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Woman 第11話(最終話)

第11話(最終話)



その日、小春(満島ひかり)、望海(鈴木梨央)、陸(高橋來)、
そして紗千(田中裕子)、健太郎(小林薫)は、いつものように
明るく穏やかな朝食の時間を過ごす。しかし紗千と健太郎は
内心、気が気ではなかった。栞(二階堂ふみ)が受けた
骨髄適合検査の結果が出る日だったからだ。
祈るような思いの紗千と健太郎。しかし小春は、
もし栞の骨髄が適合したとしても提供を受けることはできない、
と紗千にきっぱり告げるのだった。




真夜中の雷雨。

朝、庭の木にパンツがひっかかっていました。

「フフっ 昨日の風でかなぁ?」

「お母さん 見て!」

「望海 パンツ触っちゃダメだよ。」

庭にはコスモスが咲いていました。

「咲いたの〜。」

「わぁ〜!すごい すご〜い!」

「咲いた 咲いた〜!」

「わぁ すごいねぇ。」

「おはようございます。」と紗千。

「見て 咲いたの!」

「咲いたの!」

「拾ったの!」

「アハハハ…。」「アハハハ…。」

朝ごはん。

「う〜ん…朝ごはんが パンっていうのは

 何か 食べた気がしないなぁ。」

「陸が 「パンがいい」って言ったの。」

「おみそ汁でも作りましょうか?」

「いいの いいの 大丈夫。

 僕ね 留学していた頃は毎朝 フランスパンだったの。」

「ごちそうさま。」

「留学されてたんですか?」

「自慢話 始まるから聞かないほうがいいわよ。」

「「りゅうがく」って 何?」

「聞かなくていいのよ。」

「ナマケモノさんね こう見えて

  若い頃パリで暮らしていたんですよ。」

「そうなんですか?望海。」

「だからね フランス料理にも詳しいところがある。

 ジビエに始まり フォアグラ ウサギ!

 エスカルゴ!」

「ウサギ!?」

「いえいえ ウサギは食べてません。

「エスカルゴって なぁに?」

「でんでん虫のことですよ。

 フランスではみ〜んな食べてるの。

 ホントですよ!

 いや 一般的な食べ物なんだから…シジミと同じ!

 食べてるよね?食べてるじゃん!

 エスカルゴ食べてるじゃん!」

望海は学校へ。

「いってらっしゃ〜い。」

「いってきま〜す。

 お母さん なぞなぞです。」

「なぞなぞ? はい。」

「望海のものなのに

 お母さんのほうが よく使うものは何でしょう?」

「えっ?」

「帰って来るまでに考えといてね。

 いってきます!」

「いってらっしゃい。」

望海をみおくる陸と小春。

「分かる?」

「分かりませ〜ん!」

「フフフ…。」

病院待合室のロビーで寝ていた澤村先生。
そこにやってきた藍子。

「眠れました?」

「うん。君も食べる?

 昆布締めタラコと…何だ?

 これ カレーチーズ ベーコンおにぎり。」

「結構です。」

「じゃあ 全部 いただきます。」

「あれって 今日でしたっけ?

