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ぴんとこな 第2話

第2話



一弥と再会したあやめ。

せっかく舞台もうまくいったのに
恭之助はショック。

「要するにあいつら 両思いってことじゃん」

みつめあうあやめと一弥。
でもそこに師匠から声をかけられました。

「一弥」

「ごめん 楽屋口で待ってて」

「大切なご贔屓さんがお前の今日の舞台に

 えらく感激してくださってな」

「はい」

「今から 食事の席を設けてくださるそうだ」

「今から… ですか」

断れないうえにあやめに伝えるすべもない。

外に出た恭之助はあいかわずファンに
囲まれますが、そのあと、
髪をなおしているあやめをみつけました。
一弥にあうのにこんなふうにしてるのかと
思っているのかと思うと。
なのにあやめに声をかけられたら
いつもと同じ元気な顔をつくって返事。

「 あッ 河村君」

「よう 何?

 もしかして一弥と待ち合わせとか?

「ああ… うんさっき会ってね

 待っててって言われたの」

「ふ〜ん よかったじゃん」

「ヒロ君が お軽 やるなんてびっくりしちゃった」

「いや 俺も びっくりだよ」

「あッ 河村君も

 今日の舞台は すっごくよかったよ」

「河村君「も」」

「うん?あッ いや…」

「それは ど〜も

 じゃあな」

「「も」って何だよ? 「も」って

 俺は一弥のオマケじゃないっつーの!」

不機嫌になりながら
雷がなり雨が降りそうな天気に
あやめを気にするものの、そのまま行く恭之助。

一弥は師匠とごひいきさんと食事。

「一弥君がいれば轟屋の行く末も 安泰ですなあ

お嬢さんと結婚して婿養子に入れば 名跡も継げるし」

「まあ 娘は まだ高校生ですから」

「うーん すぐですよハッハッハ…」

恭之助はシズさんと。

「あやめちゃんは見に来たんですか?」

むせる恭之助。

「焦っちゃってどうしたんです?」

そこに父が。

「何? 今日は 説教されるような舞台じゃなかったはずですけど」

「次の若手研修公演は「棒しばり」に決まった」

 お酒が大好きな二人の男次郎冠者と太郎冠者

 お殿様の留守を狙ってはいつも盗み飲みをするので

 とうとう 両手を縛られたまま留守番することになってしまう

 それでも どうしてもお酒を飲みたいばかりに 手を組んで

 あの手 この手で念願のお酒をゲット

 陽気に酔っ払った二人が繰り広げる

 息の合った踊りが見どころです>

「お前は 主役の次郎冠者

 太郎冠者の方はまだ決まってないが

 一弥の名前も出ていた」

「一弥!?」

「今日の芝居が よかったからなあ」

「あいつが舞台に立てたのなんて

 ラッキーだっただけじゃん」

「確かに そうだ

  だが その幸運を呼び込んだのは

 一弥の舞台への執念だ

 お前にも… 見習うべきところが

 あるんじゃないか?」

自室に戻って文句。

「何が見習うべきところだよ?冗談じゃねえ

 つーか 少しは息子もほめろっつーんだよ

 はあッ…」

外は雨。

「あいつらは今頃デートか・・

 一弥の野郎 「あやめちゃん」とか呼びやがって…

 俺は 名字でしか呼べないのに…」

あやめと一弥のキスシーンを想像。

「ムカツくーー!」

www

会食中の一弥はあやめを待たせているのが
気になりますがどうもできない。

「弘樹 どうかした?」

「いえ…」

雨の中、待っているあやめ。

翌日。
あやめは風邪をひいたらしい。

「5時間も待ったの!?そりゃ 風邪もひくわ」

「だよね…」

「まったく ヒロ君 最低だね!

 すっぽかすなんて」

「すっぽかされた?」

その会話を恭之助がきいてた。

あやめにもらったお守りの人形をみつめる一弥。

畑仕事をしているあやめに声をかける恭之助。

「ご精が出ますなあ」

「河村君」

「よッ」

「私のこと 笑いに来たんでしょ?

