谷由夏 
下嶋賢二: 高橋克典





2013.07.23 Tuesday 08:53 | comments(0) | trackbacks(4) | 
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