 青柳さんの妹さんの HLAの結果って。」

「昼すぎ 16時に 妹さん来る。」

「期待されてるでしょうね。」

「話は してあるよダメな時は ダメです。」

「そうですよね。

 でも…。」

「一致するといいな。」

「はい。」

栞も仕事をはじめました。

「おはようございます 植杉です。お願いします。」

「新しく入った人?洗い場 よろしくね。」

「はい。」

「大っきい声 出してね。」

「はい!」

小春の家に荷物をもってやってきた由季。

「賞味期限 今日なんで みんなで頑張りましょ。」

箱の中には信の写真が。

「お父さんだ。」

「お返しします。」

「ありがとう。

 おとうさんだね。」

写真をかざってお水とキャラメルをそなえました。

「よいしょ。」

紗千が花をもってきてくれました。

「あっ…。」

「これ よかったら。」

「ありがとうございます。

 お花 貰ったよ。」

みんなでがんばってそうめんを食べましたが
まだいっぱい。

「はぁ〜。」

「ノルマこなせなかった人は 罰ゲームっすよ。」

「そういう罰ゲームとかやめようよ。」

「お腹いっぱい?」

「割と…。」

「食べれないなら何か 面白いことしてください。」

「面白いことなんてできません。」

「お母さん モノマネできるよね?」

「できないよ。」

「どんなモノマネ?」

「できません。」

「できるよ。」

「できないよね。」

「恥ずかしがらなくても…。」

「いや できないですよ できません。」

「できるよ。」

みんなの視線。

「やります。」

拍手するみんな。

「笑いながら怒る人 やります。

 フフフ…何だ この野郎!何言ってんだ バカ野郎!

 何言ってんだ この野郎!

「えっ?な… 何? それ。」

「笑いながら怒る人です。」

「どうして 笑いながら怒ってるの?」

近所の人にあう栞。

「あら 栞ちゃん 久しぶりねぇ。」

「こんにちは おばあちゃん腰 どうですか?」

「フフっ まぁまぁね。フフフ…。」

藍子と澤村先生。

「離婚することになりました。」

「そうなの? 舜祐くんは?」

「あぁ…ご迷惑は おかけしません。

 母が来てくれるし近くに託児所も見つけたんで。

 頑張ります。」

「頑張らなくていいから 夜勤 難しい時 声かけて。」

「あっ はい。」

「あっ 澤村先生 センターから検査結果 戻って来ました。」

「あっ 今…。」

鍋をかきまぜている紗千と
それをみている陸と小春。

「どんどん透き通って行きますよ〜。」

「お〜。」

「さっちゃん ちょっと。」

「今 手が離せません。」

「あの… お客さん 待たせてるから。」

「えっ?」

「ちょっと…。」

「じゃあ 私 代わります。

 よし 陸 おりて。」

「何が見つからないのよ。」

「先に 小春ちゃんに謝罪したいって。」

栞がいました。

「どうした?」

手に包帯をまいているのをたずねる紗千。

「大丈夫。」

鍋をまぜている小春。

「もう いいかなぁ?」

「聞いて来る。」

「うん お願いします。」

「し〜ちゃん」

栞をみつけた陸。

栞と小春は外へ。

「はい。

 あぁ… あっ じゃあ 座りますか。」

犬がいましたが犬を真ん中にはさんで
椅子にこしかけるふたり。

「青柳さんの…。」

「手?」

「手っていうか 指?そっちの…。」

「あっ。食洗機のドアに…。」

「挟んだ?」

「はい。仕事中に。」

「仕事してるんですか?」

「はい。」

「食洗機のあの 閉まるとこですよね?

