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半沢直樹  第7話

第7話



「東京中央銀行の大口取引先である伊勢島ホテルが

 株の運用失敗によって 120億円もの損失を出した。

 半沢は頭取命令によって

 ホテルの再建を任されることになった。

 間もなく行われる金融庁検査で 伊勢島ホテルが

 実質破綻先と分類されれば

 銀行は1000億円以上にのぼる

 巨額な引当金を 積むことになるのだ。

 しかし 実は伊勢島ホテルの運用損失の裏には

 融資を得るための隠蔽工作があったことを

 半沢は突き止める。

 何としても伊勢島ホテルの問題を解決し

 銀行を守らなければならない半沢だが

 その前に現れたのは…」


黒崎!

「同日 同時刻 金融庁検査は

 全国にある東京中央銀行の主要支店にも入った。

 それは まさしく東京中央銀行の存続をかけた

 金融庁との戦いの幕開けでもあった」



金融庁検査 第1回聞き取り調査

「運命って信じる?私は信じるわ

 あなたとまたこうして会えたんだもの」

「金融庁に戻られたんですね おめでとうございます」

「あなたも出世したみたいね 

 あのときの支店長を踏み台にして。
 
 言っておくけど 伊勢島ホテルは今回の最重要課題だから

 そのつもりで」

「黒崎検査官 お手柔らかにお願いいたします」

「では早速聞かせてもらいましょうか」

「はい 伊勢島ホテルの与信内容についてご説明します

 資料にあるとおり…

 120億の損失の件から」

「話してちょうだい」

「ええ その…」

「聞こえません!」

半沢がかわって話し始めました。

「あの120億は株の運用失敗による特別損失です

 まずは本業のホテル経営における業績内容から

  ご説明いたします」

「小野寺」

「はい」

「では改めて ご説明します

 伊勢島ホテルはここ数年 業績不振が続き

 前期は20年ぶりの赤字となりました

 それに対し 同社は顧客ターゲットを海外 特にアジアからの…」

「もっと具体的に!何をどうしたの?」

「上海 シンガポールの大手旅行代理店との業務提携が

 既に決定しております

 それに備えて独自のインターネット予約システムなど

 IT設備の導入も進めており」

「確か システム開発を依頼していた先は

 ナルセンエンジニアリングだったわよね」

「はい ナルセンは国内でも 5本の指に入るIT関連企業です

 伊勢島ホテルも 多額の投資を行い設備開発に力を入れており

 今回の経営再建の重要なファクターの一つとなってます」

「 まあ いいわ

 でも肝心なのは 120億の大損失

 どう補填するつもり?」

「都内にある社員寮 および

 関連企業の保有株を手放すことで

 当面の資金を捻出いたします」

「それじゃあ 50億ってとこかしら

 全然 足りてないじゃないの!」

「本業のホテル経営が黒字化すれば

 不足分は数年で補填できると…」

「たらればの話は聞いてません

 はあ… 大体 あんた達はさあ伊勢島ホテルが

 黒字になると見越して 200億もの融資をしたのよねえ

 にもかかわらず  

 その直後に120億の運用失敗が発覚した

 しかもよ白水銀行は それを見越して

 融資を止めたっていうじゃない

 なのに あなた達はそれを見抜けなかった

 なぜかしら?無能だからじゃないの?