 さっき 廊下で立ち聞きしてたよね?

 男のくせに…最低!

 まあ 私も すぐに帰ればよかったんだけどね

 子供みたいに真に受けちゃってさ」

「まあ 一弥もさ いきなり抜てきされて

 挨拶とか色々あったんじゃねえの?」

「ありがとう 慰めてくれて

  やっぱ 河村君って いい人だね」

ほんとに!!

「まあ じゃあ 御曹司たる俺様が

 気分転換に どっか遊びに連れてってやっても…」

あやめ、倒れてしまいました。

「あれ? 千葉?

 おい 大丈夫か? 千葉 おいッ…

 しっかりしろ 千葉 おいッ」

あやめをおぶって家につれていく恭之助。

「「エリーゼ グランドヒル」ってマンションだよな…

 どこ?」

「ここ…」

「えッ!?ここがエリーゼ!」

どこがエリーゼなのかわからない
ぼろアパート・・。

学校であやめを待ち伏せする一弥。
優奈がでてくるとかくれました。

あやめを布団に寝かせて
ご飯をつくってくれました。

「はい・・できた・・」

「えっと・・これは・・」

「雑炊… 的な?」

「そうだ 雑炊だ」

真っ黒!!
こ、これはお妙さんのダークマターに匹敵w

「やっぱり やめよう俺 何か買ってくるよ」

「せっかく作ってくれたんだもん 食べる」

「無理すんなって」

「いただきます」

手がとまりました。

「だから言ったじゃん

 出していいぞ」

「違うの」

「えッ?」

「誰かにご飯作ってもらったのなんて…

 いつ以来かなあって…

 嬉しいもんだね」

あやめ、感動。

校門がしまるまで待っていた一弥。

あやめの部屋。

「俺 今度 「棒しばり」やるんだ」

「ほんと? 私 大好き 頑張って」

「おう。絶対に いい舞台にしてみせっから」

「うんハクション!」

「あッ… もう寝ろ ほら」

「はあ… 治るまで バイト休まなきゃ」

「まったく しょうがねえなあ」

「えッ?」

あやめのかわりにバイト!!
ほんとにいいやつ!!
しかも恭之助なので女の子に大人気。

「こんな所で会えるなんて」

「さっすがどこにいてもオーラある」

「あの笑顔にキュンとしちゃう」

師匠の話をきく一弥と梢平。

「次回の若手研修公演は「棒しばり」になった

 次郎冠者は 恭之助がやるそうだ

 実は 太郎冠者の候補に 一弥も あがってるんだが

 この間の舞台で 思いがけず

 いい役をつけていただいたからな

 さすがにまた次も ということは…

 まあ またチャンスはある頑張りなさい」

「はい」

梢平が一弥にからむ。

「悔しそうだな

 また主役が はれるとでも思ったか?」

「そんなことは思ってませんよ」

「一度くらい 舞台に並んで主役やったからって

 名門の御曹司様とお前とじゃ
 扱いは 天と地だ

 それが現実なんだよ」

そこへ優奈。

「お嬢さん…」

「弘樹は あなたとは違うの

 見くびらないで」

あやめのお見舞いにきてくれた千晶。

「いやあ 私は感動したよ

  あんたのためにあそこまで してくれるなんてさ

 やっぱあんたのこと 好きなんだって」

「ないない河村君って 育ちがいいから

 困っている人 見るとほっとけないってだけだよ」

「まったく あんたは

 結局 ヒロ君しか目に入らないってことね?