 あります 私も。

 絵は? もう描かないんですか?」

「はい。」

「どうして?えっ 何で?」

「すいません。

 あの…夢に出て来て…。」

「夢?へぇ〜。」

「2つありました。

  私が選んだのは

 「この人 痴漢です」って言ったほうです。

 もう1つのほうは そうじゃなかったけど…。」

「「もう1つのほう」って?」

「「お義兄ちゃん」って呼ぼうと思いました。

 ずっと 選ばなかったほうの夢を見てました。

 「私 あなたの奥さんの妹なんですけど

 あんな感じで 今 家に来られて迷惑なんです」って。

 そしたら「そっか ごめん ごめん

 君が小春ちゃんの妹なんだね。

 じゃあ 今度 家にも遊びに来てください」って。」

「多分 その夢 合ってると思う。

 信さん そう言ったと思う。」

「 「君達は姉と妹だから…仲良くなれると思うよ。

 きっと うまく行くよ」。」

「 「小春ちゃん今日ね 妹さんに会ったよ。

 いいコだったよ 絵を描くのが好きなんだって」。」

「「君のお姉さんは すごく面白い人だよ」。

「話してると優しい気持ちになれるんだ」。」

「 「背は 小春ちゃんより 少し 小さい」。」

「 「背は 君より 少し 大きい」。」

「「似てるところも あると思うなぁ。

 ちょっと 不器用なところとか」。」

「 「子供が好きなとことか」。」

「「仲良くなれるよ 家族になれるよ 

 きっと うまく行く」。」

「そういうふうに話していろんなことが始まって行く。

 そういうふうな夢を見てました。」

「全然違う今が あったんだろうね

 あなたにも 私にも 信さんも。」

 違う今があって そしたら「お姉ちゃん」と「妹」に…。

 でも それは選ばれなかったから。

 あなた 選ばなかったから。」

「お願いします。

 適合したら…。

 その時だけ 妹だと思ってください。

 お願いします。

 病院に行って来ます。」

たちあがって頭をさげて
検査結果をききにいく栞。

藍子と砂川さんと舜祐。

「あり得ないよ 最初の食事がファミレスとか。」

「いや 学生だったし普通はファミレスでしょ。」

「ファミレスは ありでも デートの あれは ないよ。」

「あっ… こんにゃく工場見学?」

「ウフフ…。」「フフフ…。」

「3つ 持てるか?」

「任せて!」

「あっという間だよね 4年の時に舜祐ができて…。」

離婚届を渡す砂川さん。

「送金のこととかはこの間 貰った

 名刺の先生のとこに連絡するから。」

「ごめんね。」

「何で藍子が謝るの?

 藍子…。野々村藍子さん。」

「はい。」

「母性なんて…男が逃げるために作った言葉だった。

 子供への愛情は 母性と父性 分けるもんじゃ なかった。

 僕達は…手分けするんじゃなくて

 手を取り合うべきだった。」

舜祐がコップをもって戻ってきました。

「おぉ よくできたな 舜祐!

 はい ありがとう。」

妻子と別れてかえる砂川さん。
見送ったあと涙。

小春の家。

「ちょっと あぁ 雨だよ!」

「あっ! 洗濯物。」

「おねえちゃん 傘持ってないから迎えに行って来るね。

 陸 包丁 触っちゃダメだよ!」

外に出るとすごい雨の中
楽しそうにぬれている望海。

「キャ〜! アハハ…お母さん!

 フフっ すごい雨だよ! キャ〜!」

「何してんの! 入りなさい!」

「急に降って来たの!キャ〜!」

「望海! ハハっ!」

「見て見て!ウオータースライダーみたい!

 キャ〜!」

「ホントだ! すごいね!すごい雨だね!

 キャ〜!キャ〜!」

小春もいっしょに濡れていると陸もきました。

「陸!陸!」

「アハハハ…。」「キャ〜!」

「何してるの〜!」

傘をもった紗千もいっしょに
雨の中をくるくる。

「アハハハ…。」

家に入って着替えました。

「スペシャル花マル 貰いました〜!」

「お〜!」

「すご〜い 見せて〜。」

「ちょっと待って。先生からの言葉を読みます。」

「はい。」

「「夏休み 楽しいことがたくさんあって良かったですね」。

 「ナマケモノさんのお世話をしたのはとても偉いですね」。

 「ナマケモノさんのエサは何ですか?」。

 フフフ…。

 先生 ナマケモノさんのことペットだと思ってるよ。」

「ハハハ…。ハハハ…。」

「人間だってちゃんと書かなかったの?」

「忘れてた。」

「本物のナマケモノだと思われてるんじゃない?」

「まさか 人間ですよ 人間!」

電話がなりびくっとする紗千と健太郎。

「忘れてた。」

「先生 何で ペットだと思ったのかな?」

「はい 植杉です。」

「犬だと思ったのかな?」

「はい あっ どうも。」

「でんでん虫だったりして。」

「え〜?」

「少々 お待ちください。安孫子さん。」

「あっ…。よいしょ。

 はいはいはいどうも どうも はい。

 えっ? 日曜日? はい。」

「お母さん なぞなぞ分かった?」

「まだ分かんないんだよね。」

「答え教えてあげよっか?」

「まだ 待って。お風呂 入ってからね。」

病院。

「植杉 栞さん。お入りください。」

「はい。」

子どもたちは家でかくれんぼ。

「もう いいかい?」

「もう いいよ!」「もう いいよ!」

「あっ すいません。」

「フフっ どうぞ。」

「来ました?」

「さぁ 捜してみて。」

「失礼します ここ…?