 そんな あんた達に 伊勢島ホテルは

 これから黒字になりますって言われても

 信用できるわけないじゃない

 次の聞き取り調査までに

 120億の確実な補填案が示せなければ

 伊勢島ホテルは 実質破綻先として即 分類しますから

 そうなると 御行には概算で…

 1520億 とんで860万円の引当金を

 積んでもらうことになるから 

 いい? もう一回 言うわよ

 1520億 とんで860万円よ」

半沢と部下たち。

「無理です。今の伊勢島ホテルに

 120億の損失を補填できるだけの

 余剰資産があるとは思えません」

「それでも何か見つけるしかない
 
 小野寺 伊勢島ホテルの資産状況もう一度 洗い直してくれ」

「はい」

「頼むぞ 半沢」

「はい」

渡真利と半沢。

「よりによって 黒崎とはね お前 随分と好かれてんだな」

「勘弁してくれ あいつとの相性は最悪だ」

「白水には見抜けて うちには見抜けなかったって

 痛いところ突くね 黒崎は…」

「内部告発があったが

 うちの行員が握り潰したなんて言えないからな」

「その古里の書いた報告書 ちゃんと隠してあんのか?」

「他の疎開資料と一緒に うちにある」

「処分した方が安全じゃないの?」

「あれは 京橋支店と伊勢島ホテルが

 事実を隠蔽した重要な証拠だ

 金融庁検査が終わったらキッチリその責任を取ってもらう

 それまで処分はできない」

「そう言うと思ったけど絶対に見つかんなよ

 あんなものが表に出てみろ

 伊勢島だけじゃない うちの銀行も吹っ飛ぶぞ」

「分かってる」

「それにしても 貝瀬支店長は何で

 伊勢島の内部告発を握り潰したりしたんだ?」

「それを今から確かめに行く」

「確かめるって どこに?」

「決まってんだろう貝瀬に直接 聞くんだよ」

『その頃 近藤は 出向先のタミヤ電機で

 見違えるような働きぶりを見せていた』

「立案書 よくできてた」

「ありがとうございます」

「中島 交渉 ご苦労だったな

 疲れてるとは思うが 明日までに報告書を出してくれ」

「はい」

その様子をみている田宮社長と野田。

「何があったんだ?」

「分かりません」

「あまり やる気を出されて面倒なことにならなければいいが」

貝瀬にあいにきた半沢と渡真利。

「伊勢志摩ホテルの120億の損失を補填する方法?」

「はい」

「私に聞かれてもねえ 今の伊勢島ホテルの担当は君だろう
 
  もう私には関係のない話だ」

「関係ないはないでしょう

 あなたが200億の融資を止めていれば

 傷は もっと浅くて済んだんです」

「あの融資が実行されたとき
 
 伊勢島に120億の損失が出るなんて誰が想像できた?

 これは 不運な事故なんだよ」

「本当に そうでしょうか?」

「何が言いたいのかね?」

あの書類のコピーを出しました。

「見覚えがありますよねえ。
 
 原本は疎開資料として私が保管しております」

「これは…」

「これは あなたのメモと捺印だ」

「どこから これを…

 古里!」

「おっとっと 大きな声出さない方がいいですよ

 金融庁の人間に知られたら大変なことになりますから」

「あなたは伊勢島で 120億の損失が出たことを知っていた

  にもかかわらずその内部告発をもみ消し

 200億の融資が実行されるように仕向けた」

「違う 私は ただ…」

「ただ?」

「いや…ただ」

「あなたは上からの指示に従っただけ違いますか?

 やはり そうなんですね

 誰の指示です?

 貝瀬さん この資料が取締役会に提出されれば

 あなたはもう終わりです だがもし

 誰かの指示でしたことなら

  多少処分の軽減があるかもしれない

 正直に話した方がいいんじゃありませんか?」

「私が その人の名を言ったところで何も証拠がない」

「あなたが証言すれば証拠に…」

「私の証言など その人なら簡単に覆してしまう

 君達にも 勝ち目はないよ

 これ以上 この件に触れない方が身のためだと思うがね」

「大和田常務

 全てを指示したのは

 大和田常務ですね」

「そうだ

 と言ったら

 その報告書を処分してくれるのか?」

「いいえ そういうわけにはまいりません

 たとえ上からの命令だとしても

 あなた達にもそれなりの責任を取っていただく」

「だったら もう話すことは何もない」

「いいんですか? この書類のこと本部にバラしますよ」

「やれるもんならやってみろ

 今 そんなことをすれば金融庁にバレて

 銀行は大変なことになるぞ

 銀行のためを思うならおとなしくすることだ」

「開き直るつもりですか?」

「確かに この件は金融庁検査が終わるまでは

 伏せておいた方がいいでしょう

 だが そのあとは容赦しねえぞ

 覚悟しとけ

「金融庁検査を

 君が無事に乗り切れればいいがね」

帰る半沢と渡真利。

「あの野郎 こっちの弱みを逆手に取りやがって

 半沢 バックにいるのが大和田常務だとして

 本当に やり合うつもりか?」

「当然だ」

「だよな」

「でも どうも腑に落ちない

 何で大和田常務は そこまでして

 200億の融資を実行させたんだ?