  5時間も待たされたのに?」

「ヒロ君 笑ってくれたんだ

 私に会ったとき…

 すごい嬉しそうに…

 嫌いになんてなれないよ」

バイトを終えて帰宅した恭之助。

「あッ 疲れたー」

「坊ちゃん どうしたんです?」

「あッ… いや 人の役に立つって

 気分いいよなあ」

しかし父はお小言。

「また こんな時間まで 稽古もせず遊びほうけて

 どういうつもりだ?」

「べつに遊んでたわけじゃねえし

 これから稽古やるよ 文句ねえだろ?」

「これから?」

「よしッやるぞ!」

やる気満々。

「間違いありません。」

「何です?」

「坊ちゃんは…恋をしております」

「えッ!?」

あやめの世話もして
授業中はあくび。
学校がおわるなり教室をでていく恭之助。

「はやっ」

世左衛門と御贔屓さん。

「こないだの坊ちゃんの舞台 なかなかでしたな」

「ありがとうございます」

「しかし 坊ちゃんは芸に むらがありすぎる

 いいときは いいが悪いときは…」

「申し訳ありません 私の指導力不足で」

「くれぐれも厳しいご指導をお願いしますよ

 世左衛門さん」

「はい」

一弥はまたあやめの学校へ。

「ヒロ君?」

あやめの部屋でまたぞうすいをつくってくれる恭之助。

「よっしゃ! できた…

 食ってみろ今日のは 絶対うまいから」

「いただきます  うーん! おいしい」

「まあ 俺様が本気になれば

 ちょろいもんよ」

「よッ! 木嶋屋」

「じゃ 俺 バイト行くから」

「河村君

 ありがとう こんなことまでしてくれて

 でも…」

「何?」

「私…何も お返しできるものがないっていうか…」

「フッ… バーカ

 俺は そんなセコい男じゃねーよ

 お前が元気になりゃ それでいいよ」

ほんといい人・・。

一弥の部屋にいく優奈。

「弘樹 出かけちゃったんだ…」

ひきだしにめがいき中をみると
この間声をかけたときにかくした巾着を発見。
幼い一弥と女の子(あやめ)の写真をみつけました。

「誰?」

恭之助は携帯を忘れたことに気づき
部屋に逆戻り。

そのあやめの部屋をたずねてきた一弥。

「あッ はーい ヒロ君…」

「あやめちゃん」

「えッ どうして?」

「学校に行ったら風邪ひいて 休んでるって…

 僕が 雨の中 待たしたからだよね ほんとにごめんね」

「ううん 違うの私も すぐに帰ったの

 だから 気にしないで」

「ちょっとだけ 話がしたいんだけど ダメかな?」

「どうぞ。 ボロいでしょ?

 驚くよね あッ そうだ 麦茶でも…」

「あやめちゃん

 これ… 覚えてる?」

あのマスコット。

「私がつくったお守り・・」

「ずっと大切に持ってた

 あやめちゃんのこと

 一瞬でも忘れたことなんてなかったよ」

「ヒロ君…」

「舞台の真ん中に立てたら…

 きっと会えるって 信じてた

 やっと会えた」

「ヒロ君の晴れ舞台 素敵だった」

「長い間… 待たせて ごめん

 一人で暮らしてるなんて大変だったね」

「でも バイトで何とかなってるし 全然平気だから」

「これからは 僕もできるだけ力になるよ」

「ありがとう」

「うん」

携帯をとりにきた恭之助がのぞいていて
帰ってしまいました。

「ていっても…僕自身も まだまだなんだ

 こないだの舞台に立てたのは

 ただラッキーだっただけだよ」

「大丈夫だよ ヒロ君なら きっと

 私が ずーっと応援するから」

「あやめちゃん…」

「ヒロ君が一番の歌舞伎役者になるのが

 私の夢だもん」

「あッ そうだ 携帯の番号 教えて」

「あッ…私 携帯 持ってないの

 家の番号なら…」

「でも それ…」

「これは…河村君が 忘れてったの」

「えッ? 恭之助さん?ここに来たの?」

「うん私 河村君の前で具合悪くなっちゃったんだ

  それで送ってもらったりとかして…」

「そっか」

恭之助、帰宅。父が待っていました。

「毎日こんな時間まで何をやってるんだ?