 ん〜? あっ!ここだ! あれ?

 ん〜? どこだ?

 望海 いない。 陸 ん〜…。」

また電話。

「はい 植杉です。

 はい。」

紗千が電話に出ました。
栞から。
電話のそばにいく健太郎。

受話器をおとす栞。
ふたりをみる小春。

受話器を戻す栞。

小春にうなずく紗千。

自転車にぶつかって倒してしまう栞。

紗千を後ろからだきしめる健太郎。

椅子からひっくりかえる澤村先生。

検査結果をみながら
床にねそべったまま喜ぶ澤村先生!

泣き出す紗千によりそう健太郎。

子どもをさがしにいく小春。

「陸 ダメ!見つかっちゃう!」

「キャラメル…。」

「早く 戻って。」

「お父さんにあげるの。」

「分かったから 早く急いで!

 早く 早く。」

信の写真をみつめて涙する小春。
過去の回想。
いっしょに将棋をしていました。

「どちらかというと私は 博物館派ですね」

「僕は 断然 動物園派です」

「動物園って 何か ちょっと子供っぽくないですか?」

「動物園 生命ですよ?

 博物館って大体 乾燥してるじゃないですか ミイラとか」

「いや 何万年も何十万年も前のものがそこにあるんですよ」

「でも 乾燥してますよね」

「動物園って ゾウのうんちの臭いしかしないじゃないですか

 えっ あの臭いに命を感じるんですか?」

「僕達 趣味 合いませんねぇ」

「合いませんねぇ」

「どうして 山に登るんですか?」

「えっ?」

「真面目に答えてくださいね」

「嫌です」

キャラメルをとりあげる小春。

「う〜ん…読書と同じですよ」

「え〜?」

「最後のページに何が書いてあるのか知りたいんです

 答えが知りたいんです」

「何の?」

「生きている?」

「生きている?答え?」

泣きながら思い出す小春。

また過去。
いっしょに暮らしている部屋。

「小春 前にさ 何で 山に登るのかの話

 最後のページ 生きている答え

 俺 分かった」

「答え?」

「うん」

「人生に答えなんかないんだって

 生きてる限りいろんなことがあるけど

 答えは出ないし 人は最後のページを

 読むことはできないんだと思う

 最後のページを読むのは子供達なんだ」


小さい望海が眠っていました。

「僕と小春が

 生きて来た答えを見つけるのは

 子供達なんだよ

 いつか 僕達がいなくなった後

 子供達が僕達が生きてつづった人生を読む

 僕達の人生を子供達が読んでくれる

 その時 子供達が その本を…

 う〜ん その答えを こう…

 胸に抱いてくれるように

 もらえるように そのために生きる

 できるだけ誠実に できるだけ一生懸命

 子供達に恥ずかしくないように

 そうやって続いて行く

 子供達は 子供達の 子供達に向けて

 子供達の子供達は

 子供達の子供達の 子供達に向けて

 そうやって 読み継がれて行く」


信の写真をならべる小春。

「子供達に  恥ずかしくないように。

 そうやって続いて行く。

 子供達は 子供達の 子供達に。

 子供達の子供達は 

 子供達の 子供達の 子供達に。

 そうやって 読み継がれて行く。」


陸は健太郎とけんだま。
望海は紗千とあやとり。

「ほっ あ〜 難しい。」

「もう一回…。」

「もう1回ですか?

 難しいですね〜 」

「行きますよ。これ こうして…。

「ほっ あ〜 惜しい あっ…。」

「え〜? これは?」

「あれ? 何か ちょっと違う。」

楽しそう。

お好み焼きの晩御飯。

「 何だか嫌〜な予感がしたんですよ。

 すると 「はい 次の方 入って〜」。

 中へ入ると 「はい 胸出して〜」聴診器 ここに…。

「足ります?」

「うん 十分でしょ。」

「「はい 息吸って〜」。

 その先生 なかなかというより

 かなりのおじいちゃんなんですよ。

 「はい 止めて」。

 僕 息吸って 息止めましたすると

 「はい 息吸って 止めて」。

 僕は 「あれ?」って思いました。

 「いつ 息吐くんだ?」って。

 「はい 吸って〜」。「止めて〜」。「吸って〜」。

 僕 顔 真っ赤になりながら

 それでもハァ ハァ… 息吸いました。

 陸くん 面白い?」

「ううん あんまり。」

「あんまりか そうですか」

「食べて。」

「あぁ はい。」

「もう大丈夫ですよ。」

「おいしい。」

「おいしいですか?