 リスクを冒してまで不正融資をすることに

 何のメリットがある?」

「羽根専務から よっぽどの見返りをもらってたってこと?」

そこへ小野寺が。

「次長」

「どうした?」

「見つけましたよ 120億の損失を補填できるだけの

 余剰資産を」

「あったのか やるじゃん 小野寺」

「あるにはありました

 ですがそれを売却できるかどうか…」

「どういうこと?」

「その資産は伊勢島ホテルの聖域とも呼ばれてるらしいんです」

「聖域?」

伊勢志摩ホテルのロビーで
羽根専務とあいました。

「困りますねえ 東京中央銀行さん

 お宅との窓口は この私ですよ

 そういうことでしたら ひと言

 言ってくださればいいのに」

「申し訳ございません」

「それとも 私には言えない秘密の話でもあるのですか?」

そこへ湯浅社長が。

「私が話さなくていいと言ったんです

すいませんね 羽根さん

 今日は ちょっと個人的な用件なのでね」

「そうですか

それなら私が口を挟むことではありませんね」

「半沢さん お話は私の部屋で」

「はい」

「で 私に話というのは?」

「実は 金融庁から120億の損失を

 全額補填するようにと言われております」

「全額!?しかし あれは

 株の運用失敗による特損です

  それを一気に補填するなんて無理だ」

「金融庁の黒崎という検査官は

 こちらの言い分が通じる男ではありません」

「だったら どうしろと…」

「伊勢島ホテルには聖域があると聞きました

 先代である会長がお持ちの絵画コレクション そして

 美術館建設のために購入した不動産です

 それらを全て売却すれば

 100億以上の特別利益を上げることができると

 本当ですか?」

「本当です

 だが それらを売ることを父は許さないでしょう」

「どうしてです ホテルそのものの存続が危ぶまれてるんですよ

 この期に及んで美術館も何もないでしょう」

「伊勢島美術館の建設は

 会長に退いた父の最後の…

 いや 最初からの夢だったんです

 私も できることならかなえさせてやりたい」

「なるほどまさに聖域というわけですか

 お気持ちは分かりますが

 このままでは 金融庁検査を乗り切ることができません

 湯浅社長 経営危機のときだからこそ

 できる選択もあるはずです

 その聖域に踏み込まなければ

 このホテルを苦しめる先代の呪縛は

 永遠に解けないんじゃありませんか?」

「分かりました

 何とか父を説得してみましょう」

「頼みます そこにかけるしか

 我々が生き残る手だてはありません」

貝瀬は大和田常務に電話。

「 もしもし 貝瀬ですが

 おっしゃったとおり半沢が来ました」

「ああそう それで?」

「もちろん 何も知らないとシラを切りとおしました」

「貝瀬君 何の話か よく分からないなあはあ?

 何をしたかは知らないが

 君が勝手にやったことだろ?