  「棒しばり」の主役も控えてるんだぞ

 芝居以外のことに うつつを抜かしてる場合じゃないだろ

 余計なことは考えずに歌舞伎だけに集中しろ

 いい加減に…

 河村家の跡継ぎとしての自覚を持ちなさい

 でなければ…

 私にも考えがある」

「何だ それ?」

稽古中もあやめと一弥のことが気になって
集中できない。

《あやめちゃんのこと 一瞬でも忘れたことなんてなかったよ》
《ヒロ君の晴れ舞台 素敵だった》

「クソッ!」

《長い間 待たせて ごめん》

「あーッ!」

お守りをみつめている一弥。
優奈がはいってきました。

「弘樹。パパとママ帰り 遅くなるんだって

 お寿司 とったから 食べよう」

「はい」

「ねえ 弘樹

 私に隠してることとか ない?」

「ありませんけどどうしたんです? 突然」

優奈の目はひきだしに。
そして弘樹に抱きつきました。

「私ね。弘樹がうちに来てくれて

 救われたんだ

 歌舞伎の家の一人娘って微妙でしょ

 パパもママも

 私が男だったらよかったのにって思ってる

 口には出さないけど私には分かるの

 小さい頃から ずっと独りぼっちだって感じてた

 けど…弘樹は いつも味方でいてくれた

 私…弘樹のためだったら 何だってする

 だから…お願い 私のそばにいて」


またぎゅううっとだきつきました。

「お嬢さん」

「「棒しばり」の太郎冠者 

 やりたいんだよね?

 私がパパに頼んであげる

 私なら弘樹の望みをかなえてあげられる

 弘樹のたどりつきたい所に

 連れていってあげるから」


「僕が…たどりつきたい所…」

そのまままた抱きついてベッドに倒れこみました。
しかし枕の下にあやめからもらったお守りが。

《ヒロ君が一番の歌舞伎役者になるのが 私の夢だもん》

悩んだけどお嬢様に手をだしてしまった。

一弥はママにもうけがいい。

「ありがとう 助かるわ」

「ほんと ママは 弘樹に遠慮がないんだから」

「だって 息子みたいなもんだからさつい

 ごめんね」

「いえ 全然」

朝から恭之助はためいき。

「どうしたの?

失恋でもしたみたいな顔だけど

 マジ!? 図星?」

「アホか! 俺様が失恋なんかするわけねえだろ

 今日から また稽古だから憂鬱なだけ…」

そこであやめにあいました。

「河村君 おはよう!

 ちょっと何で逃げるの?

 これ! 忘れてったでしょ?」

携帯をわたしました。

「ああ…色々ありがとう

 おかげで元気になった」

「よかったじゃん」

稽古場。

「頑張れよ 次郎冠者」

「で 結局 太郎冠者は誰に?」

「お前 聞いてないの?あいつ」

「一弥!?」

「何でも直前で轟屋さんから強いご推薦があったそうだ」

「恭之助さん 太郎冠者 やらせていただくことになりました

 よろしくお願いいたします」

「よろしく…」

稽古がはじまりました。

「恭之助 間が遅れてる!

 もっと集中しなさい」

「どうしたんです?また以前に逆戻りじゃないですか」

「はい もう一回」

「次郎冠者は 酒に酔ってる役だぞ

 全然 酔ってるふうに見えないよ

 やる気あんのか!」

「なぜ 一弥にできることがお前にできないんだ?」

「すいません

 ちょっと体調 悪いんで今日は 帰らしてください」

「逃げるんですか?」

「はッ?」

「僕には負けないとか言ってましたけど

 これじゃ勝ち負け以前の問題ですよ

 簡単に主役がもらえる御曹司様には

 分からないかもしれませんが

 僕は この役に命がけで臨んでるんです

  いい加減な気持ちで やられるのは迷惑です」

「俺のどこがいい加減だっつーんだよ?