 フ〜フ〜しますよ。ふぅ…。」

「これ ビールじゃダメだ。」

「それでね 図書館行った時に

  お母さんが本読んでたの。」

「その話 外でしない約束でしょ。」

「え〜? どんな本なの?」

「何でもないです 普通です。」

「食べられる虫の本だったの。」

「ハハハ…!」「ハハハ…!」

「え〜!驚いちゃいましたね〜。」

「これ 雑巾…。」

「ハハハ…。」

「「アパートの大家さんにプリン貰った」っていって

 喜んで帰って来たんですよ。」

「プリン 1年ぶりだったんだもん。」

「晩ごはん食べ終わって

 ついにプリンの時間 来たっていって食べようとしたら…

 何だったんだっけ?」

「茶わん蒸しだったの。」

「フフフ…。」「ハハハ…。」

「あのね 100円ショップに行ったの。」

「うん。」

「あのね 名前 覚えられたの。」

「フフフ…。」

「行ったらね「おかえり」って言われたの。」

「ハハハ…。」

「シ〜だよ。シ〜。」

「シ〜なのに 言っちゃったの?」

「フフフ…。」

「おかしかった。」

「あんな話 たっくさんありますよ。

 その時々は必死なんだけど今思うと

 おかしいんですよね。」

「ねぇ 陸くん ちょっと大きくなってない?」

「えっ 横に?」

「頭。」

「頭 大きくなっちゃったの?」

ドアが開く音がして栞がいました。

「ごはん 食べてる?

  眠れてる?