 そうだろ? 貝瀬君」

「はい 全て私の責任でしたことです

 常務には一切 関係ございません」

「うん そうか

  これからも よろしく頼むよ貝瀬支店長」

その場に羽根専務もいました。

「いや〜 いい部下をもったもんですよ。

 それに比べて困ったもんですね 半沢君には」

「確かに少々 目障りね 彼は」

「すいませんねえ うちの担当が専務の気をもませてしまって」

「いっそのこと いつものとおり 銀行から離れていただいたら?」

「まあ そう慌てることはないですよ

 「先に動いた方が負け」なんて

 スポーツ? とかでもよく言うじゃないですか

 ここはじっくりと 楽しみましょう

 彼が どんな戦いを見せてくれるか」

自宅。

「これいつまでおいとくの?」

あの書類の箱。

「金融庁検査が終わるまでだよ」

「一歩間違えてたら 死んでたかも…」

「大げさな ちょっとダンボールが崩れただけだろう」

「一生 消えない傷が残るかも

 私と金融庁検査 どっちが大事?」

「花 真面目に聞いてくれ

 この疎開資料が 金融庁のやつらに見つかったら

  俺は懲戒解雇だ

 そうなったら 君達を養うこともできなくなる

 安全を考えたら 自宅が一番なんだ

 ちょっとの間だ 我慢してくれ」

「どこが安全なのよ!」

「花ちゃん…」

近藤は残業中に書類を探していて
決算書類を発見。
同じものが2つ。

大和田常務と廊下ですれ違いにらむ半沢。
常務との会話を思い出しました。

半沢がフロアへくると黒崎が待っていました。

「次長!」

半沢の椅子にすわっている黒崎。

「ショボイわねえ 次長の椅子って」

「何かご用でしょうか?」

「決まってるじゃない 用があるから来てるのよ」

「聞き取り調査は明日のはずですが」

「今日は別件なの

 実はね あなたのご自宅に

  お邪魔させていただきたいの」

「どういうことでしょうか?」

「あなたの自宅に 伊勢島ホテルに関する

 疎開資料があると内部告発があったのよ」

「内部告発?」

「もちろん あなたがそんなものを隠し持ってるなんて

 思っていなかったけど

 内部告発があった以上

 こちらとしても 一応確認しないわけにはいかないの

 ご理解いただけたかしら

 既に 私の部下をあなたの自宅前に待機させてるの

  あなたの奥さんが在宅中というのも確認済み

 さあ 今すぐ連絡して

 部屋を見せるように言ってもらえるかしら

 このノートパソコンでも ビデオチャットで

 映像が確認できるから 何の心配もいらないわよ
 
 さあ 早く奥さんに 連絡してちょうだい

 それとも 見られてはまずいものが

 何かあるのかしら?」

PC画面には半沢宅の前に立つ
女性職員の姿。

しかたなく花に電話しました。

「今って 今すぐ?」

「すまない 何とか ごまかしてくれ」

「そんなこと急に言われたって…」

「半沢さん いらっしゃいますか?」

「はい」

「金融庁の島田です

  部屋の中を確かめさせていただきます」

カメラをつけた職員がずかずかと中へ。

「失礼します」

「ちょっと 何すんの えッ!?