 今日は ちょっと調子が悪いだけ…」

「きっと今までも そうやって

 歌舞伎と本気で向き合わない自分を

 言い訳してきたんでしょうね

 あなたは 名門の御曹司という責任を背負いきれず

 でも それを認めたくなくて

 いつも 他の何かのせいにして逃げている

 僕は そんな人に舞台に立つ資格はないと思う」

「この野郎…偉そうなこと言ってんじゃねえよ!」

一弥につかみかかる恭之助。

「恭之助!やめろ!恭之助!」

「あなたを見てると無性に腹が立つんですよ

 僕があなたなら それだけのものを持って生まれた幸運を

 無駄使いしたりしない」

「うるせえよ!てめえに 俺の何が分かんだよ!」

「恭之助 いい加減にしろ」

家でも父に怒られました。

「バカモン!

 仮にも河村家の跡継ぎが

 途中で稽古を投げ出し しかも稽古場でケンカするとは

 恥を知れッ!いつまでも自覚が持てないなら
 
 私にも考えがあると言ったはずだぞ

 覚悟は してるんだろうな?」

「覚悟?」

「もう二度と…舞台には立たせない

 私には 歌舞伎400年の歴史を背負う一員として

 伝統を引き継ぐ責任がある

 やる気のない息子に継がせるより

 本気で歌舞伎に取り組める人間を養子にする方が

 よっぽどいい」

「本気で言ってんのか?」

「もちろんだ」

「子供の頃から いつだって こうだった

 俺の気持ちなんか…

 何一つ分かろうともしない

 どんなに頑張ったって精進しろって言うだけで

 俺が…

 俺が どんな思いでやってきたと思ってんだ?

 跡を継げりゃあ誰だっていいのか?

 結局… 親父にとって大事なのは

 歌舞伎だけなんだ

 いいよ やめてやるよ
 
 御曹司だの 伝統だのもう うんざりだよ!」

家を飛び出す恭之助。

「若旦那!」

「止めなくていい!」

歩きながらあやめの言葉を思い出しました。

《河村君は 必ず歌舞伎界を引っ張っていく人になるよ》

あやめのバイト先へきますがあやめはいない。

「 はッ… 何やってんだ 俺…」

そこへあやめが。

「河村くん?どうしたの?

 ちょっと待ってよ!

  何で逃げるの?学校でも変だったし

 何かあった?」

「べつに何もねえよ」

「もしかして 私何か気に障ることでもしたかな?

 だったら…」

「だから何もねえっつってんじゃん」

「じゃ 何なの?