 今日だけは ゆっくり寝なさい。

 栞。」

小春がそばにいきました。

「上がっていただいたらどうですか?」

「ええ もう帰られるって。」

「そうですか。」

「ええ 今は 帰るって。」

顔はださないままの小春。

「私…

 許せるかどうか分かりません。

 でも こんなふうにも思うんです。

 子供達がいつか知るかもしれない。

 私 その時…子供達に

 彼女のことを憎んでほしくないって。

 信さんを好きな気持ちで 誰かを憎むとか…。

 ひとを大事に思う気持ちが…。

 それが…憎む気持ちに変わる。

 それが辛いです。

 伝えてください。

  「検査 受けてくれて ありがとう」。

 「手術の時はよろしくお願いします」。

  私の妹に伝えてください。

  「あなたのおかげで生きられる」。

 「あなたも生きてください」。」」


立ちあがって戻る小春。
でていく栞。走って帰る栞をみつめる紗千。

小春と子どもたち。

「お母さん。」

「ん?」

「エスカルゴ 食べたことある?」

「フフフ…。」

「あるの?」

「ん? ないない ないよ。」

「食べちゃダメだよ。」

「おやすみ。」

「はい おやすみ。フフっ。」

「おやすみ お母さん。」

「おやすみ 望海。

望海 起きて。」

「何?」

「答え 分かった。

 「望海のものなのに おかあさんのほうがよく使うもの」。」

「分かった?」

「 「望海」。望海の名前。」

「正解。」

「やった〜。」

「名前は お母さんのほうがよく使うでしょ。

「おやすみ 小春 」

「ウフフ…。」「フフフ…。」

「おやすみ 望海。」

子どものクーピーを片づけていると
紗千がやってきました。

「子供達 寝た?」

「はい。」

「うちも寝ました。」

「フフフ…。」

「ず〜っと書いてたもんね。

 あっ いい? ここいて。」

「もちろん。」

アイロンをかける紗千。

「はぁ…パッチワーク… 始めたばっかり。」

「へぇ〜。」

「まだ こういうのしか…。」

「お茶 飲みますか?」

「あっ いただきます。」

「はい。」

戸棚に小さいワインがありました。

「試供品よ あの人 そういうの飲まないから。」

「ちょっと飲んじゃおうかな。」

「コップしか ないの。

 これ はい。」

ふたりで飲むことに。

「フフフ…。」

「ウフフフ…。」

乾杯する母娘。

望海の絵日記をよむ小春。

「7月10日 はれ。

 きょう ひとりででんしゃに のりました。

 おおつきえきでおかあさんに あいました。

 おかあさんが なきました」。

  「とうきょうのおうちにかえって3にんで はなびをしました」。

「自分も泣いてたよ これ。

 望海が ちょっと友達のお家から 1人で電車乗って

 遠い所 行っちゃって迎えに行ったんです。

 その時の…。

 あっ! ナマケモノさん。

 腰 ぎっくり腰した時だ。」

「7月13日 はれ。

 きょう おかあさんのおかあさんのおうちにいきました。

 おかあさんと おかあさんのおかあさんが

 ちくわのチャーハンのことで大ゲンカをしま した」。

  「8月4日 はれ きょうから

 おかあさんのおかあさんのおうちに すみました。

 おうちには にわがありました。

 わたしは このにわをみたときのことを

 いっしょうわすれないとおもいます」。」

「あぁ ちゃんと描いてる。

 上手だ… ここも描いてるし。

 あぁ…。

 ♪〜 ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ

「「温泉の素の気持ち」。」

「これが? 」

「これ。」

「温泉…。アハハハ…。温泉の素の気持ち。」

「うん。」

望海の絵日記。

「9月11日はれ ときどき あめ。

 にわに コスモスがさきました。

  まどいせんをしました」

「『まどいせん』というのは

  かぞくみんななかよしのことです」


紗千と小春。

「あっ 白髪ある。」

「フフフ…。」「フフフ…。」

「バカ 」

「アハハ…。」

「年とったねぇ。」

「いくつだと思ってるのよ。」

「あなたも 年とった。」

「大きくなったっていうんでしょ。」

「何cm?」

「161か162cm。

何cm?」

「同じぐらいでしょ。」

「ないでしょ 私のほうが大きいって。」

「チビだったくせに。

 不思議ね こんな大きくなっちゃって。」

「ねぇ。」

「ねっ。」

「何にもしてあげてないのに。」

「あのさぁ 台風9号 覚えてる?

 入院してた時。

 私… 家に私1人で。」

「はい。」

「すっごい雨だったの。

 風も すごくて。」

「ええ。」

「テレビ見てたら急に切り替わって。

 川が あふれたとかどこかの町で土砂崩れがあったとか。

 たくさんの人がって話になって

 そしたら 急に フッて…真っ暗になったの。

 窓開けて… 見たら滝の中にいるみたいな 雨と風で。

 木が倒れてたり 看板が飛んで落ちて 車に刺さってたり。

 もう すっごかったの。」

「うん。」

「人が泣く声が 聞こえて 

 救急車と消防車のサイレンがず〜っと聞こえてて。

 雨 もうやまないのかもしれないなぁ…。

 何か このまま朝 来ないんじゃないかなぁ…。

 私 どうなるんだろうって思ってて…。

 不安だった。

 怖かった。

 フフっ 怖かったんだよ。」

「うん。」

「そしたら 部屋 入って来て。

 入院してて いないはずなのに

 電車 動いてないはずなのに 帰って来た!

  ねっ でしょ?

 びっしょぬれになってるのに

 何でもなかったみたいな顔して「ただいま」って言って

 「小春」って言って…。

 私の手 握って体 ギュ〜ってしてくれたの。

 朝まで ずっと…。

 ねぇ?」

「ん?」

「覚えてる?