 やましいものなんか何もないわよ」

「すぐに済むのでお気になさらないでください」

「気にするっつうの」

「島田 天袋や床下収納も見逃さないようにね」

「はい」

「どうだ?」

「ダメです」

「ちょっと 何なのよ」

「この部屋は?」

「]寝室よ」

「では私が 失礼します」

「やめてよ あッ… あッ ちょっ…

 もう 何なのよ」

「ありません」

せんたくものをかかえてクローゼットの前にたつ花。

「もう十分でしょ?ないものはないの」

「そこは?」

「ここは ただのウォークインクローゼットよ」

「開けなさい」

「中を拝見します 失礼」

目をつむる半沢。

しかしそこにあったはずの箱はなし。
棚の上のボックスも乱暴にチェックする職員。

「ありません」

「奥まで ちゃんと探したの?」

「探しました」

「いいわ 引き揚げなさい!」

「分かりました」

帰ろうとする職員に文句をいう花。

「ちょっと あんた達 

 これだけ家の中 かき回したあげく

 何の挨拶もなしに帰るおつもり?」

「お邪魔しました」

「それだけ?一個人のプライバシーに踏み込むなら

 それなりの礼儀があるでしょう」

「これは ご主人に了承を得た上での金融庁の検査ですので」

「そんなの知らないわよ ここは主人の家であると同時に

 私の家でもあるんですからね

 主人は銀行員という立場上何も言えないかもしれないけど

 私は一般市民だから言わせてもらうわよ

 あなた達 役人の常識はね

 霞ヶ関じゃ通用するかもしれないけど

 世の中では通用しませんからね

 そういう非常識な役人がこの国をダメにすんのよ

 何とか言いなさいよ」

「すッ すいませんでした」

「銀行員の妻 ナメんなよ」

PCからケーブルを引き抜く黒崎。

「ずいぶん素敵な奥様をお持ちね」

「ええ 自慢の妻です

 黒崎検査官 どなたが内部告発をしたかは知りませんが

 よく言っておいてください

 私の家には何もなかったと

 ただし 本当に内部告発があったのならば… の話ですが」

「まだ これで終わったわけではないわ

 120億の損失を どう補填するか

 明日までにキッチリ提示してもらいますからね

 できなければ 伊勢島ホテルは実質破綻先として

 即 分類しますから」

半沢と渡真利。

「は〜 よくみつかんなかったな。疎開資料」

「はあ〜 俺も今回ばかりはもうダメだと覚悟したよ」

「どうやって隠したんだよ」

「それが…」

『あんなもん 邪魔だったから 私の実家に送っちゃったわよ。

 狭い社宅に置いとかなくても

 見つかんなければどこでもいいでしょ?』

「お前 しばらく花ちゃんに頭上がんないな」

「早速 服買えって ねだられた」

「買ってやれ 100着でも200着でも

 この銀行は花ちゃんに救われたんだ」

「確かに そうだ

 だが 今のままじゃ それも 明日までだ」

「まだ連絡はなしか」

「次長 湯浅社長から 2番です」

「来たよ」

「お待たせしました」

「連絡が遅くなって申し訳ない」

「どうでしたか?」

「やはり父を説得することはできなかった」

「そうですか」

「とにかく ギリギリまで説得はしてみるつもりです」

「分かりました」

「一難去って また一難か」

社長と羽根専務。

「やっぱり無理だったようですね

 会長を説得するのは」

「羽根さん 父に何を吹き込んだんです?

 父は 私の話を一切 聞く耳持たなかった

 あなたから既に話は聞いてるからと言われました」

「私は ただ社長が銀行に だまされてると

 そう申し上げただけです」

「だまされてる?」

「ええ 銀行は金融庁検査を乗り切るために

 会長の美術品を売って

 目先の利益を上げようとしてるだけだと」

「それは違う 半沢次長は 伊勢島ホテルのことを

 本気で救おうと考えてくれてます」

「そうでしょうか」

「うちが金融庁から不良融資先だと分類されたら

 今後 東京中央銀行からの融資は完全にストップする

 そうなったら うちは生き残れない

  それでもいいとおっしゃるんですか?」

「いいわけないじゃありませんか

 私は あなたが生まれる以前から

 このホテルのために尽くしてきました

  このホテルのことを誰よりも思ってるのは

 社長でもあの半沢という銀行員でもない

  この私です」

「何か 手だてをお持ちなんですか?」

「伊勢島ホテルは 私が 守ります」

金融庁

「宅配業者を調べたところ 今朝早く 半沢宅から要請があり

 段ボール箱三つを受け取りに行ったそうです」

「やはり伊勢島の疎開資料は半沢が保管してたのね

 宅配便の送り先は?」

「妻の花の実家のようです」

「すぐに向かいなさ〜い」

「はい」

しかしそのときにはもう部下が資料回収。

「どうだ? 新之助」

「疎開資料 回収しました これから向かいます」

「よろしく頼む」

金融庁。

「どうだった?」

「ダメです 一足違いで 疎開資料は

 半沢の部下が持ち去ったようです」

「そう 分かったわ」

「申し訳ありません」

「まあ いいわ

 半沢が疎開資料を持っていると分かっただけでも

 十分な収穫よ

 見つかるのは 時間の問題ね」



「明日 午後1時に

 第2回の金融庁の聞き取り調査が行われる。

 それまでに120億円の損失を埋めるだけの

 補填案を提示しなければ

 伊勢島ホテルは実質破綻先と分類され

 引当金1500億円を積まなければならなくなる。

 あと19時間

 湯浅社長の会長説得にかすかな望みをかけつつも

 半沢達は 伊勢島に他の余剰資産がないか

 しらみつぶしに探していた」

第2回聞き取り調査まで19時間

「どう探しても これ以上120億の余剰資産はありません」

「先代 説得できなかった時点でゲームオーバーだ」

「口を動かす暇があったら手を動かせ

 まだ時間はある 探すしかない」

「はい」「はい」

「手伝います!」「俺も手伝います」

「お願いします」

田宮社長と野田をといつめる近藤さん。

「なぜ同じ帳簿が二つ あるんですか?