 河村君って すっごい優しいかと思えば

  急に不機嫌になったり わけ分かんない

 そういうのがお芝居にも出るんじゃないかな

 名門の御曹司なんだから

  もっとどっしり構えてた方がいいと思う」


《いい加減に 河村家の跡継ぎとしての自覚を持ちなさい》
《逃げるんですか? 名門の御曹司という責任を背負いきれず》
《いつも 他の何かのせいにして逃げている》

「どいつも こいつも…」

「えッ?」

「どうせ俺はダメ御曹司だよ」

恭之助、いってしまいました。

「河村くん!」

ネットカフェで寝ている恭之助。
舞台のこと、父の言葉を思い出しました。

父とシズさん。

「坊ちゃんに 電話してみましょうか?」

「ほっときゃいいんです

 もう 子供じゃないんだ」

「連獅子の心境ですか?」

「えッ?」

「我が子を谷に突き落とし

 それでも はい上がってくることを信じている」

「私には 歌舞伎より 家族の方が

 よほど難しい。
 
 歌舞伎には 400年積み上げられてきた歴史がある

 家族の歴史はゼロから

 積み上げていかなきゃなりませんからね」

「私は いつも思うんですけどね

 連獅子の話

 ほんとに しんどいのは…

 はい上がってくる子より

 待ってる親の方だなって」


棒しばりの稽古にやってこない恭之助。
電話をかけても出ない。

「出ないですね。恭之助」

「今日は 中止するしかないな」

「何をやってるんだ

  あの人は…」と一弥。

シズと恭之助の父。

「旦那様まさか 坊ちゃん何かあったんじゃ…」

「大丈夫ですよ

 ちょっと 出てきます

 ヤス 車の鍵を」

父、でていきました。

「ほんと 大丈夫ですかね?」

あやめに一弥から電話。

「もしもし。」

「 ヒロ君?」

「あやめちゃん

 なかなか会えなくて ごめんね」

「ううん 電話くれるだけで 嬉しい

 今日も 「棒しばり」のお稽古だったんでしょ?」

「いや 今日は中止になったんだ」

「中止? どうして?」

「恭之助さんがサボって来なかったんだよ

 携帯もつながらなくてえッ…」

「河村君…」

恭之助のところにきた完二郎。

「やっぱりここか。」

「完二郎兄さん…」

「サボってんじゃねえよ! お前」

「何で ここが?」

「忘れるわけねえだろ

 ガキの頃 ここで さんざん

 お前の稽古に つきあってやっただろ

 初めは お前の芝居は もうとにかく ひどいもんだったよ

 まあでも そのダメ御曹司が

 天才子役なんて呼ばれるようになったのは

  明らかに俺の…

 天才的な指導のおかげだな」

「何すか それ…」

「なあ 恭之助

 歌舞伎って 楽しいか?」

「えッ?」

「俺はさ 歌舞伎の家に生まれてんのに

 楽しいなんて思ったことはただの一度もなかった

 穴が開くほど台本を読み込んでも

 ぶっ倒れるまで稽古してもさ

 本番が迫ってくると

  もうどうやったら逃げ出せるかって

 そればっかり…

 でも…お前は 違った

 ガキの頃から

  お前は本当に楽しそうに芝居してた

 型を覚えるのには時間かかるけど

 いったん 身につけるとお前自身が

 役そのものになっちまう
 それがまた悔しいぐらいに はまってて

 教えてるはずの俺もつい くぎづけになってた

  こいつは 歌舞伎の申し子だ

 歌舞伎をやるために生まれてきたんだなあって

 そう思ったよ」


「稽古にさえ ついていけない

 ダメ御曹司だと思ってるくせに」

「ハッハハー 確かに

 今のお前は 努力もしないで

 文句ばっかり言いやがる

 クソ野郎だ」

「でもな…俺は

 これからもお前の芝居が見てえな

 お前の歌舞伎には

 見る人を幸せにする力がある

 10年前 ここで

 楽しそうに踊ってたときからな

 お前の芝居を見て

 俺は 歌舞伎が大好きになったんだ

 俺も 見る人をこんな気持ちにさせてみてえなと

 思ったことは忘れられねえよ

 お前が舞台に上がるのはな

 親父さんのためでも 木嶋屋のためでもない
 
 てめえの歌舞伎を

 待っててくれる人達のためなんじゃねえのか?」


「俺…本当は やめたくなんかない

 俺が一番好きな場所に

 あの歌舞伎の舞台に

 もう一度 立ちたいです」


「行ってこい 御曹司」

お辞儀をして走っていく恭之助。
完二郎もいい人!!!