 子供の頃の話 してくれたんだよ。」

「うん…。」

「最初 雨で冷えてた体がだんだん温かくなって。

 冷たくなった手もだんだん温かくなって。

 フフ…。こう… 守られてる大事にされてる感じ。

 私 さっきと違うこと思ったんだよ。

 ず〜っと台風だったらいいのに。

 このまま ず〜っと真っ暗だったらいいのにって。

 一緒に台風 見てたいなぁって。

 だからねぇ…。

 あのねぇ 台風9号はいい思い出なんだよ。」

「うん そう…。」

「私 大きくなった?」

「なった。」

「ず〜っと見せたかったんだよ。

 大きくなったの。

 思い出があったから大きくなったの。

 子供って…思い出で大きくなれるの。

 私達 ずっと結ばれてたわけじゃないけど。

  離れ離れだったけど。

 代わる代わる…渡し合うみたいに続いてたんだと思う。

 あや取りみたいに。

 だからね望海が 陸が

 いつかそう思ってくれたらいいなって思いながら…

 いつも 手 握ってる。

 お母さんが握っててくれたみたいに握ってる。」

手を握るふたり。

「小春。」

「ん?」

「また会えてよかった。よかった。

 いい 一日だった。」

「ただいま。」

「おかえり。」

テーブルに頭をつける小春。

「ねぇ お母さんが子供の頃のお話 聞かせて。」

涙をぬぐう紗千。

「どこまで話したっけ?」

「う〜ん フフフ…。

 おしゃもじ持って男の子の家に

 仕返ししに行くところ。」

「あのね…。

 おしゃもじ持って走りました。

 木のおしゃもじはしっかり汗で

 ビショビショになるぐらい走りました。

 男の子のお家のそばに行って

 電信柱から そ〜っと見てると

 ほうきを持ったおかあさんがお掃除をしてました。

 おしゃもじと ほうきじゃかなわねえぞ。」

「ウフフフ…!」

「…思っておかあさんが

 いなくなるのをず〜っと待ってました。

 だんだん 日が暮れて来て カラスも鳴いて

 何だかお家に帰りたくなりました。」

「ウフフフ…。」

母と娘の仲睦まじい姿。

ここからは望海の絵日記で。

「10月9日 くもり。

 おかあさんが にゅういんするまえのひ

 おかあさんと わたしとおとうとで

 かんらんしゃに のりました」

走って帰る望海。

「11月3日 はれ。

 びょういんに いきました。

 おばあちゃんが おかあさんの かみのけを

 みじかく きりました」

頑張って仕事している栞。

「11月30日 はれ。

 おばあちゃんとし〜ちゃんと いっしょに

 びょういんに いきました。

  し〜ちゃんが おかあさんにえをプレゼントしました」

帰り道、神社で手をあわせておがむ望海。
また走って帰りました。

 「12月5日 あめ のち はれ。

 よる ながれぼしがみえました。

  おとうとと ふたりでおかあさんのことをおねがいしました」

「12月31日 くもり。

 ナマケモノさんと おばあちゃんと

  おとうとと いっしょにじょやのかねをききました」

「2月3日 あめ。

ナマケモノさんと おばあちゃんと

おとうとと いっしょにまめまきをしました」

走って帰ってきた望海。

「あっ おかえり。」

「ただいま。」

「おかえり。」

「ただいま。」

「陸 ただいま。」

「おかえり。」

庭に出ると小春が帰ってきていました。
母に抱きつく子どもたち。
子どもたちをダジ締める小春。

「4月10日 はれ。

おかあさんが かえってきました」





小春が助かってよかった。
紗千と仲直りできてよかった。

本当なら一生許せないだろう栞とも
ちゃんと話せる日がくると思う。
信さんがそんな人だったから。
子どもたちに恥ずかしくない人生を
一生懸命生きようと思ったら
人を恨み抜くという選択肢はない。

紗千と小春の母娘のわだかまりがなくなって
仲良しだったころの母娘に戻ったシーンは
目から涙が・・。
小春が望海たちの前ではお母さんだけど
紗千の前では娘でした。

あの家で陸と望海が
素直にすくすく育っていけるのが
本当に嬉しい。

信の死の理由はけっこう救いようのない
設定だったけど、それだけで終わることはなく
「まどいせん」が心からいいなあと思える
心にしみるドラマでした。







2013.09.13 Friday 22:34 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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