 しかも中の数字が違っている

 こちらの数字が正しいとなると

 黒字だったはずの ここ5年間で

 うちは 4000万の赤字だったということになるが

 どっちが正しいんだ? 野田さん」

「それを どこから…」

「あなたが一番よく分かってるだろ

  あのキャビネットの中だ」

「しかし あそこには鍵が…」

「お前の机の中にスペアキーがあることぐらい知ってる」

「まあ 近藤さん

 これは何かの手違いだろう

 確認するからあとは私に任せてくれ」

「社長もご存じだったんでしょう」

「何を言うんだね 私は何も」

「この中には あなたが目を通したサインも残っています

 これは紛れもなく 裏帳簿だ

 タミヤ電機は5年も前から 赤字を隠し

 粉飾して不正に融資を得てましたね」

「だったら どうする

 バラすのか? 銀行に」

「当然でしょう」

「全部 正直に話さないかぎり真の解決は あり得ません」

「解決どころか そんなことしたら

 取り引き打ち切りになるんじゃ?」

「どうなるかはあなたしだいだ 田宮社長

 こんな小細工じゃなく

 本当に会社を再建していく

 気構えがありますか?もしあるのなら

 私は全力で銀行を説得します

 この会社の経理部長として」

聞き取り調査まで16時間

「新木場の倉庫 売却できないか?」

「検討してもらってます」

「海沿いのゴルフ場 利用客 減ってます

 これ いけますね」

あと13時間

「細かい資金を集めて50億くらいにはなったか

 50億くらいにはなったか

 これでどうにか押し切るしかないな」

「ありがとうございます」

「今から 頭取に説明してくる」

「はい」

「湯浅社長から電話があったら

 何時でもいい 連絡くれ」

「分かりました」

あと11時間半

「腹へった〜」

渡真利と近藤がやってきました。

「お〜い 生きてるかい?

 どうせ何も食ってないんだろう」

「はい 牛丼です」

「明日までに 120億か厳しいなあ」

「悪いな つきあわせて」

「もし120億の余剰資産 見つけたら牛丼 おごれよ」

「1年分 おごってやる」

「しかし 伊勢島も伊勢島だが

  まさか近藤の会社も粉飾してるとはな

 どっかに まともな会社ってのはないもんですかね」

「これからどうするつもりだ? 近藤」

「全部 正直に銀行に話すよ その上で

 融資を継続してもらえるように頭を下げるしかない」

「それ 田宮社長 納得してんの?」

「納得してもらえなくても

 それしか本当の意味であの会社を救う方法はないと思う

 どうせもともと煙たがられてたんだ

 いまさら 人のいい経理部長をやるつもりはないね」

「なあ 今から人事に掛け合って

 出向先を変えてもらうこともできるんじゃないか?」

「かもな でも あんな会社でも

 今の俺の居場所はタミヤ電機だ

 俺は本気で あの会社をよくしたいと思ってる

 見捨てるわけにはいかない

 たとえ社長と殴り合ってでも

 タミヤ電機を変えてみせる

 相手の顔色をうかがうのはもうやめたんだ

 本気でぶつかるってのはそういうことだろ」

たちあがる半沢。

「どうした?」

「まだ いるかもしれない 湯浅社長に会ってくる」

「へッ?」

「お前の言うとおりだ 近藤

 ありがとう」

「おい 半沢…」

湯浅にあった半沢。

「本気でおっしゃってるんですか」

「ええ」

「父を 会長を更迭しろと」

「絵画を売ることを許していただけないのなら

 会長の力を奪うしかありません」

「私の一存では どうにもならない

 取締役会にかけて

 半数以上の同意を得なければならない

 羽根さんを支持する者達が同意するとは思えない」

「それでもやってもらわねばなりません

 人事権を使って脅してでも同意させるんです

 社長のあなたなら できるはずだ」

「父を更迭するために 社員を脅せというんですか?」

「そのとおりです

 先代の残した悪しき風習を断ち切るつもりなら

 あなた自身の手で 会長から

 この伊勢島ホテルを取り上げるべきだ」

「あなたはひどい人だな」

「湯浅社長 あなたは私に おっしゃいましたね

 古き悪しき伝統を拭い去り

 新しい伊勢島ホテルを築きたいと

 あなたのビジョンは間違ってはいない

 あとは それを成し遂げる強い信念を持てるかどうかです

 伊勢島ホテルを救う可能性が1パーセントでもあるのなら

 私は鬼にでも 悪魔にでもなる」

第2回聞き取り調査

「じゃあ 始めましょうか。

 120億の損失補填はどうなった?