そのあとでてきた父。

「すまんな 完二郎。

 お前には 世話になりっぱなしだ」

「いらしてたんですか

 同じだ 10年前と

 向こうの木の陰から

 よく恭之助の稽古を見てらっしゃった

 まああいつは いまだに知らないけど」

「知らなくていいさ そんなことは」

「つくづく しんどいもんですねえ

 御曹司ってやつは」

「同感だ」

稽古場で正座して父を待つ恭之助。
父がくると土下座。

「お願いします。

 歌舞伎 やらせてください

 もう一度 舞台に立ちたいんです
  
 やっぱ 歌舞伎が好きだから
 
 俺には 歌舞伎しかねえから
 
 もっともっと うまくなって

 すげえ役者になって

 お客さん めいっぱい喜ばせて

 いつか…

 親父を超えてみせる」


「最後のチャンスだ

 次は ないぞ」

「ありがとうございます」

シズさんから伝言。

「先ほど…お友達から 電話がありましたよ」

「友達?」

「坊ちゃんが来るまで 待ってますって」

「一弥…」

稽古場へいこうと外へでるとあやめとばったり。

「あッ 河村君」

「千葉!? どうしたの?」

「あのお稽古 休んだって聞いて…

 昨日のこと 気になって…ああ いや…」

「昨日は悪かった 何でもないから」

「ほんとに?」

「ああ 稽古も これから行くんだ」

「そうなの?」

「ああ」

「よかった…

 行ってらっしゃい」

「おう またな」

行く前に足をとめてふりかえりました。

「俺さ・・ もう逃げないから」

「押忍! 頑張れ 河村恭之助」

「サンキュウ

 あやめ」


「えッ?」

「て 呼んでいい?」

「あッ… うん」

ひとりで稽古している一弥。
恭之助がそこへやってきました。

「やっぱり・・

 お前に負けるわけにはいかねえんだよ」


「待ちくたびれましたよ

 恭之助さん」




恋愛メインじゃなくて
恭之助の成長物語でも面白い。
歌舞伎の家の跡取りに生まれて
幼いころは頑張っていたものの
認めてもらいたい父になかなか認めてもらえず
ついつい投げやりになってしまっていた御曹司・・。
父の想いはもっと大人になったらわかるのかな。
完二郎さんがいう言葉どおりなら
まさに歌舞伎の申し子。
恭之助も歌舞伎が一番大事と気づいて
歌舞伎にまじめに取り組むのなら
きっといい舞台ができそう。

一方、一弥はあやめのために
舞台の真中にたつ役者になるというのが
夢だったのに、そこでお嬢さんに手をだしちゃあ
なんのためなのかわからない。
あのお嬢さん、粘着そうだしずるずると
泥沼にはまりそう。

恭之助は単純で素直でいい子だけど
完二郎さんもいい人だ〜。
まわりの人にも恵まれてますね。




河村恭之助…玉森裕太(Kis-My-Ft2)
澤山一弥…中山優馬
千葉あやめ…川島海荷(9nine)
澤山梢平…松村北斗(ジャニーズJr.)
坂本春彦…ジェシー(ジャニーズJr.)
澤山優奈…吉倉あおい
三島千晶…草刈麻有
ヤス…清水優  
佐賀田完二郎…山本耕史
大岩松吉…高嶋政宏(特別出演)  
澤山多佳子…前田典子
澤山咲五郎…榎木孝明
三田シズ…江波杏子
河村世左衛門…岸谷五朗 ほか





2013.07.26 Friday 06:38 | comments(0) | trackbacks(2) | 
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ぴんとこな 第2話:切ない片想い…ダメ御曹司は恋の力で強くなる!
頑張れ、御曹司!フレーヾ(゚▽゚ゞ)( シ゚▽゚)尸_フレー お坊ちゃま特有の育ちの良さから来る素直さや単純さは、時にかわいくもあるけど それゆえに打たれ弱い部分もあったりで厄介な事よのぉ あやめとの距離が近付いたら有頂天になり、歌舞伎に関しても頑張ろうっ
| あるがまま・・・ | 2013/07/26 7:25 AM |
ぴんとこな 第2話
公演を終えた恭之助(玉森裕太)は劇場から出て来て、ファンの子たちに囲まれてプレゼントをもらっていると、あやめ(川島海荷)の姿を見つけます。 彼女に声をかけると、一弥(中山優馬)と待ち合わせをし...
| ぷち丸くんの日常日記 | 2013/07/27 8:05 PM |