 先代の集めた絵画と美術館のための不動産を

 売ろうとしていたみたいだけど会長を説得できたの?」

「いいえ 説得はできませんでした」

「そう だったら 伊勢島ホテルは実質破綻先に分類決定ね」

「説得できませんでしたので

 会長を更迭し

 全ての絵画を差し押さえ売却することにいたしました」

「更迭!?」

「新之助資料をお配りしろ」

「はい」

7時間前 湯浅社長から電話。

「今朝 父から絵画の所有権を差し押さえました」

「ありがとうございます 湯浅さん

 つらい役回りをさせてしまい申し訳ない」

「いや それが更迭することを伝えたら

 親父のやつ 急に笑いだして好きにしろと。

 親父は こうなることを望んでいたのかもしれない。

 初めて腹を割って話せた気がします。

 半沢さん こうなることを分かってたんですか?」

「まさか。社長の覚悟が そうさせたんです」

回想おわり。

「そこに示したとおり絵画107点 および

 美術館建設のための土地不動産は既に売却が決定しており

 残り41点に関しても 現在売買契約が進んでる最中です」

「概算で…」

「116億 とんで320万

  加えて 前回 申し上げた

 社員寮の売却分等 合わせますと

 120億の運用損失の補填には

 十分かと思われますが

  いかがでしょうか? 黒崎検査官」


羽根は電話。

「まさか あのお坊ちゃんが?

 会長を更迭してまで美術品を売却する!?

 正直 予想外ね

 このままだと 私達の計画も…」

「たとえ半沢が どうにか120億を用意できたとしても

 想定内だ」

「そうですよね

 そうでしたわね

 ちょうど 時限爆弾が爆発する頃だわね」

「ええ 私達も 動くとしますか」

聞き取り調査

「いいわ。120億の補てん

 認めてあげる。

 よくできました」

「やけに簡単に認めてきましたね」

「それじゃ 後回しにしてた

 経営再建案の精査に移るとしましょうか」

「ではまず 伊勢島ホテル…」

「その前に 前回 あなた方が言っていた最新のITシステム?

 もし あれが完成しなければどうなるのかしら?

 君 答えなさい!」

「それは 恐らく経営の再建は不可能になるかと」

「そうね よくできました」

「何がおっしゃりたいんですか?」

「伊勢島ホテルが そのITシステムの開発を頼んでる会社

 何ていったかしら…」

「ナルセンエンジニアリング」

「そうそう ナルセンそのナルセンね

 破綻するわよ」

驚く半沢。

フロアに走っていくとそのニュースをやっているところ。

「IT関連企業で ]国内第5位の売り上げを誇る

 ナルセンエンジニアリングが

 アメリカ最大手のホテルチェーンフォスターグループに

 特許侵害で告訴されました

 この訴訟に ナルセンが敗訴した場合

 多額の賠償金を支払うこととなり…」

「まずいですよ ナルセンのITシステムは

 伊勢島ホテル再建の要です

 それがなくなるとしたら」

「伊勢島に行ってくる」

「おい」

伊勢志摩ホテルにいくと羽根専務が。

「あら 半沢さんどうしたの? 血相変えて」

「ナルセンのニュース ご覧になりましたか?」

「もちろん そのことで これから湯浅と話をします」

そこにいたのは大和田常務。

「ちょうどよかったよ 半沢君。

 君も同席しなさい

 伊勢島ホテルの担当としてね」

社長と会見。

「大和田常務 ご無沙汰しております」

「こちらこそ 日にちが随分と空いてしまって申し訳ない

 本来なら もっと早く駆けつけて

 御社の窮地を救いたいと思っておりましたが

 常務ともなると なかなか小回りが利かなくていけません」

「この度の件では 色々とご迷惑をおかけしております」

「何を水くさいことを

 今日は そのことでまいりました」

「といいますと?」

「まあ 正直

 今のままでは 苦しい

 ナルセンが あのようなことになってしまった今

 金融庁検査を乗り切ることはできません

 何か 打開策がおありかな?

 君は あるのかね?

 私には ある

 湯浅さん 率直に申し上げる

 経営体制の変更を お願いしたい

 実は 金融庁の黒崎主任検査官には既に打診をしてある

 一族経営を捨てて

 新しい可能性を模索するなら

 分類するかどうかの判断を

 来期1年間猶予してもらえることになってる」

「私に退けと…」

「お待ちください 常務」

「心配には及びませんよ 社長

 後任には このホテルのことを誰よりも よく分かっている

 羽根専務に就いていただく」

「先代より お仕えしてきた私が

 このような形で後を引き継ぐのは大変

心苦しいことですが

  これも 伊勢島の名を守るためです」

「ご了解いただけますよねえ」

「伊勢島の担当は私です

 私は何も聞いておりません」

「大丈夫 それなら問題ないよ 半沢君

 君には 今日付けで担当を外れてもらうから

 今まで本当に ご苦労さま

 あとのことは安心して 私にお任せください」

「納得できません

 私は湯浅社長の退陣には反対です」

「だったら君は 私の提案以外に

 この伊勢島ホテルを救う方法を持ってるのかね?

 口だけじゃ 伊勢島もうちの銀行も 潰れてしまうよ」

「もう少しだけ時間をください

 必ず私が 責任を持って

 伊勢島ホテルを再建する方法を見つけます。

 湯浅社長は 誰よりも伊勢島ホテルの再建に尽力され

 自ら 一族経営の悪習を断ち切ろうと努力されています

 私は銀行員として 湯浅社長こそ

 これからの伊勢島ホテルに必要な方だと

 そう確信しております」

「半沢さん」

「分かりました

だったら

 土下座でもしてみるか

 前にも君は 言っていたよね

 地べたをはってでも土下座をしてでも

 この伊勢島ホテルを立て直してみせるとね

 さあ 私に君の覚悟を見せてくれ

 できないのかね?」

父を思い出す半沢。

「父ちゃん!父ちゃん!」

こぶしをギュッと握りしめ土下座しようとする半沢。

「半沢さん やめてください」

手をつく半沢。

「もう少しだけ時間をください

 お願いいたします」




心の中で100倍返しか!?

今回のスッキリタイムは花の担当。
いいぞ!もっと言ってやれ!!って思った。
でもほんとにあんなかんじなんだったら
ひどすぎるな〜。いきなり入ってきて調べるのが
調査だとしてもひっくり返した分は
元に戻していくのが当然じゃないの。

大和田は自分の銀行の危機になるのに
何がしたいの。
専務とくんだらお金ががっぽり?とか
いまさらそんなものが動機っていうのもへんだし。

近藤さんはやっぱり心配・・。

半沢家のこどもは座敷わらし説がふつふつと・・w
子どもいつもいないし留守でも子どもグッズもないし。
資料を疎開させてくれるよういってくれたのも
座敷わらしか?w
最終回で岸川夫人にさりげなくいやみを言いに
でてくるのよね?


半沢直樹…堺雅人
半沢花…上戸彩
渡真利忍…及川光博
黒崎駿一…片岡愛之助
近藤直弼…滝藤賢一   
内藤寛…吉田鋼太郎
岸川慎吾…森田順平
貝瀬郁夫…川原和久
古里則夫…手塚とおる
田宮基紀…前川泰之
野田英幸…利重剛
湯浅威…駿河太郎   
羽根夏子…倍賞美津子
半沢慎之助…笑福亭鶴瓶   
中野渡頭取…北大路欣也
大和田常務…香川照之










2013.09.02 Monday 08:27 | comments(0) | trackbacks(11) | 
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